著者
小林 哲生 笈田 武範 伊藤 陽介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

本研究では,神経・精神疾患などの診断支援や治療効果を定量的に評価できる新規医用イメージングシステムの開発を目的として,超高感度な光ポンピング原子磁気センサ(OPAM)の深化とモジュール化,ならびにこのセンサによるMRI撮像を超低磁場で実現し他の様々な計測手法とのマルチモダリティ計測を可能とするシステムに関する研究を行った. OPAMについてはK原子とRb原子のハイブリッド型により高い空間的均一性を実現できることを示し,さらに新たな多点同時計測法を開発した.また,モジュール型OPAMによるMR信号の直接計測手法の提案を行い数値実験によりその妥当性を示すなど多くの成果を挙げる事ができた
著者
池田 康紀 田村 光信 梅津 英央 田村 元彦 小林 哲 杉田 和彦 知元 正行 長井 千輔 嶋田 晃一郎
出版者
小松島赤十字病院
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.38-43, 1999
被引用文献数
1

症例は68歳男性, 1997年11月の検診にて左上肺野異常陰影を指摘されるも98年6月になって当科入院。入院後の気管支鏡検査にて左B^3aの扁平上皮癌と診断。3週間後の待機手術となったため, 気管支鏡施行後3日目に一時退院となった。退院当日より感冒症状出現し, その後39℃台の発熱が持続したため再入院となった。再入院時の胸部X線上, 左上肺野に肺炎像を認め, 翌日には鏡面像を伴う空洞を認めたため肺膿瘍と診断した。抗生物質はCTM, CLDMを投与するも解熱傾向はみられなかった。しかしCZOPに変更後36℃台に解熱したため, 左上葉切除及びリンパ節郭清術を施行した。術後病理診断において2.5×1.0cm大の腫瘍とその末梢に約4.5×4.0cm大の膿瘍を認めた。腫瘍はT1N0M0, stage I期の扁平上皮癌であった。また術中採取した膿の培養にて起因菌がKlebsiella pneumoniaeと判明した。
著者
田中 昌一郎 粟田 卓也 島田 朗 村尾 敏 丸山 太郎 鴨井 久司 川崎 英二 中西 幸二 永田 正男 藤井 寿美枝 池上 博司 今川 彰久 内潟 安子 大久保 実 大澤 春彦 梶尾 裕 川口 章夫 川畑 由美子 佐藤 譲 清水 一紀 高橋 和眞 牧野 英一 三浦 順之助 花房 俊昭 小林 哲郎 日本糖尿病学会1型糖尿病調査研究委員会
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.65-75, 2011-01-30
参考文献数
19
被引用文献数
2

日本糖尿病学会1型糖尿病調査研究委員会の緩徐進行1型糖尿病分科会(旧日本糖尿病学会緩徐進行1型糖尿病調査委員会)では委員会委員の所属する施設において発症から5年以内の新規受診糖尿病687例を前向き(2004年4月~2009年12月)に登録し膵島関連自己抗体(glutamic acid decarboxylase[GAD]抗体,insulinoma-associated protein 2[IA-2]抗体およびinsulin autoantibodies[IAA])の測定を行った.2型糖尿病と思われる症例で膵島関連自己抗体が一種でも陽性の場合には緩徐進行1型糖尿病:slowly progressive IDDM(以下SPIDDM)と病型区分した.その結果,1)2型糖尿病と思われる症例の10%(49/474, 95%信頼区間:8-13%)にSPIDDMが認められた.2)膵島関連自己抗体陰性の2型糖尿病に比しSPIDDM例の自己免疫性甲状腺疾患の合併頻度,HbA1c値,初診時のインスリン治療の頻度は有意に高く,BMIは有意に低かった.3)SPIDDMではGAD抗体の頻度(69%,34/49)はIA-2抗体の頻度(39%,19/49)やIAA(29%,14/44)の頻度に比し有意に高かった.4)SPIDDMでは急性発症1型糖尿病に比し膵島関連自己抗体の単独陽性例が高頻度だった.以上の結果から2型糖尿病と思われる症例に高頻度にSPIDDM症例が含まれる可能性があること,SPIDDMは2型糖尿病や急性発症1型糖尿病と異なる臨床的特徴を呈することが全国規模調査で明らかとなった.<br>
著者
小林 哲夫
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

デンプン分解に関わる酵素遺伝子群の発現を統括する糸状菌転写因子AmyRの誘導物質依存的核移行メカニズムの解明を目的とし、以下の成果を得た。1.AmyRは誘導物質依存的にDNA結合能を獲得すること、また、AmyRを含むタンパク質複合体の分子量が、誘導条件下で低下することが示された。これらの事実ならびにDNA結合ドメイン内に核移行シグナルが存在することを踏まえ、AmyRの誘導物質依存的核移行は核移行シグナルを含むDNA結合ドメインのマスキング/アンマスキングにより制御されていると考えられた。2.AmyRは誘導物質体存的にリン酸化される。推定リン酸化部位の変異解析により、T424、S436、S445のアラニン置換により、AmyRが構成的に核移行することが明らかとなった。また、T424、S445の変異により転写活性化能が消失するのに対し、S436の変異では構成的な転写活性化が引き起こされた。これらの変異はいずれもMH3ドメインに存在する。MH2が転写活性化ドメインであり、MH4が核移行制御ドメインであるとする過去のデータと考え合わせ、MH2、3、4の複雑な相互作用によりAmyRの核移行や転写活性化能の制御が行われていると考えられる。
著者
秋葉巌 松山洋一 小林哲則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.10, pp.1-8, 2013-07-18

多人数会話において発生する発話機会の不均衡を調整するために,機会が十分に与えられず 「置いてけぼり」 状態になっている会話参加者に適切な手続きを経て発話機会を与えることのできる会話ロボットを提案する.特に,ファシリテーションのモデルを扱うための最小単位である 4 者会話 (ロボットを含む) を対象として,主導的に会話を進めている参加者らの状況も考慮しながら,段階的に主導権を奪取し,しかるべき対象者に発話機会を与えるような手続きの計算モデルを提案する.モデル化には,誤りを含むセンサ情報にロバストな部分観測マルコフ決定過程 (POMDP) を用いる.さらに手続きとそのタイミングの適切性について評価した被験者実験の結果を報告する.We propose a facilitation robot harmonizing four-participant conversations. Four-participant conversation is the minimum unit that needs facilitation skills. In general, three is the minimum number of participants of a multiparty conversation. In such three-participant situations, back-and-forth interactions between two participants out of three primarily occur and another participant tends to be left behind, who cannot properly get floors to speak. Here, they need one more participant who helps the participant left behind to harmonize him/her with the others. Conversational robots have potentials to participate in such conversations as the fourth participant. When the robot steps in the situation to help, there should be proper facilitating procedures to obtain initiatives to control conversational contexts. In this paper, we propose a conversational robot system harmonizing four-participant conversations along procedures of obtaining initiatives of topic and floor control. These situations and procedures were modeled and optimized as the partially observable Markov decision process. We conducted an experiment to evaluate appropriateness of the proposal procedures and the result shows evidence of its acceptability.
著者
大町 基 岩田 和彦 小林 哲則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.355, pp.159-163, 2009-12-14
参考文献数
7

合成音声に,相手との距離に応じた距離感を与えることを試みる.人が,例えば,離れたところにいる相手に話しかけようとして大きな声を出す際には,通常よりも強く息を吐くなどの発声の仕方の変化を伴うと考えられる.このことは音量が大きくなる以外に,声質の変化をももたらすと予想される.そこでまず,人が,相手との距離を意識して発声した音声にどのような特徴が現れるかを調べた.話しかける相手との距離をいくつか設定し,声優がそれぞれの距離感を表現して発声した音声を収録した.これらの音声を分析した結果,距離感が遠くなるにしたがって(1)第1フォルマント周波数の高域へのシフト,(2)スペクトル傾斜の緩和が特徴として見られることがわかった.さらに,これらの特徴の変化を踏まえ,音声の距離感を変換する方法を検討した.
著者
森脇 広 新東 晃一 小林 哲夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.329-338, 1991-12-25 (Released:2009-08-21)
参考文献数
63

This paper outlines the previous studies of many Quaternary gigantic pyroclastic flow deposits widely distributed in Kyushu in terms of Quaternary studies: (1) age, distribution, and source, and (2) influence on the Jomon Culture of Kyushu in the Holocene and on late Pleistocene slope erosion of Yaku and Tane islands.Seven gigantic pyroclastic flows are recognized in the late Pleistocene: Koya (source: Kikai caldera, age: 6, 300yBP), Ito (Aira caldera, 21, 000-22, 000yBP), Aso-4 (Aso caldera, 70, 000yBP), Nagase (Kikai caldera, 75, 000yBP), Ata (Ata caldera, 85, 000yBP), Aso-3 (Aso caldera, 105, 000yBP) and Torihama (Ata caldera, 100, 000-150, 000yBP) pyroclastic flows. Co-ignimbrite ash falls associated with all of them are found in distal areas more than 1, 000km distant from their sources. The ages, estimated by stratigraphic positions of those ash falls as well as radiometric datings, indicate that the eruptions of gigantic pyroclastic flows concentrate in the early stage of the late Pleistocene. Those pyroclastic flows showing circular distribution extend to a distance of 100-150km from the source.In contrast, the age, distribution, and source of middle-early Pleistocene gigantic pyroclastic flows are not sufficiently clarified, except for the Aso-2, Aso-1, Kakuto and Shimokado pyroclastic flows in the late stage of the middle Pleistocene.A clear difference in Jomon pottery between the layer above K-Ah ash associated with Koya pyroclastic flows and that beneath it, is widely recognized in Kyushu, suggesting that Koya pyroclastic flows eruption played an important role in the change in Jomon culture.We can often recognize slope deposits, including blocks of Nagase pyroclastic flows deposits in Yaku and Tane islands. This may suggest that unstable conditions occurred on the slopes over a wide area around the Kikai caldera owing to this eruption.
著者
小林 哲夫 吉江 弘正
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.11-17, 2012-03-28 (Released:2013-04-24)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1
著者
近藤 一郎 小林 哲夫 若林 裕之 山内 恒治 岩附 慧二 吉江 弘正
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.281-291, 2008-06-30
被引用文献数
3

母乳に含まれるラクトフェリン(LF)は鉄結合性糖タンパク質であり,抗菌作用などの生理活性を有することが知られている.本研究では,ウシLF配合錠菓(森永乳業)を3カ月間摂取した場合の歯周炎患者に及ぼす影響を,臨床的,細菌学的,および生化学的に検討した.同意が得られた軽度慢性歯周炎患者18名を無作為に,ウシLF含有錠菓摂取群(実験群:8名)およびプラセボ錠菓摂取群(コントロール群:10名)に分けて,ともに錠菓を1日3回(1回2錠)3カ月間摂取し続けてもらった.錠菓摂取直前(ベースライン),摂取1週後,1カ月後,および3カ月後の来院時に,1)歯周組織検査,2)定量性PCRによる歯肉縁下プラークおよび唾液細菌検査(総菌数,Porphyromonas gingivalis数,Prevotella intermedia数,3)サンドイッチELISA法による歯肉溝滲出液(GCF)および唾液ヒト・ウシLF濃度検査,4)リムルステストによるGCFおよび唾液エンドトキシン濃度検査,を二重盲検法にてそれぞれ行った.各来院時での検査結果の群間差をMann-Whitney U testにて統計解析した.本実験期間中でウシLF錠菓摂取に伴う副作用は一切認められず,同錠菓の安全性が再確認された.実験群ではコントロール群と比べてベースラインに対する歯肉緑下プラーク細菌数変化量の有意な低下が,総菌数(1カ月後),P.gingivalis数(1,3カ月後),P.intermedia数(1週後)においてそれぞれ認められた.唾液細菌数および臨床所見における群間差はみられなかった.ウシLF濃度は,コントロール群と比べて実験群で有意に高いレベルが維持された.ヒトLFおよびエンドトキシンの濃度変化量には群間差はみられなかったが,実験群のGCFでは低レベルで推移する傾向が認められた.以上から,ウシLF配合錠菓の継続的な経口投与により,歯周病原細菌が減少することが臨床レベルで初めて確認された.ウシLFのレベルがGCFである程度維持され,歯肉縁下プラーク細菌を抑制した可能性が考えられる.食品成分であるウシLFを配合した錠菓の経口投与は,より安全な歯周病の予防法として有望であることが示唆された.
著者
加藤 健一 小川 哲司 小林 哲則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.442, pp.25-30, 2006-12-15

本稿では,特徴変換にブースティングの枠組を適用した識別器統合手法を提案する.一般的に,複数の識別器を統合するとき,識別性能は向上することが期待できる.しかし,識別器の統合にあたって,二つの重要な課題がある.一点目は,統合する識別器各々の誤り傾向が異なっていなければ(相補性がなければ),わずかな性能の改善しか得られない点,二点目は,相補的な識別器が生成されたとしても,各々の識別器が与える情報の統合手段が適切でない場合,やはりわずかな性能の向上しか得られないという点である.そこで本稿では,上述した二点を考慮した上で,相補的な識別器の生成手法と,その統合手法について検討を行う.相補的な識別器を生成するにあたっては,Heteroscedastic linear discriminant analysis (HLDA)に基づく特徴変換の過程でブースティングの枠組を適用した.また,統合においては,各々の識別器から出力される尤度の情報を特徴ベクトルとし,このベクトルが張る空間上でSupport vector machine (SVM)に基づくパターン認識を行った.提案手法により識別器を統合することで,孤立単語音声認識実験において,統合前と比較し74%の誤りが削減されることがわかった.
著者
木村 泰知 渋木 英潔 高丸 圭一 乙武 北斗 小林 哲郎 森 辰則
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.580-593, 2011 (Released:2011-07-20)
参考文献数
14
被引用文献数
3

This paper presents an automatic question generation method for a local councilor search system. Our purpose is to provide residents with information about local council activities in an easy-to-understand manner. Our designed system creates a decision tree with leaves that correspond to local councilors in order to clarify the differences in the activities of local councilors using local council minutes as the source. Moreover, our system generates questions for selecting the next branch at each condition in the decision tree. We confirmed experimentally that these questions are appropriate for the selection of branches in the decision tree.