著者
佐藤 幹也 伊藤 智子 谷口 雄大 大森 千尋 金 雪瑩 渡邉 多永子 高橋 秀人 野口 晴子 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.617-624, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
23

目的 介護保険総合データベース(介護DB)の導入により,悉皆的な介護保険研究が可能になった。反面,介護DBでは死亡情報が含まれず他データとの突合も制限されているため,死亡に関する研究は実施困難である。本研究では,統計法に基いて入手した介護保険受給者台帳(受給者台帳)と人口動態統計死亡票(死亡票)を用いて,受給者台帳の受給資格喪失記録を死亡の代理変数として使用することの妥当性を評価した。方法 受給者台帳に記録された受給者情報の月次断面を2007年4月から2017年3月まで累積し,介護度が自立または年齢が65歳未満の者を除外した510,751,798件を研究対象とした。受給者台帳の異動区分コードが終了の場合を受給資格喪失とし,これと死亡票とを確定的マッチング(性別,生年月日,死亡年月日,居住市区町村)で突合できた場合を死亡例として,受給資格喪失の死亡に対する検査特性(感度,特異度,陽性反応的中率,陰性反応的中率)を算出した。結果 受給者台帳510,751,798件中の5,986,991件(1.17%)で受給資格喪失となり,うち5,295,961件の死亡が特定された。受給資格喪失の死亡に対する感度は100%,特異度は99.9%,陽性反応的中率は88.5%,陰性反応的中率は100%だった。陽性反応的中率を層別化すると,2012年以前は85~88%程度,2013年以降は91%前後,男性(91.9%)は女性(85.9%)よりも高く,年齢階級(65-69歳:80.6%,70-74歳:86.7%,75-79歳:86.4%,80-84歳:86.7%,85-89歳:88.0%,90-94歳:90.6%,95歳以上:93.4%)や要介護度(要支援1・2含む要支援:72.2%,要介護1:79.7%,要介護2:85.9%,要介護3:89.3%,要介護4:92.3%,要介護5:94.0%)とともに上昇した。結論 受給資格喪失を死亡の代理変数として用いると偽陽性が1割程度発生するため,受給資格喪失を死亡率そのものの推計に用いるのは適切ではない。しかし曝露因子間の交絡の影響や曝露因子の死亡への効果が過小評価される可能性があることに留意すれば,受給資格喪失を死亡の代理変数としてアウトカムに用いることは許容できると考えられた。
著者
佐藤 幹夫 前川 竜男 奥田 義久
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.959-971, 1996-11
参考文献数
74
被引用文献数
19
著者
佐藤 幹也 田宮 菜奈子 伊藤 智子 高橋 秀人 野口 晴子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.287-294, 2019-06-15 (Released:2019-06-21)
参考文献数
22

目的 全国の介護報酬明細個票(介護保険レセプト)から介護サービス利用額を利用時間に換算し,在宅要介護者のフォーマルケア時間を要介護度別に推計して在宅介護の公平性を検討した。方法 調査対象は2013年6月に介護保険在宅介護サービス(居宅系サービスと通所系サービスを合わせた狭義の在宅介護サービス,および短期入所サービスに細分化)を利用した全国の65歳以上の要介護者(要介護1-5)2,188,397人である。介護報酬の算定要件に基づいて介護保険サービスのサービス項目ごとにケア時間を設定し,利用者ごとに1か月間の利用実績を合算して得られたケア時間を30で除したものを1日当たりのフォーマルケア時間として,これを男女別に層化した上で要介護度別に集計した。結果 居宅系サービスと通所系介護サービスの狭義の在宅介護サービスおよび短期入所サービスを合算した1日当たりの総フォーマルケア時間は,要介護1で男性97.4分と女性112.7分,要介護2で118.3分と149.1分,要介護3で186.9分と246.4分,要介護4で215.2分と273.2分,要介護5で213.1分と261.4分であった。短期入所サービスのフォーマルケア時間は要介護度とともに増加したが,短期入所を除いた狭義の在宅介護サービスのフォーマルケア時間は要介護3で頭打ちとなり要介護4-5ではむしろ減少した。狭義の在宅サービスをさらに居宅系介護サービスと通所系介護サービスに細分化すると,前者は要介護度に応じて増加したが,後者は要介護3で頭打ちとなっていた。結論 在宅介護サービスの利用量を時間の観点から評価した本研究の結果からは,介護ニーズが増大する要介護4-5の在宅要介護者でむしろフォーマルケアの供給が減少しており,介護保険制度によるフォーマルケアは必ずしも介護ニーズに対して公平ではないことが分かった。在宅介護の公平性を保ちつつ介護保険制度の持続可能性を高めるためには,高要介護度者に対して時間的効率性の高い在宅介護サービスを推進するなどして高要介護度者のフォーマルケア時間を増加させるような施策を推進する必要があると考えられた。
著者
佐藤 幹晃
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1675-1684, 2004
被引用文献数
3

板紙の最近の傾向は,軽量化と高付加価値化,美粧化といわれている。すなわち,以前から重視されてきた強度に関する品質はもとより,印刷用紙に匹敵するような高い印刷適性も要求されてきている。したがって,板紙用ヘッドボックスにおいても,印刷・情報用紙用ヘッドボックスと同様の性能が求められているのが現実である。我がフォイトグループでは,以前から紙種を問わず高品質のヘッドボックスを供給してきた。同時に,ハイタービュレンスW型ヘッドボックスとモジュールジェット濃度コントロールシステムという高い信頼を得てきた技術をもとに,新たにマスタージェットヘッドボックスと呼称する高品質なヘッドボックスを開発してきた。その一方で,最小の生産コストで最大の生産性を確保する命題のもと,経済的にも優位なヘッドボックスの開発にも取り組んでいる。
著者
藤田 善弘 大中 慎一 高野 陽介 船田 純一 岩沢 透 西沢 俊広 佐藤 幹 長田 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.302, pp.23-28, 2005-09-22
被引用文献数
1

研究試作ロボットPaPeRoをベースとして、保育所や幼稚園で利用できることを目指して各種機能やコンテンツを拡張したチャイルドケアロボットPaPeRoを開発し、2005年3月25日から9月25日の6ヶ月間、愛知万博内のロボットステーションにて、技術実証運用を実施した。本稿では、その概要を紹介する。
著者
植松 齊 佐藤 幹夫 久保井 榮 池田 勇治 新部 昭夫 大坪 孝之 舛水 康彦 URIU Kiyoto
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.185-192, 1997-07-31
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

本研究は日本産及び米国カリフォルニア産のニホンナシ'二十世紀'について果実品質の比較をしたものである。果実のサンプルはカリフォルニアではフレズノ及びサクラメントより, 日本は鳥取及び長野より各々市場に流通している標準的な大きさの果実を材料とした。<BR>1. 生育期間中の気象条件について, 米国カリフォルニアの最高気温及び平均気温は日本より高かったが, カリフォルニアの最低気温は日本より低い値であった。日本の降雨量はカリフォルニアより高く, 月平均約100-150mmの値を示した。カリフォルニアは生育期間中にはほとんど降雨がみられなかった。日本の湿度はカリフォルニアより高く, 日照量についてみるとカリフォルニアは日本より高い値であった。<BR>2. 日本産とカリフォルニア産果実はほぼ標準的なサイズをサンプリングするよう努力した。日本の階級区分で, カリフォルニア産果実はL, 日本産果実は2Lクラスであった。これらのことから日本産果実は果実重, 縦径及び横径とも僅かにカリフォルニア産果実より高い値であった。D/L値 (果形指数) は日本の値が僅かに高く, 僅かに平たい果実であった。果皮色は日本及びカリフォルニアには差がみられたが, 各々の地域をみると一定の傾向はみられなかった。米国産果実の果肉硬度は日本産果実より著しく高く (フレスノ : 5.55, サクラメント : 4.98, 鳥取 : 2.21及び長野 : 3.00kg/cm<SUP>2</SUP>), で硬度が高くなると著しく搾汁率が低下する傾向がみられた。日本産果実の搾汁率は高い値を示したが, 硬度及び搾汁率に顕著な相関関係は認められなかった。<BR>3. 米国産果実のシュークロース濃度は日本産果実より著しく高い値を (フレスノ : 5.54, サクラメント : 6.42, 鳥取 : 3.05及び長野 : 2.649/m<I>l</I>) 示し, さらにソルビトールも高い値を示した。カリフォルニアの昼夜間の温度較差, 日照量, 降水量など気象条件がシュークロース及びソルビトール集積に影響したものと思われる。グルコース及びフラクトースには顕著な差は認められなかった。<BR>4. 日本産果実のクエン酸濃度は米国より高く, また逆にカリフォルニア産果実のリンゴ酸濃度は日本産果実より高い値を示した。しかし全酸濃度には差は認められなかった。

1 0 0 0 OA 飼料学(102)

著者
佐藤 幹 石黒 瑛一 石橋 晃
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 = Animal-husbandry (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.917-922, 2013-09 (Released:2014-03-06)
著者
佐藤 幹哉
出版者
川崎市青少年科学館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

ほうおう座流星群は、過去1956年に一度だけ大出現を記録した流星群である。研究代表者らは、ダスト・トレイルモデルでこの出現を解明し、そして2014年12月に再度出現する可能性を見出していた。本研究の目的は、2014年に予報通りの出現があるかどうかを観測すること、またその出現状況から、ダストが放出された20世紀初頭における母天体のブランペイン彗星(289P/Blanpain)の彗星活動度を推測することである。流星群は、2014年12月2日0時(世界時)の出現ピークが予測されたため、この観測条件と治安や気象条件などを考慮し、スペインのラ・パルマ島で観測することとした。観測方法は、流星群の活動度の測定のために、世界的な標準方法での眼視計数観測と、高感度ビデオ撮像による流星数観測の2種類を実施した。悪天候により島内南部に移動したため、極大時刻を過ぎてからの短時間の観測となったが、ほうおう座流星群の検出に成功した。眼視観測による流星数は、最大で12月2日0時45分~1時15分に6個を記録した。これは、ZHR(天頂修正1時間流星数)で31.4±11.9の規模であった。一方でビデオでは流星を捉えることができなかった。これは写野範囲が眼視観測より若干狭いこと、眼視観測よりも明るい流星までしか撮像できないこと、予定通りの観測継続時間を確保できなかったことが原因だと考えられた。眼視観測による出現規模から、ダストが放出された20世紀初頭の母天体の彗星活動度は、発見当初の1819年に対して約24.4%に減少していたことが推測された。これは、標準等級(H10)に換算すると、母天体が約1.6等級減光していたことに相当する。母天体は1820年から2003年まで見失われていたが、本研究の結果から、20世紀初頭の年代の母天体が、徐々に彗星活動を低下させていたことが推測された。観測結果は、研究代表者が勤務する川崎市青少年科学館にて報告会(2015年1月10日)を実施し、市民に速報した。また研究成果については、日本天文学会春季年会(2015年3月18日)にて発表した。なお、今回のほうおう座流星群については、ブラジル、アメリカ、カナダなど世界規模で検出の観測が行われたため、それぞれの成果を共有した上で論文に投稿する予定である。
著者
佐藤 幹雄 佐藤 理夫 尾形 宏樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.245, 2011 (Released:2011-11-07)

福島市の南東地区にある農地で放射線除去の実験を行った。この農地は1年間休耕地だったものだ。実験が進むにつれ放射能の実態が少しづつ明らかになるとともに放射能の手に負いにくさも明らかになる。放射能をできるだけ動かさない形を選んだが、早い結論には表面5cm程度をひき剥がすのが確実のようだ。
著者
佐藤 理夫 武田 栄輝 佐藤 幹雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.121, 2011 (Released:2011-11-07)

福島第一原子力発電所の事故により、福島県の広い地域に放射性物質が降り注いでしまっている。家畜排せつ物を堆肥化して農地に返す有機資源循環が止まらないよう、阿武隈川流域にある2か所のたい肥生産施設の放射線量を緊急調査した。7月時点では、排せつ物や堆肥の放射性物質量は周辺土壌よりも少なく、農地散布に問題ないと思われた。秋以降に収穫される稲わらやもみ殻の放射性物質量に注意が必要である。有機資源循環を意識した放射性物質のモニタリング、汚染されたワラや牧草を適切に処理する施設の建設、放射性物質が濃縮される残渣の処分方法の確立が、急務である。