著者
小野 有五
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.89-108, 2006 (Released:2010-06-02)
参考文献数
73
被引用文献数
1 1

河川環境と原発・高レベル放射性廃棄物地層処分問題,基本高水流量を事例として,環境ガバナンスの視点から,現在の日本の地理学が公共空間において果たしている役割を検討した.公共性・公開制を特徴とする公共空間での環境問題の解決が社会から要請されるなかで,ジャーナル共同体としての閉じた構造だけを維持しようとする伝統的な日本の地理学は,それに応えていないことを明らかにし,地理学の研究・教育システムの根本的な見直し,脱構築と,第二ジャーナルの発展が,緊急の課題であることを強調した.
著者
岡山 加奈 藤井 宝恵 小野寺 一 荒川 満枝 小林 敏生 片岡 健
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.269-277, 2011 (Released:2011-12-05)
参考文献数
23
被引用文献数
1

2002年にCenters for Disease Control and Prevention (CDC)より公表された “Guideline for Hand Hygiene in Health-Care Settings” や2009年にWorld Health Organization (WHO)より公表された “WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care” では,現場でより効果的に運用可能な擦式アルコール製剤を用いたラビング法と自然爪の長さが6.35 mm未満であることが推奨されている.我々は,自然爪の長さが擦式アルコール製剤を用いた手指消毒と手指細菌叢に及ぼす影響を細菌学的に明らかにするため,手指衛生について学習経験のある看護学生および大学院生17名を対象に検討を行った.その結果,自然爪の長さが短い群(2.4 mm)と長い群(5.4 mm)で比較すると,手指消毒後の手指菌数において,自然爪の長さが短い群は4.3 CFU,長い群は40 CFUと長い群の菌数が有意に多かった.爪下菌数は,手指消毒前後とも自然爪の長短による有意差を認めなかったが,手指消毒後にも関わらず自然爪の長さが2.4 mm以上では1.6×103 CFU/mm2以上の細菌が検出された.爪下と手指から検出される菌種は類似しており,coagulase-negative staphylococciやBacillus spp.の検出率が高く,菌数も多くを占めていた.さらに,自然爪の長さが長くなるとmethicillin-resistant S. aureusやS. aureusのような医療関連感染原因菌が手指と爪下へ残存しており,除去することが困難であった.本研究結果は,自然爪の長さが長いと擦式アルコール製剤を用いた手指消毒効果が減弱することを示唆している.
著者
小野澤 恵一 鯉渕 幸生 古米 弘明 片山 浩之 磯部 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.891-895, 2005-10-07 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2

台場周辺には, お台場海浜公園を始め親水空間が多数存在するにも関わらず, 水質悪化により水との接触が制限されている. 特に雨天時合流式下水道越流水 (CSO) はその影響が大きいとされているが, 受水域における挙動はあきらかにされていない. そこで, 都市沿岸域における親水空間の利用と健康リスクに対して重要なCSOの挙動を解明するため, ポンプ所からの下水放流量や, 感潮域の流速時系列変動を加味した3次元流動モデルを開発し, 台場周辺海域での流動・CSOの挙動を再現した. CSOの影響が, 潮汐や, 降雨特性によって時空間的に大きく変化することを明らかにし, さらに, 合流改善クイックプランの効果を推算した.
著者
小野田鉄弥 編
出版者
岡山孤児院
巻号頁・発行日
vol.明治28年度, 1910
著者
小野 映介
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.77-98, 2004-02-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
42
被引用文献数
11 13

中部日本の濃尾平野を対象として,約3,000~2,000 yr BPにおける海岸線の変化とその要因を明らかにするために,ハンドボーリング調査,堆積物の14C年代測定,珪藻分析などを行った.濃尾平野では縄文海進最盛期以降,海岸線が海側に前進し,内湾の縮小が進行した.特に約3,000~2,000 yr BPには,海岸線の前進と低地の拡大が急速であった.この原因は,約3,000~2,500 yr BPにおける相対的海水準の低下と,約2,300~2,100 yr BPに生じた土砂供給の増加と考えられる.約2,300~2,100 yr BPにおける三角州前置層の堆積量は,1.1~1.4km3と推定され,これは約3,000~2,300 yr BPにおける前置層の堆積量(1.1~1.5km3)に匹敵する. 2,300~2,100 yr BP頃における堆積活動の活発化は,中部日本や西日本の多くの平野でも確認されており,気候変化に伴う豪雨の増加といった広域的な原因を持つ可能性がある.
著者
大谷 由香 師 茂樹 小野嶋 祥雄 河上 麻由子 榎本 渉 吉田 慈順 野呂 靖 村上 明也 西谷 功
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「唐決」とよばれる日中間を往来した仏教の教義に関する書簡を中心とし、国や地域、文化を越えた仏教教義の問答内容と歴史的背景の分析を通じて、「仏教東漸」とは異なる東アジア仏教の相互交流の実態を明らかにする。本研究では、地域・時代・分野を別とする仏教学者と、対外交流史を専門とする歴史学者が共同研究を行う。これによって学術分野を超えた東アジア仏教史全体を俯瞰するための新たな視点の獲得を目指す。
著者
小野里 拓
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2018

本研究は、アメリカの専門職を中心とする大学職員のあり方やその育成方法について研究することを目的とした。アメリカにおいては、専門職化した大学職員自らによって様々な専門職団体が設立され、大学内専門職の重要性を訴え、関連政策に提言を行うこともある。こうした状況の中でHigher Education Programが多くの大学に設けられ、高等教育分野の修士・博士の学位を提供し、上級職を志向する大学職員のステップアップの手段となっている。専門職能と学位とが昇任のための車の両輪となり、そのシステムが専門職志向を強めている状況が推察される。本研究では、専門職としての大学職員への「入口」とも言える修士課程の高等教育プログラムに着目し、Pennsylvania State Universityをはじめとしたアメリカの大学関係者へのインタビュー調査や各プログラムの公式出版物、教員・学生による論考の収集・分析、最新の先行研究の批判的検討を通して、広く職員育成の観点からアメリカの高等教育プログラムの実態と効果について分析を行った。この際、日米比較を主眼に置いて分析を行うことにより、日本への適用を意識しながら研究を実施し、研究成果が日本の大学人事制度を中心とした大学経営に活用できるよう心がけた。その結果、アメリカの高等教育プログラムの学生を、学士課程から進学してきたフルタイム職未経験の学生と、現役職員である有職者学生の2タイプに大別できることが明らかになった。前者に対してはインターンシップやGraduate Assistantshipを通し、実務を経験させるとともに必要に応じて経済的支援を行い、後者に対しては実務経験を裏打ちする理論を学ばせ、上級職に求められる知識と学位を与えるのがプログラムの主たる目的である。こうしたニーズに応じて複数コースを設けるプログラムも多く、学位名称が異なる場合も少なくない(たとえばM.A.とM. Ed.)。今後は、専門職団体のありようについても研究を深めたい。
著者
小野 峻佑
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.138-146, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)
参考文献数
66
被引用文献数
1

ハイパースペクトル(HS)画像は紫外線領域から近赤外線域までの広い波長(スペクトル)帯の情報を細かく分光イメージングすることで取得される空間(二次元)―スペクトル(一次元)の3Dデータであり,人間の目や既存のRGBカメラでは捉えられなかった物理的性質や現象を可視化できる.しかし,空間―スペクトル情報を完全に取得することは計測環境/光学的設計の観点から困難なことが多く,計測の際に生じるノイズなどによる劣化も避けられない.本稿では,最適化を活用することで不完全かつ劣化を伴う計測データから所望のHS画像を推定する技術について解説する.
著者
小野田 亮介 松村 英治
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.407-422, 2016-09-30 (Released:2016-10-31)
参考文献数
26
被引用文献数
3 4

本研究の目的は, 低学年児童の意見文産出活動を対象として (1) マイサイドバイアスの克服におけるつまずきの特徴を解明し, (2) マイサイドバイアスを克服するための指導方法を提案することの2点である。2年生の1学級32名を対象とし, 1単元計5回の実験授業を行った。その結果, マイサイドバイアスの克服におけるつまずきとして, 反論を理由なしに否定する「理由の省略」と, 反論と再反論の理由が対応しないという「対応づけの欠如」が確認された。一方, 他者の意見文を評価する活動においては, 児童は反論想定とそれに対応した再反論を行っている意見文を高く評価していた。そこで, 児童は「良い意見文の型」を理解してはいるが, その産出方法が分からないためにマイサイドバイアスを克服できないのだと想定し, 児童が暗に有している「良い意見文の型」を児童の言葉から可視化する指導を行った。その結果, 児童は教師と協働で「良い意見文の型」を構築・共有することができ, その型を基に独力でマイサイドバイアスを克服した意見文産出ができるようになることが示された。
著者
小野 邦彦
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-03

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1876号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2004/3/4 ; 早大学位記番号:新3799