- 著者
-
平田 したう
立川 隆治
福島 典之
夜陣 紘治
松島 隆浩
熊谷 信二
森田 栄伸
- 出版者
- 耳鼻咽喉科展望会
- 雑誌
- 耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.Supplement3, pp.195-200, 1997-08-15 (Released:2011-03-18)
- 参考文献数
- 8
上気道感染症に対するネブライザー療法は広く行われている保存的療法の一つであるが, 室内環境や, 医療従事者への影響についての検討は極めて少ない。今回我々は, ネブライザー施行中のネブライザー粒子の飛散状況や換気扇の効果を検討した。医療従事者の血中ネブライザー薬液濃度は, 検出できなかったが, ネブライザー施行中にネブライザー粒子がかなり飛散するのが肉眼的に確認された。また密閉空間においてネブライザーを噴出させ, ネブライザー薬液を採取し測定したところ, ネブライザー装置と同じ高さの方が50cm上方よりも約10倍多く検出され, 換気扇を使用することにより約5分の1に減少した。さらに実際の外来診療室では, 換気扇を作動させなかった日にはネブライザー装置から7m離れた位置でもネブライザー薬液が検出され, ネブライザー装置の近くでは, 換気扇を使用してもあまり効果が得られなかった。今回の検討から, ネブライザーを施行する際換気扇を使用することは当然と考えられるが, 現状よりも強力なドラフト装置や, フードを低く設定する, あるいは複数の箇所に設置するなどの必要性が示唆された。