著者
玉木 有子 伊藤 直子 佐藤 恵美子 立山 千草 太田 有子 伊藤 知子 松田 トミ子 山田 チヨ 長谷川 千賀子 山口 智子 小谷 スミ子 渡邊 智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】平成24~25年度日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』の一環として新潟県村上市の食と行事の結びつきについて調査を行った。郷土料理や伝統的な食の文化が親から子へ伝承されにくい傾向がある状況の中で、年中行事や慣わしが現代に受け継がれてきた村上市の現状を報告する。<br> 【方法】村上市在住の75~88歳の高齢者(平均80.5歳)から平成25年11月~平成26年3月に聞き書き調査を行い、村上市の史料館や歳時記を参考に現代に伝え継がれている年中行事、慣わしに関する食と行事の結びつきを調査した。<br> 【結果】昭和34年頃までは旧暦が用いられ、現在も名残が残る。季節毎の年中行事や慣わしが多く受け継がれており、主に祭事に関する料理が残っている。神社の信仰により伝承されてきた村上大祭(7月7日)(村上地区) 、瀬波大祭(9月4日)(瀬波地区)、岩船大祭(10月19日)(岩船地区)の3大祭りの他、稲荷神社の初午(2月の第1の午の日)、七夕祭り(8月16日)、地蔵堂の地蔵祭り(11月3日)などは今日まで受け継がれており、市民生活の潤いとなっている。初午では、粳米に小豆を入れて炊いた小豆飯、糠鰯、三角油揚げ、煮しめなどを食べる。古くは米俵のサンバイシにのせて地域のお稲荷様に供えた。節分では、まいた豆を保存し厄除け代わりに一年中食べる慣習がある。この他にも鮭を特別な魚(魚の中の魚)として大切に食しており、村上市の食と行事の結びつきには精神性の高い食の文化が伝え継がれている。
著者
佐藤 恵
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.56-72, 2013

阪神大震災時,障害者には,震災以前からの生活上の困難が顕在化し,被害が集中的に現れて「震災弱者」化が進行した.①安否確認からの漏れ,情報へのアクセス遮断,②避難所・仮設住宅などの物的環境面のバリア,③介助の不足,④「震災弱者」への特別の配慮を行わない「一律『平等』主義」と,独力での生活が困難な障害者に対する「施設・病院収容主義」,⑤避難所等での排除的対応,⑥経済的な復興格差.これらの困難を抱えた障害者を支援する「被災地障害者センター」(現:拓人こうべ)の活動では,「顔の見える関係」を重視しつつ,障害者の自己決定を核とした自立を支える中で,種々の支援技法が編み出されていった.以上の①~⑤については「ゆめ風基金」からの開き取りにおいて,東日本大震災でも発生していることが確認され,⑥の復興格差に関しても経済格差に加えて地域格差も生じる蓋然性が高い.こうした阪神大震災の教訓が活きていない状況で行われている,ゆめ風基金の被災障害者支援においては,第一に,個人レベルの支援に重点が置かれ,第二に,自立生活を送る障害者が少ない東北において,支援の担い手としての障害者を育てることが意識されている.震災の風化が進行しつつある現在,ヴァルネラブルな被災障害者に向けた「支え合い」の実践は喫緊の課題であり,また,現場での実践に定位した社会学的記録・分析の作業が必要である.
著者
中村 学 遠藤 聡 佐藤 恵 手島 雅人 久米 亮一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.272-276, 2019-04-18 (Released:2019-05-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

装具療法は脳卒中患者の立位・歩行獲得のために有効な手段であり,運動療法を合わせて実施することでその効果を高めることができる.セラピストの介入が少なくなる生活期においては,下肢の変形や異常運動を防ぐために下肢装具が重要な役割を担うが,その効果を発揮するためには,装具メンテナンスなどの患者指導も重要である.生活期でも多職種チームで連携してリハビリテーション診断と治療を行い,装具を装着したことによる歩行時の筋活動や下肢の運動を学習させる運動療法が重要である.さらに,介護保険サービスとの情報共有,地域の装具ユーザーやケアマネジャーへの相談窓口を設置するなど,地域連携も不可欠である.
著者
佐藤 恵
出版者
国立国会図書館総務部
雑誌
びぶろす = Biblos (ISSN:13448412)
巻号頁・発行日
no.64, pp.2-6, 2014-04

国立国会図書館webサイトにて公開されたpdfファイルを使用(http://ndl.go.jp/jp/publication/biblos/2014/4/01.html)
著者
佐藤 恵美子 筒井 和美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.91, 2010

「目的」ゴマ豆腐は、痲腐(まふ)と呼ばれ、澱粉と油(ゴマ油)を混ぜた寄せ物である。普茶料理に属し、黄檗料理とも呼ばれ、宇治の黄檗山万福寺に伝わる中国式の精進料理で江戸時代初期に明から隠元禅師によって伝えられた。種々の文献調査およびアンケート調査結果により、ゴマ豆腐の種類、配合割合や調製条件について考察した。「方法」文献調査は聞き書きの食事(農文協出版)により、ゴマ豆腐について記載されている県を検索し、また種々の代表的な文献を10冊選び、材料の配合割合と調製条件について調査した。さらに県立新潟女子短大卒業生19年度39名、20年度39名、21年度35名、郷里山形県庄内地方に居住する女性(20代~60代)44名を対象に調査を行なった。「結果」文献調査から、加熱時間は15分~120分、配合割合は葛に対してゴマは0.5~1.5倍、加水量は6~13倍と幅があった。ゴマ豆腐は比較的多く喫食されて、皮むきや焙煎ゴマを用いられている。山形庄内では、皮付き白ゴマ豆腐が49%、黒炒りゴマ豆腐15%と両方を喫食する。ゴマ豆腐が好きな人が調査者に対して新潟で約半数(50%)、山形庄内では67%と多かった。新潟では喫食頻度が年に1回~2回であるが、山形庄内では月に2~3回喫食されていた。ゴマ豆腐のおいしさは、香り、弾力、軟らかさ、なめらかさが重視されている。山形庄内では、日常食よりも結婚式などの御祝時に喫食され、砂糖醤油あんにおろし生姜をかけて食する。新潟のゴマ豆腐はデザート的な要素で白く甘いお菓子的であり、「たれ」はかけないで食する。ゴマ料理として最も多いのは、「あえもの」である。ゴマ豆腐の調理経験者の50%が、「練りゴマ」を使用していることがわかった。
著者
佐藤 恵美子 松田 トミ子 山田 チヨ 渡邊 智子 山口 智子 伊藤 知子 伊藤 直子 太田 優子 小谷 スミ子 立山 千草 玉木 有子 長谷川 千賀子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』のガイドラインに準じた聴き取り調査結果から、昭和35~45年頃までに定着した新潟県のおやつについて報告する。<br />【方法】村上、新潟、長岡、柏崎、魚沼、上越、佐渡の7地域のおやつについて検討した。<br />【結果】新潟県は米を中心とした主食の豊かな食文化があり、うるち米、もち米、くず米、米粉を使ったものが多く、おやつにも主食と類似した文化がみられた。うるち米を使ったものには、おにぎりに生姜味噌をつけて焼いた「けんさん焼き」(魚沼)、米を二度炊きにしてから搗いた「にたて餅」(村上)があった。もち米を使った「餅」はきな粉や砂糖醤油をつけて頂き、「あんこ雑煮(おしるこ)」や「あられ」・「かたもち」(新潟)にして食された。米麹から作る「甘酒」(新潟)、灰汁に漬けたもち米を笹の葉で巻いた「灰汁笹巻」(村上)も特徴的である。もち米や米粉を使ったものには、新潟県の特産品として親しまれている「笹団子」(新潟・県全域)があり、中に餡を入れたものだけでなく、ひじきやあらめの煮物を入れたものも食された。新潟県のおやつには笹の葉を用いたものが特徴的であり、笹団子の他に「三角粽」(柏崎・県全域)や「笹餅」(魚沼)などがあり、地域により笹の用い方に違いがみられた。くず米の利用として、あんや大根菜を入れた「あんぼ」(魚沼)、「おやき」(柏崎)、「みょうが団子」(上越)などがある。佐渡では米粉を使ったものとして、雛祭りには「おこしがた」、釈迦祭りには「やせうま」、ケの日には「とびつき」が食べられていた。その他のおやつに含まれるものに「バタバタ茶」(上越)があり、糸魚川市で泡立てた番茶をいただく風習があった。
著者
齋藤 寛子 平尾 和子 佐藤 恵美子 宮地 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】山形県は昔から米作りが盛んであり、農作業の合間の小昼や一服のおやつは、疲れた身体を癒し、生産性の向上も担う大切な食であった。また、学校を終えて帰宅した子どもたちにとって、おやつは昔も今も楽しみであり、大切な栄養補給である。加えて、歴史的背景から、西廻り航路の港であった酒田市は、早くから京の和菓子が伝えられ、隣接する城下町であった鶴岡市は、雛菓子、お盆菓子、正月の祝い菓子など現在も昔と変わらずに食べられている。そこで本報告では、山形県の家庭におけるおやつについて、その実態を調査し、伝承された食べ方などをまとめることを目的とした。<br />【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」に於いて行った聞き書き調査及び山形県の郷土料理に関する出版物からの料理の抽出、さらに継続して行っている調査結果などから、季節、行事及び県内の地域区分等でおやつを分類し、その特徴について分析した。<br />【結果】山形県の家庭料理におけるおやつは約50品集録された。「ケ」の食のおやつには、うるち米やもち米を材料とするものが多く、きな粉餅、味噌餅、白餅もおやつとして認識されており、硬くなった餅は油であげたり、炒ったりして味付けし、あられとして食べられている。醤油で煎り煮した玉こんにゃくや寒天を用いた寄せものは、おかずだけではなくおやつにもなる料理である。「ハレ」の食のおやつには、上巳の節句のくじら餅、草餅、鶴岡の練り切り等で作るお雛菓子、端午の節句には灰汁巻きと灰汁を用いない笹巻2種と笹団子及び小正月の団子などが分類された。昔からのおやつは、食材は限られるものの、調理法や味付けに工夫が見られ、山形のおやつは豊かであったことが推察された。
著者
廣瀬 真由 大沼 学 佐藤 恵美 斎藤 渉 河西 雅之 薄井 紀夫 内海 通
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.77-82, 2017 (Released:2018-03-17)
参考文献数
11

【目的】片頭痛発症中に自覚した暗点を動的量的視野検査で検出できた症例を報告する。【症例】60歳男性、眼科医。突然、両眼左上部に暗点を自覚した後、後頭部から右側頭部にかけて鈍痛を認めたため、直ちに頭頸部MRIおよび眼科検査を施行した。暗点ならびに頭痛の原因となる器質的疾患は見い出せず、視力低下や眼圧上昇などもなかった。Goldmann視野計による動的検査では、両眼に自覚症状と一致した左上部の同名性暗点を検出した。暗点は自覚4時間後に、頭痛は翌日に消失した。後日再度施行したGoldmann視野計による動的検査では暗点は認めなかった。【結論】片頭痛発症中の閃輝暗点を動的量的視野検査で検出できた一例を経験した。
著者
佐藤 恵美子 三木 英三 合谷 祥一 山野 善正
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.737-747, 1995-10-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
28
被引用文献数
8 6

「煮つめ法」,「滴下法」を用いて調製した胡麻豆腐の調製時における攪拌速度と加熱時間の影響について,テクスチャー測定,クリープ測定,走査型電子顕微鏡による構造観察を行って検討したところ,次のような結果が得られた.(1) 「煮つめ法」により調製した胡麻豆腐のクリープ曲線は四要素モデル(E0, E1, ηN, η1)として解析可能であった.硬さおよび瞬間弾性率,フォークト体弾性率(E0, E1)は,どの攪拌速度においても加熱25分(谷の部分)で最も軟らかくなり,その後加熱時間の増加とともに硬くなった.また,その加熱25分の調製条件が構造的にも均一な蜂の巣状構造を形成した.「滴下法」によるテクスチャーと加熱時間における一次式の傾きは,加熱45分までの時間依存性を示すもので,攪拌速度が高くなる程,大きくなり,付着性には攪拌速度による依存性が認められた.ニュートン体粘性率,フォークト体粘性率(ηN, η1)は加熱時間にともなう変化がテクスチャーの付着性と類似していた.(2) 走査型顕微鏡観察の結果,加熱15分では不均一な部分があり,加熱25分で均一な空胞が形成され蜂の巣状を示した.さらに加熱攪拌を続けると蜂の巣状構造は崩壊し始めた,250rpm 25minの試料が空胞の形成がよく,最も均一な蜂の巣状の空胞の集合体が観察された.(3) 胡麻豆腐は葛澱粉を主体とするゲルであり,胡麻の蛋白質と脂質が関与している相分離モデルであると推察される.
著者
佐藤 恵美
出版者
美術出版社
雑誌
美術手帖 : monthly art magazine (ISSN:02872218)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1046, pp.146-149, 2016-12
著者
佐藤 三矢 横井 輝夫 岡村 仁 荒木 ゆかり 緒方 紀也 山下 聡子 佐藤 恵 坂本 将德 福嶋 久美子
出版者
吉備国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

認知症高齢者を対象としてネイルカラーリング介入を実施し、ランダム化比較試験を通じてBPSDとQOLの変化を検討した。対象者は介護施設に入所中の認知症高齢者77名。対象者を無作為に2群へ割り付けた後、介入群に対しては1週間に2回の頻度でネイルカラーリング介入を3ヶ月間実施した。得られた数値は二元配置分散分析を用いて2群間の比較を実施した。その結果、BPSDとQOLに関する測定項目において有意な交互作用が確認された。本研究では介護老人保健施設に入所中の認知症高齢者を対象として3ヶ月間のネイルカラーリング療法を行なえば,BPSDを軽減できる可能性が示唆された。
著者
伊藤 睦泰 佐藤 恵美子 後藤 浩幸 服部 義一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.254-262, 1990
被引用文献数
2

異なる刈取頻度(年4回刈=4C,および5回刈=5C)と施肥水準(N,P,K成分で各48g/m^2/年=HN,および24g/m^2/年=LN)を組合せた栽培条件下のリードカナリーグラス模擬群落で,1番草および各再生草の生育過程における既存分げつの草丈,葉齢,枯死葉位の推移,ならびに節位別の葉身,葉鞘,節間長を計測した。(1)1番草,再生草ともに生育前半の出葉は急速で,第8葉展開頃までは,刈取頻度,施肥水準にかかわりなく,おおむね6,7日/葉の周期で直線的に葉数を増した。葉身の枯死は,1番草では5月初旬,再生草では刈取後20日頃に始まり,順次上位葉に向かって進んだが,出葉に比べてその進行は緩慢であった。(2)1番草の生育後半には草丈の伸長は特に顕著であり,逆に秋には抑制されたが,全般的に季節による草丈伸長の差異は比較的小さかった。草丈の伸長の経過は,いずれの処理,生育時期においても二つの急伸長期からなる類似の軌跡を描き,初期の急速な生長の後,30cm前後でやや伸長が鈍り,その後再び第2の急伸長期に転じて,例えばHN,4C区の1番草では約80cm,再生草では50cm前後で鈍化した。(3)着生節位別の葉身長は刈取回次による差異は小さく,いずれも第6,7葉までは上位ほど葉身が増し,それより上位節では再び短くなった。1番草では下位節間はほとんど伸長せず,上位の4節間が著しく伸長していた。再生草においても,生育初期の2,3節間は短いものの,それより上位の節間は順次伸長した。各葉齢期に対応する草丈からそのときの最上位の展開葉長を減じて節間の伸長経過を推定したところ,1番草および再生草の第2の草丈急伸長期にあたる5月初旬および刈取後25日前後に急伸長が始まるとみられた。(4)以上のことから,リードカナリーグラス群落を構成する個々の既存分げつは,その生育過程で一定量の同化器官(葉面積)を獲得すると,急激に非同化器官優先の生長へと転換する習性を有しており,その後に起こる節間部の急伸長(=C/F比,群落の草丈の増大)を介して高い乾物生産を可能にしていると考えられる。
著者
中下 幸江 大久保 芳伸 堀之内 彰 松本 朱美 北崎 直 佐藤 恵一朗
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第33回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.215, 2006 (Released:2006-06-23)

【目的】ラットはヒトと比べて体重あたりのエネルギー消費量が多く、消灯時の活動期に断続的な摂食活動を継続しなければ正常な発育を維持することができない。一方、ラットの毒性試験では、血液検査条件の標準化や肝臓の病理組織学的検査の精度向上などを目的として剖検前夜の消灯前から絶食処置を施すことが多い。しかし、絶食開始から剖検までのエネルギー代謝の変動を経時的に調べた報告は少ない。本報告では、ラットにおける絶食条件下のエネルギー代謝の経時変動を調べた。【方法】消灯1時間前から絶食を開始し、25時間後までの肝臓や血液などにおける糖新生酵素PEPCK、β酸化、蛋白分解酵素をはじめとするエネルギー代謝関連項目を測定し、絶食処置を施さなかった場合と比較した。【結果及び考察】絶食処置を施したラットでは、絶食後5時間以内に肝グリコーゲンが急速に枯渇する一方、速やかに肝臓及び腎臓のPEPCKの活性が亢進した。また、糖新生の活性化と関連して、肝臓の細胞質あるいはミトコンドリア画分及び血中においてAST/ALTの高値が確認された。しかし、血糖値の低下を止めるには至らず、糖新生による血糖維持には限界があることが示唆された。これらの変動とほぼ並行して、代替エネルギー源である遊離脂肪酸やケトン体の血中濃度の増加がみられ、特に、ケトン体は絶食3時間後より増加し、その後著しく上昇した。ラットにおけるこれらの変化は、ヒトの絶食時の変動と比較して、非常に短時間で生じることが特徴的であった。以上の結果から、ラットではヒトと異なり、短時間の絶食がエネルギー代謝に著しい影響を及ぼすことが示唆された。エネルギー代謝系に何らかの影響を及ぼす被験物質では、げっ歯類の非絶食時やヒトの絶食時には発現しない、げっ歯類の絶食時に特有の変化が投薬によって顕在化する可能性があると考えられた。
著者
佐藤 恵 田中 ゆかり 藤本 真奈美 鴫原 正世
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>【目的】 </b>北海道は明治維新後の国策により、沖縄を除く日本各地からの移住者が入植し、この地を築いた開拓の歴史があり、その中から独自の文化が生まれた。食文化についても例外ではなく、各々出身地の伝統食を継承しつつ、そこに厳寒の地で生き抜くための工夫が施され、北海道独自のものへと変化していった。本研究は、北海道が発祥ともいわれ、道民に慣れ親しまれている郷土料理の一つ「甘納豆(金時豆等)入り赤飯」について、そのルーツを辿り、他都府県とは異なる&ldquo;北海道の赤飯文化&rdquo;を明らかにすることを目的とした。<br><b>【方法】 </b>2008年~2011年の入学生に対し、6月~8月に『赤飯アンケート調査』・『家庭での聞き取り調査』・『市場調査』を実施した。調査対象者は、本学学生、食物栄養科569名・保育科585名、合計1154名である。回答者のうち、北海道出身学生の回答を集計し、甘納豆入り赤飯の実態を調査した。<br><b>【結果】 </b>アンケート調査の結果、甘納豆入り赤飯の認知度は100%であったが、全国的に認知度が低いことを「知らなかった」「聞いたことがある・最近知った」と回答した学生が、全体で67%、多い年で74%であった。好きな赤飯の種類については、「甘納豆入り赤飯が好き」と回答した学生が全体で68%、多い年で76%、「小豆の赤飯が好き」と回答した学生が全体で9%、多い年で10%であった。また、市場調査の結果、北海道で販売されている赤飯は、年中行事に関係なくお弁当やおにぎりと常に同等に扱われ、販売店のもち米売り場では甘納豆と食紅が並べられている等、陳列方法も独特であった。これらのことから、道民には甘納豆入り赤飯が、北海道の赤飯として一般的であることが示唆された。
著者
佐藤 恵子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-12, 2001-03-30

Eugenics can be defined as a science which deals with the improvement of hereditary qualities of human beings through scientific breeding. Today, facing the new age of scientifc technology, particularly life-manipulating technology, we feel an urgent need to pay attention to the historical significance of eugenics once more. For from this word, eugenics, we are reminded of the Nazi's inhumane cruel act, which we should absolutely not repeat in the future. It's quite natural for us to condemn the Nazis for their crimes, but on the other hand, as a backdrop, we must clarify objectively what eugenics was and how it originated in Europe about the turn of the century. Ernst Haeckel (1834-1919), a famous zoologist from Germany, was also well known as a social Darwinist and played an important role at an early stage in the history of eugenics. From the abovc-mentioned viewpoint, this paper will examine his eugenic thought and clarify its characteristics.