著者
原田 隆史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.725-737, 2012 (Released:2012-02-01)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Project Next-Lは,次世代の図書館システム開発の主導権を図書館関係者自身の手に取り戻し,オープンソースによる図書館システムの仕様を図書館員が共同で作成することを目指すプロジェクトである。Project Next-Lの仕様をもとに開発された統合図書館管理システムNext-L Enjuは,一般的な図書館システムの機能を備えるほか,Web2.0に対応した各種の新機能,図書と電子ジャーナルなどの電子的情報資源を一元的に管理する機能,FRBRに対応した書誌レコードを管理する機能など,数多くの新しいサービスに対応する仕組みを備えている。また,Next-L Enjuはオープンソース・ソフトウェアとして公開されており,自由に利用することができるという点も大きな特徴である。Next-L Enjuは2012年1月から正式公開された国立国会図書館(NDL)サーチのベースとして採用されているほか,物質・材料研究機構の図書館や南三陸町図書館で実際に稼働しはじめるなど利用が広がりつつある。
著者
原田 隆史
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.182-186, 2011-05-01

日本における図書館システムは1980年代から導入が進められ,主として図書館のハウスキーピング業務の効率化に大きく寄与してきた。しかし,その後の図書館システムの進歩は遅く,特に利用者サービスの中核をなすオンライン閲覧目録(OPAC)については,他のWebサービスと比較して時代遅れであるとも言われてきた。近年,このような状況が少しずつ変化してきている。たとえば,クラウド・コンピューティングを利用した図書館システムやオープンソース・ソフトウェアとして開発されたシステムの出現,ディスカバリ・インタフェースと呼ばれる新しいOPACの提供などはその代表である。また,図書館が取り扱う資料自体も従来の紙媒体の資料だけではなく,電子ジャーナルや電子書籍など多様なものとなってきている。本稿では,このような多様化してきた図書館システムの状況について概説する。
著者
原田 隆史 高久 雅生 小野 永貴 杉岡 秀紀 真山 達志 逸村 裕 江草 由佳 岡部 晋典 小泉 公乃 山本 順一 安形 輝 桂 まに子 岸田 和明 佐藤 翔
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,「資料」「来館者」「非来館者」「知の拠点」「図書館制度・経営」という5つの観点を研究する5 つのグループを設定して,日本の公共図書館全体を対象とする大規模な質的・量的調査を実施する。これによって日本の公共図書館に関して,それぞれの機能・サービスの基準とし,規模や地域経済など,図書館の状況に応じたベースラインを明らかにする。本研究により日本の公共図書館すべてに適用可能な評価パッケージを開発可能にすることが可能になると考えられる。
著者
原田 隆史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.725-737, 2012
被引用文献数
1

Project Next-Lは,次世代の図書館システム開発の主導権を図書館関係者自身の手に取り戻し,オープンソースによる図書館システムの仕様を図書館員が共同で作成することを目指すプロジェクトである。Project Next-Lの仕様をもとに開発された統合図書館管理システムNext-L Enjuは,一般的な図書館システムの機能を備えるほか,Web2.0に対応した各種の新機能,図書と電子ジャーナルなどの電子的情報資源を一元的に管理する機能,FRBRに対応した書誌レコードを管理する機能など,数多くの新しいサービスに対応する仕組みを備えている。また,Next-L Enjuはオープンソース・ソフトウェアとして公開されており,自由に利用することができるという点も大きな特徴である。Next-L Enjuは2012年1月から正式公開された国立国会図書館(NDL)サーチのベースとして採用されているほか,物質・材料研究機構の図書館や南三陸町図書館で実際に稼働しはじめるなど利用が広がりつつある。
著者
原田 隆史 江藤 正己 高柳 知世
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.153-160, 2008-05-23
被引用文献数
3 2

近年,感性に基づいて小説を検索できるシステムが開発され実用化されてきている。著者らも児童書を対象としてオンライン書評から感性を示すパラメータに値を設定し,検索できるシステムを構築してきた。しかし,人間が付与するパラメータの値と書評中の語との関係の分析は十分に行われておらず,書評中の語を元として感性パラメータの値をどのように設定することが適切であるかは明らかとなっていない。本研究は,書評中の「人の感情や本の雰囲気を表す語」を元に機械学習の手法を用いて人間の判断と一致する感性パラメータの値を付与する実験を行ったものである。図書1605冊分の書評を使って自動設定実験を行った結果, (1)自動設定において書評中の語を使うことに有用性がある, (2)書評中のすべての語を用いるよりも,出現回数が多い30語程度を用いた方が効果的である, (3)書評中から抽出する語の品詞はほとんど再現率に影響しないことなどを明らかにすることができた。
著者
原田 隆史 横山 瑠美 長井 英夫 佐々木 雅吾
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構 一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.173-176, 2005

現在,Linuxをはじめとして多くのオープンソース・ソフトウェアが使用されている。医療や教育の現場においても,これらを開発・利用して効率化を計ろうとする動きがある。図書館においても,諸外国ではオープンソースの図書館用システムが数多く開発されており,いくつかの統合図書館システムが実際に使用されている。これらのオープンソース図書館システムを日本に導入する場合,日本特有の問題などが存在すると考えられ,単に表示を日本語化すれば解決するという問題ではない。そこで,本研究においてはニュージーランドで開発されたKohaを日本語化して,実際に図書館員に試用していただき,その問題点についてまとめた。その結果,特に書誌記述の問題ならびに日本語特有の読みや表記のゆれの問題,個人情報の管理に関する問題が大きな問題であることが明らかとなった。その詳細および,それに対する対策についての提言を発表する。
著者
中道真一 田辺浩介 原田隆史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.105, pp.53-64, 2008-10-30

近年の Web 技術の進歩などを受けて,図書館システムについても新た態機能の追加などが検討されてきている。本研究は,オープンソース図書館システムをベースとして, Web 2.0 的な機能などいくつかの新しいサービスのうち,どのような機能を中心に実装するのが良いかについての検討を行ったものである。候補となる機能の候補を対象としてインタビュー調査とケプナー・トリゴー法の決定分析プロセスをもとにした手法で意見の集約を行った。また,その結果をうけて FRBR の採用,集合知の利用などの新しい仕組みを取り入れたプロトタイプシステムを作成して評価した。With the development of network and web technologies, new functions for library systems have been discussed. In this paper, we surveyed and examined functions to be implemented among new functions related to Web2. 0 open-source library system. Based on the systematic examination, evaluation of user studies, the results of the interview and the decision making process of Kepner-Tregoe Program, we have developed a prototype system which includes new features like FRBR and collective intelligence.
著者
原田 隆史 吉村 紗和子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.65-72, 2010-05-15 (Released:2010-07-10)
被引用文献数
3 2

オンライン書店のサイトをはじめとして,読者自身が図書の感想などを投稿するオンライン書評サイトが増加してきている。本研究は,このようなオンライン書評の持つ特徴を,新聞書評などと比較することで明らかにするものである。書評中の各文を,評価対象,評価の視点,評価の客観性,評価極性(肯定的か否定的)かという4つの観点から分類し,集計した。その結果,1) 評価対象は「作品に対する評価」がどの書評でも評価組全体の約9割を占め,書評ごとの変化は見られない,2) 評価の視点について,新聞書評では「作家の表現手法」などが全体の48%を占めるのに対し,オンライン書評では「ストーリー」や「場面」がほとんどである,3) 新聞書評では客観的な表現や肯定的な評価がほとんどであるのに対し,オンライン書評では主観的な表現や否定的な評価も多く多様な内容であることが明らかとなった。
著者
原田 隆史 青山 周平 西山 麻里 竹内 花織 徳永 優衣
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.152-159, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
14

小説を読む場合には,しばしば裏表紙などに書かれた紹介文を参考として図書を選択することが行われる。しかし実際には,紹介文を読んだ時に期待したものとは異なる感想を持つ結果となることも少なくない。このような齟齬の原因としては,小説に対する感想の個人差がある場合のほか,読書前後で図書に対して注目する観点が異なることも考えられる。本研究では,読書前にこのような感想を持つだろうと予想して作成された文章と,読書後に実際に作成された文章(感想文)との比較を行い,読書前後で観点が変化するかどうかを調査した。10冊の小説を対象として読書前後に作成された文章の中に出現する語の品詞や意味の種類の分析を行ったところ,出現する語の品詞や意味の種類は読書前後で共通であり,読書前後での観点そのものには大きな違いはないことが明らかとなった。
著者
原田 隆史
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.291-296, 2011-05-28

学校図書館などにおいて読書指導を行う場合には,子どもたちが興味を持つ図書を提示することが有効である場合が多い。そのために,著者らもオンライン書評中の語を元として児童書・ヤングアダルト図書に感性パラメータを設定し,感性を元にして図書の検索を行うシステムを開発してきた。しかし,子どもたちにとって,感性パラメータを設定することが困難であることも多く,感性キーワードを直接入力するのではなく既に読んだ図書を入力して類似する小説を提示することが望まれている。そこで,本研究では,指定した図書と感性パラメータの分布が類似する図書を提示するシステムを試作し,その評価を行った。児童書・ヤングアダルト図書1425冊を対象として,10名の被験者に入力した図書と関連する図書30冊を提示したところ,約53%の図書について強い興味があるという結果が得られた。
著者
原田 隆史
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.383-390, 2010-12-04 (Released:2010-12-30)
参考文献数
30

日本で用いられている電子書籍フォーマットとしては, EPUB, .Book, XMDF, PDF など,さまざまな観点から標準化された電子書籍フォーマットが存在する。本稿では,各種の電子書籍フォーマットについては概観するとともに,その学術情報流通への課題について検討する。
著者
原田 隆史 川島 隆徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.132-135, 2018-09-03 (Released:2018-05-18)
参考文献数
7

地方自治体の95.7%が例規集をWeb上で公開しているが,その多くは自治体のWebページ内で閲覧ができるのみであり,複数自治体の例規を横断検索することは困難である。また,4.3%の自治体の例規はオンラインで検索ができない。本研究ではWeb上で例規集を公開している1,712自治体のデータを自動収集するとともに,Webでは公開していない自治体にも協力を依頼して本文のデジタル化およびメタデータの作成を行い,1,739自治体(全1,788自治体中の97.3%)の例規集を横断で全文検索できるデジタルアーカイブシステムを開発した。本システムでは,現行の例規に対する横断検索を行うことができるほか,自治体種別,語句の出現場所,制定年などを指定した詳細検索も行うことができる。また,改定されたり廃止された例規についても保存して検索することができるアーカイブ機能も備えている。
著者
原田 隆史 大谷 由里子 奥寺 憲穂
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.244, pp.72-75, 2005-01

——2004年を振り返ると、イラク問題に揺れ、大型台風に新潟県中越地震。殺人も増え、今の日本の歪みへの警鐘が一気に吹き出た観があります。原田 私らには考えられないようなことが、今の日本には起こってます。典型が、インターネットでつながった者が集まって、集団自殺。気の毒です。
著者
原田 隆史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.383-388, 2008
参考文献数
19
被引用文献数
1

近年,文化の保存や学好防報の情報源の入手可能性の確保などを目的として,世界中でWebページを保存するWebアーカイブが構築されてきている。Webアーカイブは,更新された過去のWebページの保存や,将来的な閲覧可能性の確保など,検索エンジンとは異なる技術が必要とされる。本稿では,Webアーカイブに関わる技術的な仕組みや,その課題について概説する。