著者
竹林 純 鈴木 一平 千葉 剛
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.15-20, 2023 (Released:2023-02-22)
参考文献数
13

2015年から熱量とたんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の栄養成分表示が加工食品に義務付けられている。栄養成分表示値は, 食品表示基準で定められた分析方法 (表示分析法) による分析値を原則とするが, 日本食品標準成分表 (成分表) の収載値等の合理的根拠に基づいた計算値も認められている。消費者が栄養成分表示を比較して自らに適した食品を選択できるように, 計算値は, 表示分析法による分析値と可能な限り近しい値であることが望ましい。成分表2020年版 (八訂) では, 成分表2015年版 (七訂) から熱量計算方法が変更され, 複数の項目が併記されている栄養成分も多い。そこで本稿では, 表示分析法と成分表2020の分析方法を比較し, 成分表2020を栄養成分表示に用いる場合の適切な参照方法について考察した。
著者
千葉 剛 種村 菜奈枝 西島 千陽 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.20-26, 2022-02-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
13
被引用文献数
2

健康被害が多発したことをうけ,食品衛生法が一部改正され,プエラリア・ミリフィカは「指定成分等」として管理されることとなったが,現在も多くのプエラリア・ミリフィカ含有食品が出回っている.そこで,消費者を対象に「指定成分等」の認知度および「指定成分等」含有食品の利用実態についてインターネット調査を行った.その結果,「指定成分等」の認知度は45.9%であった.「指定成分等」という言葉の印象は,効果がありそう32.7%,身体に良さそう18.9%といい印象を持つ者が多かった.しかしながら,「指定成分等」の説明文を読ませたところ,概ねいい印象が減少し,注意すべき成分である印象が増えていた.また,プエラリア・ミリフィカ含有食品の利用率は4.3%であり,その内,利用が原因と思われる体調不良を経験した者は41.3%であった.本調査において,消費者は指定成分等を正しく認知しているとは言えないことが明らかとなったことから,「指定成分等」に関する情報を提供し,正しく認識してもらう必要があると考えられた.
著者
西島 千陽 佐藤 薫 千葉 剛
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.20-27, 2021-02-25 (Released:2021-03-04)
参考文献数
7

消費者がセルフケアの一環として機能性表示食品を適切に利用するには専門家のサポートが必要であり,管理栄養士・栄養士の役割が重要である.そこで,管理栄養士・栄養士を対象に制度施行1年後と4年後に機能性表示食品の理解と利用状況,指導時の対応についてインターネット調査した.その結果,制度施行4年後において機能性表示食品の利用経験は56.4%であったが,正しく理解していたのは41.7%にとどまった.機能性表示食品の利用相談を受けた者は22.2%あり,その対応は管理栄養士・栄養士自身の利用経験により異なっていた.機能性表示食品の利用を含めた消費者のセルフケアへの支援には,管理栄養士・栄養士が機能性表示食品の特徴を正しく理解し,適切な指導につなげるための教育の場が必要と考えられた.
著者
石村 啓輔 伊藤 信之 千葉 剛次 岡崎 威 鈴木 良平
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.693-696, 1978

We have observed the pattern of muscle action during rotational movement of the humerus by recording angular deviation and electromyograph simultaneously.<br>Results were summarrized as follow:<br>1) From the beginning of external rotation of the humerus, electrical activity was recorded from the infraspinatus and the teres minor.<br>During later half of this movement, electrical activity was found from the deltoideus (posterior fiber), the latissimus dorsi, the supraspinatus and the rhomboideus.<br>2) In internal rotation of the humerus, electrical activity was recorded from the subscapularis. The pectralis major was active in half of the cases, but the deltoideus (anterior fiber) and the latissimus dorsi were inactive during this movement.
著者
黒谷 佳代 新杉 知沙 千葉 剛 山口 麻衣 可知 悠子 瀧本 秀美 近藤 尚己
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.593-602, 2019-09-15 (Released:2019-10-04)
参考文献数
24

目的 子ども食堂はボランティア等に運営され,子どもの社会的包摂に向けた共助のしくみとして注目されている。主なターゲット層である小・中学生の保護者を対象とした子ども食堂の認知に関する調査により,子ども食堂の地域における活用に関連する要因を明らかにすることを目的とした。方法 小学校1年生から中学校3年生の保護者3,420人(平均年齢42.6歳)を対象に,2018年10月にインターネット調査を実施した。属性,子ども食堂の認知と認識,利用経験,今後の利用希望とその理由を質問項目とした。対象者を二人親低所得(世帯年収400万円未満)世帯父親,二人親中高所得(400万円以上)世帯父親,二人親低所得世帯母親,二人親中高所得世帯母親,ひとり親世帯父親,ひとり親世帯母親に分け,群間の差は χ2 検定により検定を行った。結果 子ども食堂の認知割合は全体の69.0%で,男性に比べ女性で高く,とりわけ二人親中高所得世帯母親で79.7%と高かった(P<0.001)。メディアで子ども食堂を知った者が87.5%で,子どもが一人でも行けるところ・無料または数百円で食事を提供するところ・地域の人が関わって食事を提供するところという認識や,安い・賑やか・明るいなどポジティブなイメージを持つ者が多かった。しかし,子ども食堂を知っている者のうち,子ども食堂に本人もしくはその子どもが行ったことのある者はそれぞれ4.5%,6.3%であった。今後,子ども食堂に子どもを行かせてみたいと思うと回答した者は全体の52.9%で,世帯構成による利用希望に違いがみられ,低所得世帯とひとり親世帯母親では利用希望者が過半数である一方,中高所得世帯とひとり親世帯父親では過半数が利用希望しなかった(P<0.001)。その主な理由として,必要がない・家の近くに子ども食堂がない・家で食事をしたいなどがあったが,少数意見として生活に困っていると思われたくない・家庭事情を詮索されそう・恥ずかしいという理由があった。また,中高所得世帯では子ども食堂にかわいそうというイメージを持つ者が多かった。結論 本研究の小・中学生の保護者は子ども食堂に対してポジティブ・ネガティブの両方の認識をしており,その内容は世帯状況により異なっていた。理解の定着と普及のためには子ども食堂への負のイメージの払拭や子ども食堂へのアクセスの確保などの対応が必要と思われる。
著者
西島 千陽 千葉 剛 佐藤 陽子 山田 浩 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.106-113, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
17
被引用文献数
11

サプリメントによる健康被害の未然・拡大防止には,現時点で発生している有害事象を短期間に全国レベルでできるだけ多く収集し,行政的対応を検討する取り組みが求められる.そこで全国的なオンライン調査により,消費者から直接情報を収集して有害事象の把握を試みた.有害事象としては下痢に着目し,4つの調査会社で実施した.その結果,軽微な症状が多いが痛みや吐き気を伴う事例もあること,下痢経験者の8割以上はどこにも報告していないこと,関与する原材料として植物エキスが疑われることが明らかとなった.有害事象の経験頻度に調査会社間で誤差はあるが,オンライン調査はサプリメントによる有害事象の発生を全国レベルで短期間に把握できる有用な方法と考えられた.
著者
佐藤 陽子 千葉 剛 梅垣 敬三
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.300-307, 2018 (Released:2018-06-29)
参考文献数
22

目的 妊婦や小児におけるサプリメント利用は安全性確保の観点から注目される。そこで未婚,もしくは未妊娠の若い女性として大学生を対象に,心理的要因のひとつのパーソナリティ特性とサプリメント利用行動との関連を明らかにすることを目的とした。方法 2015年10月~11月に,属性,サプリメントの利用状況,サプリメントに対する肯定的態度,食生活リテラシー,主要5因子性格検査(Big Five)によるパーソナリティ特性を質問項目として,無記名自記式質問紙調査を実施した。対象は東京都および埼玉県内の女子大学・短期大学に在籍する学生230人とし,228人から回答を得た。このうち解析対象項目に欠損のない124人を解析対象者とし,パーソナリティ特性と他項目との関連を検討した。解析にはMann-Whitney検定,Spearmanの順位相関係数,χ2検定,Kruskal-Wallis検定を用いた。結果 サプリメント利用者は19.4%であり,利用者は非利用者よりも外向性得点が高かった。パーソナリティ特性とサプリメントに対する肯定的態度,食生活リテラシーに関連は認められなかった。結論 パーソナリティ特性がサプリメント利用行動に与える影響は限定的であると考えられた。
著者
千葉 剛 小林 悦子 佐藤 陽子 井出 和希 池谷 怜 山田 浩 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.234-240, 2017-10-25 (Released:2017-10-27)
参考文献数
8
被引用文献数
2

健康食品の利用が原因と思われる健康被害の事例において,保健所を介して厚生労働省へ報告が上がってくるのは年間20件程度しかない.その原因を明らかにするために,消費者(調査1:44,649名,調査2:3,000名),医師・薬剤師(各500名)を対象にアンケート調査を実施した.2016年の一年間に健康食品の利用が原因と思われる体調不良を経験した消費者は17%いたが,保健所に連絡した人はそのうちの11%のみであった.保健所に連絡しなかった理由は「報告するほどの被害ではなかったから」が最も多かった.2016年の一年間に患者から健康食品の利用が原因と思われる健康被害の相談を受けたことがある医師は7%,薬剤師は4%であった.保健所に報告したのは医師,薬剤師ともに6%のみであった.保健所に報告しなかった理由は「健康食品が原因と断定できなかったから」が最も多かった.
著者
千葉 剛 佐藤 陽子 鈴木 祥菜 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.147-155, 2015 (Released:2015-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
1 5

以前に実施した調査において, 特定保健用食品 (特保) を治療目的で用い, 服用している医薬品と同様の保健機能を謳った特保の利用者がいることが示された。本調査では特保と医薬品との併用の実態を明らかとするためアンケート調査を行った。特保を疾病治療目的に利用している人の割合は利用者の年代が上がるにつれて増え, また, 受診なしに比較し受診あり (通院中・入院中) で有意に高かった。また, 医薬品を併用し, 中には服用医薬品と同じ用途で特保を利用しているにもかかわらず, 医師・薬剤師に相談している利用者は, 14.6%と低かった。この時, 特保と医薬品の併用者において体調不良 (下痢・便秘等) を感じている人は10.3%であった。多くの特保製品は通常の食品形態をしていることから, 適切に使用していれば医薬品と相互作用を起こす可能性は低いと思われるが, 医薬品を服用している際には, 医師・薬剤師に相談することが好ましいと考えられる。
著者
梅垣 敬三 山田 浩 千葉 剛 中西 朋子 佐藤 陽子 福山 哲
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.282-289, 2013-08-25 (Released:2013-09-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1 13

健康食品による健康被害の因果関係評価を視点に,3つの情報源(保健所情報,PIO-NET情報,企業情報)で収集された事例の実態を調べた.保健所情報は約20件/年が収集されており,約40%が医療関係者からの通報で医学的データが含まれていた.PIO-NET情報は約370件/年が収集されており,8割程度が利用者からの通報で,製品名や利用状況などの具体的内容が少なかった.企業情報は利用者からの通報が9割以上で,大部分が苦情に相当する内容であった.保健所情報とPIO-NET情報を,2つの因果関係評価法に試行的に適用したところ,因果関係が確からしいと判断できた事例は少なかった.収集されている被害事例を安全性確保に効果的に活用するためには,健康被害の症状に関して共通の考え方を持ち,収集事例の質と件数を高める取り組みが必要である.
著者
川村 静児 中村 卓史 安東 正樹 坪野 公夫 沼田 健司 瀕戸 直樹 高橋 龍一 長野 重夫 石川 毅彦 植田 憲一 武者 満 細川 瑞彦 佐藤 孝 佐藤 修一 苔山 圭以子 我妻 一博 青柳 巧介 阿久津 智忠 浅田 秀樹 麻生 洋一 新井 宏二 新谷 昌人 井岡 邦仁 池上 健 石徹白 晃治 市耒 淨興 伊藤 洋介 井上 開輝 戎崎 俊一 江里口 良治 大石 奈緒子 大河 正志 大橋 正健 大原 謙一 奥冨 聡 鎌ヶ迫 将悟 河島 信樹 神田 展行 雁津 克彦 木内 建太 桐原 裕之 工藤 秀明 國森 裕生 黒田 和明 郡和 範 古在 由秀 小嶌 康史 小林 史歩 西條 統之 阪上 雅昭 阪田 紫帆里 佐合 紀親 佐々木 節 柴田 大 真貝 寿明 杉山 直 宗宮 健太郎 祖谷 元 高野 忠 高橋 忠幸 高橋 弘毅 高橋 竜太郎 田越 秀行 田代 寛之 田中 貴浩 谷口 敬介 樽家 篤史 千葉 剛 辻川 信二 常定 芳基 徳成 正雄 内藤 勲夫 中尾 憲一 中川 憲保 中野 寛之 中村 康二 西澤 篤志 丹羽 佳人 野沢 超越 橋本 樹明 端山 和大 原田 知広 疋田 渉 姫本 宣朗 平林 久 平松 尚志 福崎 美津広 藤本 眞克 二間瀬 敏史 前田 恵一 松原 英雄 水澤 広美 蓑 泰志 宮川 治 三代木 伸二 向山 信治 森澤 理之 森脇 成典 柳 哲文 山崎 利孝 山元 一広 横山 順一 吉田 至順 吉野 泰造
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 (ISSN:13428349)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, 2006-03-04