著者
元田 敏和 塚本 太郎 南 吉紀 濱田 吉郎 Motoda Toshikazu Tsukamoto Taro Minami Yoshinori Hamada Yoshiro
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 = JAXA Research and Development Report (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-10-007, 2010-11-30

リフティングボディ形状の機体は,宇宙往還機の候補の一つとして考えられている.翼胴形状の航空機に比べて再突入時の空力加熱に比較的強い構造であること,より大きなペイロード容積を確保できること,ロケット先端のフェアリング内に収まりやすい形状であることなど有利な点が多い.揚力を利用して飛行するため,カプセル形状に比べればより柔軟な飛行制御が可能となる.その一方で,揚抗比が極めて小さく,飛行性能は通常の航空機に比べ劣り,低速での飛行制御が困難である.特に滑走路への着陸では,低速であるが精度の高い飛行制御が要求される.この技術課題の克服に向け,小型模型を用いたリフティングボディ飛行実験(LIFLEX)が計画された.飛行実証においては,着陸性能を確保する飛行制御系が技術開発の中心となる.実際に想定される外乱や機体モデル誤差などの様々な不確定要因の存在下において,求められる着陸性能を確保する必要がある.本稿では誘導制御系設計の概要について触れた後に,数値シミュレーションによるシステム評価と設計の改善について述べる.まず様々な不確定要素を組み込んだシステムを,数値シミュレーションにより評価した.次に,非線形システムの設計パラメタを直接最適化するために開発した手法を用い,不確定性に対するロバスト性を改善した.さらに今後の開発の参考資料とするため,小型模型実験機である本実験機固有の設計条件を見直し,より一般のシステムに適用可能な条件を用いて,システムを評価した.
著者
塚本
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.99-107, 1996-12-01
参考文献数
40
被引用文献数
1

コロナウイルスは, 牛・豚・鶏・マウス・ヒト等の多くの動物種において, 呼吸器系, 消化器系, 生殖器系, 神経系などの様々な臓器で増殖し, 急性で致死的な疾病から慢性で持続的な疾病まで, 様々な病気を引き起こす。更に, 鶏・マウスでは持続感染と homologous recombination が報告されている。それだからなのか, コロナウイルスは株によって病原性が多様で, 抗原域も広い。特に鶏のコロナウイルスでは, 野外株に多くの血清型が存在し, ワクチンによるコントロールを難しくしている。このようにコロナウイルスは, ウイルス生物学の点でも, 伝染病制御の点でも, 興味深いウイルスであるにもかかわらず, 分子生物学的解析はその他の主な (+) 鎖RNAウイルスに比べ遅れている。その理由の1つとして, ウイルス遺伝子が27-32Kbと大きなために感染性cDNAが作られていないことがある。このため, コロナウイルスの分子生物学的研究は直接的証明よりも間接的証明が多く, 実験が複雑で, 解釈も慎重を要することが多い。この状況下で, 苦労を重ね, 工夫をこらしながら進められている, コロナウイルスのRNA合成機構に関する研究について, 最近3-年間4の成果を紹介したい。
著者
塚本 ひかり 室 伊三男
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.463-470, 2021 (Released:2021-05-20)
参考文献数
8
被引用文献数
2

Purpose: We focused on deep learning for a reduction of motion artifacts in MRI. It is difficult to collect a large number of images with and without motion artifacts from clinical images. The purpose of this study was to create motion artifact images in MRI by simulation. Methods: We created motion artifact images by computer simulation. First, 20 different types of vertical pixel-shifted images were created with different shifts, and the amount of pixel shift was set from –10 to 10 pixels. The same method was used to create pixel-shifted images for horizontal shift, diagonal shift, and rotational shift, and a total of 80 types of pixel-shifted images were prepared. These images were Fourier transformed to create 80 types of k-space data. Then, phase encodings in these k-space data were randomly sampled and Fourier transformed to create artifact images. The reproducibility of the simulation images was verified using the deep learning network model of U-net. In this study, the evaluation indices used were the structural similarity index measure (SSIM) and peak signal-to-noise ratio (PSNR). Results: The average SSIM and PSNR for the simulation images were 0.95 and 31.5, respectively; those for the clinical images were 0.96 and 31.1, respectively. Conclusion: Our simulation method enables us to create a large number of artifact images in a short time, equivalent to clinical artifact images.
著者
勝又 健太 榎本 武治 大坪 毅人 樋渡 正樹 塚本 芳嗣 亀井 奈津子 嶋田 仁 小林 慎二郎 芦川 和広 民上 真也
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.481-486, 2020-06-01 (Released:2020-06-30)
参考文献数
16

症例は84歳の男性で,食後の腹痛を主訴に当院を受診した.既往として6年前に胃癌で幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建,1年前に胆囊結石,総胆管結石,傍乳頭十二指腸憩室症候群で胆囊摘出術,胆管十二指腸吻合術を施行されていた.腹部MRIで輸入脚内に低信号の構造物を認め,結石の嵌頓による輸入脚症候群と診断し,緊急手術を施行した.上腹部正中切開で開腹,Treitz靱帯より5 cm肛門側の空腸に結石を触知した.空腸の一部に切開を加え摘出,単純縫合で閉鎖した.術後23日目に軽快退院した.摘出された結石はステアリン酸カルシウムが主成分であった.ステアリン酸カルシウムは胆囊結石のうち,ビリルビンカルシウム石に比較的多く含有されるほか,服用薬で酸化マグネシウムに含有されていた.本例は胃石を核として周囲にステアリン酸カルシウムが沈着したものと考えられた.胃石由来のステアリン酸カルシウム腸石による輸入脚症候群は非常にまれな疾患であるので報告する.
著者
二見 俊郎 前之園 多幸 塚本 行男
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.1229-1232, 1992-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8

著者らは, 過去7年間に大腿外側皮神経障害 (meralgia paresthetica) の13例 (男性3例, 女性10例) を経験した. いずれの症例も Tinel 徴候や電気生理学的所見などから, 鼠径靱帯部での絞的性神経障害と考えられた. 我々の症例で特徴的なことは, 発症原因として下着の締め過ぎによると思われた症例を6例にみたことであった. 治療として, まず全例に保存的療法が試みられ, 6例に症状の改善が得られた. 改善が得られた症例は, 症例12を除きいずれも発症後8ヵ月以内に来院した症例であった. 保存的療法に抵抗した7例中4例に対して神経剥離術が施行され, いずれの症例も鼠径靱帯周囲部での種々の原因による神経の圧迫所見を確認し, 術後症状の改善を得た. 以上のことから, 下着の締めすぎを発症誘因の一つとして認識すべきであり, また罹病期間が短い症例には保存療法が有効であるが長期間の覆病期間を有する症例に対しては, 手術的療法を考慮すべきと思われた.
著者
藤原 正規 中澤 公揮 甲谷 繁 塚本 効司 小渕 修平 上田 寛樹 川島 祥 上田 昌宏 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2020-068, 2021 (Released:2021-03-30)
参考文献数
15

基礎薬学系実習の評価において,これまで汎用されていた実習レポートの評価だけでなく,技能と態度も含めた総合的な評価が求められている.本研究では,物理系薬学実習の受講生に対してアンケートを実施し,レポートルーブリックおよびピア評価の導入に対する意識を調査した.アンケートのCS分析の結果,レポートルーブリックに対して,重要維持項目となったのは,「目標の明確化」と「課題の具体化」であった.一方,要改善項目は「学習意欲の向上」と「目標達成意欲」であった.ピア評価において,重要維持項目となったのは,「実習実施における必要性」,「学習意欲の向上」と「自身の実習態度への影響」となり,要改善項目は示されなかった.以上の結果から,基礎系実習科目において,レポートルーブリックは,受講生に対して目標の明確化および課題の具体化という点で影響を与え,ピア評価は,受講生自身の実習態度に影響することが示された.このため,両評価を組み合わせた評価を行うことが必要であることが示された.
著者
塚本賢暁 編
出版者
国訳密教刊行会
巻号頁・発行日
vol.第3, 1923
著者
塚本賢暁 編
出版者
国訳密教刊行会
巻号頁・発行日
vol.第2, 1923
著者
小倉 雄一 池田 恭敏 塚本 真希 村木 敏明
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学付属病院職員研究発表報告集 : ひろき (ISSN:13448218)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-57, 2008

本研究の目的は、高次脳機能障害者の自動車運転技能の予測に有用な机上の高次脳機能検査を明らかにすることである。同意の得られた脳疾患者21名(53.9±10.2歳)と健常者11名(59.0±13.9歳)の計32名を対象に、机上の高次脳機能検査とドライビングシュミレーターによる運転技能検査を実施した。その結果、運転技能検査の危険走行回数と有意な相関のあった高次脳機能検査課題は、MMSE,TMTのPartA,PartB,WAIS-Rの絵画完成、絵画配列、積木模様、符号、WMS-Rの精神統制、理論的記憶1、言語性対連合1、視覚性再生1、数唱、視覚性記憶範囲、BADSの不規則変換カード、動物園地図、修正6要素であった。また、危険走行回数を目的変数、危険走行回数との間に有意な相関のあった高次機能検査課題を説明変数として、ステップワイズ法の重回帰分析をおこなった結果、寄与率(R2)0.726の有意な重回帰式が得られ、抽出された説明変数は、影響の大きい順にBADSの動物園地図、WAIS-Rの符号、WMS-Rの言語性対連合1であった。
著者
塚本 勝巳
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.316-319, 2012 (Released:2012-04-20)
参考文献数
7
著者
山田 朋弘 森 悦秀 南 克浩 三島 克章 内田 浩 塚本 雄一 宮島 貴博 松本 憲
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.427-434, 1999-07-20
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

Nineteen cases of unilateral cleft lip and nose were measured and evaluated before and after open rhinoplasty with the use of facial plaster models and a high-accuracy threedimensional digitizer (TRISTATION400CNC, Nikon, Tokyo). Surgery was performed from 1990 through 1994. The mean age of the subjects was 18.6 years.<BR>Three-dimensional wire-frame models were obtained from facial plaster models, and nasal landmarks were extracted automatically by an original program. The landmarks were evaluated and compared according to three operation techniques:(1) Flying bird group: A flying bird incision was made across the columella, and a tornado incision was made in the nostril. After cartilage reconstruction, complex tissue was transplanted into the nostril. Furthermore, Z-plasty was done across the white lip and the alar base of the affected side.(2) Col. base-graft group: An incision was made in the columella base and nostril rim. After cartilage reconstruction, ear cartilage was transplanted onto the nasal tip, alar, or both (3) Col. base-non-graft group: An incision was made in the columella base and nostril rim. The nasal cartilage was reconstructed without a graft.<BR>The nasal tips deviated about 5 mm to the normal side before operation and were corrected after operation in all groups. In the flying bird and col. base-graft groups, the nasal tips moved about 3 mm anteriorly. The difference in the distance between the columelia base and the alar base decreased markedly in the flying bird group. The columella base deviated about 3mm to the normal side before surgery and was corrected after surgery in all groups. In the Col. base-graft group, the columella base protruded inferiorly after operation. No remarkable change was observed in the alar dip in any group.<BR>The procedure used in the flying bird group was suggested to result in a better morphological outcome than the procedures used in the col. base with/without graft groups.
著者
塚本 赳夫 西岡 五夫 木下 洋夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.1019-1020, 1955

Following the extraction of a sterol as the non-saponifiable matter from the ether extract of the root of <i>Oenothera lamarckiana</i> Ser., which was assumed to be &beta;-sitosterol, the presence of sterol was examined in four kinds of Oenothera spp., <i>O. odorata</i> Jacp., <i>O. parviflora</i> L., <i>O. lacimata</i> Hill., and <i>O. tetraptera</i> Cav. These plants all yielded the same sterol as that obtained from <i>O. lamarckiana</i> Ser.