著者
南 宏典 佐藤 健二 乾 重樹 前田 知子 田口 博康
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.440-447, 1996 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

12歳以上のアトピー性皮膚炎患者でステロイド外用剤を中止したいと希望した28例と, すでにステロイド外用剤を中止してそれ以外の外用剤を用いているが皮疹が軽快しない4例を対象とし, ステロイド外用剤離脱後も紅斑が持続する場合は全外用剤を中止し, 内服, 入浴指導, ガーゼ保護など種々の治療を加えた。ステロイド外用剤を中止すると皮疹は増悪し, 平均7日後に最悪となるが, その後軽快した。さらに全外用剤を中止すると再び増悪して平均5日後に最悪となるが, 以後軽快に向かい平均6週間後に皮疹の面積は中止前の2割程度となった。またこのときの皮膚症状は古典的成人アトピー性皮膚炎に特徴的な乾燥性のものである。外用剤中止と外用以外の種々の治療を行った結果ほぼ全例が外用剤なしですごせるようになったことから, 現在問題とされているいわゆる成人型アトピー性皮膚炎の病変にはステロイドおよびその他の外用剤の影響が含まれていると推測された。
著者
田附 裕子 前田 貢作 和佐 勝史 飯干 泰彦 藤元 治朗
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.929-934, 2010 (Released:2010-08-25)
参考文献数
29
被引用文献数
2

小児外科外来では、ヒルシュスプルング病・類縁疾患などとの鑑別を含め慢性便秘症の症例に多く遭遇する。基礎疾患が除外された慢性便秘症の多くは生活習慣による機能性便秘であり、排便習慣が確立するまでの根気強いフォローが必要となる。近年、予防医学の観点からプロバイオティクスの効果が報告されている。小児の慢性便秘に対してもプロバイオティクスの臨床的な投与効果が期待される。
著者
前田 久美子 佐藤 美保子
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.41, pp.147-161, 2020

本稿では、2 年間2名の非常勤講師がインテリアデザイン教育を本学129 教室と図書館においてクリスマスディスプレイをテーマに、プロジェクト学習として取り組み考察している。その結果、実践的な学習であるアクティブラーニングが学習活動の意欲やコミュニケーション能力の発達に効果をもたらすと考えられた。今後のインテリアデザイン教育の授業運営と研究について、継続的に考察することとする。
著者
片岡 裕雄 中村 明生 井上 中順 前田 英作
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

2010年代になり画像認識の精度が飛躍的に向上したことで「自然画像とは何だろうか?」そして「その画像カテゴリとは?」という問いがより重要になっている。本研究課題では自然の形成原理に即し能動的に生成した画像パターンとその画像カテゴリを教師ラベルとした機械学習方法を網羅的に探索することで両者の問いに迫る。さらに、従来の画像認識で問題とされていた人手による膨大な画像ダウンロードや画像カテゴリ付与が不要であるだけでなく、個人情報保護法や著作権法などに依らず大規模画像データベースを構築可能である。
著者
中澤 肇 木村 和久 前田 秀彦
出版者
日本言語聴覚士協会
巻号頁・発行日
pp.66-76, 2021-03-15

【はじめに】言語聴覚士は,住民運営の通いの場などで地域支援を行っているが,聴覚に関しては講話にとどまっている現状がある.今回,タブレットオージオメータを用いて,施設内で簡易に難聴のスクリーニングを行い,必要な支援につなげられるかを検討した.【方法】研究1)当院で言語聴覚療法を受けていた7名を対象に,防音室内での聴力検査結果と病室でのタブレットオージオメータの聴力検査結果を比較した.研究2)高齢者サークルで支援の要望があった21名を対象に,タブレットオージオメータでの聴力検査と事後アンケートを実施・分析した.【結果】研究1)両条件下での聴力検査結果に強い正の相関(r=.91〜97)がみられた.研究2)軽度以上と判定された難聴者が76%であり,このうちの21%はアンケートより耳鼻科受診や補聴器を検討するとの回答が得られた.【考察】タブレットオージオメータの導入は,高齢者の適切な支援に結び付く可能性が示唆された.
著者
青山 一真 安藤 英由樹 櫻井 悟 宮本 靖久 古川 正紘 前田 太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.219-228, 2015-09-30 (Released:2017-02-01)

Galvanic Vestibular Stimulation (GVS) can present left/right, front/back and left/right yaw acceleration sensation. It is known that the acceleration is produced towards anode from cathode. However, presenting superior-inferior directional acceleration sensation is not reported. It seems that current path in the head is not well understood and that gravity acceleration masks the perception of weak acceleration sensation even though it evoked superior-inferior acceleration within the GVS safety guideline. Therefore, we invented the stimulation method that can make subjects feel inferior-superior acceleration sensation within the safety guideline by applying inferior-superior direction countercurrent that can present strong inferior-superior directional acceleration sensation passing through the holes of temporal bone. The effects of inferior-posterior directional countercurrent were investigated by measuring subjective acceleration perception and body sway.
著者
前田 舞子
出版者
鳥取看護大学・鳥取短期大学
雑誌
鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要 = MEMOIRS OF TOTTORI COLLEGE OF NURSING AND TOTTORI COLLEGE (ISSN:21898332)
巻号頁・発行日
no.80, pp.35-43, 2020-01-10

本研究は,現代ドイツの教育学者モレンハウアーの思想を中心として,陶冶=人間形成論と「美的経験」との関係を検討するものである.彼の思想の背景を,「美的経験」と「陶冶=人間形成」の点から概観し,彼が子どもの陶冶過程の現実に目を向け,その解明に乗り出した経過を整理する.その上で,彼が実際に行った分析や考察を検討することにより,その理論の教育学的意義に迫る.
著者
弘瀬 冬樹 前田 憲二
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.21-40, 2017-05-10 (Released:2017-09-07)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

Frequency-magnitude distributions are generally expressed by the Gutenberg-Richter (G-R) law. However, frequency-magnitude distributions are sometimes a convex-upward curve rather than a straight line, departing from the G-R law. An η value originally introduced by Utsu (1978) is an indicator that represents the degree of deviation from the G-R law. We investigate η values before and after six M7-9 class mainshocks off the Pacific coast of eastern Japan. The η values tend to become small (i.e., the distribution deviates from the G-R law) before the mainshocks, and then increase (i.e., recovering to the G-R law). Taking this characteristic into account, we suggest a simple and challenging earthquake forecast model based on η values. Probability gain of the optimized forecast model by a retrospective test becomes 2.24-3.03, and the alarm rate and the truth rate become 100% and 0.14-0.47%, respectively. According to the result of the forecast model applied to the latest seismicity, we should pay attention to seismicity off the coast southeast of Kanto district.
著者
前田 康二 篠塚 雄三
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.414-421, 2003-06-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
24
被引用文献数
1

非金属固体中でも光化学反応と類似した原子移動現象(原子変位・移動,欠陥の生成・分解,拡散,表面原子の脱離など)が,レーザー光や放射光のようなフォトン照射,電子線照射,イオン照射,電流注入などに伴う様々な電子励起によって誘起される.この電子励起による原子移動現象は,高い制御性(選択性)と効率を有するため,その積極的利用は,原子分子を操作して新しい機能を持った物質構造を創成しようとするナノテクノロジーに,大きなブレークスルーをもたらす可能性がある.この分野の現状と将来展望について解説する.
著者
藤井 俊朗 前田 真
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.593-600, 1988

絨毛癌に対する新しい治療法の確立を目的として, 新しい制癌剤である Etoposideの基礎的臨床的検討を実施した. I. 基礎的検討 1) 5種類のヒト絨毛癌培養細胞株 (BeWo, SCH, HCCM-5, JEG, SMT-CCl) を用いてクリスタルヴァイオレットの取り込みを指標とした制癌剤感受性試験を8種類の薬剤 (MTX, Act-D, CPA, CDDP, BLM, Etoposide, ADM, VCR) について実施した. 2) 各薬剤の濃度設定は, SMT-CC1の細胞生存率を50%に低下せしめる濃度を基準濃度としてその1/10倍量, 10倍量の3段階とした. 3) Etoposideはすべての絨毛癌培養細胞に対して, CPAやAct-Dと同様に強い細胞障害能を示した. II. 臨床的検討 1)絨毛性疾患 (絨毛癌15例, 侵入奇胎14例)に対して行なつたMTX単独療法23コース, Act-D単独療法4コース, Etoposide単独療法35コースについて, 各治療前後における尿中hCG値の推移から各コース毎に効果を判定したところ (one log以上低下を有効とする), Etoposide療法は従来のMTX療法(21.0%)やAct-D療法(50%)に比べて93.3%と高い有効率を示した. 副作用については, EtoposideはMTX, Act-Dに比べて脱毛のみ強くみられ, 他は軽度であつた. 2) ハイリスクと判定 (Bagshawe prognostic score 95点以上) された繊毛癌症例に対して行なつた従来の多剤併用MAC療法と新しく Etoposideを加えたMECA療法を比較検討した. 絨毛がんの化学療法直接効果判定基準を用いPR以上を奏効と判定し, 奏効率を求めたところ, 従来のMAC療法では6例中3例 (PR 3例, NC 2例, PD 1例) の50%であるのに対して, MECA療法では5例中5例 (CR 3例, PR 2例) の100%であつた. 副作用に関しては両者間に差は認められなかつた. 以上のことより, Etoposideが絨毛癌に対して非常に効果のあることが基礎的, 臨床的に証明され, 今後EtoposideがMTXなどにかわり, 絨毛癌治療の第一選択剤となり得ることが判明した.
著者
前田 保旭
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.277-283, 1993
被引用文献数
8
著者
福田 賢一郎 森川 健太郎 八木 正晴 土肥 謙二 村上 雅彦 小林 洋一 中島 靖浩 中村 元保 香月 姿乃 鈴木 恵輔 井上 元 柿 佑樹 前田 敦雄 加藤 晶人
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.58-68, 2020

患者に対する医療安全の確保は感染管理とともに病院における危機管理の骨格である.さらに病院評価としても院内の医療安全システムの構築が求められている.近年では予期せぬ院内急変への対応だけではなく,院内急変の予防に向けた取り組み(RRS:Rapid Response System)が注目されている.昭和大学病院および昭和大学付属東病院では緊急性に応じて院内急変プロトコールがいくつか存在する. RRS導入前における予期せぬ院内急変について,特に緊急性の最も高い緊急コード事例(コードブルー事例)について検討を行った.方法:2014年4月から2018年3月までの4年間にコードブルーの要請があった症例129例を対象として解析を行った.院内急変のうち入院患者は41.0%であり,その他が外来患者や患者家族・職員であった.平均年齢は63.6歳であった.心肺停止症例は26.4%であり,平均年齢は71.2歳であった.心肺停止症例の82.4%は入院患者であった.発生頻度は入院1,000人当たり4.36人であった.心肺停止患者のうち44%で蘇生に成功したが,神経機能が急変前まで改善した例は全心肺停止症例の20.6%のみであった.心拍再開までの時間が短い症例で神経機能予後は良好であった.昭和大学病院および昭和大学付属東病院では院内心肺停止の発生頻度は過去の報告よりは少ない傾向にあったが,今後の院内急変対応の課題としては院内心停止患者の救命率をより向上させること,さらには院内心停止発生率をさらに低下させるためRRSの導入を含めたシステムの構築が必要である.院内発生の心肺停止症例でも予後不良例は依然として存在している.したがって,院内急変あるいは院内心肺停止を予防することが将来的な病院の医療安全の確保の方策として極めて重要である.
著者
前田 譲治
出版者
北九州市立大学文学部
雑誌
北九州市立大学文学部紀要 = Journal of the Faculty of Humanities, the University of Kitakyushu (ISSN:13470728)
巻号頁・発行日
no.73, pp.41-52, 2007

日米が各々制作した2種のゴジラのcharacterizationの比較と、日米の映画題名の方向性の比較と、アメリカ映画の素材の検討を行った。これらの作業を通して、アメリカ人は荒唐無稽な映画内容を、現実との連続性を有した、現実と近しい世界と眺める傾向が強いのに対して、日本人は、映画内容を現実と完全に乖離した別世界と認識する傾向が強いことを明確化した。次に、現実の日本人とアメリカ人の行動形態に注目した。まず、日本人とは異なり、アメリカ人は映画内容に対して、それが現実であるかの如き反応を示す点を明らかにした。次いで、日本人が決して現実とは認識できない荒唐無稽な噂を、アメリカ人は現実として受容する点に注目した。以上の在り方を論拠として、アメリカ人が現実として受容可能な領域は、日本人よりも格段に広く、日米間では現実認識のあり方に多大な差異が存在すると結論付けた。