著者
皿井 舞 塚本 麿充 神居 文彰 早川 泰弘 城野 誠冶
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2019年度は、鳳凰堂内の修理事業の計画のうち天井の建造材の剥落止め作業が行われたことから、鳳凰堂母屋正面(東面)の天井、東面の4本の柱絵、及び、それまで足場の長さが足りず十分に届かなかった南面の柱等の調査を行う予定であった。6月11日に、事前調査として、足場最上層にのぼり格子天井や大虹梁ほかの彩色の状態を確認した。8月3日~4日、鳳凰堂内の目視調査を実施、従来、確認できていなかった柱絵の図容を調査した。また阿弥陀如来像が堂内で安置場所から移動するのにともない、10月14日~15日、像、光背などの撮影、調査をおこなった。その後、年度末に来迎柱の絵様帯に描かれた各モチーフの彩色材料につき科学調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言発出のため、実施ができなかった。この点については、鳳凰堂の空間彩色の問題を解決する糸口となる重要な調査であるため早期の実施をはかりたい。
著者
塚本 紳一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.356, 2014 (Released:2016-06-01)

アステラス製薬の「β3アドレナリン受容体作動薬 ミラベグロンの創製」に対して,平成26年度日本薬学会創薬科学賞が授与された.本業績は,多数の創薬研究者ならびに開発研究者による長年の創意工夫と粘り強い研究の成果である.今回,代表して受賞された丸山龍也,恩田健一,高須俊行,佐藤修一,鵜飼政志の諸氏をはじめ,本プロジェクトに参画された関係者各位に心より祝意を表したい.
著者
金 承革 柴田 昌和 土田 将之 栗田 泰成 塚本 敏也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.151-165, 2020 (Released:2021-07-16)
参考文献数
39
被引用文献数
1

中殿筋は片脚立位保持や歩行において骨盤側方傾斜を制動して安定させる重要な筋である. 中殿筋の内部構造や筋出力や筋電波形特性を明確にすることは, 臨床での検査方法の適正改善や検査データのより良い解釈へつながり, ふらつきや転倒などの機能障害を改善・予防することに貢献できる. 肉眼解剖学的調査によって, 中殿筋内部には腱膜が存在し, 前部線維束と後部線維束に分かれることが明確になった. 股外転最大筋力発生時の筋断面積と筋電の測定では, 股伸展位で前部線維束が, 股屈曲位で後部線維束が主に寄与すると推測できるデータが観測された. 歩行中の中殿筋の両線維束の筋電位は, 被験者の個人特性があるが, 最大筋力発生時の特性を反映していた.
著者
川杉 桂太 竹村 和久 岩滿 優美 西澤 さくら 塚本 康之 延藤 麻子 小平 明子 轟 純一 轟 慶子
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.63-71, 2020 (Released:2020-06-30)

In this study, the fuzzy inference technique was applied for preprocessing the clinical drawings of schizophrenic patients. The interpretation procedure for the clinical drawings was divided into two phases, namely preprocessing and interpretation phases. In the preprocessing phase, two analyses were conducted by employing the fuzzy inference technique and three analyses were conducted by applying Fourier transform, wavelet transform, and singular value decomposition on three images of the tree test. In the interpretation phase, the drawings and output images were psychologically interpreted. The contrast of each image was also examined for determining the feature associated with the corresponding output image of the fuzzy inference technique. Based on the compared interpretations and contrasts, it can be concluded that image analysis incorporating the fuzzy inference technique is superior as a preprocessing method employed before interpreting whole image. Further research is required for examining the relation between the empirical findings regarding schizophrenic patients and the parameter of the fuzzy inference technique.
著者
川杉 桂太 岩滿 優美 轟 慶子 小平 明子 延藤 麻子 塚本 康之 西澤 さくら 轟 純一 竹村 和久
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PD-053, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究では,統合失調症患者と健常者の,図形分割課題時の眼球運動を測定し,その特徴を比較することを目的とした。対象者は,統合失調症患者13名および健常者37名であった。調査には,Iwamitsu et al.(2009)で用いられた図形分割課題を,ディスプレイとタッチペンを用いる形式に変更し用いた。課題は14試行(2分割方向×7図形)からなり,課題中の眼球運動を,アイカメラにより測定した。眼球運動データから,注視回数など六つの指標を算出し,また図形を対称に分割したか否かを指標として,二つの分析を実施した。まず,図形を対称に分割した頻度について χ2検定を実施した。その結果,図形を垂直に分割するとき,健常者の方が統合失調症患者より有意に高い割合で対称に分割したことが示された(χ2(1)=4.06, p<.05)。次に,眼球運動の指標について3要因(2群×2分割方向×7図形)の分散分析を実施した。その結果,統合失調症患者の方が有意に注視時間が長い傾向が認められた(F(1,48)=2.90, p<.10)。これらの結果は,統合失調症患者の注視傾向や,課題の形式等を反映したものと考えられた。
著者
室 伊三男 清水 俊太郎 塚本 ひかり
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.13-22, 2022
被引用文献数
3

<p>【目的】深層学習によるモーションアーチファクト(以下,アーチファクト)削減のアプローチが脳MR画像に有効かを検証する.【方法】本研究ではアーチファクトを含んだ画像と含んでいない画像が学習データとして大量に必要である.臨床画像で学習データを集めるには多くの労力と時間を要して困難である.われわれは脳のアーチファクト画像をシミュレーションによって作成した.ボランティア20人の動きのない頭部画像を取得し,この画像を使用してアーチファクトの異なる画像をシミュレーションによって作成して深層学習を行う.得られた学習モデルのアーチファクト除去効果の検証は,別途テストデータを作成し,テストデータの入力画像と出力画像間のピーク信号対雑音比(peak signal-to-noise ratio: PSNR)と構造的画像類似性(structural similarity: SSIM)を3種類のデノイジング手法で比較した.使用したニューラルネットワークはU-shaped fully convolutional network(U-Net),denoising convolutional neural network(DnCNN)とwide inference network and 5 layers Residual learning and batch normalization(Win5RB)である.【結果】アーチファクト除去効果はU-Netが最も高く,SSIMの平均値は0.978, PSNRの平均値は32.5であった.【結語】本法は脳MRI画像の画質を劣化させずにアーチファクトを軽減できる有効な方法である.</p>
著者
石川 雄一 一ノ瀬 泉 西見 大成 塚本 真司 国武 豊喜
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.10, pp.1065-1071, 1990-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
25

親水基として環状ポリアミン(cyclam)を有する不斉両親媒性化合物(2C16AspC11N4,2C12Glu.AzoC1014N4,C12AzoCn14N4)およびその金属錯体の二分子膜形成能と膜特性を,電子顕微鏡による形態観察,示差走査熱量計によるゲル-液晶相転移の測定,さらに円二色性スペクトルによる分子配向の評価から明らかにした。cyclam型二分子膜,その金属錯体膜,および対応するアンモニウム塩型.二分子膜の膜組織化能は親水基構造に依存し,Cu2+錯体≦Ni2+Zn2+錯体≦14N42H+<-N+(CH3)3の順で,より発達した二分子膜(高度な秩序性,相転移の大きな協同性,安定な会合形態)を与えた。錯体膜および配位子膜の自己組織性は疎水鎖の構造にも依存し,C12AlaAzoCn<2C12Glu.・AzoC102C16AspC11-の1頂に膜の組織性が向上した。また,一本鎖型化合物のcyclam金属錯体が二分子膜を形成するためには,C6以上のスペーサーの長さが必要であった。
著者
藤岡 豊 桑山 幸久 市原 義雄 安野 尚史 塚本 純久 横井 正史
出版者
Japan Society of Health evaluation and promotion
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.365-369, 1998

40歳から83歳の1, 769名 (男1, 184名, 女585名) の一般中高年者について, 保有する危険因子の数と, 最大酸素摂取量 (VO<SUB>2max</SUB>) , および無酸素性作業閾値 (Anaerobic Threshold, AT) における酸素摂取量 (VO<SUB>2AT</SUB>) , 心拍数 (AT時HR) , 収縮期血圧 (AT時SBP) との関連を調査した。危険因子としてはSyndrome XとDeadly Quartetの指標を参考に, 空腹時血糖, 血圧, LDLコレステロール, HDLコレステロール, トリグリセライド, 体格指数 (Body Mass Index, BMI) の各項目について検討した。運動負荷は, 自転車エルゴメーターによるRamp負荷を行った。男女別に保有する危険因子の数 (<I>N</I>) により<I>N</I>=0群 (<I>n</I>=343) ~<I>N</I>=5群 (<I>n</I>=18) (<I>N</I>=6該当者なし) に分類したところ, 男女とも抱えている危険因子の多い群ほど, VO<SUB>2max</SUB>, VO<SUB>2AT</SUB>ともに低い値を示した。また個々の危険因子の程度も, 危険因子数が多い者ほど高い (HDLについては低い) 傾向が認められた。これに対し, AT時HRの予測最大HRに対する割合は男女ともほぼ一定で, 63.8%~68.9%であった。VO<SUB>2max</SUB>, VO<SUB>2AT</SUB>ともに保有危険因子の数とおおむね逆相関を呈し, 体力レベルの低い者ほど多くの危険因子を抱えていた。AT時HRの予測最大HRに対する割合はその保有危険因子数の多寡にも影響を受けず, 運動処方の目安として合理性の高いものであると考えられた。