著者
森村 豊 千葉 聖子 荒木 由佳理 塚原 孝 佐藤 美賀子 柴田 眞一 古川 茂宣 添田 周 渡辺 尚文 藤森 敬也
出版者
The Japanese Society of Clinical Cytology
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.330-334, 2013-07-22
参考文献数
16
被引用文献数
1

<b>目的</b> : ベセスダ方式の導入で, 標本の適正・不適正が評価されるようになった. 不適正標本の減少のため, 検体採取医にみずからの不適正発生率を通知し, 改善効果を検討した.<br><b>方法</b> : 福島県内の子宮頸がん集団検診で, 施設検診を行った 114 施設に, 2009 年 4 月∼2010 年 3 月の各施設の不適正率を報告した. 次いで 2010 年 4 月∼2011 年 3 月の 114 施設の不適正率の推移を比較した.<br><b>成績</b> : 2009 年 4 月∼2010 年 3 月の不適正率は 51,863 件中 3,529 件, 6.8%であったが, 2010 年 4 月∼2011 年 3 月は 56,162 件中 1,875 件, 3.3%で有意に減少した.<br>不適正標本が有意に減少した施設は 54 (47.4%), 有意ではないが減少した施設は 42 (36.8%) であった.<br>改善施設では, 一部は綿棒採取をやめたことで, 不適正検体が著しく減少した施設もあったが, 従来からスパーテル, ブラシ採取であった施設でも多くで改善がみられた.<br><b>結論</b> : 施設ごとの不適正発生率を報告することで, 検体採取医が採取器具を変更したり, 検体採取時に留意を促すことで, 不適正標本の減少が期待できる.
著者
高﨑 宏寿 黒須 啓如 佐久間 光 澤登 悠 粕川 峻比古 佐藤 将
雑誌
玉川大学農学部研究教育紀要 (ISSN:24322164)
巻号頁・発行日
no.1, pp.43-51, 2016-09-01

多摩丘陵の一角に位置する玉川学園構内は緑が多く里山としての機能も有している。この様な環境の中で数種の哺乳動物の目撃が報告されているがその実態は明らかにされていない。本調査は赤外線自動カメラを使用し、それらの哺乳動物の出現様式を調査した。その結果、生息している主な哺乳動物はホンドタヌキ・ハクビシン・アライグマおよびノラネコであった。ホンドタヌキは調査期間中毎月出現し、ハクビシン・アライグマは8月から11月にかけて出現した。ホンドタヌキの出現時間帯は夜間が最も多いが、人の出入りの少ない個所では日中でも確認された。ハクビシン・アライグマは夜間のみ確認されたが、ホンドタヌキがみせた2回の出現ピークとはズレがあった。 これらのことから、学園内の野生哺乳動物の3種は日中、人間とは極力出会わないように活動し、また、3種間においてもあまり接触しないように行動することで人間も含め互いに共存を図りながら生息していることが明らかになった。
著者
佐藤 浩昭 中村 清香
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.281-291, 2018-05-05 (Released:2018-06-07)
参考文献数
14
被引用文献数
4

MALDI-TOF-MSは高分子材料の化学構造解析に有力な手法であるが,ポリエチレンオキシド(PEO)系界面活性剤などのイオン化効率が高い成分が共存していると目的成分のピークが観測されにくくなるという課題があった.そこで水に難溶のトリヒドロキシアセトフェノンをマトリックスに用いて試料/マトリックス混合結晶を調製し,その上に水/メタノール混合液を滴下して速やかに吸引することにより,PEO系成分を選択的に除去できる簡便な前処理法を開発した.この方法を洗髪剤の成分分析に応用し,妨害成分であるPEO系アニオン性界面活性剤(ラウレス硫酸ナトリウム)を除去して,配合成分のピークが観測できるようになった.得られたマススペクトルをKendrick mass defect(KMD)プロットに変換して成分分布を二次元展開したところ,様々なPEO系非イオン性界面活性剤の組成分布やPEO-水添ヒマシ油の共重合組成分布を明らかにすることができた.また,紫外線硬化塗料に含まれるPEO系界面活性剤を除去して,ウレタンアクリル系成分の化学構造情報を得ることができた.本法は,工業製品の配合情報を簡便かつ詳細に得ることができるスクリーニング手法として有効であると思われる.
著者
小島 仁志 佐藤 綾香 金澤 朋子 小谷 幸司 島田 正文
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.719-722, 2017
被引用文献数
1

<p>The objective of this study was to evaluate observer's impressions of roost containing behavior and to assess the effectiveness of awareness efforts regarding the conservation of the barn swallow (<i>Hirundo rustica</i>), which is endangered in Japan. In Kanagawa Prefecture retarding park, a group of observers habitually meets to observe the roost containing of the barn swallow, and a questionnaire was administered to 97 participants recruited from this group. Analysis using the semantic differential method revealed the impressions of swallow roost containing to be as follows: 1) There was a high tendency to have a positive impression with or without observation experience. 2) There was a tendency to feel the beauty, a sense of oneness with nature and the life force. The questionnaire description had many comments that awareness regarding swallow conservation has improved, and that observation of the roost containing educates the public about the environment. Observation of the visual scene created by the roost containing the swallows was found to contribute to improving awareness regarding the conservation of swallows in Kanagawa Prefecture.</p>
著者
佐藤 雅彦
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.317-325, 2004-07-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
73
被引用文献数
4 3

In many research groups including our laboratory, metallothionein (MT)-I/II null mice have been used to clarify the biological function and physiological role of MT. Recent studies with MT-I/II null mice concerning the role of MT in the toxicity and distribution of metal, oxidative stress and chemical carcinogenesis were reviewed. Some reports, including our findings, showed that MT-I/II null mice have an increased sensitivity to harmful metals such as cadmium, mercury, zinc and arsenic. Moreover, it was clarified using MT-I/II null mice that MT plays a major role in the retention of cadmium, mercury and zinc in target tissues. MT-I/II null mice were found to be much more sensitive than wild-type mice to the toxicity caused by free radical-inducing factors, which include paraquat, acetaminophen, ethanol, X-ray, ultraviolet B, carbon tetrachloride, cisplatin, doxorubicin, cerulein and streptozotocin. In addition, MT-I/II null mice were highly susceptible to skin carcinogenesis induced by 7, 12-dimethylbenz[a]anthracene and bladder carcinogenesis caused by N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine. These results suggest that MT is an important protective factor against metal toxicity, oxidative stress and chemical carcinogenesis.
著者
佐藤 建
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.74-81, 2011-07-23 (Released:2017-07-21)

寄席に行って笑う場合、面白いネタで笑うのは、そのネタは笑いの十分条件である。一方、寄席に行く事自身が必要条件となる。即ち第3者的立場に自身を置く事が笑いの必要条件である。スポーツは一見笑いとは無関係に思えるが、笑いの必要十分条件を見て取り易い観察対象である事が知れる。選手が懸命に生を生きている瞬間は、即ちイン・プレー時には笑いは見られないが、自分を客感的に見ている瞬間のオフ・プレー時に笑いが見られる事が観察できる。これら両瞬間の時間的推移も考慮して、スポーツを例にして笑いの一般的な必要十分条件を整理して論じた。
著者
大村 省吾 佐藤 友美子 田中 惠子
出版者
婦人之友社
雑誌
婦人之友
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.15-27, 2008-04
著者
佐藤 友美子
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.5-14, 2007

企業の一部署である次世代研究所の研究スタンスは、これまでの常識に囚われずに生活者の実態に迫ることであり、世代研究もその延長線上にある。目的は世代にラベルを貼ることではなく、理解を深めることにあり、学問的な意味を追求するものではない。若い世代に関する調査においてもスタンスは同様であり、豊かさと情報化が急激に実現したことにより、上の世代からは理解し難い若い世代の実感に迫り、世代間に生じているギャップの解消に役立つことを目指して取り組んでいる。働き方や情報という特に若い人に特有の傾向がでていると思われる事象について、ライフヒストリー全体を聞き取るデプスインタビューや若者たち自身の言葉で語るワークショップという新しい形で調査を実施している。働き方に関しては、サラリーマン層の「好きなことを仕事にできなかった」という気持ちの重さやそれ故の迷いや悩みを明らかにし、新たな出発への道筋を探った。また、情報活動に関しては、若者たち自身の言葉によって、使っている情報メディアの意味や重要度、またコミュニケーションにおける課題等を探った。大きな環境の変化は若い世代に新しい価値観をもたらし、大人世代の理解を困難にしている状況がある。しかし、今後の社会を考える時、新しいライフスタイルや価値観を知ることは大人世代にとっても不可欠であり、世代研究はそのきっかけとして有効である。