著者
小林 祐樹 Yuki Kobayashi
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2016-03-25

本論文では, モンテカルロ木探索を用いた囲碁プログラムのデータ構造を考え, 学習手法やヒューリスティックの有無がプログラムの強さにどのように影響するかを考察した.モンテカルロ木探索は木探索部とシミュレーション部に分けられ, さらにシミュレーション部は大きく2つに分けられる. 1つは盤全体の着手確率のテーブルを保持して, その中からランダムに着手を選ぶ非決定論的シミュレーションであり, もう1つは直前の着手に対応する良さそうな手があったら, 即座にその手を選ぶ決定論的シミュレーションである. 決定論的シミュレーションを行うオープンソースソフトウェアにPachi やFuego などがあるが, それらと同等の棋力を持つ非決定論的シミュレーションを行うオープンソースソフトウェアは存在しない.本研究では, 非決定論的シミュレーションを用いる囲碁プログラムを設計し, Pachi やFuego よりも強い囲碁プログラムの開発を目指した.プログラムに利用している学習手法の妥当性や, ヒューリスティックの有効性を示し, 13路盤と19路盤ではPachi とFuego よりも強いプログラムを開発できた.非決定論的シミュレーションを行うプログラムを作成し, オープンソースソフトウェアとすることで, 様々な手法の有効性を2つのシミュレーション手法の違いを含めて検証できるようになった.
著者
小林 史枝 武田 正則 佐藤 正暢 山下 好史 杉山 賢司 森田 雅教
出版者
The Japanese Society of Extra-Corporeal Technology in Medicine
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.59-63, 1997

近年の膜型人工肺は,ハードシェルめ静脈貯血槽との一体型が多く,簡素化されている。しかし,最低貯血量の必要性などにより,人工心肺回路の充填量軽減には限界がある。そこで我々は,低充填量を目的に,静脈血液が貯血槽を経ない遠心ポンプと落差の併用脱血方式の回路を試作し,臨床使用した。脱血回路は,貯血槽から遠心ポンプへの回路の中間へ接続し,主な静脈血は直接遠心ポンプへ流入し,灌流量以外の静脈血は貯血槽の流出口から自然落差により逆流し貯血する。灌流量が不足の場合は,貯血槽から補う方式とした。また,脱血回路にはエアーフィルタを装着し,遠心ポンプへの空気混入を回避した。エアーフィルタは100μmに織ったポリエステルのスクリリーンタイプで,充填量が40mlのものを使用した。このフィルタの性能試験を牛血(Ht=20%)で1分間5mlの空気を4回注入し,フィルタの出口で気泡を検知した結果,40μm以上の気泡は18個で,その内17個が60μm以内で,1個だけ70μmが検知された。この微小気泡は,人工肺出口でも同量が検知されたが,遠心ポンプの拍出には影響なく,最終的には動脈フィルタにおいて全て遮断された。試作回路は充填液量が1,000mlと少なく,脱血回路への空気混入は,エアーフィルタで除去され,弁疾患などの開心術症例にも支障なく使用でき,有用な人工心肺回路であった。

2 0 0 0 光物性入門

著者
小林浩一著
出版者
裳華房
巻号頁・発行日
1997
著者
木村 泰知 小林 暁雄 坂地 泰紀 内田 ゆず 高丸 圭一 乙武 北斗 吉田 光男 荒木 健治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本研究では,地方政治に関する研究の活性化・学際的応用を目指して,「議論の背景」「議論の過程」「議論の結果」を関連づけるコーパスの構築を進めている.本稿では,議論の背景・過程・結果を関連づける地方政治コーパスの構築の試みについて述べる.
著者
川瀬 千晶 小林 一郎 西本 伸志 西田 知史 麻生 英樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

fMRIを使用し測定した動画視聴時のヒトの脳活動データとその動画を説明する文書の分散意味表現をそれぞれスパースコーディングを用いて辞書と係数に分解し、これらの係数同士の対応関係を捉えることで新しく観測された脳活動データに対して言語表象を推定する。スパースコーディングを介して推定を行うことで精度の向上を確認した。また、重要単語を考慮した意味表象を作るなどの工夫を行い、提案手法の正当性の追認を行った。
著者
小林 慎一 粂野 文洋 白井 康之 犬島 浩
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.192-206, 2010-03-01

ソフトウェア分野の研究開発力を強化するための一つの方策として,研究開発対象にする重点テーマを策定する方法論を提案する。この方法論では,ソフトウェア技術に関する複数のトレンドがそれぞれ独立に進展することによって対立概念が顕在化し,その解消のために新たな技術の創出が求められると考える。将来の対立点がどこに発生するかを推測することが重点分野の検討につながる。従来課題とされていた対立点の推測はソフトウェア工学の知見を活用したFURPS+モデルによるトレンドの対立度計算手法による。本方法論を用いて公的な研究費配分機関における重点的な研究開発テーマの検討を行い,25の重点分野を策定した。これらの重点分野の妥当性を評価するために,デルファイ法にもとづいて実施された文部科学省技術予測調査で得られた主要課題との比較分析を行った。本方法論で得た重点分野は文科省調査の主要課題の89%(8テーマ/9テーマ)をカバーしており,高い精度で両者が一致している。本方法論の重点分野の36%(9テーマ/25テーマ)は文科省調査の主要課題には存在しないテーマである。この部分は文科省調査に対する本方法論の独自性を示している。本方法論によって重点分野の検討プロセスに体系的な手順と一定の網羅性が得られ,複数人での検討作業が過度に発散せず,系統的で見通しの良いものになることを示した。
著者
小林 甫
出版者
日本村落研究学会
雑誌
村落社会研究ジャーナル (ISSN:18824560)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-12, 2012-10-25 (Released:2014-11-04)
参考文献数
26
被引用文献数
1 5

In this paper I study about a rural self governing collectivity at the Tada village in the NanYo (south of the Iyo) including the Uwa basin, south-west of the Ehime Prefecture. I refer to the NanYo's history from ancient era to present days. That is, 1) Status of NanYo under the Ritsuryo legal codes. 2) The social structure of Early Modern village system in NanYo. 3) The political and social structure of the new Tada administrative village after the Meiji Restoration, in 1890. 4) Self governance of the people after the administrative consolidation of 6 villages into the Uwa-town in 1954, and that of 5 towns into the Seiyo-city in 2004. 5) The collective life of inhabitants and residents in the Tada rural area in present days. By this research I would like to clarify the concept of “community” , which is made up of multilayer structures. In the bases it existed the rural “commune” before Ritsuryo legal codes. Ritsuryo system went down from the Miyako (Capital) to the Kuni (for example Iyo country) , Gun (Uwa county) , and Go (Iwano area) in order to control rural communes or villages. But in early modern era Gun system was changed for the Kumi (unit of several villages) system in the Uwajima Clan. Then Meiji Restoration changed the Kuni into the Prefectures. Tada's rural 4 villages turned into the end organization of the Modern State as new Tada-village, Uwa-town, Seiyo-city, and it seems that the people have lost their autonomy at all. But people's self governance stays now in their daily human relationships, not combine enough with the local autonomy's reformations. So it is necessary to interface with each other to develop mutually the local sovereign power. The Tada people's motto for their life-philosophy is “Freedom, Justice and Friendship” which was taught by the President of Tada Junior High in the age of 1953-63.
著者
小林 貴 坂本 将吾
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_194-A_201, 2017

<p>本研究は、踏切内事故の主要因である遮断直前横断の発生要因を明らかにするために、遮断直前横断の有無と、踏切横断までに運転者が経験した交通状況の関係について、実測調査を用いた分析を行った。 その結果、遮断直前横断の発生には、待ち時間・待ち台数・待ち距離・遮断経験といった運転者の経験が影響しており、車列到着時と車列滞在中では異なる要因が遮断直前横断発生に影響している。車列到着時には待ち台数の多さや距離の長さが影響している可能性があり、車列滞在中には、待ち台数、徐行時間、遮断による停止経験が影響している。徐行時間の増加は、停止時間の増加に比べ、約3倍遮断直前横断を発生しやすくさせる。</p>
著者
千葉 剛 佐藤 陽子 小林 悦子 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.96-106, 2017-04-25 (Released:2017-05-09)
参考文献数
9
被引用文献数
11

平成27年4月に事業者の責任により機能性表示ができる機能性表示食品制度が施行された.施行後1年が経過した時点における機能性表示食品の認知度および利用実態について消費者2,060名,医師515名,薬剤師515名を対象にアンケート調査を行った.機能性表示食品を認知している人は消費者81%,医師93%,薬剤師98%であった.しかしながら,その特徴を正しく理解していた人は消費者16%,医師23%,薬剤師44%であった.機能性表示食品を利用したことのある消費者は12%であり,治療目的に利用,通院中,医薬品を併用している人がいたが,医師・薬剤師へ相談している人は僅かであった.一方,医師・薬剤師において,患者から機能性表示食品の利用について相談を受けたのは約8%であり,利用が原因と思われる健康被害の相談を受けたのは約2%であった.
著者
小林 悦子 佐藤 陽子 梅垣 敬三 千葉 剛
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.107-112, 2017-04-25 (Released:2017-05-09)
参考文献数
12
被引用文献数
5

高齢者においては健康食品の利用率が高く,利用による被害を避けるためにも適切な情報提供が重要である.近年,情報提供手段としてインターネットが活用されているが,高齢者に対する健康食品の情報提供手段としてインターネットが適切であるか検討した.インターネット調査では,健康食品の情報源,入手経路のいずれにおいてもインターネットの利用率が高かった.一方,紙媒体調査では情報源,入手経路のいずれにおいてもインターネットの利用率は低く,テレビ,新聞,雑誌などメディアに加え専門職や友人などの情報の利用が高く,知人などを介して入手している人も多かった.これらの結果より,普段インターネットを利用していない高齢者に対しては,専門職などとのコミュニケーションを介した情報提供が必要であると考えられた.
著者
北山 泰広 江丸 貴紀 星野 洋平 小林 幸徳
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第53回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.323, 2010 (Released:2011-02-03)

現在,日本では高齢化社会の進行に伴い,ロボット技術を利用した歩行訓練機による介護・介助の必要性が高まっている.本研究ではオムニホイールを利用した全方位移動ロボットを想定し,重心のずれを考慮した軌道制御シミュレーションを行うことによって安心・安全なロボットを実現することを目的とする.本講演では制御対象が冗長な系であることに着目し,設計者が指定する拘束条件のもとで最適な制御を行うことを目指す.
著者
小林五郎 述
出版者
社會往來懇話會
巻号頁・発行日
1936
著者
小林 康正
出版者
京都文教大学
雑誌
人間学部研究報告
巻号頁・発行日
vol.9, pp.33-60, 2006

This paper aims to shed light on the discourse of "destiny" in the era of Japan's industrial revolution, and to explore the implicit and explicit relations which it has to other discursive entities and to the contemporary social arrangement. In order to do so, I chose to focus on poet Ishikawa Takuboku (1886-1912), and to trace the change of his thought on "destiny" during his life. During the period of social change in the Meiji Restoration, risshin shusse (climbing up the social ladder) was commonly accepted as the most important idea. The Meiji youth were expected to struggle for it. In the early twentieth century, risshin shusse, which was encouraged by the substantial economic growth of the time, impelled the Japanese ambitious youth to strive for their own "success" (seikou), and this word acquired a new meaning that built up a fortune. However, the stabilization of social order and frequent recessions in the second half of the Meiji led most of them to failure. In such circumstances, those people who escaped from fierce competition for acquiring money or status emerged one after another. They were called "anguished youth" (hanmon seinen). It was thought that their excessive aspiration had to be cooled down so as to calm their anguish. Therefore, a large body of literature focusing on "cultivation" (syuyou), which advised the youth to conduct themselves impeccably, was published. This useful literature helped the youth to set suitable objectives for their social position. As the capitalist economy rapidly developed, the discursive space whose folk terminology consisted of words such as "success", "anguish", "cultivation", etc., was built up. During the radical changes in the world during this time, people participated in it, and used this terminology as a compass to find the way to their goal. Nevertheless, it is clear that the discursive space reflected an ambivalent attitude toward life. The characteristics of it are made explicit in the usage of the ward unmei ("destiny", or, "fate"). In those days many people insisted that they ought to "carve out their own fortune" (unmei no kaitaku) ; on the other hand, many books, which claimed that they held, m "the secret of success" (seikou no hiketu), were published. Takuboku was an ambitious young man of the Meiji era who lived in the discursive space. Therefore, his attitude to destiny was ambivalent. It follows from this that the investigation into his thoughts on destiny elucidates the significant characteristics of the discursive space in the era of Japan's industrial revolution.