著者
蒲原 聖可
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.141-143, 2014 (Released:2014-05-23)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

現在,サプリメント(機能性食品,いわゆる健康食品)が健康保持や疾病予防のために広く利用されている.特に,高齢者ではサプリメントの利用率が高いことが知られており,関節機能や感覚器(視覚機能)訴求製品が頻用されている.この10数年ほどの間に,サプリメント・機能性食品成分に関する研究が顕著に増加し,安全性・有効性・経済性を示す一定の科学的根拠が構築されてきた.したがって,サプリメントは,高齢者医療において,標準治療の補完療法としての臨床的意義が期待される.ただし,高齢者では,複数のサプリメントを摂取していることが多く,医薬品との併用による相互作用も懸念される.今後,サプリメントの適正使用に向けた疾患別診療ガイドラインの整備が求められる.
著者
清原 聖子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.354-358, 2011-05-01

2009年,政権交代によって原口総務大臣が就任すると「日本版FCC」の設立がアジェンダ化された.そこで,本稿の目的は,これからの日本の情報通信政策の展開においてアメリカの連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)のような独立規制機関が必要なのかどうか検討する際の材料を提示することにある.本稿ではFCCとはどのような組織なのかその特徴を説明し,独立規制機関の政治的中立性の問題について考察し,通信・放送の規制機関を様々なアクター(政治的主体)が監視することができる体制の確保が重要である点を指摘している.
著者
森口 祐一 工藤 祐揮 松八重 一代 福島 康裕 醍醐 市朗 中島 謙一 栗島 英明 菊池 康紀 中谷 隼 田原 聖隆 井原 智彦 兼松 祐一郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では,国内産業および輸入原料を含む国産製品のサプライチェーンを対象として,それが産み出す社会価値と,地域レベルおよび地球レベルで発生する環境・資源ストレスの統合的ホットスポット分析の枠組みを確立することを目的とした。輸入資源の国際サプライチェーン分析,地域における再生可能エネルギー供給システム,産業廃棄物の地域間分析,サプライチェーンの地震リスクといった数多くの事例分析を実施し,それぞれ潜在的なストレス・リスク要因のホットスポットを特定した。さらに,分析方法のアルゴリズムおよび原単位のデータベースをソフトウェアに実装することで,ホットスポット分析の枠組みの汎用化を目指した。
著者
渡邉 剛広 島 麗香 坂原 聖士 高倉 啓 黒谷 玲子 阿部 宏之
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第106回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.OR1-15, 2013 (Released:2013-09-10)

【目的】ミトコンドリア内膜に存在する呼吸鎖複合体IV(シトクロムcオキシダーゼ:COX)は電子伝達系の終末酵素である。COXは機能分化した体細胞において詳しい機能解析は行われているが,卵子や初期胚における研究はほとんど進んでいない。本研究では,マウスの初期発生におけるCOXの役割を調べるために,未受精卵子から器官形成期までの初期発生におけるCOX mRNA発現とミトコンドリア呼吸機能を解析した。【方法】ICR系雌マウスからMII期卵母細胞,1細胞期〜8細胞期胚,桑実胚,胚盤胞および胎生8.5日胚(E8.5)を回収した。各発生ステージにおいて,COXを構成する全13サブユニットのmRNAをRT-PCRにより解析した。また,卵母細胞および胚において(1)酸素消費量,(2)活性型ミトコンドリアの局在と相対膜電位,(3)ATP含量を解析した。【結果】ミトコンドリアゲノム由来のCOX1,COX2およびCOX3のmRNAは,全ての発生ステージの卵母細胞および胚において検出された。一方,核ゲノム由来COXの mRNAは,MII期の卵母細胞ではCOX6a,COX7bおよびCOX7cを除く7サブユニットのmRNAが検出されたが,1細胞期から8細胞期の胚においてこれら7サブユニットのmRNAは著しく発現量が低下した。桑実胚および胚盤胞ではCOX7cを除く9サブユニットのmRNAが検出され,E8.5では核ゲノムにコードされる全サブユニットのmRNAが検出された。この核ゲノムCOX mRNAの増加は,酸素消費量の増加とミトコンドリア膜電位活性の上昇と一致した。本研究では,未受精卵子から器官形成期胚に至るマウス初期発生におけるCOX mRNAの発現パターンの解析に初めて成功した。ミトコンドリアゲノムと核ゲノムのCOX mRNAはそれぞれ異なる発現パターンを示し,ミトコンドリア呼吸機能の亢進に核ゲノムCOXサブユニットが重要な役割を果たしていることが示唆された。
著者
本田 智則 田原 聖隆 竹内 憲司 稲葉 敦 西野 成昭
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、分散型電源及び既存電源を協調させつつ、長期安定的に稼働可能な電力システムの構築を目指し研究を実施してきた。再生可能エネルギー発電設備についてのLCA(Life Cycle Assessment)を実施し環境負荷の定量化を行った。また、インセンティブ制度設計にあたっては特に省エネが遅れている家庭部門に着目しHEMSデータを活用しライフスタイル別のエネルギー消費実態を特定すると同時に実験経済学の手法によって電力需用者の省エネインセンティブについての知見を得ることができた。仮想電力取引市場設計にあたっては各市場毎のライフスタイル変容が重要な課題であると言う今後の課題を得た。
著者
藤原 聖子
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.27-43, 1998-03-31

In the 1980s many scholars of religion admitted that the debate over secularization had come in an impasse. By that time the secularization thesis had generated a multitude of criticisms, but most critics were satisfied with presenting counter-evidence represented by new religious movements and fundamentalism. What was most awaited was a comprehensive alternative theory. The situation shows little evidence of change in the 1990s. Although there are two contending new trends, namely, rational choice theory and post-colonial cultural theory, neither of them has succeeded in forming a theory of secularization both innovative and compelling. After surveying these recent discussions, this paper attempts to present a new theory by rehabilitating one of the most controversial components of secularization theory : the rise of unbelief. Employing some general theories of modernization, I reinterpret "unbelief" as an outcome of a certain irreversible change in modernization. From another perspective, I propose a relationalistic approach as opposed to an atomistic approach, which underlies "differentiation" theory, the best accepted part of secularization theory. The atomistic approach is also related to the dualism of "the sacred" and "the profane" as quantitative categories, which has caused scholars to overlook qualitative-systematic changes in modern religious phenomena.
著者
斧原 聖史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.48, pp.19-22, 2010-05-14
参考文献数
23

3月に米国サンディエゴにて開催されたOFC/NFOEC2010について,光伝送システム関連(カテゴリーEおよびF)のトピックスを紹介する.光伝送システムでは,昨年12月に100Gb/sシステムの商用化が始まり,学会の興味は既にbeyond 100Gb/sに向いている.ポストデッドラインペーパーでは,ディジタル・コヒーレント技術による100Gb/sの伝送実験結果が多数報告され,今後の更なる大容量化の期待を予感させるものであった.また,電気分散補償,誤り訂正,光直交周波数分割多重にも記録更新などの新たな進展が見られ,注目を集めた.
著者
原 聖樹 岩重 力 伊藤 哲夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.65-68, 1974-08-01

Catopsilia scylla (Linnaeus)は,♂ の前翅が純白色,後翅は橙黄色,♀は前翅乳白色,後翅暗黄色で,表面前後翅の対照があざやかな美しいシロチョウである.分布は,南ビルマからマレイ半島・マレイ群島をへてフィリピン・オーストラリアにおよんでいる.Corbet&Pendlebury (1947)によれば,ボルネオ島から未知であったが,1968年8月に森下和彦氏がサバ州Inanam(海岸線平野部)で2♂♂を採集され,この島にも分布していることが明らかになった(森下,1970).1972年12月26日〜73年1月10日,筆者らは昆虫調査団を編成してボルネオ島北東部のサバ州(マレーシア領)でキナバルカンアオイ?の探索を行なったが,その際多数の本種を目撃し,同地ではけっして珍しいものではないことを確認できた.普通種ながら分布上の問題を含む種のように考えられるので,とりあえず問題提起の意味をかねてその概要を報告しておく.