著者
三家 祥平 小林 健太郎 山里 敬也 片山 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.153, pp.19-24, 2010-07-22

協調スペクトルセンシングシステムでは,複数のノードがスペクトルセンシングを同時に行い,判定結果をコントロールチャネルを通してフュージョンセンターに報告する.本稿では,このコントロールチャネルの周波数帯域幅の利用効率の改善を目指す.帯域幅の有効利用のため,各ノードにおける判定条件に逐次検定を適用した.逐次検定により,ノードからの報告のタイミングがずれるため,同時報告数の最大値が減り,コントロールチャネルに必要な帯域幅を削減することができる.また逐次検定は,同時報告数を減らすだけではなく,一次システム信号の検出精度も改善できることを,数値例により示す.さらに,報告数の偏りを考慮したフュージョンセンターの最終判定規準を提案し,さらなる検出精度の改善が実現できることを示す.
著者
小林 千種 中里 光男 山嶋 裕季子 大野 郁子 河野 美幸 安田 和男
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.139-143, 2001-04-25 (Released:2009-03-25)
参考文献数
6
被引用文献数
13 15

RI-HPLC及びパルスドアンペロメトリック検出イオンクロマトグラフィー(PAD-IC)による広範囲の食品に適応可能なスクラロースの分析法を作成した.試料に 10% NaCl 含有 0.01 mol/L HCl を混和して透析膜に充てんし,0.01 mol/L HCl を透析外液として用い,24時間透析を行った.透析外液を Bond Elut ENV カートリッジに負荷して濃縮及びクリーンアップを行い,試験溶液を作製した.従来の前処理方法と比較して夾雑物の影響がなく,RI-HPLC及びPAD-ICの両分析法に適用することができた.両分析法のスクラロースの定量値はほぼ一致した.試料からの添加回収率は 88% 以上得られ,定量下限は前者で10 μg/g,後者で1 μg/g であった.
著者
小林 重信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.147-162, 2009 (Released:2009-01-06)
参考文献数
37
被引用文献数
43 63

Real-coded genetic algorithms (RCGA) are expected to solve efficiently real parameter optimization problems of multimodality, parameter dependency, and ill-scale. Multi-parental crossovers such as the simplex crossover (SPX) and the UNDX-m as extensions of the unimodal normal distribution crossove (UNDX) show relatively good performance for RCGA. The minimal generation gap (MGG) is used widely as a generation alternation model for RCGA. However, the MGG is not suited for multi-parental crossovers. Both the SPX and the UNDX-m have their own drawbacks respectively. Therefore, RCGA composed of them cannot be applied to highly dimensional problems, because their hidden faults appear. This paper presents a new and robust faramework for RCGA. First, we propose a generation alternation model called JGG (just generation gap) suited for multi-parental crossovers. The JGG replaces parents with children completely every generation. To solve the asymmetry and bias of children distribution generated by the SPX and the UNDX-m, an enhanced SPX (e-SPX) and an enhanced UNDX (e-UNDX) are proposed. Moreover, we propose a crossover called REX(φ,n+k) as a generlization of the e-UNDX, where φ and n+k denote some probability distribution and the number of parents respectively. A concept of the globally descent direction (GDD) is introduced to handle the situations where the population does not cover any optimum. The GDD can be used under the big valley structure. Then, we propose REXstar as an extention of the REX(φ,n+k) that can generate children to the GDD efficiently. Several experiments show excellent performance and robustness of the REXstar. Finally, the future work is discussed.
著者
小林 英一 末田 高嗣 西村 好之 大江 清登 池上 国広 山瀬 晴義
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
no.189, pp.347-356, 2001-06
被引用文献数
1

本実験の結果をまとめると次の通りである。<BR>(1) ガイドフェンス部のテンションメンバ材に剛性の高い鋼製を用いると計算条件の2kn航走時に最大曳航荷重が380kN程度と相当過大になるが,剛性の低いナイロンロープを用いると110kN程度にまで軽減でき,実用性が高まる。<BR>(2) またトラップブームに作用する波浪荷重も剛性の低いナイロンロープを採用すると100kN程度にまで低減できる。<BR>本研究では, 具体的な製品開発に必要なオイルフェンスに作用する波浪荷重計測を行い, 構造設計に必要なデータを取得するとともに, 波浪中の挙動把握を水槽実験で実施した。また荒天下で安全にオイルフェンスを降下揚収できる装置を開発設計するために必要な諸データ取得のためハンドリング予備試験を実施すると共に, オイルフェンスの波浪強度を把握するためのフェンス主要部分模型を製作し, 引っ張り強度試験を実施した。さらにこれら等に基づいて, フェンスシステムの基本設計を行った。<BR>次に高波浪中でも安全かつ効率的にオイルフェンス等をハンドリングできる昇降装置等, およびオイルフェンスの自己膨張メカニズムの基本設計を行った。主要な成果を次にまとめる。<BR>(1) ガイドフェンス部のテンションメンバ材は鋼製を採用すると荷重が多大となり索径が大きくなりハンドリングが難しくなるが, 伸び剛性の低い材料の採用により, 波浪荷重が低減され実用的な設計が可能であることが判明した。<BR>(2) ガイドフェンス曳航力, 油回収装置の係留力等設計に必要な諸データが取得された。<BR>(3) 上記実験結果に基づき曳航索がナイロンロープ, ガイドフェンスがポリエステル繊維材から構成されるオイルフェンスシステムの試設計が完了した。<BR>(4) オイルフェンスを安全に投下・回収させるハンドリング装置設計のための水槽実験を実施しシュータ方式の有効性を実証した。<BR>(5) この実験結果に基づきフェンスの等をハンドリングする展張装置の基本設計を行った。<BR>(6) さらにオイルフェンスの自己膨張メカニズムの基本設計を行った。<BR>(7) 以上により最大波高6mの海域においても十分な滞油性能を有する実用的なオイルフェンスシステムの設計が完了し実用性の見通しが得られた。
著者
小林 光夫 吉識 香代子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.249-261, 2001-12-01
参考文献数
11
被引用文献数
1

PCCS(Practical Color Co-ordinate System)は, 色彩調和を考慮した表色系である.PCCSは, 色相, 明度, 彩度という三属性による色表現のほかに, 配色に有用な"トーン"の概念をもっている点に特色がある.しかし, PCCSのトーンと三属性値との対応は, いくつかのトーン代表色でしか与えられていないし, 他の表色系との関連も明確でない.また, PCCSの色票集の色票の数が少ない.これらの理由で, PCCS利用の範囲は狭められている.われわれは, PCCSの各トーン代表色におけるPCCS三属性値とマンセル三属性値の関係を分析したところ, PCCS-マンセル間の簡明な数学的関係を見出すことができた.また, この関係を利用し, 相互表色値変換のアルゴリズムを構成した.さらに, トーンを表わす色相に依らない座標系を, PCCS三属性値からの簡単な線形変換という形で, 構成することができた.この結果, 任意のマンセル表色値に対し, PCCS三属性値およびPCCSトーンを計算することが可能となり, PCCSの利用範囲の拡大が期待される.
著者
長谷島 伸親 小林 淳晃 竹澤 信治 大和 邦雄 門山 周文 川野 裕
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.1105-1110, 1995

ベリリウムの使用量に比し, 本邦の慢性ベリリウム症の報告は少なく20数例である. 今回, 我々は, 低含量Be銅合金加工工場で発生した慢性ベリリウム症の一例を経験した. 症例は24歳, 男性, 労作時呼吸困難を主訴に受診した. 19歳の時より当院受診時まで, 1.8%未満のベリリウム銅合金加工工場に勤務し, 細線加工に従事していた. 胸部X線像では左気胸と両肺にびまん性の微細な粒状影と嚢胞が認められ, 肺機能検査は, 拡散障害と拘束性障害を示していた. 肺生検組織で壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫と胞隔炎を認め, 肺組織に正常より高濃度のベリリウムが検出された. BeSO<sub>4</sub>による気管支肺胞洗浄液リンパ球刺激テストと末梢血リンパ球刺激テストは共に陽性であった. 職業歴と検査所見より慢性ベリリウム症と診断した.
著者
小林 秀嗣 内野 滋彦 遠藤 新大 岩井 健一 齋藤 敬太 讃井 將満 瀧浪 將典
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.609-615, 2012

【目的】急性肺傷害に対するシベレスタット投与は,欧米での研究で長期予後の悪化が示された。当施設は2007年より使用を原則中止し,今回この治療方針の変更が敗血症性急性肺傷害の予後に影響していないかを検証した。【方法】2007年1月前後21カ月間に,敗血症性急性肺傷害の診断で24時間以内に人工呼吸を要した成人ICU症例を前期群64例,後期群36例で比較した。【結果】両群の患者背景に差はなかった。シベレスタットは前期群54例(84.4%),後期群4例(11.1%)に使用された。28日ventilator free days,ICU滞在および入院期間,院内死亡率に有意差はなかったが,人工呼吸期間は後期群で有意に短かった。院内死亡率に対する多変量解析では,前期群に比べ後期群のodds ratioが0.269(<I>P</I>=0.028)であった。【結論】シベレスタット使用中止で敗血症性急性肺傷害の予後は悪化しなかった。
著者
柘植 俊直 ウィグノ プロドジョスドジャジ モハマド ヨギアントロ 来栖 厚 大澤 勲 小林 則善 清水 芳男 スハードジョノ ダルメイザー ジノヴァ ナインゴラン アイーダ リージャ プラナワ チャンドラ モハニ ジョーコ サントソ ウィドド リザニアンシャ 堀越 哲 富野 康日己
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.100-106, 2010

背景 : 慢性腎臓病 (CKD) は, IgA 腎症やループス腎炎などの慢性糸球体腎炎, 糖尿病腎症や腎硬化症など, 全ての慢性腎臓病を含んだ疾患概念である.CKD は末期腎不全 (ESKD) の準備状態であると同時に, 心血管疾患 (CVD) の重大なリスク因子であることが明らかとなっている.アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) は, 降圧薬として広く用いられているが, 両薬剤の腎保護効果にも注目が集まっている.今回, 順天堂大学とインドネシア大学, アイルランガ大学は, 高血圧を伴うCKD 患者におけるACE阻害薬イミダプリルの尿蛋白減少効果を検討する共同研究を行った.方法 : 23名の高血圧を伴うCKD 患者にカルシウム拮抗薬 (CCB) とイミダプリルを投与し, 腎機能と尿蛋白量の変化を治療前後で比較した.CCB を投与している患者にイミダプリルを追加投与 (5mg/日) し, 血圧が目標値 (130/85mmHg未満) に達しなかった場合には, さらにイミダプリルを10mg/まで増量し, 投与後12 ヵ月で評価した.結果 : CCB にイミダプリルを加えることによって, 6 ヵ月後・12 ヵ月後の収縮期血圧および拡張期血圧は有意に低下した.尿中アルブミン排泄量は, 投与開始時には顕性蛋白尿レベル (0.3g/g・Cr以上) であったが, 6 ヵ月後・12 ヵ月後は共に微量アルブミン尿レベル (0.299g/g・Cr 以下) にまで有意に減少した.結語 : イミダプリルとCCB の併用によるCKD 患者の腎保護効果を, 順天堂大学とインドネシア大学, アイルランガ大学の共同研究により検討した.イミダプリルを軸とした治療により, CKD患者の血圧は有意に低下し, 尿中アルブミン排泄量は有意に減少した.以上より, イミダプリルは高血圧を伴うCKD 患者において, 腎保護的に作用することが確認された.
著者
ナインゴラン トゥア ナモラ 貞島 亮介 廖 洪恩 小林 英津子 神保 泰彦 佐久間 一郎 千葉 敏雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp."2A1-A05(1)"-"2A1-A05(4)", 2006

In the present treatment system of Twin-To-Twin Transfusion Syndrome, surgeon uses visual measurement of endoscope image in doing the identification of anastomotic vessel, before taking decisions to do some treatments on suspected vessel. Given this factor, we proposed a navigation system that may lead the surgeon to find targets for treatment quantitatively, to improve the treatment's safety and accuracy. For the first step in developing the system, we proposed a vascular mapping system to make an overall view of placenta. We developed a software application to make corrections on the image distortion of 2D-picture that is taken from endoscope, and do images combine to get the overall map of the diagnosed target. The effectiveness of the application was verified experimentally, which were conducted by considering the motion range of endoscope.
著者
荒木 修 苅部 陽子 田村 元彦 小林 哲 千田 雅之 三好 新一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.223-228, 2016
被引用文献数
1

症例は55歳の男性.数年前から近医で両側巨大肺囊胞症と診断され在宅酸素療法が導入されていた.労作時呼吸困難がさらに悪化し手術目的に当院紹介となった.%肺活量38.7%,一秒量470 mlと高度の低肺機能を呈していたが,残存肺血管床は温存されていると考え,経皮的心肺補助装置使用下に2期的に囊胞切除術を行った結果,肺機能は著明に改善した.