著者
小林 英信 KOBAYASHI Hidenobu
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
言語と文化
巻号頁・発行日
pp.165-182, 1993-03-20

この作品は1905年に書き上げられており,1906年フィッシャー書店刊行の文芸雑誌『ノイエ・ルントシャオ』の第十七巻一号に掲載される予定であった。既に,それは印刷も済んでいたが,作者トーマス・マンがある事情(これについては後で述べる)から,その発表を撤回する旨申し出た為にその紙面の大部分は回収,焼却された。この小説を掲載したまゝ出版されたのは全く僅かであったようだ。やがてこの作品は15年後,つまり1921年にミュンヘンのファンタズス書店から自費出版されることによって,陽の目を見ることになった。と言っても,その版ですら僅かに530部という限定出版であった。それは88ページ程度の小冊子で,一時作者マンが編集に携っていたことのある週刊誌『ジンプリツイスムス』の寄稿画家であり,表現主義の彫刻家でもあったTh.ハイネが挿絵を描いている(挿絵12,カット20)。その内の30部は特に皮製の豪華本で,親しい人たちに贈呈されている。又その30部には1906年の版と1921年の版との二つの版が併載されている。その二つの版を比較してみると,その違いが最後のジークムントの言葉だけであるということがわかる。

1 0 0 0 OA 笑いと看護

著者
小林 廣美
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.20, pp.62-69, 2013-08-31

看護師の「笑い」の効用は、「患者さんを主役」にし、「あなたを受け入れます」につながる。つまり、「患者さんの主体性の発揮」と「その人が持っている可能性の発揮」につながる。患者さんの治癒過程の中で、患者さんの一番身近にいる「キーパーソン」である看護師が笑顔で対応するということで、他部門や保健・医療・福祉との人的環境の中で連携がスムーズになり、健康上の問題の解決につながりやすい。また、病気のために基本的ニーズが満たされなくなった時の援助は笑顔の看護師さんだと安心して頼むことができる。看護師は「笑い」の効用を認識し、看護の場面において、患者さんが笑える場の環境づくりも重要である。生命を脅かされている場面、苦痛が生じている場面、日常生活が自分でできない悲しさなど、患者さんが体験する場面を共有し、共に乗り越えていくその先には、患者さんの笑顔が見えるっその笑顔に会いたくて日々看護している。
著者
加藤 滋子 脇 嘉代 中村 禎子 長田 早苗 藤田 英雄 李 花映 小林 春香
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2型糖尿病患者を対象に、基準となる料理画像を見て、料理単位で栄養素等摂取量を推定するマニュアル(主食料理)を開発した。基準量や料理リストなどいくつかの修正が必要であるが、有用性ならびに有効性が示唆されたさらに、スマートフォンアプリ(DialBetics)で撮影した料理画像を用いて、管理栄養士によるアプリの栄養素等摂取量の推定の有効性についても検討した。アプリを用いた料理名およびエネルギー・栄養素等摂取量の推定は料理グループとして有効であることが示唆された。
著者
小林 雅一
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1135, pp.63-70, 2014-05-26

機械学習の応用範囲は幅広い(図1)。膨大なデータの中から特定のパターンや規則を見出せるため、人の行動解析、各種の判断や予測に使える。現状では学習に時間がかかるため、あらかじめ学習した結果を活用する例が多いが、今後は環境の変化を学習して自ら…
著者
五島 政一 小林 辰至 熊野 善介 下野 洋 品川 明 平田 大二 岡本 弥彦 三宅 征夫 鳩貝 太郎 立田 慶裕 田代 直幸 笹尾 幸夫 清原 清一 日置 光久 加納 誠 藤岡 達也 田口 公則 小川 義和 市川 智史
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

子どもが主体的に学び、科学を好きになる教育実践プログラムを多数開発した。そして、その教育システムを開発するために、指導者である教の資質・能力を育成する生涯学習プログラムのモデルを開発した。
著者
高崎 憲博 村上 忠洋 山中 主範 小林 道生(OT)
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.83, 2012 (Released:2013-01-10)

【目的】 リハビリテーションの目標は対象者の生活機能の向上であるが、生活期(維持期)における重度障害者に対しては、介助者の負担を軽減することもその目標の一つと考える。我々はこの身体的な負担の程度を介助者の主観により段階づけする基準を作成し、これを身体的介助負担度の検査として臨床で用いている。本研究の目的は、移乗動作の介助においてこの主観的な身体的介助負担度と、その際の介助者の腰部脊柱起立筋の筋活動量との関係を検討することである。【方法】 1名の作業療法士(以下、介助者)に、老人保健施設に入所中で、機能的自立度評価表のベッド・椅子・車椅子移乗の項目が5点以下の者(以下、被介助者)17名(男性2名、女性15名)のベッドと車椅子間の移乗動作の介助を行わせた。その際の介助者の身体的介助負担度(以下、介助負担度)と腰部の筋活動量を測定した。介助負担度の判定は、「0:身体的な負担を全く感じない」「1:すこしの身体的な負担を感じる」「2:中等度の身体的な負担を感じる」「3:かなり身体的な負担を感じる」「4:非常に身体的な負担を感じる」の5段階とし、移乗介助をした後に介助者が行った。筋活動量の測定は、表面筋電計(Noraxon社製)を使用し、左右のL3レベルの腰部脊柱起立筋(以下、脊柱起立筋)から活動電位を導出した。ベッドと車椅子の座面に設置した圧感知センサーの信号を用いて、被介助者の殿部がベッドから離れ車椅子の座面に着くまで、および殿部が車椅子の座面から離れベッドに着くまでの区間を確認し、この区間における単位時間あたりの積分値を算出した。統計処理は、介助負担度と脊柱起立筋の筋活動量の関係をスピアマンの順位相関係数を用い、有意水準は5%未満とした。【結果】 介助負担度が1であった3名の介助時における脊柱起立筋の積分値の中央値は132.5μV(最小96.1μV~最大158.1μV)であった。介助負担度の2であった7名の積分値の中央値は211.1μV(144.1μV~249.2μV)で、3であった7名の積分値の中央値は222.9μV(189μV~283.7μV)であった。介助負担度と脊柱起立筋との間には正の相関関係(r=0.56, p=0.019)を認めた。【考察】 今回使用した介助負担度は、ADL評価が全介助であってもその負担度を詳細に段階づけられるのが特徴で、重度障害者のリハビリテーションの効果を判定する検査法として有用と考えている。しかしながら、主観的な検査法でありその妥当性に疑問があり、今回、介助負担度と脊柱起立筋の筋活動量との関係を検討した。その結果、移乗介助での脊柱起立筋の筋活動が高くなるにつれ、主観的な介助負担度も高くなっていた。したがって、身体的介助負担度の検査を用いることで、移乗介助時の負担の程度を適正に捉えることができると考える。【まとめ】 今回、移乗介助において介助者の介助負担度と脊柱起立筋の筋活動を検討し、それらの関係を認めた。身体的負担度の検査を用いることで、介助者の身体的な負担の程度を適正に捉えることが可能で、リハビリテーションの効果判定の指標になると考える。
著者
佐藤 慈 清水 穂高 児守 啓史 青木 直和 小林 裕幸
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.70, no.Suppliment, pp.66-67, 2007-05-24 (Released:2011-02-17)

With color photos we feel aged from lower color temperature, lower chroma, and faded color. But black-and-white and sepia-toned photos make us feel more aged than any color photos. Here kansei effect of sepia-toned photo is discussed compared with black-and-white photo.
著者
斎藤 和義 日高 裕敏 品川 準輝 小林 岳彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.193, pp.119-126, 2000-07-12
被引用文献数
2

セルラネットワークを計画・設計・運用する上で、移動通信トラヒック特性の把握は重要である。従来よりトラヒック特性を予測するために移動特性モデルの開発が行われてきた。本報告では、大都市、及び小都市を移動範囲とするタクシーの移動特性をGPSを用いて実測した結果から、仮想的なセルラシステムにおけるセル滞在時間分布、移動方向確率を推定した。また、その推定結果を用いたシミュレーションからセルラシステムにおけるハンドオフ頻度や回線ブロック率等のトラヒック特性を評価した。その結果、大都市と小都市ではセルサイズが小さい場合は特性の差がほとんどないが、セルサイズが大きい場合は平均的な移動範囲の違いから移動方向確率に差が生じることを明らかにした。
著者
納口 恭明 下川 信也 栢原 孝浩 鈴木 真一 小林 俊市
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

災害を引き起こすような自然現象を科学教育・防災教育を目的にコンパクトに再現できる装置をまとめた手で持ち運べるハンディータイプの科学館と車1台で運べるポータブル科学館を開発した。このなかには雪崩、落石、地盤液状化現象、固有振動によるビルの倒壊、台風、突風などが含まれる。これらを用いた実践例は合計で数百件を越える。
著者
大西 政之 草地 功 小林 祥一
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2007年度年会
巻号頁・発行日
pp.204, 2007 (Released:2008-09-02)

大阪府箕面市温泉町に位置する平尾旧坑から産出したZn4SO4(OH)6・5H2Oの組成をもつ未知鉱物が,国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会によって新鉱物・大阪石 (osakaite) として承認されたので,大阪石の産状,物理的・結晶学的性質,化学組成および成因について報告する.
著者
出川 洋介 勝山 輝男 田中 徳久 山岡 裕一 細矢 剛 佐久間 大輔 廣瀬 大 升屋 勇人 大坪 奏 城川 四郎 小林 享夫 原田 幸雄 松本 淳 勝本 謙 稲葉 重樹 佐藤 豊三 川上 新一 WALTER Gams
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

労力と時間を要すために研究が遅れてきた菌類のインベントリー調査を、博物館を介して専門研究者と市民とを繋ぐ3者連携体制を構築して実施した。多様な世代の70名以上の市民により5千点を超す標本が収蔵された10年に及ぶ事前調査を踏まえ、約50種の菌類を選定し、研究者の指導のもとに市民が正確な記載、図版を作成し菌類誌を刊行、デジタルデータを公表した。本研究事例は今後の生物相調査の推進に有効な指針を示すと期待される。
著者
小林 憲正 DEMARCLLUS Pierre
出版者
横浜国立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

分子雲中の星間塵アイスマントル中での有機物生成の検証のため,高エネ研で新規開発中のデジタル加速器を用い,模擬アイスマントルへの重粒子線照射実験を計画し,その準備を行った。星間塵アイスマントルでの有機物生成を調べる場合に問題となるのが,極低温環境で組成の既知のアイスを作製した後に,これに照射することと,その反応過程の追跡法である。アイスマントルを構成する分子としてH_20,CO,CH_3OH,NH_3などが主と考えられるため,種々の混合比のアイスを作るためのクライオスタットとガス混合機のデザインを行った。ガス混合機に関しては,この装置に用いる高精度のバルブや圧力計を選定し,購入,組み立てまでを行った。クライオスタットチャンバーに関しても,高エネ研において改造中である。アイスへの照射実験の予備実験として,東京工業大学のタンデム加速器を用い,想定される出発材料(一酸化炭素,アンモニア,水)の混合気体に3MeV陽子線を照射した時のアミノ酸生成について定量的に調べた。照射後,生成物を酸加水分解した後,陽イオン交換HPLC法によりアミノ酸の定量を行った。気相での陽子線照射実験においては,一酸化炭素・アンモニア・水蒸気および一酸化炭素・アンモニアの混合気体のいずれも,照射開始後すぐに霞の生成が見られた。このことは,高エネルギー粒子線の作用により高分子態の有機物が気相中で直接生成することを示唆するものである。各照射生成物の加水分解物中に、多種類のアミノ酸が検出された。アミノ酸の生成量は照射量に比例した。このことからも,混合気体からのアミノ酸の生成は,従来想定されていたようなストレッカー反応のような多次的反応ではなく、照射により直接気相中で固体のアミノ酸前駆体が生成したと考えられる。この結果は,アイスへの照射実験においても照射により直接,高分子態の有機物が生成する可能性があることを示唆する。
著者
太田 一樹 三好 由里子 横須賀 路子 平井 三鈴 橋本 周太郎 小島 拓人 宮本 彰俊 林 康博 小林 修 黒田 博之 渡辺 純夫
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.66-67, 2014-06-14 (Released:2014-06-21)
参考文献数
3

A 37-year-old male visited a nearby medical clinic with a history of recurrent vomiting after taking a commercial calcium supplement (calcium tablets) and drinking water. Since fiberoptic laryngoscopy revealed no abnormalities, the patient was referred to our hospital for further examination. Emergency endoscopy revealed a supplement-like white substance incarcerated in the upper esophagus. We crushed it with forceps, followed by washing. A proton pump inhibitor (PPI) and alginic acid were prescribed. At the second endoscopy performed on June, 2013, transnasal endoscopy was needed and insertion of the endoscope was found to be difficult due to ulceration and stenosis of the upper esophagus. When we performed the third endoscopy on June, there was no improvement in the stenosis and the ulceration was cicatrized, and minor bleeding was caused by the transnasal endoscope insertion. The patient was prescribed oral PPI therapy for the following month. The subjective symptoms disappeared and food intake became possible. Recently, a large number of subjects have begun to take a variety of supplements available in the market, and various types of complications related to the use of these supplements have been reported. We report this rare case of esophageal ulceration/cicatricial stenosis caused by oral administration of a commercial calcium supplement, with a discussion of the relevant literature.
著者
原田 和宏 佐藤 ゆかり 齋藤 圭介 小林 正人 香川 幸次郎
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.263-271, 2006
参考文献数
36
被引用文献数
12 13

本研究は,在宅で生活を続ける自立高齢者における機能低下の実態を地域ベースで把握することをねらいに,ADL(歩行,入浴,トイレ動作,食事,着替え)および活動能力(老研式活動能力指標)の自立者を1年半後に追跡し,ADLまたは活動能力障害の新規出現に対する転倒既往と閉じこもりの関与を縦断的に検討することを目的とした。調査は中国地方の某町の在宅高齢者全員を対象に2002年12月と2004年6月に行い,ADL障害の出現では1,085名,活動能力障害の出現では525名のデータを分析した。その結果,在宅で生活を続ける自立高齢者のうち1年半でADL障害は4.7%に生じ,手段的自立の障害は9.0%,知的能動性は13.3%,社会的役割は15.4%,後者3指標いずれかの活動能力障害は25.9%に生じた。また,障害の新規出現は高年齢と併せて転倒既往や閉じこもりによってその割合が高まることが認められた。自立高齢者から機能低下のハイリスク者を選定するにあたり,転倒経験や外出しようとしない閉じこもり状況を考慮することは意義があると推察される。