著者
中原 大輔 宮崎 美伯
出版者
群馬県畜産試験場
雑誌
群馬県畜産試験場研究報告 = Bulletin of the Gunma Prefectural Livestock Experiment Station (ISSN:13409514)
巻号頁・発行日
no.21, pp.91-106, 2014-12

離乳牛舎周辺においてタヌキ等の野生動物による配合飼料の盗食被害が発生したことから、センサーカメラを用いて夜間の出没状況を調査し、その結果に基づいて防除対策を実施した。1 離乳牛舎周辺に設置したセンサーカメラ画像を解析した結果、哺乳舎を中心にタヌキとキツネが出没し、飼槽の配合飼料を盗食していることが確認された。2 離乳牛舎への侵入防止対策として、牛舎周辺に10cmマスのワイヤーメッシュを設置したところ、マス目からの侵入が確認されたため、針金で5cmマスに狭める改良を施した結果、侵入が防止された。3 箱わなによる学術捕獲に伴い、設置後の箱わな内へのタヌキの進入状況を調査したところ、設置後10日間程度は警戒心が強く、全身の進入が確認されなかったことから、対象動物が箱わなに慣れるため、設置後2週間程度は箱わなを開放状態にして餌付けを行うことが重要である。4 箱わなによるタヌキの捕獲後、タヌキとキツネの出没が減少した一方で、ネズミの出没が増加したことから、ネズミ対策を実施した。
著者
森田 茂之 二木 昭人 藤原 大輔 藤田 隆夫 岡 睦雄 丹野 修吉
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

研究代表者、各研究分担者のそれぞれの分野における、当研究課題に関連する研究計画にもとづいて、研究を進めた。その結果、当初の目標を完全に遂行し、更にこれからの発展に関する展望を込めた、大きな成果をあげることができた。以下に3の概要を簡単に記述する。研究代表者(森田)は、ここ数年来研究している、向きづけ可能閉曲面をファイバ-とするファイバ-バンドル(曲面バンドル)の特性類の理論を更に発展させ、主要な応用として、リ-マン面のモジュライ空間のトポロジ-に関するいくつかの結果と、曲面の写像類群の構造と3次元多様体の不変量との深い関連を示す定理とを得た。特に写像類群の重要な部分群であるTorelli群と、ホモロジ-3球面のCasson不変量と関連を与える決定的結果を得た。次に、各研究分担者の成果のうちおもなものを列記する。丹野は三角関数の積を変数の巾ぐ割った形の関数の無限巳間での積分に関して新しい公式を求めた。またCR構造、接触構造についても、微分幾何的研究を発展させた。岡は非退化完全交差系に関する一連の研究を推し進め、自然な滑層分割の存在、生ゼ-タ関数を与える公式等を得た。藤田は弱異点のあるDel Pezzo多様体の分類をほぼ完成した。また一般ファイバ-がDel Pezzo多様体であるような偏極多様体の一次元変形栓に出現し得る特異ファイバ-の型を分類した。藤原はFeynmanの経路積分をソボレフ空間上の広義積分として収束を証明した。道具として停留位相法における誤差の大きさを、空間次元に無関係に評価出来るという新しい結果が使われる。また二木はKa^^¨hlerーEinstein計量の存在に関する二木不変量のeta不変量による解釈を与えた。
著者
河原 大輔
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.12-13, 2015-12-15

本稿では,構文解析,特に日本語係り受け解析の現状と課題について解説する.
著者
西原 大輔
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.185-220, 2002-12
被引用文献数
1

一八六七年の高橋由一による上海渡航以来、近代日本の画家たちは、アジアを描き続けてきた。本稿は、エドワード・W・サイードのオリエンタリズム論を利用して、近代日本絵画におけるアジア表象を分析したものである。 『オリエンタリズム』でサイードは、一九世紀フランスにおけるオリエンタリズム絵画の流行については、ほとんど論じていない。しかしサイードの議論を引き継いだリンダ・ノックリンは、そこに西欧中心主義が見られると主張している。では、アジアの植民地を描いた近代日本絵画にも、サイード的意味でのオリエンタリズムは存在するのだろうか。 画家藤島武二は、一九一三年に朝鮮半島を旅行したが、その紀行文のなかでフランスのオリエンタリズム絵画に言及している。藤島は、フランス絵画に植民地アルジェリアをテーマとした作品が多いと述べた上で、日本人画家も新植民地朝鮮を美術の題材として積極的に開拓すべきであると言う。また、アジア女性を描いた近代日本の肖像画には、フランス絵画のオダリスクの主題から影響を受けたと考えられる作品もある。さらに梅原龍三郎は、アジアの植民地にこそ鮮やかな色彩があり、日本にはそのようなものはないと語っている。これらは、日本絵画がオリエンタリズムの影響を受けたことを物語っている。 しかし、アジアを描いた近代日本絵画を、サイードのオリエンタリズム論で説明しつくすことはできない。和田三造らによる多数の作品が、日本とアジアの共通性を強調している。児島虎次郎の絵にみられるように、非西洋である日本は、「自己オリエンタリズム」によって、「東洋人」としてのアイデンティティを形成してきた。従って、宗主国日本もアジアの植民地も同じ「東洋」と見なされる。大日本帝国は、植民地も日本も等しく「東洋」であるという言説によって、支配の正当性を確保しようとしてきた。アジアを描いた近代日本美術にも、同質性の強調という特徴を見出すことが可能である。
著者
河原 大輔 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.1, pp.67-73, 2006-01-13
被引用文献数
28 25

本稿では、高性能計算環境を利用して、Webから大規模テキストコーパスを抽出し、格フレームを構築する方法について述べる。格フレームは人間のもっている常識的な知識のうちもっとも基本的なものであり、これを自動構築するには大規模かつ偏りのないテキストが必要となる。そこで、Webから日本語文を抽出することによって大規模コーパスを作成し、それを用いて格フレームを構築するということを行う。約4億Webぺ-ジから約5億文からなるテキストコーパスを作成し、さらにこのコーパスから約9万用言からなる格フレームを構築した。これらのプロセスは、巨大なデータを扱うため1つの計算機で行えば数年を要し現実的ではないことから、約350CPUからなる高性能計算環境を利用することによって実現した。This paper describes a method of constructing a wide-coverage case frames from the Web. To obtain such knowledge, an enormous amount of balanced corpus is required. We consider the Web as a balanced corpus, and first build a huge text corpus from the Web. We then construct case frames from the corpus. It is infeasible to do these processes by one CPU, and so we employ a high-performance computing environment. The acquired corpus and case frames are extremely larger than previously built corpora and case frames. The resultant case frames contain most examples of usual use, and are ready to be applied to lots of NLP applications.
著者
田原 大輔 杉本 亮 富永 修 谷口 真人
出版者
福井県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

小浜湾への地下水湧出量を222Rn・塩分の収支モデルから推定したところ、地下水は、全淡水流入量の4~44%を占めており、河川流量の低下する夏季にその割合が高くなる傾向にあった。また、地下水から供給される溶存無機態の窒素、リン、ケイ素は、全陸水由来の栄養塩輸送量の平均で39%、58%、37%を占めていた。特に小浜湾の一次生産はリン制限下にあるため、地下水によるリン供給は小浜湾の生物生産において重要な役割を果たしていると考えられた。
著者
石原 大輔 村上 直
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

昆虫羽ばたき飛行を規範とする微小飛翔ロボットの可能性は,マルチフィジクスの複雑さと加工技術の限界から未だに十分明らかになっていない.そこで本研究では,最初に,マルチフィジクス計算力学手法を開発し,それにより昆虫羽ばたき飛行の力学を精緻化した.次に,それらを用いて,昆虫羽ばたき飛行を規範とする1mmスケールのモデル翼を2.5次元設計空間内で探索し,満足解の集合(デザインウィンドウ)が存在することを示した.最後に,MEMSプロセスに基づくマイクロマシニングを開発し,それを用いて,モデル翼を実空間で作成した.以上により,微小飛翔ロボットの可能性を明らかにした.
著者
堀江 知義 二保 知也 石原 大輔
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マイクロ片持はり構造の機械的な振動時に生じる,電界,変形,流れの連成振動挙動を明らかにするために,静電気力-構造-流体連成解析コードを開発し,連成効果に及ぼす支配因子の影響を検討し,モデルの妥当性を検証した。さらに,マイクロ片持はり構造を作成し,真空中における駆動実験から非線形連成効果特性を確認した。大気中における振動実験と電界-構造-流体3連成解析により,流体との連成効果によってプルイン特性が変化することを示した。
著者
田原 大輔 羽田野 亮 岩谷 芳自
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.37-43, 2008-03-20 (Released:2012-09-04)
参考文献数
26
被引用文献数
1

カマキリ養成2才親魚の卵巣成熟度を,外観および組織観察から周年調査した。卵母細胞の発達段階,残留卵の状態と再吸収の進行状況を基に,卵巣成熟度を6段階(前卵黄形成期,卵黄形成期,成熟期,退縮前・中・後期)に分類した。残留卵の出現は産卵期が近づくにつれ低くなったが,ほとんどの養成親魚の卵巣内にほぼ周年残留卵は認められた。残留卵の長期滞留の発生は,親魚が過熟卵を放卵できず,卵巣での再吸収に長期間を要することによる。また,残留卵をもっていた親魚でも排卵し良質卵が得られた場合があり,残留卵の長期滞留と翌年の成熟への影響は明確ではない。
著者
西原 大輔
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

Pax6は眼の「マスターコントロール遺伝子」とも呼ばれ、その所以の一つは、ショウジョウバエやアフリカツメガエル胚においてPax6遺伝子やmRNAの強制発現によって異所的な眼の形成が誘導されたという知見によるものである。脊椎動物の場合、眼の複数の組織の正常形成がPax6遺伝子の機能喪失によって乱されることから、Pax6は眼の形成過程で多面的な機能を担っていると考えられている。従って、眼の形態形成過程を理解し、また将来の展開が予想される眼の組織再生に発生学的な知見を活かす上でも、Pax6のin vivoでの機能解析は必須の課題と言える。本研究では、共通の発生起源から形成される網膜色素上皮(RPE)と神経網膜の2つの眼の組織の形成過程に着目し、1)Pax6という1つの因子が、異なる2種類の組織の形成に関わっているかどうか、2)またその過程でPax6がどのような分子メカニズムを介して機能するのかを解析した。解析の結果、1)については、Pax6が実際にRPEと神経網膜の両方の形成を促すことを、一つのin vivo実験系内で観察できた。RPEと神経網膜の発生過程では、それぞれのプロセスを異なる転写因子が動かしている。本解析では、構成的活性化状態のPax6をコードする遺伝子を眼杯に導入することで、Pax6の機能が亢進した場合にRPEと神経網膜のそれぞれで特異的に発現する転写因子の両方が発現誘導されることが分かった。さらに2)について、RPEと神経網膜のそれぞれで働く転写因子の発現誘導が、Pax6タンパク質内の異なるドメインを介して活性化されることも明らかにした。これらのデータはPax6の多面的な機能メカニズムの一端を明らかにするものであり、現在論文投稿の準備中である。
著者
梶原 大輔 上浦 大智 藤田 貴大 前田 香織 相原 玲二 西村 浩二 岸場 清悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.409, pp.81-86, 2005-11-10
参考文献数
5
被引用文献数
5

MAT-MONETは筆者らが提案している複数インターフェースに対応したモバイルネットワークアーキテクチャである.本稿ではDHCPやルータ広告に相当する, MAT-MONETにおけるアドレス割当プロトコルについて述べる.また, モバイルルータが多段で構成されたモバイルネットワークにおいてモバイルルータの移動情報を配下のモバイルルータやモバイルノードに伝えるための移動通知プロトコルについて述べる.このとき, モバイルノードは複数インタフェースをもつことを前提としており, 移動通知情報にはインターフェースの優先度が含まれる.
著者
河原 大輔
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究は、アメリカ映画におけるポスト古典映画の諸相を明らかにするべく、近年積極的に行われてきたポスト古典論争の再検討を、とりわけインディペンデント映画研究、ニューメディア論との比較検討から重点的に行った。インディペンデント映画研究においては、とりわけ、ポスト古典初期ともいえる60年代後半からそのキャリアをスタートさせたデイヴィッド・リンチを主たる研究対象とし、彼の作品の製作・配給・上映形態がいかなる変化を遂げてきたのかを検証した。そこで明らかになったのは、深夜上映からブロックバスター、テレビドラマ、ウェブサイトへと、変則的ながらもゆるやか移行を見せるリンチの製作態度が、ポスト古典論を展開する理論家が提示してきた現代アメリカ映画の諸特徴と連動するのみならず、90年代以降のニューメディア論とも共振しているということである。また、テレビドラマのパイロット版を映画として公開したり、ウェブサイトでの公開用に撮影したデジタル映像を映画館でフィルム上映したりする近年のリンチの変則的な製作態度を、オールド・メディアとしての映画からインターネットをはじめとするニューメディアへの移行という直線的なメディア史の記述方法に疑問を投げかける重要な事例として検討した。これらの結果判明したことは、現代はむしろ、ヘンリー・ジェンキンスが説くように、新旧のメディア双方が乗り入れ、奇妙な同居を見せる時代として理解されるべきであり、このように理解したとき、リンチの映画および60年代以降のポスト古典映画は旧来の古典映画とニューメディアを段階的に繋ぐ領域として、より広義にはポストモダンへの移行を記述するメディアとして、意義深い視点を提供するであろうということである。研究成果は日本映画学会および日本アメリカ学会において順次発表される予定である。
著者
飯高 茂 水谷 明 藤原 大輔 中島 匠一 岡部 恒治 川崎 徹郎
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究においては主に高校数学の数学教育のあり方を様々な面から研究した。平成13年度から15年度まで9月と1月に数学教育の研究会「数学教育の会-夏の集会、冬の集会」を開催し、大学、高校、教育行政、学会など幅広い数学教育関係者が70名前後集まり、論文の発表と討論を行った。具体的事項を挙げる。1 新しい学習指導要領での新科目「数学基礎」について、その構成、具体的な素材の展開などが研究会でくり返し発表され議論された。その結果は「数学教育研究数学教育の会編集」に詳しく発表され実際の教育現場で活用された。2 研究代表者は、高等学校数学の科目「数学C」で学習される「いろいろな曲線」の内容をさらに研究し、専門的な数学の立場に立った研究書「平面曲線の幾何」他を出版し研究成果を公表した。3 高校から大学の数学教育の中心は微積分であるが、その社会での有用性の研究を行った。4 学力向上のためには数学的活動の活発化が大切で、そのための様々な素材や方法が研究された。また、簡単な内容でも数学的に深い研究ができる例が発表された。5 数学の勉強を日常化するのに有効な方法として、携帯型ゲーム機にグラフ電卓の機能を付加して生徒がゲーム感覚の延長で数学を視覚的に捉えるここを可能にするソフトを開発した。これを用いて関数のグラフを身近なものとし、数学力を確かにつけることが期待できる。6 これらの研究成果を「数学教育研究数学教育の会編集」にまとめ2002年1月、2003年1月、2004年1月に出版し、各方面に配布した。また、数学的活動の例示集「数学教育研究番外編コンピュータを用いた数学的活動数学教育の会編集」を2002年2月に出版した。