著者
勝部 理早 真鍋 洋平 吉岡 靖史 河崎 陽一 岡崎 昌利 北村 佳久 千堂 年昭
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.81-89, 2018-08-31 (Released:2018-09-12)
参考文献数
12

Background: With the marked changes occurring in the medical field, such as rapid population aging, the frequency of one‐dose package use by medication‐dispensing services is increasing. Pharmaceutical companies promote the development of pharmaceutical products that can be identified based on their color, size, and imprinted information to reduce one‐dose packaging errors and difficulties in tablet identification. However, there have not been any studies about the effectiveness of such measures for aiding the identification of tablets in the clinical setting. Therefore, we examined the effects of imprinting on the ease of identification of tablets and capsules. Methods: The study was conducted over a 3‐month period and involved 39 pharmacists aged under 40. The times they needed to transcribe the characters imprinted on each tablet/capsule were measured. Results: The time needed to identify a tablet was significantly shortened by kana printing (p<0.01), whereas more time was required to identify a capsule when the text color was similar to that of the capsule. The observed transcription errors included ‘inaccurately transcribing alphanumeric characters' and ‘omitting units or other information.' Discussion: These results suggest that kana printing is effective at increasing the ease of tablet/capsule identification, which is also affected by the color of the printed text.
著者
矢野 正雄 後藤 哲宏 北村 陽平 西尾 乾司 三浦 康誠 松井 聡
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.636-639, 2020 (Released:2020-10-31)
参考文献数
7

肝障害は薬物治療に際して普遍的に認められる副作用の一つである.従来,脂肪肝は良性可逆性肝疾患の病態とみなされ,有害な疾病としての認識に乏しかった.非アルコール性脂肪肝変性(NAFLD)もその一つであり,今回われわれはタモキシフェン(TAM)におけるNAFLDの発現頻度をレトロスペクティブに検討した.結果29.1%と高率にNAFLDが発現していた.そのうちの68%は可逆性であったが,TAMによるNAFLD発症頻度は高く,改善しない症例もあり,医療者はそのことに関して注意しなければならない.
著者
菅原 ますみ 北村 俊則 戸田 まり 島 悟 佐藤 達哉 向井 隆代
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.32-45, 1999-05-20 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
1

児童期の子ども (平均年齢l0.52歳) の間題行動発生に関わる先行要因について, 対象児童が胎児期より開始された縦断サンプル (約400名) を用いて検討をおこなった。10歳時の注意欠陥および攻撃的・反抗的な行動傾向 (externalizingな問題行動) の予測因子として, 子ども自身の乳幼児期からの行動特徴, 家庭の社会経済的状況, 親の養育など多くの要因が有意な関違を持っており, 多要因の時系列的な相互作用によって子どもの問題行動が発達していくプロセスが浮かび上がってきた。また, 発達初期に同じような危険因子を持っていたとしても, 良好な父親の養育態度や母親の父親に対する信頼感などの存在によってこうした問題行動の発現が防御されることも明らかになった。これらの結果から, 子どもの精神的健康をめぐるサポートの在り方について考察をおこなった。
著者
橋本 晃啓 調枝 孝治 北村 靖治
出版者
広島大学総合科学部
雑誌
広島大学総合科学部紀要. VI, 保健体育学研究 (ISSN:02893002)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.53-71, 1989-02-28

本研究では、バスケットボールの系列運動課題の精緻化リハーサルにおいて、どのような精緻コード化が行われているのかを、体制化および使用される情報コードという点から明らかにすることを目的とした。被験者は、バスケットボールに熟練した男子大学生64名(18歳~22歳)と熟練していない男子大学生56名(18歳~20歳)であった。被験者は以下の4つのリハーサル条件に同数ずつランダムに割り当てられ、各条件のもとでリハーサルを行った後、系列運動課題を1回だけ再生した。リハーサル条件は、a) 図で提示されリハーサル時に筋出力を禁止される、b) 言語と映像で提示されリハーサル時に筋出力を禁止される、c) 図で提示され小筋活動によってリハーサルする、d) 図で提示され大筋活動によってリハーサルする、であった。そして、再生後に系列運動課題を記憶したときの精緻コード化について、質問紙による調査を受けた。再生パフォーマンスは、系列運動課題の遂行時間と再生率から整理された。その結果、熟練者は「アウトサイドスクリーンプレイ」「2線速攻」に関する手続き的知識に基づいて、個々の動作を結びつけて3~4つの高次単位を形成し、動的な映像イメージを用いてコード化した。一方、未熟練者では、プレイに関する知識に乏しく、個々の動作を関係づけて高次単位を形成するという体制化の過程は見られなかった。また、熟練者と異なり、静的な画像イメージを用いてコード化する傾向が認められた。再生パフォーマンスは、速さ、正確さとも熟練者の方が優れており、再生レベルの向上に対する体制化の有効性が示唆された。Some questionnaires were employed to study the characteristics of elaborative coding for a serial motor task in basketball. 64 male experts on basketball (18-22 yrs.) and 56 male novices (18-20 yrs.) were divided into following four different rehearsal conditions, i. e. a) pictorial presentation of movement patterns without physical rehearsal, b) modeled and verbal explanation without physical rehearsal, c) pictorial presentation with fine motor rehearsal, and d) pictorial presentation with gross motor rehearsal. After the reproduction of the serial motor task, subjects were required to reply how they had encoded it. The speed and accuracy in performing the task were measured for each rehearsal condition, too. The results were as follows.1) The experts organized the to-be-remembered items of movement based on the procedural knowledges of "out-side screen play" and "2men break".Then they encoded the serial motor patterns by using the visual image of moving picture. On the other hand, the novices did not organize the items, since they have little knowledge of those plays. And they encoded by using the visual image of pictorial pattern.2) The experts performed the serial motor task much faster and much more accurately than the novices. Then the roles of organization in the elaborative coding processes were discussed in relation to recall performance.
著者
北村 淳一
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.195-198, 2011 (Released:2014-03-07)
参考文献数
10

Freshwater mussel (family Unionidae) utilization for oviposition by Sarcocheilichthys variegatus variegatus was investigated in a drainage ditch and the Harai River. Twenty five freshwater mussels in Pronodularia japanensis (4% of 616 individuals examined) in a drainage ditch connected to the Kushida River hosted S. v. variegatus eggs, compared with none of two other freshwater mussel species, Inversidens brandti and Unio douglasiae douglasiae. In the Harai River, eight freshwater mussels (3 I. brandti, 2 Obovalis omiensis, 1 Lanceolaria grayana and 1 Anodonta spp.) (2.7% of 290 individuals examined) hosted S. v. variegatus eggs, compared with none of P. japanensis and U. d. douglasiae. Among the available freshwater mussel species, U. d. douglasiae may be only one selected against for oviposition by S. v. variegates.
著者
北村 尚人 中谷 淳子 中田 光紀
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.295-300, 2014-12-01 (Released:2014-12-13)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

勤労者の睡眠問題と主観的健康感(以下,健康感)の関連を明らかにするために,日本人43,092人(男性34,164人,女性8,928人)を対象に質問紙調査を行った.健康感と睡眠問題の関連は多重ロジスティック回帰分析により解析し,オッズ比(OR)を求めた.男女間で健康感を「あまり良くない,非常に良くない」と答えた人の割合に有意な差があったため(男性29.4%,女性34.1%,P < 0.001),男女別に解析した.睡眠問題なしの者に比べ,睡眠6時間未満(OR = 男性1.39,女性1.40),入眠困難(OR = 男性4.44,女性3.85),中途覚醒(OR = 男性5.72,女性4.85),早朝覚醒(OR = 男性3.87,女性4.25),起床困難(OR = 男性3.30,女性3.40),起床時疲労感(OR = 4.97,女性4.82)および仕事中の過度の眠気(OR = 男性2.34,女性2.11)を有する者は有意に健康感が悪かった.睡眠問題と健康感の関連の強さは男女差が認められなかった.本研究により,勤労者において睡眠問題と健康感は関連することが示された.
著者
上出 寛子 高嶋 和毅 石川 美笛 足立 智昭 北村 喜文
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.107-114, 2018-02-25 (Released:2018-02-25)
参考文献数
22

This study explores quantitative behavioral analysis of children's block play by using A-block that embeds a wireless acceleration sensor. Based on acceleration sensing, we extract specific behavioral parameters of block play quantitatively and aim to estimate age of young children (2-6) from such parameters. 52 young children used A-Block then several major events are computed such as time to get blocks up, times to put them on, times to bring them up, and amount of displacement. Results showed that these parameters could predict children's age significantly and also revealed A-Block has satisfactory capabilities to discriminate under/over 3 years and under/over 5 years. We discussed developing of new parameters and improvement of A-Block for further behavioral analysis of block play.
著者
北村 秀明
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5, pp.258-260, 2007-05

新潟大学臨床研修病院群プログラムにおける精神科研修では,研修医は基本的に全員,8つの精神科協力病院(以下協力病院),すなわち黒川病院,松浜病院,新潟信愛病院,三島病院,県立精神医療センター,田宮病院,五日町病院,さいがた病院のいずれかで研修する.ただし週に1日,新潟大学医歯学総合病院(以下大学病院)で研修する.大学病院と協力病院の機能分化を考え,プライマリー・ケアでしばしば遭遇するうつ病や不安障害から,機能レベルの低下が重篤な統合失調症や痴呆性疾患まで広くカバーして,頻度の高い精神疾患について基本的な技能を獲得できるように,この二重体制が採用された.しかしながら,大学病院および協力病院の研修指導医へのアンケートから,いくつかの問題点が浮き彫りになった.その多くはこの二重体制に関係するものであり,遠くの協力病院から大学病院へ週1回通うことの身体的・精神的負担,研修の継続性の阻害,指導内容の分担に関する両病院間の連絡不足などが指摘された.そもそも二重体制を敷くほど両病院は機能分化しているのか,といった根本的な疑念を述べた指導医もいた.ただし大学病院での研修のメリットも多く存在するのもまた事実である.欧米では当たり前の操作的診断基準を用いた厳密な精神科診断プロセスなどは,十分な指導時間がとれる大学病院でないとその教育は難しいのも現状である.今後はプログラムのユーザーである研修医の意見も参考に,来シーズンの状況も加味しながら,プログラムは改良され続けるべきと考える.
著者
北村 音壱
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.235-240, 1970

大阪国際空港周辺の航空機騒音の実態調査結果にもとづき, 航空機騒音の周波数特性, 航空機騒音の分布図, NNIの分布図, パワーレベル等を求め, これから飛行場周辺の騒音問題を考察した. 航空機騒音は, 離陸直後の航路直下の帯状地帯内で特に大きく, この地帯内では人間が生活するのに耐え難い程度の騒音被害が生じていると考えられる. これの根本的解決策は飛行場の移転しかないと考えられるが, 差当り技術的に可能な範囲での航空機騒音のパワーレベルの低減による基準の設定, 航路の適切な選定, 飛行回数の制限等が考えられる.
著者
伏木田 稚子 北村 智 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.157-168, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
42
被引用文献数
3

本研究の目的は,学部3,4年生が対象の専門教育としてのゼミナールにおける学習者要因(受講動機,学習意欲),学習環境の客観的側面(活動,教員による指導),学習環境の主観的側面(教員に対する評価,共同体意識),学習成果(汎用的技能の成長実感,充実度)の関係を実証的に検討することである.本研究では,国・私立大学13校を対象に質問紙調査を実施し,計387名のデータを用いて変数の構成を行った.本研究のデータは,個人レベルとゼミナールレベルを含む階層的データであるため,計304名のデータを2つのレベルに分けて相関係数を算出した.相関分析の結果,対人関係力および問題解決力の成長実感,充実度とゼミナールレベルで正の相関関係があるのは,受講動機,学習意欲,教員による指導,教員に対する評価,共同体意識などであることが示唆された.
著者
田村 聖 松浦 倫子 北村 航輝 山仲 勇二郎
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
pp.2110si, (Released:2022-01-15)
参考文献数
45
被引用文献数
1

眠気の日内変動には,起床6から8時間後に高まる眠気(午後の眠気)と夜間就寝前にむけて高まる眠気(夜間の眠気)が存在する。夜間の眠気は,脳内の生物時計中枢の制御を受ける深部体温の概日リズムに起因する。一方,午後の眠気の発生機序については不明である。本研究では,眠気に関わる生理的要因として末梢皮膚温,深部体温,自律神経活動に注目し,眠気と生理的要因との関係性を明らかにすることを目的とした。その結果,5名中4名の実験参加者において,起床3時間後以降に2から5時間毎の眠気の変動が観察された。起床後0–2時間および就寝時刻付近の眠気は深部体温,皮膚温,自律神経活動と有意な相関が認められた。一方,午後の眠気については個人差が大きく,体温,自律神経活動と一貫した相関関係は認められなかった。これらの結果から,眠気の日内変動に存在するウルトラディアンリズムは体温と自律神経活動の概日リズムに依存しないが,起床後および就寝前の眠気は,主に概日リズムを発振する生物時計中枢の制御を受けることが推測された。
著者
西村 圭二 北村 淳 白星 伸一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.C0333-C0333, 2007

【はじめに】不良坐位姿勢による作業は腰痛のみならず肩周囲や頸部の障害の原因となりうることを臨床上経験する.我々は先行研究において自作の腰椎骨盤固定ベルト(以下ベルト)の効果について検討してきた.その結果,ベルト装着直後,脱ベルト後において重心前方偏位と骨盤前方傾斜角度増加を確認した.そこで今回,ベルト装着による姿勢変化が頸椎運動性に与える影響ついて検討したので報告する.<BR>【対象と方法】対象は不良坐位姿勢を呈した成人9名(平均30.8±7.2歳).測定肢位は股,膝90°屈曲位で足底を接地する端坐位とし,第7頸椎(C7),第1胸椎,両耳垂,両肩峰にマーカーを付けた.また瞬間中心計測のために前後,左右,頭頂のマーカーを付けたカチューシャを自作し,通常端坐位での頸椎屈曲,伸展,側屈,回旋をデジタルビデオカメラ(SONY社製)にて撮影した.次にベルトを腰椎生理的前彎位,骨盤軽度前傾位で装着し5分後、脱後の運動を撮影した.撮影画像から通常端坐位,装着時,脱後の各可動域を計測し比較した.可動域測定は日本整形外科学会が定める改訂関節可動域表示ならびに測定法に準じた.瞬間中心は各運動において2点のマーカーの始点と終点を結ぶ線の垂直二等分線が直交する点をDartFish Software(ダートフィッシュジャパン)にてパソコン上で求め,重心線(上半身重心が位置する第9胸椎を通る垂線)と瞬間中心との距離を比較した.統計処理は反復測定分散分析を,多重比較検定にはDunnett法を用い危険率5%未満とした.<BR>【結果】伸展は通常46.3±6.7°,装着時58.4±10.0°,脱後57.3±10.1°(p<0.05),回旋は通常55.1±4.9°,装着時63.7±9.0°,脱後66.6±6.7°(p<0.05)と可動域が増加した.屈曲は通常40.7±11.6°,装着時43.5±9.3°,脱後46.1±6.7°,側屈は通常29.3±6.5°,装着時35.3±6.7°,脱後35.6±5.0°と増加したが有意差はなかった.瞬間中心は屈曲では通常5.0±2.8cm,装着時1.2±1.5cm,脱後1.7±2.3cm(p<0.05),伸展は通常4.3±2.1cm,装着時0.8±1.4cm,脱後1.4±1.2cm(p<0.01)と有意値を示し重心線に近づく傾向にあった.側屈は通常0.6±0.4cm,装着時0.5±0.7cm,脱後0.8±0.6cmと有意差はなかった.回旋は条件上計測できなかった.<BR>【考察】ベルト装着により頸椎運動が増大した.通常端坐位は頸椎が軽度屈曲位を呈し瞬間中心も前方に位置していた.骨盤後傾,腰椎後彎姿勢では頸椎が屈曲し頭部の前方並進を伴うため,伸展モーメントが高く頸部のストレスは増大する.先行研究よりベルトの効果として骨盤前傾,腰椎前彎方向への制御が容易に行えることが挙げられる.ベルトによるアライメント矯正で頸椎屈曲と頭部前方並進が減少し伸展モーメント低下が示唆され,瞬間中心が重心線付近に位置したことから頸椎運動が増大したと考える.適切な姿勢での作業は頸部ストレス軽減に繋がることが示唆された.<BR><BR>