著者
宮田 一 星 秋夫 佐藤 勉 丹羽 源男
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.21-29, 1999-01-30 (Released:2017-10-27)
参考文献数
21

歯科医師に推奨すべき健康管理を確立するための基礎的データを収集する目的で,歯科医師の死亡構造の特徴について検討した。対象集団は,1975年から1996年までの22年間に某歯科大学同窓会に所属した男性歯科医師9,026名(死亡者1,550名)であり,SMRを算出して日本人男性と比較を行い,以下の結果を得た。1.観察期間における死因は心疾患(29.8%)が最も多く,次に悪性新生物(27.8%),脳血管疾患(13.6%),肺炎・気管支炎(9.9%)であり,これら死亡割合の合計は全体の80%以上に達した。2.歯科医師の平均死亡年齢は72.8±12.1歳(27〜101歳)であるが,近年になるに従って有意に増加した。3.総死因における歯科医師のSMRは日本人男性よりも有意に低価であった。4.主要死因のSMRについてみると,悪性新生物,および脳血管疾患は歯科医師で有意に低価であった。しかし,心疾患のSMRはいずれの年次においても歯科医師が有意に高値を示した。また,肺炎・気管支炎は歯科医師で有意に低値を示したが,最近4年間と55〜69歳の年齢層では高値を示した。以上から歯科医師は日本人男性よりも良好な健康状態にあることが示唆された。
著者
伊藤 俊彦 高橋 仁 志賀 拓也 佐藤 勉 中沢 伸重 岩野 君夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.453-460, 2013 (Released:2018-01-12)
参考文献数
13
被引用文献数
4 2

清酒麹に残存するアミノ酸について,品種の異なる麹米5点と麹菌17株を用いて清酒麹85個をシャーレ法で製麹し,レベル変動に関与する要因について検討したところ以下の知見を得た。1.麹の残存アミノ酸はグルタミンとアルギニンが多く,次いでリジン,グルタミン酸,ロイシン,チロシン,アラニンの順であった。2.麹米タンパク質が酵素分解されて生成する全アミノ酸の約80%は麹菌の増殖に利用され,約20%が麹の残存アミノ酸となることが推定された。3.麹の残存アミノ酸量の多い麹はタンパク質分解酵素活性が高かった。4.麹の残存アミノ酸量は麹米品種と麹菌株に共に影響された。5.麹菌株の選択により麹の残存アミノ酸量を約半分に低減できる可能性がある。
著者
鵜瀬 亮一 中村 絵美 佐藤 勉 石川 智雄 佐藤 和也
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.57-60, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
9

現在野球界では、年代を問わず球数制限やイニング制限による投球障害防止の議論が盛んになされている。中学生は発育スパート期にあり、特に身体のバランスが大きく変化しやすい。本調査は、中学野球選手の公式戦と練習試合における登板人数と球数の実態把握を行なうことを目的に、新潟県中学校体育連盟に所属する軟式野球部(前期147校、後期151校)を対象に調査を行なった。調査期間は前期と後期の2期に分け、それぞれ前期2019年3月から7月、後期2019年7月から11月であった。その結果、1試合平均登板人数は公式戦の前期が1.68±0.73人、後期が1.89±0.77人、練習試合の前期が2.16人±0.97、後期が2.23±0.94人で前期・後期ともに公式戦が有意に少なかった。1試合を完投する投手の割合も前期が公式戦46.6%、練習試合が25.7%、後期が公式戦32.9%、練習試合が19.7%と前期・後期ともに練習試合の方が有意に低かった。また、公式戦で完投した投手の平均球数は前期92.1±24.3球、後期89.9±20.6球であった。今後はチームの所属人数や強さなども考慮に入れながら、平均登板人数が少なくなる要因を検討していきたい。さらに、中学軟式野球において定められた投手の球数制限(1日100球)については、その医学的な根拠を示すことも求められるだろう。
著者
瀬戸 治男 佐藤 勉 米原 弘
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.197-204, 1973

An alternative double labeling method which utilizes ^<13>C-^<13>C coupling in structural and biosynthetic studies was applied to the structural elucidation of dihydrolatumcidin. The cmr spectrum of the double labeled and mixed labeled metabolites showing strong ^<13>C-^<13>C coupling gave enough information on carbon sequences and made it possible to determine the total structure of the metabolite. Direct evidence was obtained that acetic acid was incorporated into dihydrolatumcidin without cleavage of the C-C bond of the acetic acid molecule. The detail mechanism of biosynthesis of polyketides, terpenes and steroid can be studied by utilizing ^<13>C-^<13>C coupling.
著者
佐藤 勉 丹羽 源男
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.172-184, 1987 (Released:2010-10-27)
参考文献数
35
被引用文献数
1

The effects of fluoride (F) on the growth, protein synthesis, alkaline phosphatase (ALP) activity, cyclic adenosine 3', 5'-monophosphate (cAMP) levels and ultrastructure were examined in normal human diploid cells (NDU-1 cells, fibroblasts) derived from fetal lung tissue.Concentrations of F between 0.026mM-0.53mM had no effect on the growth of NDU-1 cells. However, 0.79mM F depressed the growth of the cells and 1.05mM F led to complete inhibition of growth. Reduced protein synthesis (incorporation of 14C-leucine) was observed with 0.79mM F, but, 0.026mM F and 0.53mM F slightly enhanced protein synthesis to 109% and 108% of the control, respectively.After 24 hours of exposure to concentrations of 0.026mM-1.05mM F, ALP activity in the cells was increased in a manner similar to that of control cells. However, ALP activity in cells treated with 2.63mM F seemed to be strongly depressed.The cAMP values increased rapidly after the addition of 2.63mM F.Cells cultured for 24 hours with 0.026mM F or 0.53mM F contained a well-developed, roughsurfaced endoplasmic reticulum (rER) when compared with control cultures. In cells treated with 0.79mM F or 1.05mM F, numerous lysosomes and a less-developed rER were observed. Many vacuoles were also observed in the 2.63mM F treated cells.In conclusion, the higher concentrations of F tested inhibited cell growth and protein synthesis, but the lower concentrations of F accelerated protein synthesis. These findings are supported by morphological investigation. Finally, F had a stimulatory effect on cAMP, but a depressant effect on ALP activity.
著者
村松 博士 住吉 葉子 栗林 景晶 沼田 隆明 山内 尚文 井原 康二 西里 卓次 高柳 典弘 長岡 康弘 佐藤 勉 松永 卓也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.2470-2472, 2001-12-10
参考文献数
3
被引用文献数
1

症例は, 52歳,女性.主訴は意識障害,発熱.入院時,著明な高血糖あり,腎盂腎炎を疑い感染症治療を開始したが, DICを併発し重症化した.感染源の検索を行ったところ,腹部CTで左腎臓が腫大し腎実質内に低吸収域を認め,気腫性腎盂腎炎と診断した.第2, 3病日の血液培養でE. coliが検出され,敗血症を合併していた.糖尿病を基礎にきわめて重篤化したが,保存的治療にて治癒した気腫性腎盂腎炎の1症例を報告した.
著者
桑田 千尋 佐藤 勉 池田 利恵
出版者
学校法人 日本歯科大学東京短期大学
雑誌
日本口腔保健学雑誌 (ISSN:24347108)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-32, 2019 (Released:2020-01-24)
参考文献数
10

近年,健康寿命を延伸させることの重要性が大きく叫ばれ,国民の健康に対する意識が一段と高まってきている.健康を保持・増進させるためには,規則正しい食生活習慣を身に付けることが極めて重要であると考える.発酵食品は,比較的古くから健康によいと考えられている.そのなかで,乳酸菌は発酵食品に利用されている代表的な細菌であり,免疫賦活化作用,整腸作用およびコレステロール低減作用を有することが知られている.歯科領域では,う蝕や歯周病細菌に対して増殖抑制作用を示すことが報告されており,その効果を利用した様々な乳酸菌配合の口腔ケア製品が開発・市販されている. 本研究の目的は,市販のオーラルケア用乳酸菌含有食品のStreptococcus mutans(S.mutans)とCandida albicans(C.albicans)に対する増殖抑制効果を検証し,口腔ケアツールとしての有用性を検討することである.具体的には,3種類の被験食品を溶解させて被験食品溶解液を作成し,その一定量を添加した培養液中でのS.mutansとC.albicansの増殖能を測定した. その結果,乳酸菌含有食品を掲げて市販されている食品でも,S.mutansやC.albicansの増殖に及ぼす効果については,違いがあることが示された. 今後は,効果の持続時間や口腔内疾患を有する患者を対象とした検討のほか本研究で使用したS.mutansやC.albicans以外にも歯周病菌に対する増殖抑制効果の有無といった検討を行うことも重要である.
著者
続木 陽子 佐藤 勉 永山 正雄
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1085-1090, 1989-10-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
15

優位側視床梗塞による健忘症候群の1例につき, 131I-IMP SPECTにより検討を加えた. 症例は73才女, 右利き. 傾眠と一過性の右上肢不全麻痺で発症した. 数日で意識清明化した後にも健忘症状が持続し, 14~16日後の神経心理学的検査で言語性短期記憶, 計算, 抽象的思考の障害を認めた. CTスキヤンにて左視床前核群, 背内側核, 前腹側核にわたる梗塞巣がみられた. SPECT所見では, 発症後18日目に左視床の他に左前頭葉と側頭葉に広汎な脳血流低下が示唆され, 発症後41日目には左前頭葉下部にのみ異常が残つた. 視床前・内側部の限局性病変が大脳皮質機能に影響し, これが症状の発現と関係した可能性が考えられた.
著者
井山 諭 佐藤 勉 小船 雅義
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

多発性骨髄腫の予後は新薬の登場によって改善されたものの、造血幹細胞移植を行ってすら治癒を得られる症例はなく、新たな機序の治療法が希求されている。我々はこれまでにDPP4ファミリーに属するDPP8/9の活性を阻害する1G244 は骨髄腫細胞にアポトーシス細胞死を誘導することを見出した。このことはDPP8/9 の阻害を機序とする新たな骨髄腫の治療を示唆していると考えている。そこで本研究では、1G244 の抗骨髄腫効果を検討し、更にそのシグナルを解析した。
著者
川西 智浩 室野 剛隆 佐藤 勉 畠中 仁
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.187-196, 2007 (Released:2010-11-22)
参考文献数
6
被引用文献数
6

現行の鉄道設計標準における耐震設計上の地盤種別は, 地盤の初期剛性に基づいて算定される地盤の固有周期により区分されている. 入力地震波のレベルが大きくなると, 地盤が非線形化して剛性が低下するが, 地盤の非線形性は粘性土や砂質土などの土質区分によって異なるため, 土質区分の影響を考慮して地盤種別を分類する方が合理的であると考えられる. そこで本研究では, 多くの実地盤に対して逐次非線形動的解析を実施するとともに, 土質区分毎の非線形性の違いを考慮した地盤の「等価周期」の算定方法について検討を行い, 等価周期を用いて地盤種別を分類した場合の精度について検証を行った.
著者
佐藤 勉 小船 雅義 加藤 淳二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.6, pp.1272-1276, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
12

アポトーシスのシグナルはカスパーゼファミリーやミトコンドリアを介して伝達されるが,その経路においてreactive oxygen species(ROS)は必須の役割を果たす.一方鉄は,エレクトロンドナーとしてROS産生に関わることで,アポトーシスシグナルを正方向に調節している.アポトーシス細胞死が肝細胞傷害の本態となるC型慢性肝炎では,鉄過剰が病態を増悪させることが明らかとなり,除鉄療法が有効な治療法になることが示されている.
著者
多田 幸雄 数野 秀樹 佐藤 勉 鈴木 則彦 江村 智弘 矢野 伸吾
出版者
情報計算化学生物学会(CBI学会)
雑誌
CBIジャーナル
巻号頁・発行日
vol.17, pp.19-29, 2017

トリフルオロチミジン(TFT)は抗腫瘍活性を有するが、チミジンホスホリラーゼ(TP)により不活性なチミンに容易に代謝されるので、TFT単独では臨床で満足な抗腫瘍活性を示すことができない。ヒトのTP (HTP) はヒトのピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの主な酵素である。従って、TFTの抗腫瘍活性を維持するにはHTP阻害薬を開発する必要があった。ここでは、SBDDとclassical QSARによるHTP阻害薬のドラッグデザインのプロセスを示す。チミンをシード化合物、5-クロロウラシル(3)をリード化合物として選択した。リード化合物(3)のC6位にイミノ基の導入は阻害活性を向上した。結果として5-chloro-6-[1-(2-iminopyrrolidinyl) methyl] uracil hydrochloride (TPI)を臨床試験候補化合物とした。そして、TAS-102(配合モル比 TFT:TPI = 1: 0.5)はトリフルリジン/チピラシル(ロンサーフ)として日本、欧州、米国で転移性直腸がんの治療薬として認可された。
著者
多田 幸雄 数野 秀樹 佐藤 勉 鈴木 則彦 江村 智弘 矢野 伸吾
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.19-29, 2017-03-24 (Released:2017-03-24)
参考文献数
33

トリフルオロチミジン(TFT)は抗腫瘍活性を有するが、チミジンホスホリラーゼ(TP)により不活性なチミンに容易に代謝されるので、TFT単独では臨床で満足な抗腫瘍活性を示すことができない。ヒトのTP (HTP) はヒトのピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの主な酵素である。従って、TFTの抗腫瘍活性を維持するにはHTP阻害薬を開発する必要があった。ここでは、SBDDとclassical QSARによるHTP阻害薬のドラッグデザインのプロセスを示す。チミンをシード化合物、5-クロロウラシル(3)をリード化合物として選択した。リード化合物(3)のC6位にイミノ基の導入は阻害活性を向上した。結果として5-chloro-6-[1-(2-iminopyrrolidinyl) methyl] uracil hydrochloride (TPI)を臨床試験候補化合物とした。そして、TAS-102(配合モル比 TFT:TPI = 1: 0.5)はトリフルリジン/チピラシル(ロンサーフ)として日本、欧州、米国で転移性直腸がんの治療薬として認可された。
著者
佐藤 勉 利野 靖 山田 六平 大島 貴 益田 宗孝
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.197-204, 2012 (Released:2013-05-08)
参考文献数
28

ACTC-GCで切除可能な進行胃癌に対する術後補助化学療法としてS-1が標準治療となったが,層別化解析でStage Ⅲに対する有効性は実証されなかった.そこで,予後不良である大型3型・4型胃癌やbulkyN2胃癌を対象とした術前補助化学療法(Neoadjuvant chemotherapy:NAC)が注目され,第Ⅱ相試験であるJCOG0210でS-1/CDDP療法の有効性が示され,現在第Ⅲ相試験であるJCOG0501が進行中である.しかし,今までNACの有効性の根拠として考えられてきたMAGIC試験やACCORD-07試験が,EORTC-04954試験結果から疑問視されてきている. 本邦における切除不能・進行胃癌に対する標準治療はS-1/CDDP療法とされているが,さらなる治療成績向上のため3剤併用療法のDCS療法の第Ⅱ相試験が報告されている.海外でも3剤併用療法(DCF療法,DXP療法など)の臨床試験結果が報告され,治療成績の向上が期待されている. NACの治療効果を改善するための候補として3剤併用療法の第Ⅱ相試験が数多く計画されているが,JCOG0501の結果を踏まえて2剤と3剤併用療法の良質な第Ⅲ相試験が望まれる.
著者
栗原 英見 佐藤 勉 鴨井 久一 石川 烈 花田 信弘 伊藤 公一 村山 洋二 岩山 幸雄 丹羽 源男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

唾液を用いた歯周病検査の開発について多角的に検討した.侵襲性歯周炎患者においてPorphyromonas gingivalis(P.g)に対するfgA抗体産生がみられ,唾液中の特異的IgA抗体測定によってP.g感染を検出できる可能性を示した.PCR(polymerase chain reaction)法での唾液を使った歯周病原性細胞検査が可能であることを明らかにした.血清とActinobacillus actinomycelemcomltans(A.a)の外膜タンパク(Omp)が強く反応した歯周病患者の唾液を使って,A.aのOmpを抗原としたfgAレベルでのA.a感染の同定を行う有効な手段を示した.Streptococcus-anginasus(S.a)をPCR法で特異的に検出する技術を確立し,上皮組織の抗菌ペプチド(hBD-2)とS.aの関連によって,S.aが病原性を示す際に必要な分子メカニズムの一端を解明した.歯周治療によりインスリン抵抗性や血糖コントロールを改善した糖尿病患者モデルを使うことで,唾液を用いた歯周病検査の開発に利用できることを明らかにした.糖尿病患者の唾液を検体とした生化学検査によって歯周疾患群と歯周疾患なし群とで有意差をは認めず,糖尿病と歯周疾患の関連性を明らかにすることはできなかった.唾液中の好中球のエラスターゼ活性や活性酸素産性能は歯周疾患の病態やリスク判定に有用である可能性を明らかにした.唾液中のMMP-8量の測定から,その活性型の値によって歯周疾患活動性の高い患者を特定できることを明らかにした.健常者に比べ歯周病患者では唾液中の酸化ストレス産物(8-OhdG)が有意に高く,歯周病診断の検査項目として有用なことを明らかにした.歯槽骨代謝マーカーとして有用性の示唆されている硫酸化グリコサミノグリカン(S-GAG)について,唾液での測定を行ったが測定できなかった.