著者
横井 徹 和田 淳 森信 暁雄 全 勝弘 関川 孝司 川野 示真子 永山 恵子 池田 弘 浅野 健一郎 福島 正樹 山本 博 土居 偉瑳雄 日下 昌平
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.1463-1469, 1991-11-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
25

1989年7月から1990年9月までの15か月間に経験したパラコート中毒例6例に対し, 胃洗浄, 血液吸着 (DNP), 強制利尿に加えて, ポリエチレングリコール含有電解質溶液Golytelyを用いた72-96時間の連続的な腸洗浄を行い5例を救命した. 救命例5例では, 治療開始後比較的短時間で尿中パラコート定性反応は陰性化し, 全例後遺症なく1か月後に退院した. 死亡例1例は大量服用例で, 尿中パラコート定性反応は陰性化せず, 多臓器不全に陥った.パラコート中毒治療の要点は本剤の体外への速やかな排泄である. 現在治療は腸管洗浄と血液浄化, 強制利尿を組み合わせて行われているが, 腸洗浄は電解質異常などをきたすため強力に行うことは難しい. Golytelyはこの欠点を補い, パラコートが腸管から体内へ吸収される前に速やかに排泄することによって本症を効果的に治療しうると考えられる. しかし本症のように腸管に広範囲の粘膜欠損を生じる場合は, 体内への多量の水分貯留をきたす場合があるので循環動態に注意が必要と考えられた.
著者
大木 孝一 和田 公平 山本 祐三 牧本 一男 高橋 宏明
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.1757-1762, 1993-12-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
6
被引用文献数
2 4

Actinomycosis is a chronic purulent granulomatous disease caused by actinomyces, an organism which is often present in man. Patients with a chronic clinical course have been on the increase in recent years, and differentiating this disease from tumor is often necessary when the mass is in facial and cervical regions other than the oral cavity and jaw. We report two cases of actinomycosis in the face and neck.Case 1: A 54-year-old man complained of a swelling in the anterior part of the neck. A mass 65 × 70 mm with redness of the skin was noted at his first visit. The mass was of platelike consistency with a smooth surface closely adherent to the surrounding tissue. The tuberculin test was negative. A malignant tumor was considered, so percutaneous needle biopsy was performed, but no significant abnormality was found. Antibiotics were given by drip infusion, and the mass disintegrated. Yellow viscous pus containing light gray granules was discharged to form a fistula.Case 2: A 40-year-old man developed a swelling in the left cheek. A ping pong ball-sized mass of plate-like consistency with redness was noticed at his first visit. A fistula formed in the oral cavity on the left, and pus was discharged from it. Plain CT revealed an isodense lesion in the left cheek, with no connection to the maxillary sinus.Actinomyces is anaerobic, so it was not detected by culture in either case. Histopathological examinations of actinomycotic granules was useful in the diagnosis.The treatment consists mainly of drainage by incision of the lesion and administration of antibiotics, especially penicillin.
著者
和田 小次郎
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.51-99, 1948-07
著者
和田 光正 中田 典男 本荘 吉男
出版者
日本茶業技術協会(農林省茶業試験場内)
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.54, pp.47-58, 1981
被引用文献数
1

寒冷地,温暖地,暖地の3産地から茶期別に初期・中期・末期に分けてそれぞれ摘採したやぶきた無覆茶園の原料について,茶芽の形態と化学成分を調査検討した。<BR>1.茶芽の形態については,寒冷地と暖地のものが全般的に大きく,温暖地の茶芽が小さい傾向がみられた。第3葉の葉長,葉厚は葉幅の大きさによって左右される傾向がみられた。<BR>2.茶葉の水分含量は,一番茶では暖地のものが多い傾向を示したが,二番茶では産地間の差がみられなかった。また,全窒素含有量は産地の差が少なく,タンニン含有量では,一番茶は寒冷地のものがやや多い傾向がみられたが,二番茶になると暖地のものが若干多くなる傾向がみられた。全ペクチン,粗せんい,粗でんぷん,可溶分は産地間の差がなく,可溶性窒素,カフェン態窒素は全般的にみて暖地のものが高い傾向であった。また,アミノ酸含有量は,一番茶では暖地の原料が多いが,とくに主要アミノ酸の多いのが注目された。<BR>最後に,この試験のために試料の収集,調査に御協力頂いた埼玉県茶業試験場,静岡県茶業試験場,鹿児島県茶業試験場の方々,ならびアミノ酸の分析に御協力頂いた茶業試験場前化学研究室長・中川致之博士,また,とりまとめにおいて御助言頂いた枕崎支場製茶研究室・岡田室長に深甚なる謝意を表します。
著者
和田 誠 古賀 聖治 野村 大樹 小達 恒夫 福地 光男
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.271-278, 2011-11-30

2009年に就航した新「しらせ」には,改造した20 ftコンテナを船上実験室として搭載するスペースが確保された.第51次日本南極地域観測隊では,このコンテナ実験室の内部に大気中の硫化ジメチル濃度を測定するためのプロトン移動反応質量分析計を収納し,観測を実施した.本稿では,コンテナ実験室の概要と今後改良すべき点等について報告する.
著者
和田 秀樹
出版者
静岡大学
雑誌
静岡地学 (ISSN:02850753)
巻号頁・発行日
vol.111, 2015-06
著者
和田 剛志 澤村 淳 菅野 正寛 平安山 直美 久保田 信彦 星野 弘勝 早川 峰司 丸藤 哲
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.191-195, 2010-04-01 (Released:2010-10-30)
参考文献数
13

甲状腺クリーゼと診断した4例を経験した。1例は来院前に心肺停止となり,蘇生後低酸素脳症により不幸な転帰となったが,他3例は迅速な診断と治療により良好な経過をたどった。4例すべてに心不全徴候を認めたが,甲状腺治療薬が心不全や全身状態を悪化させる可能性があるため,治療に際しては十分な循環動態の監視が必要と考えられた。また,外傷後の異常な頻脈と発熱持続を認める場合,甲状腺機能評価を視野に入れた治療が必要と考えられた。
著者
和田 杏実
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

第一年度目はまず、これまでの研究成果を整理し、追加・修正を行なうことで、本研究テーマの基礎を固めることを目標とした。本研究テーマの基礎とは、19世紀末から第一次世界大戦までのイギリスが、帝国防衛という観点から戦時国際法形成にどのような態度で取り組んだのかを検証することであり、この作業によって、同時代の他国の態度との比較および戦間期イギリスの態度との比較検証が容易になると考える。そこで、特別研究員奨励費を使用して2008年8月15日から21日までロンドンに滞在し、ロンドン国立公文書館において、イギリス外交文書の収集を行なった。その成果を「20世紀初頭イギリスにおける海戦法政策:軍事的観点からみた国際規範形成」として論文形式でまとめた。従来の研究では実際の政策担当者たち以外の言説、つまり傍系の閣僚の理想主義的見解や野党の批判を主に参照していたため、イギリスの海戦法政策は"変則的"あるいは"不合理"と評価されてきたことを指摘する。そこで、実際にはどのような権利と軍事戦略が重視されて海戦法政策が立案されていったのかを、政策形成に直接携わった閣僚と将校の見解を分析対象として再構築することで、そうした従来の評価の修正を試みた。その結果、海軍省と外務省の大臣や国際会議に出席した実務家は、第一回ハーク会議当初から一貫して、イギリスの交戦国の権利を主張し、海上における通商戦争に勝利できるような軍事戦略と海戦法政策を構想していたことを明らかにした。重要な主張を他国に認めさせることができた1909年ロンドン宣言はイギリス海軍省によれば「決定的勝利」であったが、イギリスが第一次大戦中に宣言を放棄したことは、"不合理"ではなく当然の帰結であった。というのも、イギリスの基本的な態度は帝国防衛のためには自国の規則が海戦に関する戦時国際法より"優れて"いるというものであったからだ。さらに、ハーグ会議や戦時国際法に関する研究は国内外で積み重ねられてきたが、戦争違法化の第一歩という今日的意義で捉えられることが多く、その"善きイメージ"が実態と乖離しているように思われる。しかしながら、戦争が政治紛争を解決する最終手段として合法であった当時においては、軍事行動を拘束するいかなる措置も認められるべきではないという見解が主流であり、各国の軍事行動に影響を及ぼす一連の国際法規範形成から自ら手を引くことが結局は国益を損なうことを意味した。二つのハーグ会議とロンドン会議は、軍事力を規定する規範形成における各国の攻防が繰り広げられた舞台であったと言えよう。以上の研究成果を、2009年2月付けで、東京大学大学院総合文化研究科の国際関係論研究会が発行する『国際関係論研究』に投稿した。現在、当該論文は査読中である。
著者
上林 孝豊 柳原 一広 宮原 亮 板東 徹 長谷川 誠紀 乾 健二 和田 洋巳
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.566-569, 2003-07-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
12
被引用文献数
2

目的・対象: 当院で手術を施行し, 病理組織学的に肺カルチノイドと診断された20症例 (定型15例, 非定型5例) の臨床的検討を行った.結果: 定型, 非定型の5年生存率は, それぞれ86.6%, 60%であった.定型の1期症例は術式に関わらず全例, 無再発で生存中である.非定型は全例, 葉切除および肺門縦隔リンパ節郭清が行われていた.1期3症例は, いずれも無再発で生存中であるが, T2N2のIIIA期症例, T4NOのIIIB期症例は, 集学的治療にも関わらずそれぞれ術後10ヵ月後, 61ヵ月後に遠隔転移にて癌死した.定型では観察期間1~250ヵ月間 (平均観察期間72.8ヵ月) において, 5年生存率は86.6%であった.非定型では観察期間10~251ヵ月間 (平均観察期間121, 4ヵ月) において5年生存率は60%であった.まとめ: T2の定型カルチノイドに対する縮小手術の可能が示唆された.またIII期以上の非定型カルチノイドに対しては有効な集学的治療の確立が望まれる.