著者
城ケ原 貴道 小倉 剛 佐々木 健志 嵩原 建二 川島 由次
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.29-37, 2003-06-30
被引用文献数
6 3

沖縄島北部やんばる地域におけるノネコ(Felis catus)および集落におけるネコの食性と在来種への影響を把握するために,糞分析による食性調査を実施した.その結果,ノネコおよびネコの餌動物は多くの分類群にわたっていた.林道においてノネコは,昆虫,哺乳類,鳥類および爬虫類を主要な餌資源としていることが推察され,集落においては,人工物および昆虫が主な餌資源となっていることが推察された.ノネコの餌動物には多くの在来の希少動物が含まれており,沖縄島固有種で国指定特別天然記念物であるノグチゲラ(Sapheopipo noguchii)をはじめ8種の希少種がノネコの糞より検出された.やんばる地域に生息するノネコおよび集落に生息しているネコは,沖縄島の生態系において陸棲動物のほとんどを捕食できる高次捕食者として位置づけられると考えられた.今後,やんばる地域の生態系を維持するためには,ノネコの排除が必要であり,さらに供給源としての飼いネコの遺棄を防ぐ県民への啓蒙普及活動が不可欠である.
著者
小倉 拓郎 早川 裕弌 田村 裕彦 小口 千明 守田 正志 清水 きさら 緒方 啓介 山内 啓之
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

小学校の総合的な学習の時間では,身の回りにある様々な問題状況について,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすることを目標としている(文部科学省 2008).この目標を達成するために,地域や学校の実態に応じて,自然体験や観察・実験などの体験的学習や,地域との連携を積極的に行うことが求められている.演者らは,自然地理学・地理教育・空間情報科学・建築学・歴史学・文化財科学などの専門分野を生かし,横浜市登録地域文化財に指定されている「田谷の洞窟」保存プロジェクトを実施している.このなかで,UAS(Unmanned Aerial System,通称ドローン)を用いたSfM多視点ステレオ写真測量や,地上レーザ測量(TLS: Terrestrial Laser Scanning)などを用いた高精細地表情報を基盤に,洞窟保全や文化財保護などの研究を通して,地域の地表・地下環境情報のアーカイブに取り組んでいる.本研究では,横浜市田谷町「田谷の洞窟」とその周辺域を対象とし,高精細地表情報の取得方法や利活用事例に触れることを通した課題発見型・体験型の地域学習を実践し,児童たちの学習効果について検証する. 本授業は,横浜市立千秀小学校第6学年の総合的な学習の時間および図画工作科を利用して実施した.当該校では,田谷の洞窟を主題として,1年間を通して地域の歴史や文化財の保存,環境についての学習を発展させてきた.学習のまとめとして,3学期にUAS-SfMやTLS由来の地表データから大型3D地形模型を製作した.地形模型作成プロセスを通して,児童たちは地形の凹凸や微細な構造を手で感じ取り,1・2学期に学習した地域学習の内容を喚起させた.その上で,デジタルで高精細な地形モデルや,アナログな立体模型を自由に俯瞰したり,近づいて観察したりすることで,さまざまなスケールにおける地域の構造物や自然環境の位置関係,規模について再認識することができた. 本授業のまとめとして地域で報告会を開催し,作成した大型3D地形模型を利用しながら地域住民や参画する大学教員・大学院生と意見交換を行った.生徒たちは意見交換を通して1年間の学習の整理だけでなく,多様な学問分野の視点や時空間スケールで地域を見つめなおし,自ら立てた課題の再考察や新たな課題を発見することができた.

3 0 0 0 OA 両性の能力

著者
小倉清三郎 著
出版者
以文館
巻号頁・発行日
1914
著者
岩本 拓也 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2013論文集 (ISSN:18820840)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.790-795, 2013-02-21

従来の恋愛支援技術の研究は,遠距離恋愛者を対象に研究開発が進められてきたが,近距離恋愛者に対しても支援すべき課題が残されていると考える.恋人間の愛着行動(いわゆる「いちゃいちゃ」)は,幸福感を得るためや相手との関係をより良いものにするために重要な行為である.恋人達の多くは,常に愛着行動をとりたいと願っている.しかしながら公共空間では,目の前にパートナーがいるにもかかわらず愛着行動を行うことができない.そこで我々は,公共空間内での対面状況において,周囲に不快感を与えることなく愛着行動を行えるメディアの研究開発を進めている.本稿ではこのメディアの実現に向け,どのような種類の行動を伝え合うことが有効かに関する基礎的検証を行う. : “Acting cozy” is important for lovers to feel happiness and to improve their relationships much better. Many lovers desire to always act cozy. However, it is actually difficult to act cozy in a public space although they are together there. Whereas the ordinary research efforts have attempted to mainly support long-distance lovers, there are also several issues to be solved even for short-distance lovers. Accordingly, we have been studying a medium that allows the short-distance lovers who stay together to convey cozy actions even in the public space without disgusting people around them. This paper investigates what kind of cozy actions should be transmitted between the lovers being together in the public space.
著者
小倉 義光 奥山 和彦 田口 晶彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.541-553, 2002-07-31
参考文献数
35
被引用文献数
11

これは,関東地方で1995〜97年の梅雨明け以降の7月と8月,日本気象協会のSAFIRが観測した日々の発電状況の多様性を,大気環境を表すパラメータの組合せの違いに起因するとという見地から理解しようとする試みの第1部である.序論的性格を持つ.まず,関東地方の夏期における発雷の地理的時間的平均分布などを概観する.次に,1日当たり雲放電数が100以上であった65日を選んで,発雷域の地理的分布およびその時間的変化から,発雷パターンを山岳型・山岳から平野型・平野型・広域型の4種に分類する.さらにそれを地上・高層天気図やアメダスデータなどと対比して,各日の主要な雷雨(発雷域)を発生させたトリガーを推定する.その結果によると,気団雷が26日,総観スケールとメソスケールの前線による界雷が31日,上層の擾乱や台風による渦雷が8日であった.気団雷の中で可能な形態の1つ,すなわち平野域での水平或いは鉛直対流による雷雨と思われる例は認められなかった.
著者
小倉 仁志
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジー (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.118-120, 2012-01

ナゼナゼ社の営業部にて。今年度も上半期が過ぎ、じわじわと営業成績というプレッシャーが全員に重くのしかかりつつある。昨日の月例会議では部長から「受注率が例年に比べて下がっている。社会情勢以外の原因とその対策を検討し、下半期に巻き返しを図れ」と檄が飛んだばかりだ。指示を受けた課長は、朝からどこか浮かない顔。 「さて、どうやって対策を出すかだ。
著者
大野 久雄 鈴木 修 韮澤 浩 吉崎 正憲 長谷川 直之 田中 芳男 村松 良夫 小倉 義光
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.197-222, 1994-04-25
被引用文献数
13

太平洋高気圧の北辺に位置する岡山地方で1991年6月27日午後発生した雷雨嵐は同地方に激しい雨や雷および強い突風をもたらせた。中でも岡山市の北東部で発生した突風は特に強く、単体では51m/sの風に耐えられるコンクリート製電柱18本を倒壊させた。この研究は、電柱の倒壊をもたらせた突風の原因を調べるために始められた。利用可能なすべてのデータが集められ、解析された。データ源は、通常レーダー、気象庁のシステム、密に展開された自治体の大気汚染監視用風向風速計、民間航空機、テレビ局のビデオ画像、被害調査結果等と多岐にわたった。これらを複合利用してメソ解析を行った結果、少なくとも4つのダウンバースト(マイクロバーストとマクロバーストの両方)の発生が明らかになった。電柱を倒壊させたのはそのうちの1つで、雷を伴っていた。当時大気成層は、湿マイクロバーストを発生させるのに適したもので、Atkins and Wakimoto(1991)が報告した米国北アラバマの事例と類似していた。また、ダウンバースト発生の潜在的危険性が太平洋高気圧の北辺にあるとの指摘がなされた。
著者
岩本 拓也 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013-HCI-152, no.19, pp.1-8, 2013-03-06

人間の愛着行動 (いわゆる 「いちゃいちゃ」 ) は,幸福感を得るためや相手との関係をより良いものにするために重要な行為である.愛着行動はデリケートな行動のためプライバシが確保された場所で行うのが一般的であり,公共の場では行われない傾向にある.公共の場では,周囲の目が障壁となるため,カップルは愛着行動を行うことが困難になると考えられる.そこで我々は,公共空間内での対面状況において,周囲に不快感を与えることなく愛着行動を行えるメディアの研究開発を進めている.本稿では,裏腹的愛着行動を伝えあう対面コミュニケーションメディアである 「ちんかも」 を提案し,その有用性をユーザスタディによって検証する. : "Acting cozy" is important for lovers to feel happiness and to improve their relationships much better. Many lovers desire to always act cozy. However, it is actually difficult to act cozy in a public space although they are together there. Whereas the ordinary research efforts have attempted to mainly support long-distance lovers, there are also several issues to be solved even for short-distance lovers. Accordingly, we have been studying a medium that allows the short-distance lovers who stay together to convey cozy actions even in the public space without disgusting people around them. This paper investigates what kind of cozy actions should be transmitted between the lovers being together in the public space.
著者
岩本 拓也 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.19, pp.1-8, 2013-03-06

恋人間の愛着行動 (いわゆる 「いちゃいちゃ」 ) は,幸福感を得るためや相手との関係をより良いものにするために重要な行為である.愛着行動はデリケートな行動のためプライバシが確保された場所で行うのが一般的であり,公共の場では行われない傾向にある.公共の場では,周囲の目が障壁となるため,カップルは愛着行動を行うことが困難になると考えられる.そこで我々は,公共空間内での対面状況において,周囲に不快感を与えることなく愛着行動を行えるメディアの研究開発を進めている.本稿では,裏腹的愛着行動を伝えあう対面コミュニケーションメディアである 「ちんかも」 を提案し,その有用性をユーザスタディによって検証する."Acting cozy" is important for lovers to feel happiness and to improve their relationships much better. Many lovers desire to always act cozy. However, it is actually difficult to act cozy in a public space although they are together there. Whereas the ordinary research efforts have attempted to mainly support long-distance lovers, there are also several issues to be solved even for short-distance lovers. Accordingly, we have been studying a medium that allows the short-distance lovers who stay together to convey cozy actions even in the public space without disgusting people around them. This paper investigates what kind of cozy actions should be transmitted between the lovers being together in the public space.
著者
眞田 雅人 俵積田 裕紀 佐久間 大輔 本木下 亮 高橋 健吾 松山 金寛 前田 昌隆 東郷 泰久 小倉 雅 藤井 康成 永野 聡 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.661-663, 2017-09-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
3

今回我々は,巨大な痛風結節を生じ,手術加療を要した症例を経験したので報告する.症例は37歳男性.20歳の時に痛風と診断された.度々痛風発作があったが放置.今回全身の関節に腫脹疼痛があり,手指の把握困難,起立歩行困難のため入院となった.四肢関節,特に両肘,両膝,左母趾には巨大な皮下腫瘤を認めた.両膝の関節液より尿酸Na結晶が検出され痛風関節炎と診断した.約2週間保存的に加療し全身痛は改善したが,左肘・手指・膝・母趾の疼痛が持続するため,痛風結節の掻爬術を行った.術後症状の改善がみられた.痛風の治療は,薬物療法が確立されており,痛風結節を生じる症例は稀である.痛風結節に対しては薬物療法が基本であるが,抵抗性の場合は手術が必要となる.本症例は,薬物療法に抵抗し,疼痛・機能障害が改善しないため手術を行った.尿酸値は徐々に改善しており,手術が尿酸代謝の改善に好影響を与えたものと考える.

2 0 0 0 OA FAMSOの化学

著者
小倉 克之
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.903-913, 1979-11-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
36
被引用文献数
7 6

During our investigation to search useful derivatives of dimethyl sulfoxide, we encountered a new sulfoxide, methyl methylthiomethyl sulfoxide which was also named formaldehyde dimethyl dithioacetal S-oxide. Now, this compound is designated conveniently as “FAMSO” by abbreviating he latter name.FAMSO was first synthesized by substitution of chloromethyl methl sulfoxide with a methanethiolate anion and it was later found that this compound could be more easily produced by oxidation of formaldehyde dimethyl dithioacetal with hydrogen peroxide. To date, many papers on organic syntheses using FAMSO have been published and it has appeared to be a versatile reagent for making a variety of organic compounds such as aldehydes, cyclic or acyclic ketones, α-hydroxy aldehydes, α-amino acids, α-keto acids, and α-arylalkanoic acids.This review will disclose the details of the production of FAMSO and its utilization for organic syntheses.
著者
篠原 叶実 伊藤 敦哉 小倉 拓郎 松岡 憲知
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.132, no.1, pp.33-55, 2023-02-25 (Released:2023-03-09)
参考文献数
69

Marine cavernous landforms, including notches, caves, arches and tunnels, characterize the rocky coast landscape and are strongly influenced by the geology (e.g., rock strength and structure) of sea cliffs. Geological controls on the development and shape of marine cavernous landforms are evaluated based on field investigations along the Pacific coastlines of Honshu Island, Japan. Morphological parameters, width (w), depth (d), and height (h), of cavernous landforms were measured directly or through images taken with an unmanned aerial vehicle, together with geological factors, such as rock types, strength (Schmidt hammer rebound values: R), dips and strikes of bedding, major joints, and fault planes. In total, 76 caves are investigated in six coastal areas: Sanriku Coast, Joban Coast, Boso Peninsula, Miura Peninsula, Izu Peninsula, and Kii Peninsula. According to shape index, d/w, and presence of the open end, cavernous landforms are classified into notches (d/w < 1, closed end), caves (d/w ≥ 1, closed end), arches (d/w < 1, open end), and tunnels (d/w ≥ 1, open end). An analysis shows that the major geological controls differ between notches and the other three forms. Low rock strength (R < 40) and sub-horizontal bedding are, respectively, the primary and secondary controls on the formation of notches, whereas weak rock structures (joints, faults and bedding) with a dip steeper than 30° (vertical or steeply inclined structures) and a strike trending perpendicular to the cliff face are the major controls on the formation of caves, arches and tunnels. Rock strength also affects planar forms defined by the shape index, promoting a deepening of cavernous forms, particularly when the cliff has a medium rock strength (R = 30-50) that provides an optimal balance between erosion force and resisting force. In general, vertical or steep structures contribute to the deepening of holes, whereas horizontal or gentle structures favor widening.