著者
倉阪 英恵
出版者
奈良大学大学院
雑誌
奈良大学大学院研究年報 (ISSN:13420453)
巻号頁・発行日
no.8, pp.94-98, 2003-03

シストルムは、楽器分類法において体鳴楽器の棒繋式ラットルに属する。古代エジプトでは、主に儀式用の楽器として古くから用いられ、王朝時代を通して変遷しながらも絶えず続いた。現在でもエチオピアのギリシア正教会で用いられている。他の楽器と比べてこんなに長く続いたのは、シストルムのみである。そこで、総合的(考古学・美術学・言語学)にシストルムの変遷や地域性を分析し王や女性神官との関係、用い方で長く存在した理由を明らかにするのが目的である。しかし、研究するにあたり問題が生じる。遺物が発見された際、コレクションとして持ち去られたためどこから出土したのかわからないのがほとんどである。今後の発掘で出土地や出土状況が詳細となり、考古学的な視点での研究がより明確になることを期待する。
著者
庄司 一郎 倉沢 文夫 安立 清一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.666-671, 1979

米菓を製造するときの蒸煮条件および冷却条件と米菓の品質や生地の糊化, 老化との関係をおもにアミログラム, 焼き上げ生地容積, 硬度等で検討し, 次の結果を得た.<BR>1) 焼き上げ生地の品質を容積, 硬度から検討した結果では, 蒸煮条件においては110℃蒸煮は99℃蒸煮よりも容積が大で, 軟らかな焼き上げ生地が得られた.また110℃に蒸煮した生地を冷却した場合では凍結, 流水中冷却の品質がよく, 室温, 冷蔵庫冷却はよくなかった.そして冷却時間では15分冷却がよく, 24時間冷却すると品質が低下した.<BR>2) 蒸煮および冷却後脱水乾燥生地のアミログラムからは蒸煮条件においては110℃, 10分以上蒸煮すると初発粘度が高い値を示し, 粘度上昇はみられず, たんに温度変化とともに粘度が多少変化するのみで未糊化生地と考えられるピークはみられず糊化されていることが明らかとなった.99℃は20分蒸煮しても初発粘度が低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられ糊化は完全には行われていなかった.<BR>蒸煮後冷却条件を検討した結果, いずれの冷却方法においても110℃蒸煮にみられたような一直線の曲線はみられなかったが, 凍結, 流水中冷却は初発粘度が高い値を示し, 室温冷却は低い値を示した.冷却時間では15分に比して24時間はいずれの冷却方法とも各特性値が低い値を示す傾向がみられた.<BR>3) 以上のように米菓の品質は蒸煮条件では糊化が完全に行われた110℃蒸煮のほうが糊化が不十分な99℃蒸煮よりも品質がすぐれており, アミログラムとの関係では品質の良い生地は初発粘度が高く, 未糊化生地と考えられるピークはみられないが, 品質の良くない生地は初発粘度低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられた.一方冷却条件では凍結, 流水中冷却の品質が良く, 室温, 冷蔵庫冷却は品質がよくなかった.そして品質の良い生地は初発粘度が高く, 良くない生地は逆に低い値を示した.最高粘度, 冷却最終粘度においてもだいたい同様な傾向を示した.
著者
大倉 正雄
出版者
拓殖大学政治経済研究所
雑誌
政治・経済・法律研究 = Politics, economics and law (ISSN:13446630)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-26, 2019-03

ウィリアム・ペティ(Sir William Petty, 1623-87)の主著『政治算術』(Political Arithmetick)は,名誉革命後の1690年に遺著として刊行された。その頃隣国フランスでは,ルイ一四世の財務総監J・B・コルベールによる経済政策の推進によって,国力・経済力が著しく強力されていた。この著書は,イギリスのライバル国における,このような目覚ましい躍進を目の当たりにして執着された。本書の根底には,隣国の急速な台頭に対する脅威の念が,潜んでいる。その課題は,三大強国オランダ・フランス・イギリスの国力・経済力を分析把握することである。ここでは,ペティが自ら考案した政治算術を駆使して,そのような国力・経済力の分析把握が試みられている。第1・第3章では,オランダ・フランスの国力・経済力に対する比較分析がおこなわれている。フランスは大国である割には,小国オランダと比較して国力・経済力が小さい。そのような命題が掲げられている。算術的分析にもとづいて,その命題が真であることを論証する作業がおこなわれている。しかしながら,その分析の展開の仕方には議論の余地がある。そこで採用された分析的枠組みは,妥当ではない。そのために,この算術的分析は当の命題が真であることを,十分には論証していない。
著者
小倉 博代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.323-325, 1974-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

蓋をしないで解放の状態で加熱を行なう時はVB1の大気中への逸散が大きく, 残存率はとくに少なくなることが認められた.このことは蒸気とともに大気中に逸散されるためであると推定される.大気中への逸散を防ぐため蒸留装置を用いて加熱した場合でも還流冷却器をつけた場合でも, 加熱中に若干はVB1の臭いがすること, また実験はpHをVB1が安定である酸性に保ちながら行なったためにVB1の破壊によって残存率が少なくなったとは考えられないからである.今まではVB1の損失についてはpHが高くアルカリ性であればVB1が破壊されるため, 酸性または中性でやらなければならないとか, 加熱温度が高い (140℃以上) 場合は分解するとかに注意をはらってきた.この実験からもわかるように蒸気とともに大気中に逸散される量も非常に大きいので調理においては充分注意されねばならない.実際の調理にあたっては, pH, 温度に注意することは勿論であるが, 大気中への逸散も考慮して加熱時には必ず蓋をするとか, 食品を焼く場合はアルミニウムの箔で包んでやるとかしなければならぬし, 加熱時間もできるだけ少ない方が良いと思われる.
著者
岡田 龍司 村本 辰寛 徳安 秀正 岡崎 祐史 穴井 隆将 倉賀野 哲造
出版者
近畿大学教養・外国語教育センター
雑誌
近畿大学教養・外国語教育センター紀要. 一般教養編 = Kinki university center for liberal arts and foreign language education journal. Liberal arts edition (ISSN:24322814)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-21, 2016-03-31

“Uchi-mata” difference was discovered by using available motion pictures.The motion pictures were disassembled into frame data called AVI,which is a file format for storing audio and video information developed by Microsoft Corp.The motions performed by participants while using Judo standin “ Uchimata” were analyzed using a software system based on “Open CV”,which is an open source library for computer vision and image processing developed by Intel Corp.The positions of parts of the body were indicated manually on to the AVI pictures based on the “frame by frame playback” technique, then put into a computer. The compensation of pixel values to the real space size was performed by using the known length of the“ tatami” in the AVI picture.By repeating these,the positions of the body were traced corresponding to the frame rate.The compensated positional data of the body was gathered and then disassembled into x direction-time data and y direction-time data to calculate velocity. In this manner,the velocity of the specified body parts of the thrown opponent were calculated.The subjects selected were two leading Judo men.When he threw his opponent down,his motion of his stand technique of“ Uchi-mata” was analyzed.This is a case study of motion analysis of Judo using available motion pictures.We have given an example of an analysis method for Judo from an engineering point of view.
著者
岡田 龍司 村元 辰寛 徳安 秀正 岡崎 祐史 穴井 隆将 倉賀野 哲造
出版者
近畿大学教養・外国語教育センター
雑誌
教養・外国語教育センター紀要. 一般教養編 Kinki University, Center for Liberal Arts and Foreign Language Education journal (ISSN:24322814)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-21, 2016

"Uchi-mata" difference was discovered by using available motion pictures.The motion pictures were disassembled into frame data called AVI,which is a file format for storing audio and video information developed by Microsoft Corp.The motions performed by participants while using Judo standin " Uchimata" were analyzed using a software system based on "Open CV",which is an open source library for computer vision and image processing developed by Intel Corp.The positions of parts of the body were indicated manually on to the AVI pictures based on the "frame by frame playback" technique, then put into a computer. The compensation of pixel values to the real space size was performed by using the known length of the" tatami" in the AVI picture.By repeating these,the positions of the body were traced corresponding to the frame rate.The compensated positional data of the body was gathered and then disassembled into x direction-time data and y direction-time data to calculate velocity. In this manner,the velocity of the specified body parts of the thrown opponent were calculated.The subjects selected were two leading Judo men.When he threw his opponent down,his motion of his stand technique of" Uchi-mata" was analyzed.This is a case study of motion analysis of Judo using available motion pictures.We have given an example of an analysis method for Judo from an engineering point of view.

1 0 0 0 OA 1.抗HIV薬

著者
藤倉 雄二 川名 明彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.1574-1582, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
15

抗HIV薬の進歩は著しいものがあり,これまで抗HIV効果に加え,副作用の軽減,服薬しやすさが追及されてきた.このことにより治療の選択肢が拡がっている.本稿では概ね日本で2005年以降に承認された比較的新しい抗HIV薬に関する知見と,最近の診療ガイドラインの中におけるこれらの位置付けをまとめた.また,新しい機序の抗HIV薬であるインテグラーゼ阻害薬(ラルテグラビル)やCCR5阻害薬(マラビロク)についても言及した.
著者
佐藤 静江 藤木 弘美 釘宮 千鶴 倉本 恵子 林 直見
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.210, 2017

はじめに 中途障害児のA氏の母は、異常に気付くのが遅れたことなどで児への自責の念をもっており、泣く・手の振戦・幻覚などの不安症状が見られていた。しかし、不安症状がある中でも家に連れて帰りたいという思いで、医療ケアを習得し外泊することができ、母の不安症状も徐々に軽減していった。 そこで今回、これまでの支援を振り返り、障害受容過程を考察する機会を得たので報告する。 対象 急性脳症後遺症で自発呼吸のないA氏7歳の母。倫理的配慮として、当施設の倫理委員会の承認を得た。 経過 発症3カ月後に入所となり、発症4カ月までは、泣くことも多く「私のせいです」と自分を責める状態であった。反面、「いろいろ教えてほしい」という思いに対し、日常的ケアを一緒に行い、母の言動には聞く姿勢で向き合った。発症5カ月には、抱っこの希望を叶え、本の読み聞かせや手浴など、自ら行うようになっていた。 発症7〜10カ月、笑顔が見られるようになったが話していると泣くこともあった。家に帰りたいという思いを確認し、医療ケアを指導していった。その後も、散歩や行事参加の希望に答えた。 発症15カ月には医療ケアを習得し、外出で自宅に帰ることが出来た。また、同室者の母と楽しそうに話をし、泣くこともなくなっていた。 発症27カ月には念願の外泊ができ「一緒に過ごせたのでよかった」と話した。 考察 入所後、早い段階での前向きな発言から、入所を機に母の心情に変化があったといえた。また、母の思いを聞きケアを一緒に行い、希望が叶っていく中で母の様子も変化していった。母の変化はドロータ−の障害受容の段階説でいう、ショックから徐々に適応に移っていったといえた。ケアを行い、思いが叶うことで、母としてできる子育てを実感し、障害受容の過程を進める契機となったと考えられた。障害受容過程において支援者は、会話を重ね、母の思いを傾聴し、希望に沿った支援を行うことが大切であると考えた。
著者
本郷 和久 倉本 崇 松澤 純子 山谷 美和 宮森 加甫子 本間 一正
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.186, 2017

はじめに 重症心身障害児者では、嚥下障害による誤嚥性肺炎や無気肺の合併症予防のため、日常的に排痰が必要なことが多い。排痰方法には、姿勢管理(腹臥位)、スクイージング、吸入、IPV、MI−E、NIPPV、体外式人工呼吸器療法(BCV療法)などがあるが、BCV療法は、IPVやMI−Eに比べ、肺損傷のリスクが低く、かつ受け入れの容易さから、注目されている。 対象と方法 大島分類1に相当する重症心身障害8例(5歳から35歳)。全例が、経管栄養(胃瘻7例、経鼻1例)であり、内2例は、経口摂取も併用。BCV療法の在宅導入例は5例、残りの3例は、短期入所時や外来理学療法時にのみ施行。 BCV療法は、HRTXを用い、腹臥位で施行。コントロールモード30分後に、バイブレーションモードによる排痰を25分間施行。 BCV療法導入前後での、1)呼吸症状の変化、2)画像所見の変化、3)在宅導入の際の問題点について検討した。 結果 BCV療法導入後も誤嚥性肺炎を繰り返した例もあったが、全例で発熱の頻度が減少し、喘鳴、吸痰回数の頻度も低下し、QOLは向上した。腹臥位姿勢にするための人手の確保や、BCV療法のための時間確保が、在宅生活の負担になるとの意見もあったが、おおむね、受け入れは良好であった。 考察 BCV療法は、無気肺の治療や予防には有効であり、重症心身障害の在宅生活を支える上で、有効なケアを提供するツールであると思われた。
著者
小倉 清子
出版者
京都大学地域研究統合情報センター
雑誌
地域研究 (ISSN:24337358)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.83-101, 2015-04-30

第I部: 暴力が壊す社会、生み出す絆
著者
松倉 大樹 奥山 みなみ 内倉 健造 山田 未知 片桐 成二 森好 政晴
出版者
公益社団法人 日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第108回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.OR1-9, 2015 (Released:2015-09-15)

【目的】豚の精漿には,子宮や精子の機能調節作用を持つ様々な蛋白質が含まれている。その機能を解析するためには蛋白質組成を知る必要があるが,品種や個体間でその蛋白質組成を比較した報告はほとんどない。そこで本研究では,異なる品種および個体から複数日に渡り精液を採取し,その蛋白質組成を調べた。【方法】精漿は大ヨークシャー種(以下W: n=2), ランドレース種(以下L: n=2)およびデュロック種(以下D: n=4)の3品種と交雑種(以下WLDD: n=1)の計9頭から用手法により採取した精液から分離した。9頭中4頭(W: n=1,D: n=2,WLDD: n=1)からは日をおき複数回(W: 4回,D: 3回, 4回,WLDD: 5回)にわたり精液を採取し精漿蛋白質組成を比較した。精漿蛋白質はSDS-PAGEにて分離し,各蛋白質の分子量および全精漿蛋白質に対する百分比を算出した。【結果】5-180kDaの範囲内では最大19本の分子量の異なるバンドが検出され,組成の約20%を180kDa以上の高分子量蛋白質が占め,約60%を19kDa以下の低分子量蛋白質群が占めていた。19本のうち全個体に共通して見られたバンドは6本であった。その推定される分子量,組成比および組成比のCV値は119.2–122.9kDa,2.3±1.0%, 43%; 96.8–101.4kDa,1.3±0.56%, 43%; 73.3–77.3kDa, 5.8±1.6%, 27%; 61.6–65.3kDa, 7.8±2.3%, 30%; 10.4–11.8kDa,34.7±4.0%, 11.6%; 8.2–9.7kDa, 18.9±3.3%, 17.3%であり(平均±SD),その組成比は個体間でばらつきがあることがわかった。残りの13バンドはその有無が品種で共通のものではなく個体による差が認められた(1–3個体に共通:5本,4–6個体に共通:4本,7–8個体に共通:4本)。採精日間においては,CV値が50%以上のバンドが,Dの1個体で1本(34.0–37.0kDa),Wで1本(61.6–65.3kDa),WLDDで1本(34.0–37.0kDa)あり,CV値はそれぞれ,53%,51%, 56%となった。以上より,個体および採精日によって精漿蛋白質組成比に違いが認められたため,今後はさらに個体数および採精回数を増やして検討する予定である。
著者
隈本 力 倉橋 康則 仁和 浩貴 中西 保貴 小澤 りえ 奥村 公一 石田 善敬 篠原 尚
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.49-52, 2018-10-22

●point●幽門下領域の解剖学的特性を理解する.●切除すべき間膜の脂肪と温存すべき間膜内構成成分(膵や血管)との間に存在する疎性結合組織の層,いわゆる剝離可能層(dissectable layer)を見極める.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2023年10月末まで)。