著者
町田 善康 山本 敦也 秋山 吉寛 野本 和宏 金岩 稔 神保 貴彦 岩瀬 晴夫 橋本 光三
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.181-189, 2019-01-28 (Released:2019-04-10)
参考文献数
31
被引用文献数
3 5

北海道東部網走川水系の 3 次支流駒生川において,住民が設置した複数の手作り魚道の効果を検証するため,魚道設置前後の魚類の種組成,生息個体数,およびサケ科魚類の産卵床の分布を調査した.その結果,魚道設置完了前の 2009 年および 2011 年には,駒生川の落差工よりも上流域には,サケ科魚類が全く生息しておらず,ハナカジカとカワヤツメ属の一種のみが生息していた.また,サケ科魚類の産卵床も確認できなかった.2012 年に 7 基の魚道の設置が完了した後,落差工よりも上流域でサクラマスおよびイワナの親魚と産卵床がそれぞれ確認された.また,2013 年に行った調査では,落差工上流域にサクラマスの生息を確認した.さらに,魚道設置 5 年後の 2017 年には,駒生川においてサクラマスおよびイワナの生息が確認でき,ハナカジカの生息個体数は減少する傾向にあった. 以上の結果から,駒生川に設置された木材や石などを利用した手作りの魚道は,遡上できなかった上流域へのサクラマスおよびイワナの遡上を可能にした.しかし,定住性の高い魚類に関しては回復に時間がかかっており,中流域の三面護岸が影響していると考えられた.
著者
阿部 洋太 武井 健児 高橋 和宏 山本 敦史 長谷川 信 田澤 昌之 白倉 賢二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】胸郭出口症候群(TOS)は,胸郭出口において腕神経叢または鎖骨下/腋窩動静脈が圧迫あるいは牽引されて生じる病態の総称である。TOSのリハビリテーションに際しては圧迫型・牽引型・混合型といった病態の把握とともに,斜角筋間三角・肋鎖間隙・小胸筋深部といった症状誘発部位の鑑別が必要とされる。鑑別方法としてAdson test,Eden test,Wright testといった脈管圧迫テスト(テスト)があり,これらは本邦におけるTOS診断に際して用いられている。現在のTOS病態の理解では,神経原性の牽引型が9割を占めるとされており,圧迫型においても血管原性は希であるとされているため,上記のテストは血管と同時に圧迫を被る腕神経叢の圧迫症状を推測するものとして使用される。しかし,テスト時の症状としては痺れなどの神経性の症状に伴い,脈拍減弱や色調変化といったいわゆる血管性の症状も出現しており,どの部位で何が圧迫を受けているのかという点とそのときの症状の関連性には不明な点が多い。我々はテスト実施時の血管の状況をリアルタイムで確認出来る超音波診断装置に着目し,その有用性を検討してきた。そこで本研究では,超音波診断装置より得られる各テスト時の血管面積の変化と,その際の症状との関連性を検討し,TOSにおける脈管圧迫テストの在り方を再考することを目的とした。【方法】被験者は日常生活においてTOS症状を有さない健常成人9名とした。測定には超音波診断装置(MyLab 25,日立メディコ社製)を用いた。測定部位は斜角筋間三角,肋鎖間隙,小胸筋深部の3箇所とし,1)上肢下垂時,2)Adson test時(頸部最大後屈+検査側回旋位,最大吸気位),3)Eden test時(両肩関節軽度伸展,両肩甲骨最大下制+内転+後傾位),4)Wright test時(肩関節90°及び130°外転位)のそれぞれにおいて,各箇所の血管面積を計測した。また,各測定時に出現したTOS症状の部位及び性質を聴取するとともに,脈拍及び指尖の色調を確認した。統計学的解析にはWilcoxonの符号付順位検定を用い,上肢下垂位と各テスト時の血管面積を部位ごとに比較した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に沿った研究であり,群馬大学臨床研究倫理委員会の承認を得て実施した。また,対象者全員に本研究について文書と口頭にて十分な説明を行い,同意を得た後に測定を行った。【結果】上肢下垂位と比較し,Adson test時では全ての部位において有意に血管面積が減少していた。Eden test時では,肋鎖間隙において有意に血管面積が減少していた。Wright test時では,全ての部位において有意に血管面積が減少していた。各測定時のTOS症状出現状況は,Adson test時が1名,Eden test時が3名,Wright test時が6名であり,その部位は上腕内側及び外側が1名ずつ,手掌全体が1名,残り7名が第2指尖から第5指尖のいずれか複数部位であり,症状の性質は全員が痺れやだるさであった。なお,症状出現者全てにおいて,脈拍減弱が確認された。【考察】Adson testでは全ての部位において有意な血管狭窄が生じていたものの,症状出現者は1名であった。このテストは,深呼吸に起因する全身の循環動態と神経反射により生ずる一過性の血流低下が大きく関与するため,血管圧迫の意味合いは少なく,診断に際する特異度も高いことが明らかとされている。本研究においても同様のメカニズムが血管面積に関与し,同様の症状出現状況であったと考えられる。Wright testでは全ての部位において有意な血管狭窄が生じ,症状出現者も6名と最も多く,多彩な部位に痺れが誘発されていた。先行研究ではWright testによる肋鎖間隙での有意な血管狭窄がすでに報告されており,本研究結果とは異なる傾向となった。そのため圧迫部位は定かでないが,症状としては,第4及び第5指尖を筆頭に,上腕内側及び外側や手掌全体など様々な部位に出現しており,対象者によって異なる高位の腕神経叢神経幹部が血管と同時に圧迫を被ったと考えられる。Eden testに関して,本研究では肋鎖間隙においてのみ有意な血管狭窄が生じていた。肋鎖間隙では鎖骨下動静脈が腕神経叢よりも後下方を走行しているという解剖学的特徴があるため,血管よりも神経の圧迫が先行すると報告されているが,本研究では痺れやだるさといった症状に加え,指尖の色調が暗赤色に変化するといった静脈圧迫性の症状が出現しており,神経性及び血管性の所見が複合する結果であった。【理学療法学研究としての意義】本研究のようなデータの蓄積は各テストの特徴を明らかにし,TOSの病態解明の一助となるとともに,超音波診断装置のTOS評価としての有用性など,様々な点でリハビリテーションへの応用が可能である。
著者
山本 敦 古山 宣洋
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.84-99, 2020-09-30 (Released:2020-10-07)
参考文献数
29

演奏表現は,楽曲の解釈や表現意図に沿って,楽譜に示されていない細かな音のゆらぎを付与することで達成されるが,その指導において,このゆらぎの構造は学習者によって概念的・聴覚的に把握されるだけでなく,学習者の知覚–運動の調整を通して,実際の演奏として達成されなければならない.本稿では,音楽大学の学生と教授であるプロの演奏家による1対1のピアノレッスンを録画したデータを対象に,指導の相互行為におけるマルチモーダルな資源が組織化される過程を分析することで,演奏表現が学生と教師によって協働的に構築,産出されていることを明らかにした.教示においてゆらぎの構造は,発話や演奏,歌,ジェスチャなどの組み合わせによって知覚的に構造化され,音楽概念と結びつけられて呈示されていた.その結びつけの構造が維持されたまま,学生,教師双方によってジェスチャ–楽曲の組み合わせが実際の演奏の中で反復・同期されることで,理解の例証,調整の求め,確認の与えといった相互行為上の機能を果たしていた.さらに,このマルチモーダルな呈示の同期を通して,学生の演奏運動それ自体が同時的かつ即興的に調整を受けることで,演奏表現は協働的に達成されていた.これらの結果は,専門的な実践における知覚の相互行為的な調整および音楽教育の観点から考察された.
著者
設楽 仁 高岸 憲二 下山 大輔 石綿 翔 高澤 英嗣 一ノ瀬 剛 山本 敦史 小林 勉
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.755-759, 2013

<B>Background:</B> There are many studies about the relationship between brain functional changes and chronic pain such as CRPS, fibromyalgia, osteoarthritis of the knee and chronic back pain.<BR>However there is no study about the relationship between brain functional changes and shoulder disease. The purpose of this study is to clarify the brain functional changes regarding to shoulder pain using functional magnetic resonance image (fMRI) in rotator cuff tear (RCT) patients.<BR><B>Methods:</B> Nine healthy volunteers and 9 RCT patients participated in this study. Brain activation was examined by fMRI technique (3 Tesra-MRI). We applied an active shoulder motion task and a motor imagery task during fMRI.<BR><B>Results:</B> In the active shoulder motion task, there was significant activation in the right premotor cortex, right primary somatosensory cortex, right superior parietal lobule, bilateral prefrontal cortices, right intraparietal sulcus, anterior cingulate cortex, left lingual gyrus and left cerebellum in RCT group compared to normal group.<BR>In the motor imagery task, there were brain activities in the left prefrontal cortex and supplementary motor area which was related to the pain matrix despite the absence of feeling pain in RCT group compared to normal group. <BR><B>Conclusion:</B> The current study reveals that RCT can cause reorganization of the central nervous system, suggesting that such an injury might be regarded as a neurophysiologic dysfunction, not a simple peripheral musculoskeletal injury. This study is the first evidence that the pain with RCT is related to the brain functional change.
著者
山本 敦久
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.19-34, 2016-03-25 (Released:2017-03-24)
参考文献数
29

本論は、支配の完全な外部を想定できない諸条件のなかで、「スポーツを通じた抵抗」を見いだすための視座について論じている。そのために、まず英国の産物であるクリケットが反植民地闘争の現場になっていく過程を描いたC.L.R.ジェームズの『境界を越えて』を読み解きながら、そこで提示されたスポーツの抵抗理論を概観する。ジェームズにとってスポーツは、国境や文化ジャンルを越えて別の歴史や場所、別の文脈や記憶と繋がりなおすことによって新しい集合性が想起される契機を含むものであった。次に本論はジェームズのこうしたスポーツ論が後のバーミンガム学派に受け継がれていく回路を再発見していく。スチュアート・ホールのポピュラー文化へのまなざし、ポール・ギルロイの「黒い大西洋」、ポール・ウィリスの「象徴的創造性」といった議論を踏まえながら、現代のカルチュラル・スタディーズのスポーツ研究における抵抗理論を検証していく。そうした思考は黒人アスリートの活躍が形成したアウターナショナルな黒人ディアスポラの連帯を論じたベン・カリントンの「スポーツの黒い大西洋」として結実するが、それはスポーツを通じた国民国家の境界線を越えていく複雑な文化的・政治的空間の形成であった。だがそうした対抗的公共圏は、近代資本主義のなかにその一部として生み出されたものでもある。これらの議論をふまえ、本論は最後に、スポーツ文化が資本主義や近代社会、帝国主義といった支配の内部で、その支配的な力や回路を通じて、別の公共圏や別の集合性へと節合される契機を掴まえるための視座を提起する。
著者
上茶谷 若 井上 嘉則 齊藤 満 山本 敦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.613-619, 2012-07-05
参考文献数
24
被引用文献数
2

親水性基材樹脂にジアリルアミン─アクリルアミド共重合体を導入した後にアセチル化をした親水性固定相(Ac-DAA樹脂)を調製した.ジアリルアミン─マレイン酸共重合体を導入した固定相(DAM樹脂)を比較対象として,水溶性化合物の保持特性及び静電相互作用の発現度合いについて調べた.Ac-DAA樹脂では,DAM樹脂よりも約2.5倍共重合体が導入されたが,保水量及び含水量には差は見られなかった.両固定相とも核酸塩基,ヌクレオシド及び配糖体を親水性相互作用により明確に保持可能であったが,Ac-DAA樹脂では核酸塩基に対して特異的な親和性が観察された.Ac-DAA樹脂は,DAM樹脂よりも強い静電相互作用を発現したが,移動相の溶液pHを8以上にすることで静電相互作用の抑制が可能であった.Ac-DAA樹脂は,移動相の溶液pHを適切に調節することにより,イオン性化合物を含む水溶性化合物の分離に有効であることが分かった.
著者
小林 泰之 上茶谷 若 井上 嘉則 山本 敦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.635-639, 2011-08-05
参考文献数
17

リンゴ果汁中のカビ毒であるパツリンを分析するための前処理法に,両性イオン性高分子を固定した親水性相互作用型固相抽出剤(DAM吸着剤)を適用した.リンゴ抽出物を1% エタノール-ヘキサン溶液に溶解後,DAM吸着剤50 mgを充填した固相抽出カートリッジに負荷することで,パツリンは定量的に吸着された.吸着されたパツリンはアセトニトリル2 mLによって定量的に溶出された.アセトニトリル溶出液を0.01% 酢酸水溶液1 mLに転溶後,HPLCに供した.パツリンのピーク近傍には定量の妨害となる夾雑ピークは検出されなかった.本前処理法全工程でのパツリンの回収率は77.0~82.1% で,RSDは0.9~2.6% であった.また,パツリンの検出限界は1 &mu;g kg<sup>-1</sup>であった.本法を市販リンゴ果汁及びリンゴ果実中のパツリン分析に応用したところ,土壌中で腐らせたリンゴ果実中のパツリンが精度よく定量された.
著者
中島 康夫 山崎 真樹子 鈴木 清一 井上 嘉則 上茶谷 若 山本 敦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.349-354, 2013-04-05
参考文献数
30
被引用文献数
1

イオン性化合物分析における金属酸化物系吸着剤の選択的抽出剤としての適用性を調べるため,グリホサート[<i>N</i>-(phosphonomethyl)glycine, GLYP]を測定対象としてジルコニア及びチタニアの抽出・溶出特性を調べた.ジルコニア及びチタニアともリン酸化合物に対して高い親和性を示すとされているが,本検討で用いたチタニアからはGLYPの漏出が観察された.一方,ジルコニアはGLYPを明確に保持し,試料溶液を250 mL負荷しても良好に捕捉することができた.ジルコニアに捕集されたGLYPは0.4 M水酸化ナトリウム2 mLで定量的に溶出できた.この溶出液を,サプレッサモジュールを用いて中和させることで,電気伝導度検出─イオンクロマトグラフィーでGLYPを高感度検出することが可能であった.本法を都市型河川水に適用したところ,1 &mu;g L<sup>-1</sup>程度のGLYPを定量することができた.
著者
井上 嘉則 上茶谷 若 山本 敦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.79-92, 2014
被引用文献数
5

親水性基材に両性イオン型化合物であるスルホベタイン及びジアリルアミン─マレイン酸共重合体(DAM)を導入した新規な保水性分離剤を調製し,水溶性化合物に対する抽出・分離特性を調べた.これらの保水性分離剤はイオン交換樹脂と同等の保水能力を示し,アセトニトリル中から水溶性化合物を効率よく抽出可能であった.特に,DAM導入分離剤はグルコースや配糖体も定量的に固相抽出可能であった.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりDAM導入分離剤の保持特性を調べたところ,水溶性化合物の保持(Log <i>k</i>)はLog <i>P</i><sub>o/w</sub>と良好な相関を示し,水和層への分配を主相互作用とすることを明らかとした.イオン性化合物は静電相互作用が加味されて保持されるが,溶離条件により静電相互作用の発現度合いを調節可能であった.さらに,DAMを混合した繊維状吸着剤も調製し,固相抽出剤としてだけでなく,大気中水溶性臭気成分の吸着剤としても有用であることを実証した.
著者
塚本 友康 清水 愛 山本 敦 小玉 修嗣 上茶谷 若 井上 嘉則
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.58-64, 2010
被引用文献数
1

夾雑成分の多い試料から親水性農薬を簡便かつ迅速に測定するために,陰イオン交換基と長鎖疎水基を併せ持つ新規逆相陰イオン交換型(RP-SAX) 固相抽出剤を合成した.RP-SAX固相抽出剤は,グリシジルメタクリレート,グリセリンジメタクリレート,ステアリルメタクリレートを懸濁重合によって合成し,陰イオン交換基としてジメチルエチルアミンを導入した.合成したRP-SAXをシリンジ型カートリッジに充填し,野菜抽出液中からのアセフェートの固相抽出により,その機能を評価した.野菜抽出液中のアセフェートは定量的にRP-SAXに吸着し,50% (v/v) メタノールで調製した 30 mmol/L リン酸三ナトリウム溶液 3 mL で溶出された.その溶出液をHPLC分析した.アセフェートの検出は紫外可視光検出器で行った.アセフェートは 5 mg/L となるように野菜抽出液に添加した.測定の結果,野菜抽出液中からのアセフェート回収率は77~100% であった.
著者
山本 敦子 小林 裕美 石井 正光
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.383-385, 1999

低アレルギー性, 低刺激性を意図して開発されたスキンケア製品 (アトレージュ<SUP>®</SUP>フェイスウォッシュ, スキントリートメント, フェイスモイスト, バリアーベール, クールローション, ヘアシャンプー, ヘアリンス) の皮膚安全性を, パッチテストにより検討した。対象はアトピー性皮膚炎患者22例, 接触皮膚炎患者31例, 酒鞁様皮膚炎患者2例の計55例とした。皮膚刺激指数は0から9.1でいずれも安全品と判定しえた。疾患別では接触皮膚炎患者群でシャンプーの刺激指数が12.9で最高であった。アトピー性皮膚炎患者ではすべて5以下と低く, 湿疹皮膚炎群に対する基準においても全製品とも許容範囲内にあると考えられた。以上より本スキンケア製品7種の低刺激性が確認された。<BR>(皮膚, 41: 383-385, 1999)
著者
松永 明信 山本 敦 水上 英一
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.408-412_1, 1988-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
19
被引用文献数
4

間接吸光度検出イオンクロマトグラフィーによる食品中のフィチン酸 (PA) の分析法を確立した. 分析カラムには Shim-pack IC-Al, 溶離液にはナフタレン-1, 3, 6-トリスルホン酸塩 (pH 5.5) を用い, PAの溶出を295nmで検出した. なお試料は0.6N塩酸で抽出し, 中和した後, 陰イオン交換樹脂カラム (AG1-X4) に負荷した. 0.2N塩化ナトリウム, 水で洗浄した後, 2N塩酸でPAを溶出させ, 減圧乾固して塩酸を除去した. これを水に溶解し, 0.45μmのフィルターでろ過して試験溶液を調製し, 測定に供した. 大豆, 押麦, 小麦粉にPAを添加して回収実験を行ったところ, 回収率は93.0~98.3%であり, また定量限界は0.05g/kgであった. 各種食品中のPA含有量を測定したところ, 米ぬかの値が特に高く, 72.4~87.0g/kgであった.
著者
山本 敦久
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.19-34, 2016

<p> 本論は、支配の完全な外部を想定できない諸条件のなかで、「スポーツを通じた抵抗」を見いだすための視座について論じている。そのために、まず英国の産物であるクリケットが反植民地闘争の現場になっていく過程を描いたC.L.R.ジェームズの『境界を越えて』を読み解きながら、そこで提示されたスポーツの抵抗理論を概観する。ジェームズにとってスポーツは、国境や文化ジャンルを越えて別の歴史や場所、別の文脈や記憶と繋がりなおすことによって新しい集合性が想起される契機を含むものであった。次に本論はジェームズのこうしたスポーツ論が後のバーミンガム学派に受け継がれていく回路を再発見していく。スチュアート・ホールのポピュラー文化へのまなざし、ポール・ギルロイの「黒い大西洋」、ポール・ウィリスの「象徴的創造性」といった議論を踏まえながら、現代のカルチュラル・スタディーズのスポーツ研究における抵抗理論を検証していく。そうした思考は黒人アスリートの活躍が形成したアウターナショナルな黒人ディアスポラの連帯を論じたベン・カリントンの「スポーツの黒い大西洋」として結実するが、それはスポーツを通じた国民国家の境界線を越えていく複雑な文化的・政治的空間の形成であった。だがそうした対抗的公共圏は、近代資本主義のなかにその一部として生み出されたものでもある。これらの議論をふまえ、本論は最後に、スポーツ文化が資本主義や近代社会、帝国主義といった支配の内部で、その支配的な力や回路を通じて、別の公共圏や別の集合性へと節合される契機を掴まえるための視座を提起する。</p>
著者
山本 敦 斎藤 行雄 松永 明信 牧野 正雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.36-41_1, 1987

くん製品中の酸化防止剤 (BHA, BHT) をガスクロマトグラフィー (GC) で分析する際, 共存物質により分析の妨害を受けることがある. 今回これらの物質の単離と構造決定を行った. いかくん製品からの抽出物は分取クロマトグラフィーにより, 妨害物質としての3つの化合物を単離することができた. これらはGC/MS, NMRの結果, 2,6-dimethoxyphenol 及びその同族体であることが判明した. これらの化合物はくん製品中に香気成分として含まれるものであり, GCでくん製品中の酸化防止剤を分析する場合には十分注意を要する.
著者
山本 敦子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.112-113, 1990-09-04

Prologは推論機能を特徴とする論理型言語である.Prolog言語を使ってシステムを構築しようとするとき,C言語のような手続き型言語のほうがより書きやすい処理が存在することがある.このような場合にProlog言語ではなくC言語を使う,すなわち個々の言語の特長を生かしてプログラミングすることでシステム全体の効率を高めることは非常に大切である.このような背景の下で,私達はProlog処理系に利用者が定義したC関数を組み込み述語として扱えるC言語静的連携機能を開発した.これは,述語論理の世界に関数の概念を取り入れた新しい機能である.(以降これをC言語連携と呼ぶ)本稿ではC言語連携の開発の背景,概要および実現方法について述べる.
著者
山本 敦 小早川 倫広 星 守 大森 匡
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG14(TOD35), pp.82-90, 2007-09-15

本論文は,問合せ画像と構図(領域の構成)が似ている画像を検索するための新しい類似度を提案する.提案する類似度は集合間の類似度として知られているJaccard係数を基礎として考案した.提案する類似度の検索性能を評価するために1 000枚の領域分割画像を用いて検索実験を行った.検索性能の評価指標には,再現率とすべての正解画像を検索するために必要な検索枚数を正解画像数で割った値(完全検索倍率)を用いた.検索実験の結果によって,提案する類似度が領域分割に基づく検索に有効であることを示した.また,35 155枚の自然画像に対して検索実験を行った.その結果,提案する類似度によって構図が似ている画像を検索できた.
著者
山本 敦 赤尾 佳則 東川 佳靖
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.113-123, 2015 (Released:2015-07-17)
参考文献数
23

When printed materials are used to commit crimes, such as threatening letters, font identification is used to estimate the equipment that was used in their production. To identify the font of printed materials, comparison testing with a print reference sample is required. As retrieving the target print sample from a huge volume of samples requires significant time and effort, a method for automatically searching the font is required. In this paper, we propose a similarity measure using SIFT features, which are invariant local features to the zoom and rotation of the character, and a method of retrieving fonts using the similarity measure. Retrieval experiments were performed using 102 font types with 2,230 types of characters for each. The proposed method is effective for retrieving fonts, even when the character size of the query image and the database is different. Furthermore, we propose a method of retrieving fonts at high speed through dimension reduction using principal component analysis. We show that through the proposed speeding up method, the retrieval time can be reduced to one-quarter of the previous speed without lowering retrieval performance.
著者
佐々木 毅志 山本 敦史 小林 勉 設楽 仁 一ノ瀬 剛 下山 大輔 濱野 哲敬 高岸 憲二 大澤 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.411-413, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
13

夜間痛は肩関節疾患の特徴的な愁訴の一つであるが,その詳細については不明な点が多い.本研究の目的は肩関節疾患における夜間痛について調査を行い,その特徴と背景因子について検討することである.2011年4月1日から2013年3月31日の期間における当科肩外来初診患者232人を対象とした.男性121人,女性111人,平均年齢56.4歳であった.年齢,性別,診断名,罹患側,肩関節痛の症状,肩関節可動域,筋力,夜間痛の頻度,夜間痛の症状,理学所見との関連について調査を行った.対象の58.2%に夜間痛を認め,その64.4%は肩痛のためほとんど毎日夜間に覚醒し,93.3%は体位による疼痛の増減を認めた.夜間痛がある例はない例と比較すると年齢が高く,安静時痛が強い例が多かった.