著者
大塚 俊幸
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.202-227, 2005-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
24
被引用文献数
4 3

本稿では,愛知県豊橋市において実施した各種アンケート調査やマンション供給業者への聞取り調査の結果を分析し,居住者側と供給者側の両面から中規模都市における中心市街地居住の実態を明らかにした.豊橋市では,戸建志向が強く,これまでマンション供給量が少なかった.しかし,2001年頃から中心市街地およびその周辺部でマンション供給が活発化している.その背景には,マンション供給業者の経営戦略,建設用地の供給,地価の下落と補助金の投入といった要因がある.一方,中心市街地居住を志向する世帯は少ないながらも存在し,受皿となるマンションの供給次第では,豊橋市のような中規模都市においても中心市街地居住が顕在化するものと考えられる.中心市街地の居住世帯は,居住地選好に際して居住環境の「快適性」よりも都市的利便施設への「近接性」を重視している.しかし,中心市街地居住が顕在化するためには,住宅の広さや駐車場の完備といった住宅自体の「居住性」の高さが不可欠である.
著者
伊東 秀幸 大西 守 田中 英樹 桑原 寛 伊藤 真人 大塚 俊弘 野口 正行 金田一 正史 斎藤 秀一 山本 賢 呉 恩恵
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-en Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-31, 2016-03

精神障害者支援に関して,市町村は精神障害者に対して身近な地域できめ細かく支援していく役割があり,保健所はその市町村に対して専門性や広域性が必要な事項について支援していく役割がある。また,精神保健福祉センターは,保健所,市町村に対する技術援助の役割を担っている。以上のように各機関は,それぞれ異なる役割を期待されているが,精神保健福祉法の改正や障害者自立支援法の施行などもあり,精神保健福祉行政を取り巻く環境は大きく変化している。そのため,保健所,市町村そして精神保健福祉センターによる精神障害者に対する支援の現状を把握し,それぞれの機関の果たすべき役割について見直していくことが重要である。そこで本研究では,厚生労働省平成26 年度障害者総合福祉推進事業「保健所及び市町村における精神障害者支援に関する全国調査」の結果から,保健所及び人口30 万人未満の市町村のデータを抽出し,精神障害者支援に関する,保健所と市町村の役割とその現状について考察を試みた。調査の結果から,指定都市型保健所,中核市型保健所や10 万人未満,30 万人未満の市町村においては,精神障害者支援に関する様々な取り組みがされているのに対し,都道府県型保健所ではこれまでの事業を中心に実施されている現状が分かった。これは,都道府県型保健所と市町村との間で精神障害者支援に関する役割分担が進んでいることからくることと推測される。30 万人未満の市町村では,精神障害者支援に関して,これまでの都道府県中心から市町村主体と変わっているが,その実施にあたり様々な困難を抱えており,これからも都道府県(保健所)等のバックアップが必要と考えている。そのための具体的な対策としては,保健所や精神保健福祉センターによるバックアップ体制を強化するとしている。一方,保健所は,今後重要となる精神保健福祉業務の体制については,管内市町村との連携強化を考えているという現状が把握できた。精神保健福祉センターに対する調査では,精神保健福祉センターの業務のうち保健所への技術援助は積極的に取り組む必要があるとしている。以上のことから,今後,保健所から管轄市町村に対して,これまで以上に技術援助や連携を進めていくことが必要であり,精神保健福祉センターからの技術支援は,保健所はもとより直接的に市町村にも積極的に進めることが課題であると思われる。また,「保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領」は,平成18 年に発出以来10 年が経過していることから,現状にあった改訂の必要性があると思われる。
著者
橋壁 道雄 大塚 俊 原 典昭 山蔭 明生 山崎 雙次
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.296-302, 2001-06-01 (Released:2010-09-02)
参考文献数
23

当科における全身性強皮症(以下SSc)患者62例に閉口時および最大開口時に顎関節単純X線検査を行い,関節可動域を見ることにより開口障害の有無について検討を行い,SSc 62例中24例(38.7%)に開口障害を認めた。病型別,検査所見などにっいては,diffuse type,抗Topoisomerase I抗体(以下Topo I)陽性例,開口度40mm未満の症例,橋本病合併例に有意に開口障害を伴うことが多く,また,pitting scar(+)例に開口障害を伴う割合が高い傾向がみられた。開口障害(+)例は開口障害(-)例に比べ有意に顔面のスキンスコアが高値であり,トータルスキンスコア高値,罹病期間長期,血漿エンドセリン高値,血清トロンボモジュリンが高値の傾向であった。SSc患者に顎関節単純X線検査を行うことは,関節可動域や下顎頭の形態変化を観察でき,SScの重症度を評価する上で有用な方法であると思われた。
著者
波多野 和夫 大塚 俊男 濱中 淑彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.69-72, 1996-01-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
11

著しい語間代(Logoklonie)の言語症状を呈した初老期発症のAlzheimer病の1例の症例報告を行った. 語間代はKraepelin(1910)の教科書に記載された有名な現象であるが, これまでほとんど取り上げられることなく, 議論の対象としては等閑視されて来たといってよい. 我々は, 自験例との臨床的経験を通じて, この語間代という言語症状の輪郭を明らかにし, その現象と発生に関わる要因として, (1)音節レベルの水平性反復, (2)脳器質性言語障害, (3)発話発動性の保存, (4)精神運動性解体としての固執性症状, (5)前頭葉損傷との関係, (6)経過の問題という特徴を取り上げ, その意味を考察した. 併わせて類似の病的言語現象として, (a)吃音, (b)子音・母音再帰性発話, (c)部分型反響言語を挙げ, これらとの鑑別診断についても考察した
著者
大塚 俊幸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.2, 2003

_I_ 研究目的中心商業地縁辺部は、商業地と住宅地の双方を背後に擁することにより、多様な都市機能が複合した生活空間として再生する可能性を秘めている。従来、都市地理学では都市の内部構造について都市機能の地域的分化の観点から論じられることが多く、商業機能と居住機能が複合した生活空間という観点から中心商業地縁辺部について論じた研究は少ない。そこで本研究では、中心商業地縁辺部に焦点をあて、マンションの持つ多様な機能に着目し、店舗併用マンションの立地要因と周辺地域へのインパクトを明らかにするとともに、いかなる地域的要因が絡み合って中心商業地縁辺部の再生に結びついていくのか、そのプロセスを明らかにした。_II_ 対象地区本研究で対象とする四日市市諏訪新道地区(L=716m、会員数107店舗)は、かつては商業の中心であり、現在でも祭りや「市」の舞台にもなっているが、環境変化に伴い住宅地としての色彩が強まっている中心商業地と住宅地との境界地域に位置する地区である。_III_ 研究方法 マンション居住世帯および地区内商業者へのアンケート調査、新規出店者およびマンション供給業者等への聞き取り調査を実施し、その結果をもとに考察した。_IV_ 結果と考察(1)マンション立地と居住世帯当地区では1991年以降、現在建設中のものも含めて6棟の分譲マンションが建設されている。当地区は、本来民間によるマンション建設がなされにくい地域であるにもかかわらずマンション建設が行われた背景には、行政の積極的な誘導による再開発事業の実施がある。6棟中4棟が再開発事業によるものであるが、これらは当初商業系再開発として計画されていたが、厳しい経済情勢のもと計画が変更され、店舗併用マンションという形態になった。マンション居住世帯の家族構成は、30歳代_から_40歳代の夫婦のみおよび夫婦と子ども世帯が全体の約半数を占め、前住地は市内が約3分の2を占めている。居住地選定に際しては、価格、公共交通への依存度、都市的利便性、親との近接性、都心としてのまちのイメージなどの諸要素が絡み合っている。(2)マンション立地が商店街に与える影響マンション立地は個店経営にはすぐには結びつくとは限らないが、街並みが一新されたことにより商店街のイメージアップにつながったこと、そして1階部分に店舗空間が供給されたことにより新規店舗の立地を促す引き金になり、かつての中心商業地であるという街のイメージも作用して、商店街全体の機能集積の拡大に寄与している。具体的には、マンション1階への入居以外にも、商店街の空き店舗へ10店舗の新規出店があった。それらは従来の物販店ではなく、こだわりの店、ショールーム機能を付加した店、実験的性格を有した店、飲食店、サービス業などである。新規店舗の立地要因は、アクセス性、周辺環境、場所性、出店コスト、建物の新しさ、路面店であること、家主との関係、地域コミュニティの存在、マンション居住者への期待などであり、経営主体や経営方針により重視する要因が異なる。(3)中心商業地縁辺部の再生過程中心商業地のコンパクト化により住宅地化を余儀なくされた中心商業地縁辺部は、商業の核心部が駅前に移る以前の中心であり、都市のシンボル的空間であった。そのため、行政もその活性化に向けて積極的に取り組むこととなり、再開発事業により店舗併用マンションの供給を可能にした。それにより商業空間の機能更新を果たすとともに、地区の居住世帯構造に大きな変化をもたらした。当地区は、再開発事業が実施されなければ、居住機能に侵食される地区である。しかし、かつての商業中心としてのポテンシャルが作用し、低層部への商業機能の立地を促すこととなった。このように、中心商業地縁辺部は商業機能と居住機能の双方の影響を受け、それらの機能が複合した生活空間としての再生が期待できる地域である。
著者
大塚 俊明
出版者
北海道大学
巻号頁・発行日
1976-03-25

6, 244p.
著者
大塚 俊之 根本 正之
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.107-114, 1997-08-30
被引用文献数
1

畜産や農業に伴う土壌の富栄養化が耕地水系に沿って分布する河川周辺雑草群落に及ぼす影響を明らかにすることを目的として, 茨城県新治郡の帆崎川において雑草群落の構造と土壌環境の調査を行なった。スギ植林地に近い上流部では土壌中の窒素および炭素含量は少なく, 植生はメヒシバやイヌタデなどの雑草が優占するものの, ツリフネソウなどの野草的な種も多く含んでおり多様性が高いことが特徴であった。これに対して水田地帯を流れる中流部では土壌中の窒素および炭素舎量は上流部の5倍以上あり, 好窒素的な一年草のミゾソバやカナムグラが寡占して多様性の低い群落が形成されていた。また下流部では護岸工事がなされており, 攪乱の強い中洲ではクサヨシが1種優占群落を形成していた。中流部付近にはシロザが純群落を作る豚糞堆積場があり, この土壌は中流部のさらに2倍程度の窒素と炭素を含み, C/N比が低かった。これらのことから豚糞堆積場からの有機物や水田に施用された化学肥料が, 降雨時に流出して土壌が富栄養化し中流部の群落の多様性を低下させたものと考えられた。従来から良く知られている都市河川と同じように, 農村地域集水域の河川植生の動態も農業や畜産の集約化に伴う人為的な影響を強く受けていることが示唆された。
著者
茂木 康嘉 大塚 俊 谷中 拓哉
出版者
尚美学園大学スポーツマネジメント学部
雑誌
尚美学園大学スポーツマネジメント研究紀要 = Bulletin of sport management, Shobi University (ISSN:24358231)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.57-66, 2020-12-25

【目的】本研究では、女子野球選手の形態的・体力的特徴について、検討することを目的とした。【方法】女子野球選手10名、特別な運動習慣のない一般成人女性8 名が本研究に参加した。形態的特徴を示す変数として、身長、体重、左右の四肢長、超音波法を用いた左右各部位における筋厚の測定を行った。なお、測定された筋厚の値から左右の四肢における筋量指標と除脂肪量を推定した。体力的特徴を示す変数として、握力、背筋力、垂直跳跳躍高、立幅跳跳躍距離の測定を行った。【結果】身長、体重、除脂肪量や四肢長においては、両群に統計的な差はみられなかった。投球手側の体重あたりの上腕前部筋量指標と左右の体重あたりの大腿後面筋量指標は、女子野球選手の方が大きかった。握力、背筋力、垂直跳跳躍高、立幅跳跳躍距離のそれぞれの値は、女子野球選手の方が大きかった。【結論】本研究の結果から、女子野球選手は、一般成人女性と比較して、身長、体重や四肢長などの身体サイズが特別に優れているわけではないことが示された。一方で、継続的な野球のトレーニングによって、投球手側の上腕部、左右の大腿後面部の筋の量的な特徴は変化し、さらに体力も一般女性よりも向上することが示唆された。
著者
大塚 俊之 後藤 厳寛 杉田 幹夫 中島 崇文 池口 仁
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.43-54, 2003-06-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
45
被引用文献数
2

1.西暦937年,富士山の噴火の際に流出したとされる,剣丸尾溶岩流上には広い範囲にわたってアカマツのほぼ純林が形成されている.この群落は一次遷移系列上の先駆群落とみなされて来たが,その成因は明らかでない.このため,本研究では群落生態学的な現地調査と周辺の土地利用に関する文献調査からその起源を明らかにすることを目的とした.  2.標高約1030mに設置した永久方形区での群落調査から,アカマツの直径階分布は20-25cmのクラスにピークを持つ一山型で,その密度は高かった.また,階層構造としてはほぼアカマツだけの林冠層とソヨゴを中心とする亜高木・低木層の明瞭な二層構造となっていた.  3.アカマツの最大樹齢は90年で,その樹齢は直径サイズに関係なくほぼ80-90年生でそろっていた.  4.剣丸尾周辺の森林利用の歴史についての文献調査により,江戸時代から剣丸尾上の植生は入会地として住民に利用されていたことが明らかとなった.また明治時代には剣丸尾周辺には桑畑が広がっており,養蚕業のためにかなりの濫伐が行われたと考えられた.  5.その後,剣丸尾上の一部は1915年に恩賜林組合によって柴草採取区域に指定され適切な入会地管理がなされたため,これ以降に一斉にアカマツが侵入したものと考えられた.さらに1934年に部分林に再設定された際に雑木除去によるアカマツの天然更新施業が行われ,その後1960-70年代まではアカマツ林の林床植生は柴草として利用されていた.  6.このように剣丸尾アカマツ林は溶岩流出後の自然の一次遷移系列上にある先駆群落とは異なり,長年の人為的な攪乱により遷移が停滞していた立地に,攪乱停止後に成立したアカマツ林である.また1934年の雑木除去と1960-70年代までの下層植生の利用が,現在のアカマツ林の林分構造に大きく影響していた.
著者
大塚 俊之 横澤 隆夫 大竹 勝
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.95-107, 2008-12-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
29
被引用文献数
1

1. 富士北麓の青木ヶ原溶岩流上には,いわゆる青木ヶ原樹海と呼ばれるヒノキとツガを中心とする広大な針葉樹林が成立している.本研究は,永久方形区を用いて個体の成長や生残についての調査を行い,青木ヶ原樹海の森林構造とパッチ動態について明らかにすることを目的とした.  2. 青木ヶ原樹海内に0.25ha(50m×50m)の永久方形区を設置して2001年に樹高1.3m以上のすべての個体について毎木調査を行った.また,林床の相対光量子密度の測定と樹高1.3m以下の実生の分布調査も行った.2005年には個体の生残と成長に関する再調査を行い,さらに主要優占種において成長錐を抜いて樹齢を推定した.  3. 永久方形区内ではヒノキ(胸高断面積合計の45.4%)とツガ(26.3%)が優占し,両種とも逆J字型の直径階分布を持っていた.次に優占度の高いミズメ(3.9%)は,10-20cmのクラスにピークを持つ1山型の直径階分布を持っていた.ミズメ(0.0158y^<-1>)やミズナラ(0.0126y^<-1>)などの落葉樹のRGRDは非常に高かったが,ツガ(0.0041y^<-1>)とヒノキ(0.0056y^<-1>)のRGRDは全個体の平均値を下回った.全体では直径が小さいほど枯死率が大きくなり,5cm以下の個体では4%を超えていたが,ツガ(1.4%)とヒノキ(0.5%)の枯死率は低かった.  4. TWINSPNを用いて25個のサブコドラート(各100m^2)をツガパッチと落葉樹パッチの2つのグループに分割した・直径20cm以上のツガ個体のほとんどがツガパッチに分布しており,落葉樹は少なかった.ヒノキは両方のパッチに広く出現したが,直径が大きな個体はツガパッチのほうに分布する傾向があった.一方で,落葉樹パッチにはミズメやミヤマザクラなどの落葉樹が集中的に分布しており,さらに直径5cm以下のヒノキやツガが多く出現した.落葉樹パッチは,春に落葉樹の葉が展開するまでツガパッチに比べて林床が明るく,ツガパッチにはほとんど見られないヒノキとツガの実生が非常にたくさん出現した.  5. ツガパッチでは,ツガの最大樹齢が約330年でヒノキの最大樹齢が約220年であり,ヒノキよりもツガが先に侵入していた.一方で林冠に達するような直径が15cm以上の個体では,ヒノキよりもツガのほうがRGRDが低かった.落葉樹パッチではミズメの樹齢は60-70年で揃っており,針葉樹に比べてミズメのRGRDは非常に高かった.  6. 現在のツガパッチでは,ヒノキがツガよりも遅れて侵入し混交林を形成していた.また,細いサイズのツガやツガ実生が少ないことから,混交林はやがてヒノキ林へと遷移していくと考えられる。ミズメやミヤマザクラはヒノキ林の林冠を破壊するようなギャップにおいて先駆性パッチを形成すると考えられた.  7. 本来の冷温帯林の極相種であるミズナラは,本数は少ないが300年を越す非常に古い個体が散在した.青木ヶ原樹海内では,落葉樹を炭焼きに利用していたことが知られており,ミズナラの位置づけについては今後再検討する必要がある.
著者
大塚 俊明
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.121-126, 2014-04-15 (Released:2014-11-14)
参考文献数
48
被引用文献数
1 2

最近の金属不働態化ならびに不働態皮膜の研究に関してレビューした.また,最近の分析手法ならびに装置を紹介した.最近20年ではラマン分光法,走査型プローブ顕微鏡(SPM),ならびにX線分光が広く使われるようになってきている.鉄の不動態皮膜に関しては,γ-Fe2O3-Fe3O4の組成が検出されている.以下の点に関して議論された:不動態酸化物皮膜の成長機構ならびに不動態皮膜の脱水和.不動態化ならびに不動態皮膜の研究における将来の課題として,充分に速い応答を持ち,サブnmレベルでのin-situ測定手法の開発が望まれる.
著者
木田 森丸 金城 和俊 大塚 俊之 藤嶽 暢英
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.85-93, 2017

過去20年の研究でマングローブ林は熱帯森林生態系でもっとも炭素賦存量の多い生態系のひとつであることが示されており、その生態学的役割が注目されている。マングローブ林は河川を通じて流域および沿岸海域とつながっており、河川中の溶存態の有機物(Dissolved Organic Matter, DOM)を鍵としてマングローブ林の炭素循環および生態学的役割を議論することは重要である。DOMは生態系を支える栄養塩や微量金属元素のキャリアーとして働き、沿岸域の豊かな生態系を下支えしている可能性があるが、その機能性や循環速度は組成(構成成分割合)に応じて変化することが予想される。そこで本研究では、DOMの多くの機能を担い、かつ微生物分解に対して難分解性とされるフミン物質の組成をDOMの質的評価法として取り入れることで、沖縄県石垣島吹通川マングローブ林流域におけるDOMの特性把握を試みた。源流から海にかけて採水試験した結果から、吹通川のフミン物質割合は源流から海にかけて減少する傾向を示し、フミン物質割合の低い海水との混合および林内土壌へのフミン物質の凝集沈殿が示唆された。また、吹通川源流水中のフミン物質割合は他の非有色水系河川に比べて高く(60.9〜75.9%)、マングローブ林を含む沿岸生態系へのフミン物質の供給源として重要な役割を果たしていることが示唆された。加えて、マングローブ林内で採取した表層0〜25 cmの土壌から超純水を用いて水抽出有機物(Water Extractable Organic Matter, WEOM)を逐次抽出し、WEOM溶液中のフミン物質割合を測定した。その結果、電気伝導率の低下に伴いWEOM溶液のフミン物質濃度は大きく増加し、フミン物質が液相に移行溶出されることが確認された。これらの結果は、海水塩の影響により、マングローブ林内土壌に難分解性のフミン物質が選択的に保持されることを示唆するものであり、マングローブ林土壌の有機炭素貯留メカニズム解明に向けた大きな糸口を示したと言える。
著者
大塚 俊昭 川田 智之 矢内 美雪 北川 裕子 菅 裕彦
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.78-78, 2011 (Released:2011-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
10 13

一職域男性集団におけるメタボリックシンドロームの発症率およびメタボリックシンドローム発症に関連する生活習慣因子の検討:大塚俊昭ほか.日本医科大学衛生学・公衆衛生学講座―目的:メタボリックシンドローム(MetS)の予防は職域健康増進活動における主要課題の一つである.そこで今回,我々は一職域男性集団におけるMetSの発症率およびMetS発症に関連する生活習慣因子の検討を行った. 対象と方法:対象は,神奈川県内の精密機器開発事業所における2005年度定期健康診断を受診し,本邦におけるMetSの診断に非該当であった男性社員948名(平均44歳)である.対象者の2006年度から2009年度の定期健康診断データを追跡し,MetSの新規発症の有無を調査した.2005年度の健康診断結果から,対象集団を腹部肥満の有無とその他のMetS構成因子(血圧高値,脂質代謝異常,空腹時血糖高値)保有数の組み合わせで分類し,各群におけるMetS発症率を算出した.また,生活習慣因子(食事内容,喫煙,睡眠,運動,飲酒)の相違によるMetS発症率を比較した.コックス比例ハザードモデルを用い,上記各因子からMetS発症リスク上昇を規定する因子を求めた. 結果:平均3.7年の追跡において,76人にMetS新規発症を認めた.MetSの年間発症率は2.2/100人年,カプラン・マイヤー法による4年発症率は8.5%であった.対象を腹部肥満の有無とその他のMetS構成因子保有数の組み合わせで分類すると,腹部肥満を認めずその他の構成因子を二つ以上保有する群で最も高い発症率(37.9%)を示し,これに腹部肥満を認めその他の構成因子を一つ保有する群が続いた(24.6%).年齢で調整したコックス比例ハザードモデルでは,「腹部肥満の保有」および「その他の構成因子数の1増加」はともにMetS発症に対する有意なハザード比の上昇を示した(5.23および4.79,ともに p<0.001).同様に,睡眠時間5時間以下,現在喫煙,およびエタノール摂取量300 g/週以上がMetS発症に対する有意なハザード比の上昇を示した.結論:本検討においては,腹部肥満を有する者のみならず,腹部肥満を有さずともその他のMetS構成因子を複数認める者においてMetS発症率は高率であった.また,睡眠不足,喫煙,および過剰飲酒がMetS発症リスク上昇に関わっていた.職域におけるハイリスク・ストラテジーに基づいたMetS発症予防対策を行うにあたっては,これらの病状や生活習慣を有する者を優先した活動の有用性が期待される. (産衛誌2011; 53: 78-86)
著者
大塚 俊雄 室生 助信
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1053-1066, 1931

At the rate of the detection of the bacillus which consist Dr. Matsumura's there is no difference between the patient of Kakke and healthy person or other patient. At the experiment of feeding with poliched rice of the pigion the average number of days which disease by poliched rice come out is 16. It can not hasten the average number of days which disease by poliched rice come out to the pigion, though we carry on the giving of the poliched rice and Kakke-bacillus (Matsumura's Original bacillus of the pigion). When we keep it with the food which include good many Vitamin B. the disease by poliched rice appears not at all, even if we give great many Matsumura's Kakkebacillus. Though we carry on the method of immunity with the vaccin-made out of Matsumura's Original Kakke-bacillus-we can not keep off the disease by poliched rice of the pigion. When we give previously Kakke-bacillus-Vaccin for the pigion through the mouth, then the rate of detection of Kakke-bacillus fall remarkanly, but due to this, we can not keep off the disease by poliched rice or we can not put off it. Owing to our experiments the condusion is as following. We can not consider, is if Matsumura's Kakke bacillus does the causative connection of Kakke. But only the fast that, in the case of healthy pigion his bacillus can not be demonstrated in the excerement, and at the same time of the coming of Hakumaibyo we can find his bacillus, is interesting.