著者
山本光正著
出版者
臨川書店
巻号頁・発行日
2008
著者
山本 光正
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.165-181, 2003-10-31 (Released:2016-03-29)

近世の旅に関する研究は大きく分けて、旅における行動・見聞及び交通の実態を明らかにしようとするものと、社寺参詣そのものに重点を置き民衆の信仰を明らかにしようとするものがある。これらの研究はいずれも史料の関係から男性を中心としたものであったが、女性史研究の活発化に伴い、女性の旅についても研究成果が発表されるようになった。旅の研究は旅日記を主な素材として行われるが、女性の場合旅日記を書くことができるのは相当の教養を身につけた階層であるため、庶民女性の旅の実態をみることは困難である。女性の旅全般について把握するには、旅日記以外の史料の発掘が課題といってよいだろう。既に宿坊の台帳類や、供養塔等の石造物を利用した研究も行われているが、本稿では納経帳と絵馬によって女性の旅の一端を述べてみた。納経帳は千葉県市原市の万光院に同市勝間の茂手木氏が奉納したもので、同家の先祖「とら」が寛政七〜八年にかけて、西国・坂東・秩父の観音霊場及び四国八十八ヶ所を巡ったものである。納経帳は「とら」の足跡を追うことしかできないが、女性が一人でこれだけの旅をしたことは注目される。絵馬は信州の善光寺に参詣した女性達が千葉県岬町の清水寺に奉納したもので、明治から大正まで年代不明も含めて二六点が確認されている。図柄や墨書から旅のコースや参拝の様子・同行者の地域・名前を読みとることができる。絵馬は近代のものだが、近世においても同様の旅が行われていたと考えられる。納経帳・絵馬共に旅日記に比較すると情報量は少いが、これらのデータを蓄積することにより、近世における女性の旅の実態を明かにしていくことができるであろう。 Research on early modern travel can be divided into two main kinds. One seeks to clarify the actual forms of behavior, experience, and transportation related to travel, while the other attempts to clarify popular religious beliefs by focusing on temple and shrine pilgrimage as such.For reasons of research materials, both approaches have tended to focus on men. With heightened interest in research on women's history, however, the body of research on travel by women has now started to grow. While travel research typically relies on travel diaries as its principal source of materials, travel diaries by women are written only by women of considerable education, hence class, making it difficult to observe the actual forms of travel by commoner women.Clearly the effort to grasp travel by women as a whole makes the discovery of materials other than travel diaries a pressing concern. Some research has made use of registries from temple inns (shukubo) and statuary such as devotional pagodas (kuyoto). This study relies on a votive scripture ledger (nokyocho) and votive tablets (ema) to reveal a facet of travel by women. The ledger was offered to Mankoin Temple in Ichihara City, Chiba Prefecture, by the Motegi family (Katsuma, Ichihara City) and records the journey made by the family's ancestor "Tora" who visited the Kannon spiritual sites in Shikoku, Bando, and Chichibu and made the eighty-eight site Shikoku pilgrimage. The ledger only enables us to trace the footsteps of Tora, but the fact that a single woman could make such a journey deserves attention. The twenty-six votive tablets dating from the Meiji and Taisho periods, on the other hand, were offered to Kiyomizudera Temple in Misaki, Chiba Prefecture by women who had made a pilgrimage to Zenkoji in Shinshu. From the images and inscriptions on the tablets, we know the course they traveled, details of their pilgrimage, and their names and regions of origin. Although the tablets date from the modern period, it is believed that women in the early modern period conducted similar journeys.Votive ledgers and tablets do not provide the quantity of information available from travel diaries. Nonetheless, with the accumulation of information contained in such materials it should be possible to clarify further the nature of travel by women in early modern Japan.
著者
乗原 隆 加藤 譲 奥村 修造 小林 智 山本 光雄 池永 哲二 出口 隆志 平田 正
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.887-897, 1991
被引用文献数
1

KW-2228およびrhG-CSFを,10μg/kgカニクイザルに静脈内および皮下投与時の血漿中動態,白血球数増多作用について検討した.また,反復皮下投与についても検討した.<BR>1.KW-2228を単回静脈内投与により,末梢血白血球数(WBC)の著明な増加が認められた.WBCは,投与後12時間に最高値,投与前の約2倍を示し,24時間後においてほぼ投与前値まで回復した.一方,単回皮下投与においては投与後12時間に最大に達し,投与前値の約4倍を示した.反復皮下投与では投与を重ねるに従い,WBCは上昇し,10日目の12時間値では初回投与前の約6倍を示した.白血球の上昇は主に分葉核好中球の上昇によるものであった.rhG-CSFについても同様なWBC増多作用が認められ,KW-2228と有意な差は認められなかった.また,赤血球数および血小板数には大きな変動は認められなかった.<BR>2.血漿中KW-2228は,静脈内投与後二相性に消失し,このときの半減期は0.43±0.09時間(%alpha;),1.34±0.35時間(β)であった.rhG-CSFもKW-2228と同様に二相性の消失パターンを示したが,αおよびβ相の半減期はそれぞれ0.40±0.04,1.11±0.05時間であり,KW-2228に比較し短いものであった.<BR>3,血漿中KW-2228およびrhG-CSFは皮下投与後,共に2時間にC<SUB>max</SUB>13.20±3.76,8.37±2.81ng/mlを示し,その後一相性に消失した.このときKW-2228濃度は2,6,8,10,12時間においてrhG-CSF濃度に比べ有意に高く,1.5~2倍の血漿中濃度を示した.KW-2228およびrhG-CSFの消失相の半減期はそれぞれ2.03±0.64,1.34±0.49時間であった.<BR>10回反復投与後の血漿中KW-2228のC<SUB>max</SUB>は,初回投与に比べ約2/5に減少し,半減期も約2/3と短いものであった.また,AUCは初回投与の約1/4であった.rhG-CSFについてもほぼ同じ傾向であった.反復投与後の血漿中濃度においては,KW-2228とrhG-CSFの間に差は認められなかった.
著者
山本 光夫 加藤 孝義 多部田 茂 北澤 大輔 藤野 正俊 小豆川 勝見 松尾 基之 田中 潔 道田 豊
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.243-255, 2015 (Released:2015-03-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 5

東日本大震災後の沿岸環境変化の評価を目的とし,岩手県釜石湾において,海水中の栄養塩と重金属濃度,底質の放射性物質含有量に着目した海域環境調査を行った。栄養塩は冬期に高く夏期に低い傾向がみられ,震災前と必ずしも一致しなかった。これは湾口防波堤破壊による湾内環境変化の影響と考えられる。一方で重金属は津波の影響と予想される濃度変化はみられなかった。放射性物質も最大で 60 Bq/kg 以下と他の海域に比べ特に高い値ではない上に現在は減少傾向にあり,安全性の面で海域環境は震災前に戻りつつあることが示唆された。
著者
山本 光 高野 悠敬 大嶋 健司 山根 敏 窪田 武文
出版者
社団法人溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要
巻号頁・発行日
no.68, pp.84-85, 2001-03-19
被引用文献数
1

セガは「Dreamcast」のハード事業からの撤退を決定した。今後はゲームソフト開発に注力し、再建を目指す。ソフト事業においてはネットゲームを大きな柱に育てる考えで、他社のゲーム機のほか、携帯電話から家電製品までマルチプラットフォーム向けソフトを供給していく。
著者
山本 光
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

「学校その他の教育機関における著作物の複製に関する著作権法第35条ガイドライン」が平成16年に発表され、学校現場での教育活動との間の差について調査し、著作権に関する意識調査や、海外での実例などを踏まえて、見直しのための基本資料の収集を行った。その結果、ガイドラインの教員への周知や海外の事例から、補償金制度などを導入することなども含め、学校教育における著作物の制度そのものを検討する必要があるとの知見が得られた。
著者
山本 光重 佐藤 智和 横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.625, pp.55-60, 2002-01-23
参考文献数
6
被引用文献数
1

花火ショーの演出作業において, 花火師は花火の打ち上げ位置, タイミングや音楽との同期などの多くの要素を決定する必要がある.しかし従来, 花火師は危険性や金銭的なコストの問題から演出結果を視覚的に確認することができず, 演出作業を円滑に行うことが困難であった.そこで, 本研究では, 効率のよい演出作業を実現するための花火演出支援システムを提案する.ユーザは計算機を用いて打ち上げ位置, 花火の種類, 打ち上げタイミング, 音楽といった情報を入力し, 演出作業を行う.演出結果は入力されたデータに沿って, 花火の実写映像を利用して計算機上でシミュレートされ, モニタやHMD上に可視化される.これによって, 花火師は効率よく作業を進めることが可能となる.
著者
山本 光正 宇田川 武久 齋藤 努 三宅 宏司 保谷 徹 山本 光正 坂本 稔 PAULJACK Verhoeven 前川 佳遠理 高塚 秀治 村上 藤次郎 法華 三郎信房 法華 三郎栄喜 伊達 元成 服部 晃央
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

国内・国外に所蔵される銃砲に関する文献史料(炮術秘伝書)および実物資料(銃砲)の調査を行い、16世紀なかば鉄炮伝来から19世紀末の明治初年までの日本銃砲史が5期に区分できることを示し、またその技術的変遷を明らかにした。鉄炮銃身に使用されている素材である軟鉄を作るための精錬方法である大鍛冶はすでに技術伝承が途絶えていたが、文献記録にある各工程の意味を明らかにし、その再現に成功した。
著者
山本 光重 佐藤 智和 横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.627, pp.55-60, 2002-01-23
参考文献数
6

花火ショーの演出作業において, 花火師は花火の打ち上げ位置, タイミングや音楽との同期などの多くの要素を決定する必要がある.しかし従来, 花火師は危険性や金銭的なコストの問題から演出結果を視覚的に確認することができず, 演出作業を円滑に行うことが困難であった.そこで, 本研究では, 効率のよい演出作業を実現するための花火演出支援システムを提案する.ユーザは計算機を用いて打ち上げ位置, 花火の種類, 打ち上げタイミング, 音楽といった情報を入力し, 演出作業を行う.演出結果は入力されたデータに沿って, 花火の実写映像を利用して計算機上でシミュレートされ, モニタやHMD上に可視化される.これによって, 花火師は効率よく作業を進めることが可能となる.
著者
松浦 茂 長部 悦弘 山本 光朗
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

(1)研究代表者は、満洲語档案と探検記録とによって、清朝の繊維製品がアムール川下流・サハリン地方に流入する過程と、同地域の辺民がそれを衣料その他に受容する過程を明らかにした。またそれらの一部は、この地域の交易のネットワークを通じて、周辺地域に流れたことを解明した。研究代表者はまた、満洲語档案に現れる北方の少数民族の言語をとりあげて、その意義と、それがなぜ満洲語の中に入ったかを考えた。たとえば清の漢文献においては、17世紀のアムール地方に現れたロシア人を「羅刹」と記すが、その語源は、サンスクリット語ではなくて、アムール地方の少数民族が、これらのロシア人をロチャ(ルチャ)と呼んだことに由来することを明らかにした。こうした視点は、北方史の研究に不可欠である。(2)研究分担者は、15世紀以前の北方の少数民族について、研究を行なった。金朝を作った女真は、後に中国本土に移住して、漢族と雑居するようになると、漢姓を名のることが多くなった。ただその理由はさまざまで、それにより民族的なアイデンティティーを失ったという見方は、単純にすぎるということを明らかにした。研究分担者はまた、古林・遼寧省と内蒙古自治区・山西省に分布する、鮮卑族の史跡に関する近年の報告・記事・論文を、日本と中国の学術雑誌などから拾い出して、そのリストを作成した。(3)研究代表者と分担者は、明朝がアムール川の河口に建設した奴児干都司と永寧寺について、従来の学説を再検討した。とくに永寧寺碑文の内容を吟味して、当時の交易のネットワークについて考察した。このことについては、さらに研究を深めてから発表するつもりである。
著者
坂井 秀樹 中尾 光之 本堂 毅 山本 光璋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.94, no.350, pp.73-80, 1994-11-18

外的同調時はもとより、時間的手がかりを取り去ったフリーラン環境下においても体温リズムと睡眠-覚醒リズムの間には規則的な関係が存在することが知られている。本稿では、これらの現象を統一的に理解するために、我々が新しく構築したサーカディアンシステムモデルのダイナミクスについて述べる。このモデルは2つの写像で構成されており、1つは体温リズムに対する就寝位相を決定する写像で、もう1つは起床位相を決定するものである。そのダイナミクスは1つの分岐パラメータで決定され、外的同調時から内的脱調時における睡眠-覚醒リズムの多様な振舞いが分岐現象として解釈できることが示された。
著者
米田 徹 水谷 好成 中尾 光之 山本 光璋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.400, pp.7-12, 1998-11-17

痛み認知の脳内処理機構を知る手がかりを得るために, 電気的な痛み刺激と非痛み刺激に対する事象関連電位を測定した。第3の刺激として新奇刺激を加えたオドボール課題を行った。標準刺激(80%)と標的刺激(12%)は非痛み刺激で、それぞれ人差し指と掌外側に与えた。新奇刺激(8%)は小指に与え、痛みまたは非痛み感覚を誘発する。痛みを伴う新奇刺激に対するP300成分のピークの振幅は痛みを伴わない新奇刺激に比べ大きく、潜時も早くなる傾向が見られた。この結果は, 痛み刺激の方が非痛み刺激より新奇性が強く、意識レベルを大きく変調する可能性を示している。