著者
河原井 俊丞 宮本 直樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.55-60, 2019

<p>本研究では,「問い」の生成プロセスに関する実証的研究において授業中の発話と授業後の「問い」の生成に関するインタビューの内容をワークシートとアンケート調査の記述内容に併せ,それらをもとに「問い」の生成プロセスの検討を行うことで,生徒の実態に即した「問い」の生成プロセスを示し,どのようなプロセスが存在しているのかを明らかにすることができた.</p>
著者
市野 進一郎 フィヒテル クローディア 相馬 貴代 宮本 直美 佐藤 宏樹 茶谷 薫 小山 直樹 高畑 由起夫 カペラー ピーター
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

(目的)マダガスカルに生息する原猿類(キツネザル類)は,真猿類とは独立に群れ生活を進化させた分類群である.集団性キツネザルには,性的二型の欠如,等しい社会的性比,メス優位など哺乳類一般とは異なるいくつかの特徴がみられる.こうした一連の特徴は,社会生態学理論でうまく説明できないものであったが,近年,メスの繁殖競合によって生じたとする考え方が出てきた.本研究では,長期デモグラフィ資料を用いて,ワオキツネザルのメス間の繁殖競合のメカニズムを調べることを目的とした.<br>(方法)マダガスカル南部ベレンティ保護区に設定された 14.2haの主調査地域では,1989年以降 24年間にわたって個体識別にもとづく継続調査がおこなわれてきた.そこで蓄積されたデモグラフィ資料を分析に用いた.メスの出産の有無,幼児の生存,メスの追い出しの有無を応答変数に,社会的要因や生態的要因を説明変数にして一般化線形混合モデル(GLMM)を用いた分析をおこなった.<br>(結果と考察)出産の有無および幼児の生存は,群れサイズによって正の影響を受けた.すなわち,小さい群れのほうが大きい群れよりも繁殖上の不利益が生じていることが明らかになった.この結果は,ワオキツネザルの群れ間の強い競合を反映していると思われる.一方,メスの追い出しの有無は,群れサイズよりもオトナメスの数に影響を受けた.すなわち,群れのオトナメスが多い群れでは,メスの追い出しが起きる確率が高かった.このように,ワオキツネザルのメスは群れ内のオトナメスの数に反応し,非血縁や遠い血縁のメスを追い出すことで群れ内の競合を回避するメカニズムをもっているようだ.
著者
渡邉 暢浩 高橋 真理子 宮本 直哉 村上 信五 井上 ひとみ 出口 正裕 関谷 芳正 井脇 貴子
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.354-359, 2006-12-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9

HiRes 90K® Bionic Ear implantは米国アドバンスト・バイオニクス社の新しい機器であり, 米国食品医薬品局の承認を受け, 本邦以外の世界で採用されている。特徴として柔らかくしなやかで, 薄い形状であり, 手術侵襲が軽減されていることやこれまでの8チャンネルから16チャンネルに倍増していること, 新しいコード化法を取り入れていることなどが挙げられる。今回4名の中途失聴成人 (男性3名, 女性1名, 年齢64歳から74歳) に本機器を手術する機会を得, 特に術中, 術後に問題はみられなかった。軽度の浮遊感が続いた患者が1名みられたが, まもなくそれも消失した。4名のうち2名においてMAIS (Meaningful auditory integration scale) を行ったところ, 従来のプログラムであるContinuous Interleaved Sampler (CIS) やPaired Pulsatile Stimulation (PPS) よりもHiRes-SやHiRes-Pにおいて明らかに高い値を示した。結果として4名の患者はすべて新しいHiRes® sound processingを選択され, 従来のコード化法を選んだ患者は一人もいなかった。短期観察期間ではあるが, HiRes 90K® Bionic Earimplantは, 欧米での評価もあわせて効果の面でも安全性の面でも現在認可されている人工内耳より優れていると考えられた。
著者
平田 雄一 宮本 直樹 清水 森人 吉田 光宏 平本 和夫 市川 芳明 金子 周史 篠川 毅 平岡 真寛 白土 博樹
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.238-246, 2014 (Released:2015-03-14)
参考文献数
14

がんの放射線治療においては患者の呼吸等にともなって放射線の照射中に患部の位置が変化する可能性がある。放射線の患部への照射効果を向上させるとともに、周辺の正常部位へのダメージを最小化するために、患部の3次元的な位置の時間的な変化を考慮した4次元放射線治療が最近日本で開発され治療効果を上げている。この時間軸を付加した4次元放射線治療を実現するシステムの安全性に関する技術的要件を盛り込んだ規格を日本から国際電気標準会議(IEC)に提案した。理由は、IECの国際標準は、各国の規制当局によって引用されると、強制力を有するようになるため、IECにおける国際標準化活動は、4次元放射線治療システムの確固とした安全性担保のために非常に効果的であるためである。この論文は、今後さらに需要が増す4次元放射線治療システムに関する国際標準化の戦略について分析した内容をまとめたものである。戦略の要は、4次元放射線治療システムの安全性に関する技術的要件の国際標準化に焦点を絞り、臨床的視点を盛り込む形で、幅広い分野の専門家の意見を結集して国際的な合意形成を図ることである。今後4次元放射線治療を一層普及させるために、このような戦略にもとづいて、4次元放射線治療システムを構成する個別装置に関する既存規格の改訂に加えて、4次元放射線治療システム全体についてシステムとしての安全性評価を行ったうえで、新しい規格の作成を推進する。
著者
森本 雅和 金子 弘樹 宮本 直樹
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.J47-J54, 2014 (Released:2013-12-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1

A method is described that can estimate vehicle speed from video footage taken by an in-vehicle monocular camera. The method involves applying structural information and feature points to a road surface and analyzing their passage over time to accurately estimate pilot-vehicle and oncoming-vehicle speed. Experimental results demonstrated that our method estimates the speed of pilot and other moving vehicles with enough accuracy to investigate traffic accidents.
著者
佐藤 健二 赤川 学 出口 剛司 祐成 保志 東 由美子 米村 千代 中筋 由紀子 野上 元 宮本 直美 佐藤 雅浩 武田 俊輔
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は日本の社会学の調査史における従来の方法を再検討し、新たな方法論的枠組みを提出することにある。社会学史は伝統的に近代社会に対する理論を寄せ集めたものに過ぎず、フィールドワークや質問紙調査などを通じた経験的な観察がどんな社会認識を生みだしてきたかは無視されてきた。この研究は、ことばだけでなくモノや空間やメディアによって認識される社会を含む、新たな理論的・方法論的枠組みを提出する。さらに、新たなコンピュータ技術や映像メディアをデータの収集・整理のプロセスで使いこなす方法論的な枠組みをも展望する。こうした試みは、社会学の研究および教育に大きな貢献をなすであろう。
著者
宮本 直樹
出版者
兵庫県警察本部刑事部科学搜査研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

【研究目的】本研究は,電気的原因による火災の解明の手段として,配線や電気器具などにアーク等によって生じた痕跡(雷気的溶融痕)と火災熱によって生じた痕跡(熱溶融痕)を判別するため,溶融痕内部に生成された空孔状況の違いに着目し,X線CT法を用いて,電線に作製した溶融痕内部の断面を全て非破壊で観察を行い,新たな鑑定手法の確立を目指すものである。【研究方法】試料として,電線(軟銅より線)の先端に直径0.5mm程度の熱及び電気的溶融痕を作成した。熱溶融痕は,ガスバーナーで溶融し、電気的溶融痕は,火炎中で短絡して溶融し,試料を作製した。さらに,作製した電気的溶融痕は,電気炉で約800℃,30分間熱を加えたものも作製した。X線CT測定は,SPring-8内BL24XU実験ハッチCにて行った。X線エネルギーは,29.5keVに設定し,検出器にX線ズーミング管(浜松ホトニクス株式会社製C5333)を用いて,試料を1°ステップで,180°撮影した。露光時間は,6秒で行った。【結果と考察】熱溶融痕と電気的溶融痕のX線CT測定の結果,熱溶融痕は,先端付近に空孔は認められたが,中央付近では認あられない。それに対して電気的溶融痕は,ほぼ全面にわたって,大小の空孔が認められ,今回の試料に対して,熱溶融痕と電気的溶融痕の空孔の状態に差が認められた。さらに,電気的溶融痕に熱を加えたものについては,酸化状態がCT画像のコントラストから判断でき,酸化が溶融痕表面からどのくらいまで浸透しているのか判断できた。このように,内部の空孔が,非破壊で観察でき,さらに空孔の情報も今までの,1断面の2次元の情報でなく,全断面,すなわち3次元の情報でわかり,溶融痕の空孔の形態が詳細に観察できた。
著者
川上 泰雄 宮本 直和 栗原 俊之 若原 卓 岩沼 聡一朗 佐久間 淳 平山 邦明 鈴木 克彦 神田 和江
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、2つの動作速度でカーフレイズ運動を行い、筋疲労の程度と遅発性筋肉痛(DOMS)および筋損傷マーカーの量の変化、筋の機能変化の関係ついて、運動前後および運動後7日間にわたって調査した。その結果、(1)筋疲労の程度は動作速度によって異なり、速い動作ほど疲労が少ないこと、(2)筋疲労の程度と遅発性筋肉痛・筋損傷マーカーの量が関係し、これには筋特異性が存在するが、筋疲労の程度によらず筋の機能は速やかに回復すること、(3)運動中の筋線維動態はこれらの変化と連動して変化する可能性があることが示された。