著者
米満 文哉 山田 祐樹
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.134, 2019 (Released:2019-10-28)

心の中を他人に見透かされていると感じる現象を透明性の錯覚と呼ぶ。この現象は,係留と調整のヒューリスティックを用いる際の調整が不十分になることで生起する。この一因に覚醒度の上昇があげられるが,先行研究では不快かつ高覚醒を喚起する操作をしており,感情価と覚醒度のどちらが透明性の錯覚を上昇させるのか不明である。そこで,本研究は高覚醒で快感情を喚起する性的な画像を用いて検討した。参加者は画像内容が他者に分からないよう無表情で性的・中性画像を観察した後,参加者が見た画像の内容を当てると思われる人数と自身の表情表出強度を推定させたところ,中性より性的画像の観察時の方が透明性の錯覚が強く生じた。本研究により覚醒度の高い快感情によっても透明性の錯覚が強化されることが示唆されたが,錯覚生起における覚醒度の具体的な役割についてはさらなる検討を必要とする。
著者
郷原 皓彦 佐々木 恭志郎 山田 祐樹
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.197-205, 2018-03-31 (Released:2018-06-16)
参考文献数
42

We investigated whether the characteristics of autobiographical memory recalled by Japanese onomatopoeia are different from those recalled by non-onomatopoetic Japanese words with similar meanings. One hundred twenty participants were instructed to recall an autobiographical memory corresponding to the meaning of word cues, as well as answer a questionnaire containing 11 items associated with the recalled autobiographical memory. The word cues were eight onomatopoetic or non-onomatopoetic words of similar meanings. The results showed that the onomatopoeia-induced autobiographical memories were more recent compared to the non-onomatopoeia-induced memories. This suggests that the image information inherent in onomatopoeia helps people in recalling more recent autobiographical memories.
著者
清水 長正 山川 信之 池田 明彦 大和 美佐枝 山田 祐子 柿下 愛美 石井 正樹 島立 正広
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.193-200, 2020 (Released:2021-04-28)
参考文献数
6

Jigokudani Crater is located at the altitude of 2,100m a.s.l. in the subalpine zone of northern area of the Yatsugatake volcanic chain (Kita-Yatsugatake). The relations between seasonal crater lake appearance and ground-ice development under the algific environment of talus slope in the crater were observed through 6 years from 2009 to 2014. The crater lake appeared during more than two months in early summer of 2010, 2012 and 2014 and ground-ice disappeared in autumn in each year except 2014. On the other hand, perennial ground-ice was formed in 2009, 2011, 2013 and maintained until next summer, and crater lake appeared. These periodic phenomena suggest that the appearance of crater lake depends on the frozen ground as an impermeable layer represented by ground-ice which was maintained from former year.
著者
山田 祐也 迫田 寛人 井上 徹 久保 正治 伏見 尚子 南 武志 亀山 正邦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.933-936, 1998-10-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
8

鉛中毒を合併したインスリン非依存型糖尿病を短期間に2例経験した. 2例とも腹痛, 強度の便秘, 不眠などの自覚症状と貧血, ポルフィリン尿症を呈し, 血中尿中鉛濃度は高値を示した. 内服中の漢方薬 (珍芹降糖) に高濃度の鉛を検出した. 同薬の鉛含量にばらつきを認め長期内服で未発症例もあることから, 鉛の混入が推定された. Dimercaprol筋注により治療し症状, 検査所見ともに改善中である.
著者
山田 祐樹 Marmolejo-Ramos Fernando Roland Pfister Barrera-Causil Carlos
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2019 (Released:2019-10-28)

科学コミュニケーションにおける障害の一つが実験結果の理解の共有である。データを視覚化・抽象化するために様々なグラフが用いられるが,受け手にとっては難解であったり誤解が生じたりするため,適切な理解共有のためには適切なグラフ選択が必要であろう。そこで本研究では,グラフ化の仕方が受け手のデータ分布の理解に与える影響を検討した。日独豪3カ国の非専門家を対象としデータの正規性の判断を求めた。正規性は,公衆が普段接することの無い一方で,認知心理学にて頻繁に使用されるパラメトリック分析の根幹をなす。ここでは,同一のデータセットから作成された箱ひげ図,ヒストグラム,密度プロット,QQプロットの4種類のグラフを用いた。結果として,グラフの種類ならびに参加者の国籍や統計学習熟度によって正答率は大きく異なった。したがって,提示したい情報と受け手の属性に応じた柔軟なグラフ選択が科学コミュニケーションには重要である。
著者
江口 圭 宮尾 眞輝 山田 祐史 金野 好恵 金子 岩和 峰島 三千男 田岡 正宏 佐藤 隆 萩原 雄一 道脇 宏行 英 理香 細谷 陽子 田尾 知浩 土田 健司 水口 潤 谷川 智彦 宮本 照彦 森石 みさき 川西 秀樹 中川 章郎 岩隈 加奈子 吉田 友和 今井 陽子 小畑 日出登 松嶋 哲哉
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.695-703, 2009-09-28 (Released:2009-11-17)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1 1

全自動透析装置(GC-110N,JMS社製)の補液モードを利用した,逆濾過透析液による間歇補液血液透析(intermittent infusion HD, I-HD)を考案し,その臨床効果を多施設共同研究にて評価したので報告する.対象は維持透析患者20例で,通常の血液透析(normal HD, N-HD)とI-HDを同曜日に一回ずつ施行し,クロスオーバー試験にて評価した.検討項目は除去率,クリアスペース,クリアランスとし,尿素,クレアチニン,尿酸,無機リン,β2-microglobulin(β2-MG),α1-microglobulin(α1-MG),アルブミンの7種の溶質について検討した.また,透析中の循環血液量をヘマトクリットモニタにて,患者末梢血流量をレーザー血流計にて連続モニタリングし,間歇補液の有無との関係を調べた.結果として,すべての患者について間歇補液に同期した循環血液量および組織血流量の増加が観察された.治療時間平均の循環血液量減少率は,除水量がほぼ同等であるにもかかわらず,I-HDの方がN-HDにくらべ有意に低値であった.また,除去率に差違は認められなかったが,クリアスペースの平均値は全ての溶質でI-HDがN-HDにくらべ高値を示し,無機リン,α1-MGでは有意に高値であった.この結果は末梢循環が良好に保たれることにより,物質移動の推進力となる毛細血管の有効表面積やプラスマリフィリングが保持されたことにより,組織間液中に分布する溶質を効率よく移動・除去させたことによるものと考えられた.一方,α1-MGのクリアランスは,1hr値にくらべ4hr値でN-HD:73%低下したのに対し,I-HD:30%の低下にとどまった.これは間歇的な逆濾過補液により,膜への蛋白のファウリングが軽減されたため,溶質透過性が保持されたものと推察した.全自動透析装置の補液モードを利用した間歇補液血液透析は,安全かつ確実に施行可能であり,透析中の末梢循環動態の是正,患者からの溶質除去特性の改善に有用な治療であることが明らかとなった.
著者
山田 祐樹
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.258-262, 2018-03-31 (Released:2018-06-16)
参考文献数
5

This note is a short report on the activity of the Young Researchers Committee of the Japanese Psychonomic Society (JPS) in 2017. As the highlighted activity of the committee in 2017, we held the oral session of the 36th annual meeting of JPS. Eight young researchers were selected as the finalists from 17 entries and made presentations on their studies that have already been published in peer-reviewed journals. One of the finalists who got the most votes from audience was awarded as the Young Psychonomic Scientist of the Year 2017.
著者
山田 祐也
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.29-36, 2015 (Released:2017-05-29)
参考文献数
31

本研究では,中国人上級日本語学習者に対しての「漢字熟語の日本語読み」の入力方法として,「振り仮名」と「音声」の学習効果を,実験結果と学習者の主観的評価から分析・考察した。その結果,「振り仮名」での入力は「音声」に比べ有意に学習成績が良かった。一方,学習者の自信度においては,入力方法間で有意な差は見られなかった。以上の結果から,中国人日本語学習者に対しての「振り仮名」の有効利用方法を検討する。
著者
福岡 勇樹 成田 琢磨 小川 正樹 佐藤 朗 寺田 幸弘 松田 亜希奈 保泉 学 梅津 香織 佐藤 雄大 石川 素子 細葉 美穂子 森井 宰 藤田 浩樹 山田 祐一郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.335-339, 2012-05-30
参考文献数
13

35歳,女性.多嚢胞性卵巣症候群,糖尿病あり.インスリン治療にてHbA1c(JDS)5 %台で経過.妊娠34週より口渇,多飲,約8 <i>l</i>/日の多尿が出現.午前中のみの飲水制限で,血清Na 138 mEq/<i>l</i>から144 mEq/<i>l</i>へと上昇,水制限後も血漿浸透圧293 mOsm/kg>尿浸透圧213 mOsm/kg,血漿アルギニン・バゾプレシン(AVP)0.9 pg/m<i>l</i>と上昇なく,中枢性尿崩症が疑われ入院,デスモプレシンの試験的点鼻投与にて尿量は約2 <i>l</i>/日に減少した.出産後はデスモプレシンを中止しても妊娠前の尿量に戻ったが,頭部MRIで下垂体後葉の高信号の低下を認め,高張食塩水負荷試験でAVP上昇が不十分であったことから,妊娠による胎盤バゾプレシナーゼ活性亢進によるAVP需要の増大を代償しきれず,部分型尿崩症が妊娠後期に顕在化した病態と考えられた.妊娠に尿崩症が合併する頻度は4~30万妊娠例に1例と稀な症例であり報告する.<br>
著者
山田 祐子 廣田 伸之 新原 俊樹
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.1-10, 2021

<p>In a small area off the eastern coast of Osumi Peninsula, eight events have been observed from January 2001 to March 2019, in which <i>M</i>3 to <i>M</i>4 earthquakes occurred successively in a short time, from several seconds to several minutes. Based on the waveform correlation and cluster analysis, we found three seismic patches (asperities) which generate small repeating earthquakes in this area. The arrival time differences between P and S waves of the three patches' earthquakes observed at NARU station suggested that these patches were close to each other. Furthermore, we confirmed that many earthquakes originated from these patches were included in the successive occurrences of earthquakes in this area. These results suggest that the earthquake from one of these patches affects another patch in the immediate vicinity and triggers successive occurrences of earthquakes.</p>
著者
清水 邦義 吉村 友里 中川 敏法 松本 清 鷲岡 ゆき 羽賀 栄理子 本傳 晃義 中島 大輔 西條 裕美 藤田 弘毅 渡邉 雄一郎 岡本 元一 井上 伸史 安成 信次 永野 純 山田 祐樹 岡本 剛 大貫 宏一郎 石川 洋哉 藤本 登留
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.126-130, 2017-05-25 (Released:2017-06-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

木材を用いた家の価値が見直されている中で,木材から放散される揮発性成分の機能性が注目されている。季節ごとの温度や湿度の変化の大きい我が国においては,木材から放出される揮発性成分も大きく変化していると考えられる。本研究では,スギ(Cryptomeria japonica)の無垢材を内装に用いた建物(A棟)と,表面に塗装を施された内装材またはビニールクロスで覆われた内装材を用いた建物(B棟)の室内において,年間を通して揮発性成分を定期的に捕集し,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)分析による比較を行った。その結果,木材の揮発性成分の大半を占めるセスキテルペン類の量は,どちらの棟においても冬季より夏季で高く,年間を通してB棟よりもA棟の方が常に高いことが明らかになった。
著者
吉村 直人 山田 祐樹
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>我々が情景を眺め,それを思い出そうとする時,実際には眺めていなかった景色の範囲までも眺めていたかのように想起されることがある。この現象は「境界拡張」と呼ばれ,空間的連続性を有する外界に適応するための一種の記憶エラーとされている。この境界拡張が生じる要因の一つとして情景の奥行き感の想起が重要であると言われている。また境界拡張は情景の記銘の時点で生じている可能性が報告されている。これらの報告から,記名時の奥行き感覚が境界拡張に影響を及ぼす可能性が考えられる。そこで本研究では観察者の奥行き感覚が境界拡張にどのような影響を及ぼすのかを検討する。上体を逆転させて股の間から観察すると奥行き感が不明瞭になると言われている。そこで,本研究は,正立状態あるいは股のぞき状態で記名を行い,その後の境界拡張の程度を比較する。上体の逆転によって奥行き感が損なわれた場合,境界拡張は弱まることが予測される。</p>