著者
小林 巌 木村 慶信 大曾根 順平 望月 宏樹 住田 臣造
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.613-617, 2013-08-31 (Released:2013-10-15)
参考文献数
9

症例は79 歳女性。転倒による大腿骨転子部骨折に対して,入院当日にインプラントを用いた骨接合術を施行。第11 病日より発熱と創部腫脹がみられ,第17 病日にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による骨髄炎と判明したが,インプラント抜去を行わずに治療を行う方針となりICU 入室となった。バンコマイシンに対する感受性低下(最小発育阻止濃度2μg/ml)と腎機能障害を認めたため,ダプトマイシン(6mg/kg/ 日)とリファンピシン(600mg/ 日)による治療を行った。第79 病日でダプトマイシンとリファンピシンの治療を終了後,約2 週間のリネゾリド(1,200mg/ 日)内服を継続した。長期に及ぶダプトマイシンの投与であったが,横紋筋融解症などの重篤な副作用を発症することなく安全に治療を終えた。今後,本邦でもダプトマイシン長期投与の有効性と安全性に関するデータの蓄積が必要と思われる。
著者
深田 秀実 小林 和恵 佐藤 賢二 川名 英之 増田 智弘
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.3_1-3_20, 2012 (Released:2012-08-13)
参考文献数
22
被引用文献数
1

地方自治体の災害対策本部を対象とした従来の防災情報システムは、キーボードやマウスといった入力デバイスを用いるものがほとんどであり、災害発生時の緊迫した状況下で、正確かつ迅速にシステム操作を行なうためには、情報リテラシーの高い専門職員を配置する必要があった。しかし、自治体における現在の防災体制の中で、情報システムに精通した専門職員の配置を必須とすることは、行財政改革を進める必要がある自治体にとって、容易なことではない。そこで、本研究では、自治体の防災担当職員が災害発生直後の混乱した状況でも、容易に操作することが可能な災害情報管理システムを提案する。本提案システムでは、テーブル型ユーザインタフェースとデジタルペンを用いることにより、被害情報を容易に入力できる操作性を実現している。実装したプロトタイプを用いて想定利用者によるシステム評価を行った結果、デジタルペンでアイコンを入力する操作性や対応履歴閲覧機能について、良好な評価を得た。
著者
大政 謙次 戸部 和夫 細見 正明 吉田 舞奈 小林 瑞穂
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.33-42, 2000-02-29 (Released:2010-06-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1

0.1~0.5,uLL-1のオゾン(O3)暴露下での15種の樹木の葉面におけるO3収着速度と蒸散速度,純光合成速度の同時測定を行った。また,芝地や土壌表面等のO3収着速度も調べた。 O3を暴露した15種のいずれの樹木においても,O3収着速度,蒸散速度および純光合成速度が低下した。このことは,O3暴露に伴って気孔の閉孔が引き起こされたことを示している。また,0.5,uLL-1のO3を6時間暴露した樹木の総O3収着量およびO3暴露終了時の純光合成速度の減少割合は,いずれも,樹種間で大幅に異なる値をとった。最も大きいO3収着量を示したポプラ(2.57kmolm-2(mo1/mol)-1)は,最も小さいO3収着量を示したヤマモモの7倍以上であった。また,サンゴジュ等では,O3暴露に伴う光合成速度の減少割合が数%程度であったのに対し,ポプラとポトスでは70%程度の減少が見られた。可視障害は,暴露後,ポプラ,ケヤキ,ヤマツツジの3種の植物にのみ現れた。樹木のガス交換速度の測定結果を簡易ガス拡散モデルによって解析したところ,樹木表面での吸着・分解は少なく,樹木によるO3収着のほとんどは,葉面の気孔を介しての吸収であると推察された。 黒ボク土表面のO3収着速度は,土壌含水率の増加とともに低下した。乾燥した黒ボク土表面の単位面積あたりのO3収着速度は,最も高いO3収着能力を示したポプラの単位葉面積あたりのO3収着速度に匹敵するものであった。このことは,緑地のO3収着能力を評価するうえで,土壌表面の寄与が無視できないことを示している。 以上の結果から,都市域における公園や宅地等における植被や土壌面は,O3による大気汚染の緩和に重要な役割を果たしていることがわかった。
著者
大屋 勝敬 和田 慎 小林 敏弘
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.474-476, 2004-04-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1

By using velocity estimation a new robust trajectory tracking control scheme is developed in this paper for wheeled mobile robots. The developed controller has the following features; i) The proposed controller has robustness not only for the weight and the moment of inertia but also for radius of wheels and distance from the reference point to both wheels. ii) It is easy by using design parameters to improve tracking performance.
著者
小林 勝法
出版者
社団法人全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.53-60, 2008-03-15

体育・スポーツの教員・研究者の採用募集状況を把握するための資料を得ることを目的として,体育・スポーツの教員・研究者公募を分析した.分析の対象は研究者人材データベース(JREC-IN)に2006年度に掲載された公募情報から「体育」あるいは「スポーツ」を検索語として抽出した常勤の公募171件である.おもな分析結果は以下の通りである.1.公募の公開開始時期は夏前と秋の2回のピークが見られ,特に,10月と11月の2ヶ月が多く,この2ヶ月で全体の約3割を占める.所属部署別にみると,体育学部や教育学部,体育センター,一般教育組織などの伝統的な組織で6割を超える.そのほかには,福祉や健康,幼児教育,スポーツ経営などに関わる学部や学科があり,これらを合わせると約2割に上る.2.職種別割合は助教授(准教授)が最も多く34.1%を占めている.次いで,講師(助教)が33.1%,教授が18.8%,助手(助教)が8.0%となっている.そして,任期付きの採用は30.6%を占める.3.学位についての応募条件としては,「修士かそれと同等」が56.1%で最も多く,次いで,「博士かそれと同等」が38.0%であった.研究分野については「体育科教育」と「運動生理学」「体育経営管理」「スポーツ栄養学」が多い.4.担当科目が教養体育だけという募集は12.9%と多くない.「専門科目のみ」(37.4%)が多く,ほかには「大学院と専門科目,教養体育」(12.9%),「大学院と専門科目」(12.3%)という例もある.実技についての種目指定は野外活動と体操・器械運動,水泳が多い.5.選考方法として,面接をおこなうものが74.9%で,推薦書を必要とするものが37.0%,模擬授業が12.6%であった.
著者
小林 和則 穂刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.193-200, 1999-02-25
被引用文献数
13 6

話者位置推定技術は, 音声信号と話者位置情報を同時に送信し音場を再現する臨場感ある遠隔地会議システムや, 音源位置に自動的にテレビカメラの照準を合わせる監視システムなどに応用することができる. 本論文では, 新しい複数話者位置推定方法として, 同期乗算を用いた方法を提案する. 提案方法の特徴は, 同時に音を発する複数話者の位置を検出可能であること, 実時間処理に適していることである. また, 実験により2次元的に配置された複数話者の位置推定を行い, 複数話者位置推定に提案方法が有用であることを確認した. 更に, 同期加算法との比較を行い, 本方法が位置推定精度, 複数話者の分離の面で優れていることを示した.
著者
瀬川 昂生 岡村 正造 大橋 信治 小林 世美
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器集団検診学会雑誌 (ISSN:13454110)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.415-419, 2003-07-15 (Released:2012-12-11)
参考文献数
3

愛知県健康づくり振興事業団の平成3年から12年までの10年間の間接撮影による胃がん検診の成績に基づいて, その適正な要精検率について検討を行った。その結果, 要精検率が高くなるとともに胃がんの発見率および早期胃がんの比率が高くなっていたが, 胃がん発見率が0.07~0.09%であった年の要精検率を比較すると, 8.6~12%の間にあり, 要精検率を多くしてもがんの発見率の伸び率は高くなく, 全国集計の要精検率である10%代は一つの目安であると考えられた。今後は撮影技術および読影技術を高めてさらに要精検率を低くして, 的中率を上げる努力が必要であると考える。
著者
石川 智治 小林 幸夫 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.259, pp.75-82, 1999-08-26
被引用文献数
8

過去に,音質評価語の収集及びグループ化を行い, それらを多次元空間にマツピングし, 解析することにより, 高度感性情報に関連する評価語群(16語)を明らかにした. しかしながら, 多次元空間内の心理距離による評価語のクラスタ化で, 少数の重要な評価語がクラスタ化されない事, 多次元空間内における解析で求められる評価語の重要度と衆目評価法による重要度の順序が一致しない事などの問題があり, これ以上の解析はできなかった. そこで, 聴取者の音楽再生における音の聴き方の違いから, 評価語のグループ化を行い, 各グループ毎に評価語の解析を行うという新しい考え方に基づき, 多次元尺度構成法(MDS)やDematel法を行った結果, 上記問題点が解決された. そして, 得られた各グループと高度感性情報との位置付けを議論すると共にキー評価語の抽出を試みた.
著者
小林 政利
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.786, pp.14-16, 2014-09
著者
山岸 加奈 小林 英嗣
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.11, no.21, pp.283-288, 2005
参考文献数
12
被引用文献数
1 1 1

The purpose of the paper is to study the influence and development on regional landscape planning, after laws were established. I would like to clear up two main points in the case of Siena prefecture in Tuscany State; (1) content and decision-making of the regional planning between inside and outside of the prefecture administration, (2) a method of progressing Local Agenda21 among the local governments (communes), coordinators and citizens. The research methodology was to interview different sections of the administration like territory management, environmental policy, agriculture and forest, the communes as well.
著者
佐々木 毅志 山本 敦史 小林 勉 設楽 仁 一ノ瀬 剛 下山 大輔 濱野 哲敬 高岸 憲二 大澤 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.411-413, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
13

夜間痛は肩関節疾患の特徴的な愁訴の一つであるが,その詳細については不明な点が多い.本研究の目的は肩関節疾患における夜間痛について調査を行い,その特徴と背景因子について検討することである.2011年4月1日から2013年3月31日の期間における当科肩外来初診患者232人を対象とした.男性121人,女性111人,平均年齢56.4歳であった.年齢,性別,診断名,罹患側,肩関節痛の症状,肩関節可動域,筋力,夜間痛の頻度,夜間痛の症状,理学所見との関連について調査を行った.対象の58.2%に夜間痛を認め,その64.4%は肩痛のためほとんど毎日夜間に覚醒し,93.3%は体位による疼痛の増減を認めた.夜間痛がある例はない例と比較すると年齢が高く,安静時痛が強い例が多かった.
著者
小林 廣美
出版者
兵庫大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、リウマチ患者の笑いを生みだす要因として重要な「地域における患者同士の支援体制」に関して、「リウマチ患者同士が語る会」で参加者の語りを分析し効果を明らかにすることである。方法は、A町役場と連携をとり、リウマチ患者同士の交流会を開催した。結果、リウマチの「悪化・進行」、「日常生活動作の低下」、「薬の副作用や合併症」に関して、関節保護の工夫、薬の飲み方、最新の生物学的製剤に関する情報を共有していた。リウマチ患者の笑える要因に関連していた「痛みのコントロール」においては、好きなことや楽しいことをしている時は痛みを感じないことがわかり、笑いの効果と同じ結果となった。研究結果は「あなたと共に歩むリウマチ看護-痛みの緩和と笑いの効用-」のタイトルで書籍を出版した。今後は地域における患者同士の交流会の効果を、行政、プライマリ医師と連携し広めていく必要がある。
著者
野中 杏栄 山口 宗之 北原 信三 小林 格 倉岡 由美子 中村 博志 渡邊 聖 工藤 玄恵
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.894-899, 1993

腸回転異常症における中腸軸捻転により広範囲腸管壊死性変化をきたした日齢13日男児に,初回手術から18時間後に Second look operation を施行した.罹患腸管の著しい血行改善がみられ,腸切除することなく閉腹した.術後,腸管通過障害が長く続き第23病日目に腸閉塞症の診断の下に再々開腹術を施行し,回腸の一部が細く,狭窄および閉塞が認められたので約40cmの回腸を切除した.切除腸管の組織検査では腸管壁の微小循環障害による腸管の狭窄および閉塞が数ヶ所に認められた.病理組織所見による血流の立場からみて,血流の最も遠い部分に相当すると考えられる腸間膜付着部の対側の粘膜部分が炎症性肉芽組織や線維瘢痕組織に置換されていた.初回手術により血流遮断が解除されても回復の機会を失ったり,遅れてしまった結果と考えられた.
著者
小林 敏生 影山 隆之 久保 陽子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

定年退職時期にある男性労働者への健康支援策を構築するために,メンタルヘルスへの影響要因を明らかにすることを目的として,健康感,生活満足度,ストレス関連項目,抑うつ度,および Social Capital(SC)について,インタビュー調査と質問紙調査を行った.その結果,メンタルヘルスは退職に向って改善を示し,その改善には,ストレスの低下,適切なコーピング特性,高い SC が関与していた.退職期の労働者のメンタルヘルスの保持には,職場のストレス対策に加えて,労働者個人の SC を高めることが重要と考えられた.
著者
小林定美 著
出版者
映画脚本出版部
巻号頁・発行日
1926