- 著者
-
蒲原 聖可
- 出版者
- ファンクショナルフード学会
- 雑誌
- Functional Food Research (ISSN:24323357)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, pp.34-42, 2022-09-12 (Released:2023-01-26)
- 参考文献数
- 22
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として,ウイルスへの暴露機会を減らす予防策が実践されており,ワクチン接種も進められている.一方,ヒトの側でのウイルス感染への抵抗性を高める対策も重要である.つまり,生体防御機構の維持・亢進による感染防御策,抗炎症や抗凝固といった作用による軽症者の重症化予防である.具体的には,適切な食事あるいはサプリメントの適正使用により,ビタミンやミネラル,その他の機能性食品成分を摂取することがCOVID-19 対策のもう一つの柱となる.これらは,後遺症対策としても重要である.機能性食品成分には,抗ウイルス作用や免疫賦活作用,抗炎症作用などを有する成分が知られており,ウイルス性呼吸器感染症の予防や重症度軽減作用が報告されてきた.すでに,ビタミンC,ビタミンD,亜鉛,クルクミン,コエンザイムQ10(CoQ10),ラクトフェリンなどでは,COVID-19 の罹患リスクや重症化リスクを抑制することが示されている.ワクチン接種による集団免疫獲得などにより,COVID-19 のパンデミックは収束に向かうと期待される.一方,COVID-19 変異株への懸念や,新興感染症の周期的・局地的な流行は,今後も継続 する.したがって,COVID-19 も含めた新興感染症対策として,セルフケアおよび補完療法での機能性食品成分の利活用が重要である.本稿では,COVID-19 の感染予防および重症化予防の視点から,機能性食品成分のエビデンスを概説した.