著者
馬場 貴之 山田 武志 北脇 信彦
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.82(2005-MUS-061), pp.79-84, 2005-08-05

自動採譜や音楽検索において,楽器音の音源同定は重要な要素技術である.本稿では,単一楽器の孤立発音を対象とした,HMM とMFCC を用いた楽器音の音源同定について述べる.まず,適切なHMM のパラメータを決定するために,RWC の楽器音データベースを用いて同定実験を行った.その結果,HMM の状態数と混合分布数が各々9,12 のときに88.65%の同定率が得られることが分かった.次に,学習データの量が同定率に及ぼす影響を調査し,学習データの量と同定率の関係を明らかにした.
著者
山田 悦 沖田 秀之 山田 武 平野 宗克 成田 貞夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.419-422, 2000 (Released:2001-06-29)
参考文献数
18

銀はイオン状態のとき,大腸菌や細菌等を10μgl-1(10ppb)という極微量濃度で死滅させる効果があるため,プールや温泉では塩素系薬剤に代わって利用を拡大しつつあり,また銀系抗菌製品も開発されてきている。日本ではまだ銀の法規制はないが,適正な濃度での使用が必須であり,定量下限数ppbの銀の高感度簡易定量法が求められている。本研究では,ペルオキソ二硫酸カリウムによるMn(II)→Mn(VII)の酸化における銀の触媒作用を利用した高感度定量法を開発し,水道水,井戸水及び温泉水などの銀イオンの測定に適用した。本法の定量限界は1ppbと高感度で,銀80ng,5回測定の相対標準偏差が0.9%と再現性も良く,共存イオンの影響もなく銀の迅速で簡易な定量として有効な方法であることが明らかとなった。また,簡易法(目視)でも標準色表との比較により2ppbまでの分析が可能である。
著者
石田 正弘 陳 之立 植木 弘信 山田 武
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.61, no.590, pp.3518-3523, 1995-10-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
11
被引用文献数
1

To reduce the level of exhaust emissions and to improve the ignition characteristics, the effect of pilot injection on combustion was examined experimentally in a turbocharged direct-injection diesel engine, and was analyzed theoretically using a two-zone combustion model. The pilot injection effect was compared with the combustion in the injection without pilot injection and also with the effect of fuel additive as an ignition improver in two kinds of fuel : high-quality fuel having a cetane index of 57 and low-quality fuel having that of 40. It is found that the pilot injection effectively reduces ignition delay at the retarded injection timing, under the low-load condition, and in the case of low-cetane fuel. The ignition delay of the main injection is reduced to about a half of that of the injection without pilot injection by the pilot injection with the short interval between pilot and main injection. The ignition delay of the low-cetane fuel is reduced to that of the high-quality fuel by a small amount of pilot injection, or by adding 1% of the ignition improver.
著者
山田 武雄
出版者
関西学院大学
雑誌
言語と文化 = 語言与文化 (ISSN:13438530)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.83-99, 2004-03-01

Robert Frost (1874-1963) published his 8th book of poetry, Steeple Bush (1947), when he was 73 years old. As an aged person, he was afraid that general readers as well as his literary critics might think that he was already past his poetic prime. As if he tried to show his youthfulness, he actually cultivated in Steeple Bush new fields of his poetic world, one of which was to write several political satires or epigrams against atomic bombs. These poems are often neglected, and the white-haired poet also didn't mention them or seldom read them in his public lectures. This is because he wanted to be an influential, great poet-statesman as he sometimes said clearly in public. He was afraid that these poems might bring him bad effects if they were too direct and attacked the government authorities too severely, which was the reason he chose poetic forms of epigram or satire and took an ambiguous, optimistic attitude. In a sense he was right in writing this kind of difficult poems of epigram or satire, because these poems didn't attract so much attention, and he was chosen to read his best-known, patriotic poem, "The Gift Outright," by J. F. Kennedy at his presidential inauguration. Although these poems are so ambiguous and at the same time difficult that we are apt to be irritated in trying to understand the real state of his mind, we should pay more attention to them. When we read them carefully we can understand his humanitarian character and gradually realize that he couldn't help protesting "a new Holocaust" (CPPP 399) as "a political separatist," not as a propagandist, although these poems were too idealistic and optimistic.
著者
松林 達史 山田 武士
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG15(TOM18), pp.126-136, 2007-10-15

本研究では,大規模なネットワークデータのための高速かつ効率的な可視化座標計算の手法を提案する.従来のネットワーク可視化手法の1つとして Fruchterman らによる力学モデルを用いる手法がよく知られている.彼らの手法はノード間やエッジに対し力学関数を与えることにより,系全体のエネルギーを定義し,加速度方向に各ノードの座標を更新することによって,系のエネルギーの極小状態を求める.この手法では座標の更新頻度は一様で,すべてのノードを毎回更新していたが,提案手法では階層的独立固有時間刻み法を用いて個々のノードに独立な更新時間を設定し,局所的に更新頻度を変えることにより計算の高速化を可能にした.この手法は,天体力学において用いられている局所的に密集した領域を精度良く計算する手法を,グラフ可視化手法に拡張したものである.また,提案手法は並列処理に適しており,粒子間相互作用専用並列計算機 MDGRAPE-3 PCI-X に実装することによって,計算速度の数百倍高速化が可能であることを示した.さらに,LGL(Large Graph Layout)法を用いた Opte Project の可視化結果との比較を行い,提案手法により高精度な可視化が可能であることを示した.
著者
安齊 祐美 荒木 章子 牧野 昭二 中谷 智広 山田 武志 中村 篤 北脇 信彦
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.74-85, 2012-02-01
被引用文献数
1

本論文では,音源信号のスパース性に基づき,時間周波数バイナリマスク(BM)を用いる音源分離手法におけるミュージカルノイズの低減を目的とした,分離音声のケプストラムスムージング(CSS)を提案する。CSSは,近年提案されたスペクトルマスクのケプストラムスムージング(CSM)で用いられるケプストラム領域でスムージングする考え方と,ケプストラム表現による音声特性の保持の制御という観点では,マスクではなくBMによって得られた分離音声を直接スムージングする方が好ましいという仮説とに基づいている。また,従来法(CSM)や提案法(CSS)と他のミュージカルノイズ低減手法の性能を実験により比較する。CSSでは,CSMと同程度のミュージカルノイズ低減性能を有し,更に目的音声の歪の小さい分離信号が得られた。
著者
桑田 修平 上田 修功 山田 武士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.115, pp.81-86, 2007-06-21
被引用文献数
3

本稿では,ノンパラメトリックベイズモデルに基づくグラフクラスタリング手法を提案する.近年Newmanらは,混合多項分布モデルに基づき,リンク先が類似するノードを同一クラスに分類する,という一般的な仮定のみを用いた,クラスタ構造に関する事前情報を必要としない,汎用的かつ効率的なクラスタリング手法を提案した.しかし,予めクラス数を与える必要があるという問題があった.提案手法は,Newmanらのモデルを発展させ,ノンパラメトリックベイズの枠組でクラスの生成過程をデータの生成過程に含めることにより,クラス数を動的に推定しながらより柔軟なクラスタリングを行うことができる.人工データと実データを用いた実験により提案法の有効性を示す.
著者
岩田 具治 渡部 晋治 山田 武士 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.978-987, 2010-06-01
被引用文献数
4

購買ログデータを用いて,時間変化するユーザの興味及び商品の流行を追跡するためのトピックモデルを提案する.提案モデルは,興味や流行の変わりやすさをデータから逐次推定するため,変化に柔軟に対応可能である.また,新たなデータが得られた際,過去のデータで既に推定された興味・流行に基づいて,現在の興味・流行を推定するため,過去のデータを保持する必要がなく記憶容量を削減でき,かつ計算効率も高い.実購買ログデータを用いた実験により,購買行動の予測精度及び推定の計算効率の観点で提案モデルの有効性を示す.
著者
粟屋 敏雄 大滝 康一 石原 昌司 小野 尚志 千葉 薫 板垣 祐一 山田 武宏 須野 学 早勢 伸正 田崎 嘉一 松原 和夫
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.425-434, 2005-06-10
参考文献数
11
被引用文献数
1 5

出版社版新規システム導入後のオーダシステム内の記録から,処方が試みられた併用禁忌の組み合わせなどを解析した.相互作用チェックは,その処方の投与期間内に重複しているすべての薬品を自処方内および他処方内の薬歴データファイルから抽出し,チェック対象薬剤が重複した場合,チェックメッセージを表示した.システム運用開始以降,13ヵ月間における処方せんおよび注射指示せんの枚数はそれぞれ290956枚,299017枚の計589973枚であった.調査期間内にチェックのかかった回数は299件であった.警告としたものを除く173件中,96件は処方が中止された.時間外の併用禁忌の処方の危険率は時間内に比べ実に4倍近くにも上った.オーダ別にみると,実に80%近くの併用禁忌の組み合わせは注射薬が関与するものであった.最もチェックのかかった頻度が高かった薬剤の組み合わせはトランサミン注とトロンビン細粒の組み合わせであった
著者
松林 達史 山田 武士 藤村 滋 藤村 考
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.88-101, 2008-09-26
被引用文献数
1

本研究では,ラベル付きグラフ可視化のための,ラベルどうしが重ならない効率的な可視化座標計算の手法を提案する.従来のラベル付きグラフ可視化の座標計算アルゴリズムはForce-directed法やバネモデルといった,ノードを"点"として扱う座標計算を行うために,文字列や,異なるサイズのラベルを扱う場合,ラベルどうしが重なってしまうという問題が生じる.ラベルの重なりを回避する手法はいくつか提案されているが,いずれの手法も可視化計算を行った後に,再び座標計算処理を必要とする.これ等の手法では大規模なグラフ可視化では計算量が莫大となり,さらに元の可視化結果を破壊してしまうという問題が生じる.そこで,各ノードの斥力項として,ラベルサイズに依存した固有楕円ポテンシャルを与え,さらに,点対称ポテンシャルと固有楕円ポテンシャルの関数の重ね合わせる手法を提案する.提案法により,メンタルマップを保ちつつ,かつ,局所的なラベルの重なりを回避できることを示した.We present a new graph layout algorithm for a graph with node labels. The proposed algorithm can generate a graph layout efficiently avoiding overlapping of node labels. Most of the conventional algorithms such as force-directed and spring methods compute node positions by treating nodes as "points", and thus may cause node overlapping when strings or labels with various sizes are added to the nodes. Most of the conventional approaches to solve this problem require an initial graph layout creation phase without considering label sizes and a separate layout adjustment phase for overlap removal as its post processing. These methods are not suitable for a large-scale graph layout, because their computational costs are high and they may even destroy the initial graph layout. The proposed algorithm gives an individually different ellipsoidal potential to each node depending on its label size as well as a common point-symmetric potential, and the combination of these two potentials defines the repulsion force. This enables an efficient graph layout that can avoid local node overlaps while maintaining the mental map.
著者
石黒 勝彦 山田 武士 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.371-381, 2009-03-01
参考文献数
14
被引用文献数
1

従来の複数対象トラッキング手法は,すべての追跡対象について一つのダイナミックスモデルを適用することが多い.しかし,シーン内に存在するすべての対象が常に同一のダイナミックスに従うとは考えにくい.この問題に対処するためには複数のダイナミックスパターンが必要となるが,シーンの解析前に適切な数のダイナミックスパターンをすべて人手で決定することは困難であり,自動的に学習できることが望ましい.複数のダイナミックスパターンを学習する問題は,時系列データを複数のパターンにクラスタリングし,各クラスタごとに適切なパラメータを推定する問題ととらえることができる.本論文では,複数の移動対象をトラッキングするとともに,同時にそれらをクラスタリングしてダイナミックスモデルを学習する確率的な生成モデルを提案する.人工データ,及び実動画データを用いた実験を通じて,提案モデルがトラッキングとダイナミックスのクラスタリングを同時に実現可能であること,またトラッキング自体の性能も向上することを示した.
著者
山田 武千代 坂下 雅文 窪 誠太 藤枝 重治
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

スギ抗原で刺激されたヒト好塩基球の培養上清により、気道粘膜由来線維芽細胞からのTSLP産生は有意に増加した。スギ花粉症患者自己IgG(高濃度)、キメラ分子で作用させることにより、ヒト好塩基球による気道粘膜由来線維芽細胞からのTSLP産生を抑制した。気道粘膜由来線維芽細胞にIL-4存在下でヒスタミンを付加するとTSLP産生は有意に増強した。刺激ヒト好塩基球の培養上清による線維芽細胞からのTSLP産生は抗IL-4Ra(CD124)阻止 抗体、抗ヒスタミン(H_1)受容体抗体の処理により有意に減少することを明らかにした。スギ抗原刺激によりヒト好塩基球からのヒスタミン遊離とIL-4とIL-13の産生が有意に増加することを確認した。 スギ花粉症でも好塩基球がIgE依存性アレルギー疾患の責任細胞であり、Th2応答や適応免疫応答である2次抗体産生を制御していると考えられる。好塩基球は、アレルギーなどの抗原特異的な免疫反応で、司令塔として重要な役割を果たしていると考えられる。
著者
川前 徳章 坂野 鋭 山田 武士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.949-959, 2010-06-01

本論文では文書間,それらの著者間及び両者の意味的な関係を明らかにするために,著者の興味と文書の内容の潜在変数及びそれら変数間の依存関係を導入したモデルを提案する.提案モデルの特徴は,文書及び著者各々に潜在変数を導入し,通常のトピックモデルを拡張している点にある.文書ごとに導入する変数(文書クラス)は,文書のトピックを選択するための確率分布をもち,類似した内容の文書群は共通の文書クラスをもつ.同様に著者ごとに導入する変数(著者クラス)は,文書クラス選択の確率分布をもち,類似した興味をもつ著者群は共通の著者クラスをもつ.このモデルにより,文書生成を著者クラス,文書クラス及びトピックとそれら変数の依存関係を用いて表現し,その依存関係を用いて著者間及び文書間の意味的な関係を説明できる.各種データを用いた実験で,提案手法により著者クラス及び文書クラスを推定し,その結果,文書と著者の関係データを内容と興味に相当する低次元の空間に射影できること,及びテキスト生成モデルとして有効であることを確認できた.また,提案モデルは潜在変数の興味を抽出し,協調フィルタリングにも適用できることを実験で確認できた.
著者
山田 武
出版者
千葉商科大学
雑誌
CUC view & vision (ISSN:13420542)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.21-25, 2008-03

ニュースや新聞などを見ていると医療保障制度に関わる話題を見たり聞いたりしない日はありません。以前であれば大きく取り上げられることのなかった診療報酬の改定だけでなく、高齢化と医療費の関係、医師の偏在、医療事故、メタボリック症候群対策、混合診療、薬害などさまざまなトピックが取り上げられています。医療保障制度の危機や崩壊として大々的にクローズアップされることもあるようです。医療保障制度は非常に複雑なため全体像をつかむのが難しい側面もあります。以下では国民医療費から医療保障制度について考える糸口を探します。
著者
今井 新悟 伊東 祐郎 中村 洋一 酒井 たか子 赤木 彌生 菊地 賢一 本田 明子 中園 博美 西村 竜一 篠崎 隆宏 山田 武志 家根橋 伸子 石塚 賢吉 ファム ターンソン
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

日本語学習者のための日本語スピーキング能力をコンピュータ上で自動採点するテストシステムを開発した。インターネットを介して受験でき、時間と場所の制約を受けずに受験が可能である。音声認識技術を使い、受験者の発話から特徴量を抽出することにより、自動採点を実現している。項目応答理論を用い、受験者の能力に適合した難しさの問題を出題するアダプティブテストとなっており、少ない問題数で能力の判定ができる。
著者
岩田 具治 山田 武士 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.51, pp.13-18, 2009-05-15

トピックモデルに基づく内容に関連するタグの抽出法を提案する.ソーシャルアノテーションサービスでは,ユーザが任意のタグを付与できるため,しばしば内容に関連しないタグが含まれる.内容に関連するタグの抽出により,情報検索の性能向上や,文書分類や画像認識などの機械学習タスクの精度向上が期待できる.提案法では,内容とタグが生成される過程をモデル化し,確率的EMアルゴリズムを用いてモデルを推定することにより,関連するタグを自動的に抽出する.人工データ,および,Webページと画像を対象とするソーシャルアノテーションサービスの実データを用いて提案法の有効性を示す.
著者
川前 徳章 山田 武士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.51, pp.19-24, 2009-05-15

本稿では文書間及びそれらの著者間各々の類似性を評価する為に,著者の興味と文書の内容の依存関係を反映した潜在変数モデルを提案する.提案モデルの特徴は,通常のトピックモデルを拡張し,文書間及び著者間各々に潜在変数を導入している点である.文書毎に導入される変数(文書クラス)は,文書のトピックを選択するための確率分布を持ち,類似した内容の文書間で共有されるものとする.同様に著者毎に導入される変数(著者クラス)は,文書クラス選択の確率分布を持ち,類似した興味を持つ著者間で共有されるものとする.それ故,文書生成を著者クラス,文書クラス及びトピックとその依存関係を用いてモデル化し,そのクラスを用いて著者間及び文書間の類似性を評価できる.論文著者データを用いた実験により,提案手法が著者クラス及び文書クラスを推定し,その結果,文書と著者の関係データを内容と興味の低次元の空間に射影できること,及びテキスト生成モデルとしての有効性を確認できた.