著者
山田 祐一郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.643-645, 1997-10-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
5

血中のグルコースは, 膵β細胞内で代謝を受け細胞内ATP濃度の上昇となって表れる. 細胞内ATP濃度の上昇をATP感受性カリウムチャネルが感知しチャネルを閉鎖することにより, 膜電位が上昇し電位依存性カルシウムチャネルが開口し, 細胞内カルシウム濃度が上昇し, インスリン分泌が惹起される. したがって, ATP感受性カリウムチャネルは糖代謝の変化をカルシウムイオン濃度の違いに変換する上で鍵となる蛋白と考えられる.
著者
山田 祐彰 瀧谷 イザベルクリスチーナ 堤 剛太
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ブラジル北部で一世紀にわたり開拓に従事する日本人移民とその子孫は、ジュートとコショウの導入でアマゾンに初めて農業を確立した後、経営多角化を目指して1970年代から遷移型アグロフォレストリーを発展させた。周囲のブラジル人小農に模倣され普及していったが、熱帯雨林地域の環境に適合した持続的農法として国際的な評価を得ている。アマゾンの日系農場と、日系アグロフォレストリーを受け入れたブラジル人小農集落を調査し、この持続型農業体系の普及プロセスを明らかにした。
著者
山田 祐一郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.402, pp.94-98, 2008-09

福岡県南部に位置する大川市は、県庁所在地の福岡市から電車やバスを乗り継ぎ1時間強。人口4万人のいわゆる田舎町だ。家具・建具の生産高日本一を誇る木工の産地として知られるものの、バブル崩壊以降、少子高齢化の影響もあって家具の出荷数は伸び悩み、景気がいいとは言えない。
著者
錢 昆 河邉 隆寛 山田 祐樹 三浦 佳世
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.128, 2010

チルトシフト写真の被写体がミニチュアのように見える現象は,一般にミニチュア効果と呼ばれている。チルトシフト写真を観察すると,どのような視覚的印象が生じるのか,また,どのような視覚要因が印象の喚起に関わっているかに関し,両者の関係を網羅的に検討した研究はまだない。本研究はチルトシフト写真の引き起こす視覚的印象を調べた。被験者に本城(2006)のチルトシフト写真10枚の物理的・心理的特性について5段階で評定させ,因子分析を行った結果,「ミニチュア効果」,「評価性」,「密度」,「色彩」,「ぼかし」と「撮影位置」の6つの因子を抽出した。また,ミニチュア効果の高い写真と低い写真の間に,各因子の平均評定値に差があるかを検討した所、チルトシフト写真の被写体の密度,色彩,ぼかしと撮影距離に関する視覚的印象に有意差が見られた。これらの視覚要因が写真のミニチュア効果の生起に関与することを示唆するものと言えるだろう。
著者
山田 祐理 片岡 洋右
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.172-176, 2015 (Released:2015-12-18)
参考文献数
10

分子動力学(MD)法の初学者への入門のために,Wolfram MathematicaによるMDのプログラムを開発した.MD計算やその結果を解析するアルゴリズムを理解し易いように,扱う分子間相互作用はLennard-Jones 12–6ポテンシャル,MDセルは立方体,アンサンブルはNEVまたはNVTアンサンブルのみとした.Mathematicaのノートブックファイル内で,粒子数,数密度,温度などの計算条件を設定する.計算結果は,熱力学量のほかに粒子の軌跡,粒子配置,二体相関関数,速度自己相関関数,平均自乗変位および自己拡散係数が出力される.
著者
藤田 浩樹 山田 祐一郎
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

GLP-1とその分解酵素DPP-4の腎臓内シグナル伝達系とこれらをターゲットとした糖尿病性腎症に対する治療の可能性について検討した。進行性糖尿病性腎症マウスモデルKK/Ta-Akitaを用いた研究から、DPP-4阻害によりその基質の一つであるSDF-1αの発現が腎臓の糸球体上皮細胞と遠位ネフロンで増加すること、この発現増加は尿中ナトリウム排泄を促進し糸球体高血圧の改善をもたらすこと、SDF-1αからのシグナル遮断による腎保護効果の消失が示された。DPP-4阻害は腎臓内での活性型GLP-1のレベルを高めることに加え、SDF-1αの発現増加を惹起することで腎保護に貢献する可能性が示唆された。
著者
斎藤 広志 小尾 尚貴 山田 祐子 竹内 大樹 兼岩 淳平 多田 智顕
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.F-025, 2020 (Released:2020-01-01)

【はじめに】超音波検査は体表から触知できない深層を可視化でき、患者へ与える負担が少ない検査法である。 今回肩挙上時に疼痛を訴える肩関節周囲炎患者に対して、理学療法評価に超音波診断装置を用いて機能評価、治療介入を行った症例を経験したので報告する。【症例】40代女性。2018年12月更衣動作で受傷し、右肩関節周囲炎と診断。【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に沿い発表目的を説明し同意を得た。【初期評価】右肩ROM自動屈曲100°他動屈曲160°外転90°であった。整形外科的テストはNeer Test陽性。上腕骨頭の超音波動態評価で、肩関節外転時に肩峰と大結節の衝突を認めた。結帯肢位内旋動作の上腕骨頭前方移動量は左右差を認めなかった。Horizontal Flexion Test 陰性であった。肩甲胸郭機能はElbow Push Test陽性。 MMTは肩甲骨外転・上方回旋3肩甲骨下制・内転3であった。JOAスコア67点であった。【理学療法経過】超音波動態評価で肩関節外転時に肩峰と大結節の衝突を認めた。また、結帯肢位内旋動作の上腕骨頭前方移動量は左右差を認めなかった。評価上から肩甲胸郭関節機能障害を認めた。以上評価結果から肩甲胸郭関節機能障害から肩峰下インピンジメントが生じていると判断して、肩甲胸郭関節機能に対し理学療法を実施した。理学療法プログラムは前鋸筋トレーニング、小胸筋ストレッチ、側臥位で肩関節外転運動を実施した。 4週間理学療法を実施し、右肩ROM自動屈曲175°外転170°に改善した。Neer Test陰性、超音波動態評価の肩関節外転時の肩峰と大結節の衝突も消失した。MMTは全項目で改善を認めた。肩挙上時痛消失し、JOAスコア97点と改善した。【考察】超音波動態評価から上腕骨頭の動態を可視化することで、肩甲胸郭機能に対しての治療を立案でき、疼痛と可動域が改善したと考える。
著者
斎藤 広志 小尾 尚貴 山田 祐子 竹内 大樹 兼岩 淳平 多田 智顕
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.F-25, 2020

<p>【はじめに】超音波検査は体表から触知できない深層を可視化でき、患者へ与える負担が少ない検査法である。 今回肩挙上時に疼痛を訴える肩関節周囲炎患者に対して、理学療法評価に超音波診断装置を用いて機能評価、治療介入を行った症例を経験したので報告する。</p><p>【症例】40代女性。2018年12月更衣動作で受傷し、右肩関節周囲炎と診断。</p><p>【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に沿い発表目的を説明し同意を得た。</p><p>【初期評価】右肩ROM自動屈曲100°他動屈曲160°外転90°であった。整形外科的テストはNeer Test陽性。上腕骨頭の超音波動態評価で、肩関節外転時に肩峰と大結節の衝突を認めた。結帯肢位内旋動作の上腕骨頭前方移動量は左右差を認めなかった。Horizontal Flexion Test 陰性であった。肩甲胸郭機能はElbow Push Test陽性。 MMTは肩甲骨外転・上方回旋3肩甲骨下制・内転3であった。JOAスコア67点であった。</p><p>【理学療法経過】超音波動態評価で肩関節外転時に肩峰と大結節の衝突を認めた。また、結帯肢位内旋動作の上腕骨頭前方移動量は左右差を認めなかった。評価上から肩甲胸郭関節機能障害を認めた。以上評価結果から肩甲胸郭関節機能障害から肩峰下インピンジメントが生じていると判断して、肩甲胸郭関節機能に対し理学療法を実施した。理学療法プログラムは前鋸筋トレーニング、小胸筋ストレッチ、側臥位で肩関節外転運動を実施した。 4週間理学療法を実施し、右肩ROM自動屈曲175°外転170°に改善した。Neer Test陰性、超音波動態評価の肩関節外転時の肩峰と大結節の衝突も消失した。MMTは全項目で改善を認めた。肩挙上時痛消失し、JOAスコア97点と改善した。</p><p>【考察】超音波動態評価から上腕骨頭の動態を可視化することで、肩甲胸郭機能に対しての治療を立案でき、疼痛と可動域が改善したと考える。</p>
著者
中 響子 米満 文哉 山田 祐樹
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.50-55, 2017

<p>Facial attractiveness is influenced by various personal and environmental factors. The present study investigated whether the gender environment surrounding observers affected facial attractiveness judgments. Students at single-gender (58 females) and mixed-gender (59 males and 46 females) universities participated in the experiment. Each of 15 male or female faces was morphed, respectively, with a female or male averaged face derived from the other 14 female and male faces, resulting in feminized and masculinized faces. Observers were simultaneously presented with one masculinized and one feminized morphed face and asked to judge which was more attractive. The results showed that students at a women's university judged feminized male faces as significantly more attractive than did students in a coeducational university. The present findings suggest that adaptation to female faces in a single-gender environment increases the processing fluency of female faces, therefore inducing higher preference.</p>
著者
江口 圭 池辺 宗三人 金野 好恵 山田 祐史 金子 岩和 峰島 三千男 秋葉 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.769-774, 2007-09-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
10
被引用文献数
5 7

透析効率の飛躍的な向上の背景には, 高性能透析器やHDFフィルタなどのデバイスの開発ならびにその性能を引き出すための治療モード, 治療条件の考案をあげることができる. しかし, 個々の患者に対する適正な溶質除去を考えた場合, その対象となる患者体内環境の影響も重要な因子の一つと考えられる. 限られた透析時間の中で行われる除水操作は, しばしば血圧低下や筋痙攣をもたらし, 末梢循環不全の状態を作り出すことになる. 今回われわれは, 間歇的な補液を繰り返すことによって, 一時的に末梢循環を改善し, (1) 血液分配の是正, (2) 体液の撹拌, (3) 溶質の洗い出し効果促進による除去効率の向上を目的とした新しいHDF療法 (間歇補液HDF : intermittent infusion hemodiafiltration, I-HDF) を考案した. 通常のボトルタイプHDFは置換補充液を静脈側血液回路部から連続注入するが, I-HDFでは間歇的な補液操作 (3~4回/hr, 一回400~600mLの急速補液) を行い, 患者の循環血液量を約5%の範囲で振幅させた. 対象は維持透析患者7例にI-HDFと従来のHDFをクロスオーバーで施行し, 各溶質のクリアスペースを比較した. この際, 置換補充液は各セッションで同量とした. 結果はクリアスペースが増加する群と不変な群の2群に分れた. 皮膚表面の微小循環を評価できるレーザー血流計により, 間歇補液後の末梢循環の改善が得られた4例を再評価すると, クリアスペースにおいてI-HDFの方が高値を示し, 特にクレアチニン, 尿酸, β2-MGで有意な差が認められた. この4例はいずれも安定した維持透析患者であったが, 間歇補液の効果が認められなかった3例は, (1) 高齢者 (74歳), (2) 閉塞性動脈硬化症合併, (3) 僧帽弁閉鎖不全合併の症例であった. ゆえに種々の患者背景が間歇補液の効果に相違をもたらすものと考察した. 今後, 従来からの外部デバイスに依存した溶質除去の手法に加えて, 患者の末梢循環を視野に入れた治療法を考案する必要がある.
著者
川端 良子 片山 幸士 長井 正博 山本 政儀 山田 祐彰 五味 高志
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中央アジア・ウズベキスタン共和国内のヌクスを中心としたアムダリア流域にて,大規模灌漑農業による環境汚染と生態系への影響について以下の調査を行った. 1)飲料水である地下水の調査を行った. 2)潅漑用水,潅漑排水,および河川水を採取し,灌漑農業による河川水への影響を調査した. 3)ヌクス近郊の農村で,人体への影響に関しての聞き取り調査を行った. 4)河川水と地下水を毎月試料採取し,月変動を調査したその結果、地下水の元素濃度の方が、河川水より高い濃度であった。さらに、冬場に、特に、地下水の硝酸イオン濃度が高くなっていることが明らかとなった。また、ヌクスの郊外の農村で,縞状の歯を持つ子供たちが多くみられ過去に何らかのエナメル質を溶かすような有毒な物質が,井戸水に含まれていた可能性が高いことがわかった.そこで,月変動を明らかにすることと,一時的な汚染であれば,どのような時期に汚染されているかを調べるために,毎月この村で地下水の試料を採取することにした.その結果、地下水の元素濃度の方が、河川水より高い濃度であった。さらに、冬場に、特に、地下水の硝酸イオン濃度が高くなっていることが明らかとなったしかし、濃度変化は、年度によって差があり、さらに詳しく調べる必要があることが明らかとなった
著者
山田 祐樹 河邉 隆寛
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.93, 2008 (Released:2008-11-10)

我々の時間の感覚は我々がそのとき抱いている情動によって変化する.本研究は,無意識的に呈示された情動刺激が,それとは非関連な刺激に対する時間知覚に影響するかどうかを調べた.被験者は実体鏡を通して画面を観察し,片方の目には情動刺激 (快,不快および中性画像) を,もう片方の目には同じ位置に一定間隔で連続して変化するモンドリアン刺激を呈示した.連続的なモンドリアン刺激の変化は感情刺激を意識から取り除いた.また,モンドリアン刺激の周辺には白色の枠線が2700 msec呈示された.被験者はこの枠線の呈示時間を,後に呈示される同一の刺激の呈示時間を調整することで再生することを求められた.その結果,再生された時間は,不快刺激が呈示された場合の方が快刺激の場合よりも有意に長くなった.この結果は,無意識的な情動刺激が時間知覚に影響することを示唆する.
著者
岩佐 和典 田中 恒彦 山田 祐樹
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.82-92, 2018
被引用文献数
6

<p>The purpose of this study was to develop the Japanese version of the Disgust Scale-Revised (DS-R-J). The participants were 1063 Japanese people (mean age = 21.64, <i>SD</i> = 7.33, <i>range</i> = 18–77; 581 males and 482 females) and were separated into three different groups. Participants in samples 1 (<i>n</i> = 481) and 2 (<i>n</i> = 492) provided data for examining the factor structure and validity of the DS-R-J. They completed the DS-R-J as well as questionnaires assessing disgust propensity and sensitivity, anxiety sensitivity, state and trait anxiety, affective state, and obsessive-compulsive symptoms. Participants in sample 3 (<i>n</i> = 90) provided data for estimating the test–retest reliability of the DS-R-J. The exploratory and confirmatory factor analyses confirmed the three-factor structure involving core disgust, animal-reminder disgust, and physical and mental contamination disgust. Internal consistency and test–retest reliability were sufficient, and conceptual validity of the DS-R-J was also supported. The results show that the Japanese version of the DS-R-J is a reliable and valid measurement of disgust sensitivity.</p>
著者
山田 祐士
出版者
岡山大学
巻号頁・発行日
2008

博士論文
著者
岩佐 和典 田中 恒彦 山田 祐樹
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究
巻号頁・発行日
2018
被引用文献数
6

<p>The purpose of this study was to develop the Japanese version of the Disgust Scale-Revised (DS-R-J). The participants were 1063 Japanese people (mean age = 21.64, <i>SD</i> = 7.33, <i>range</i> = 18–77; 581 males and 482 females) and were separated into three different groups. Participants in samples 1 (<i>n</i> = 481) and 2 (<i>n</i> = 492) provided data for examining the factor structure and validity of the DS-R-J. They completed the DS-R-J as well as questionnaires assessing disgust propensity and sensitivity, anxiety sensitivity, state and trait anxiety, affective state, and obsessive-compulsive symptoms. Participants in sample 3 (<i>n</i> = 90) provided data for estimating the test–retest reliability of the DS-R-J. The exploratory and confirmatory factor analyses confirmed the three-factor structure involving core disgust, animal-reminder disgust, and physical and mental contamination disgust. Internal consistency and test–retest reliability were sufficient, and conceptual validity of the DS-R-J was also supported. The results show that the Japanese version of the DS-R-J is a reliable and valid measurement of disgust sensitivity.</p>
著者
銭 こん 山田 祐樹 河邊 隆寛 三浦 佳世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.369, pp.27-31, 2007-11-29

本研究は,きらめき格子錯視(Scintillating grid illusion)の生起メカニズムを明らかにするために,錯視図形の格子の交差点上に重ねる幾何学図形の大きさ,形状及び方位に着目し,これらがきらめき格子錯視に及ぼす影響を検討した.その結果,きらめき格子錯視の生起には交差点に重ねる幾何学図形の形状そのものではなく,大きさと方位が影響していることが示された.したがって,きらめき格子錯視には大きさと方位に関する視覚処理が関与していることが示唆された.
著者
石澤 祐介 イシザワ ユウスケ Ishizawa Yusuke 白子 智康 シラコ トモヤス Shirako Tomoyasu 味岡 ゆい アジオカ ユイ Ajioka Yui 上野 薫 ウエノ カオル Ueno Kaoru Do Tan Hoa Tran Van Thanh 山田 祐彰 ヤマダ マサアキ Yamada Masaaki 南 基泰 ミナミ モトヤス Minami Motoyasu
出版者
中部大学生物機能開発研究所
雑誌
生物機能開発研究所紀要 (ISSN:13464205)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.33-54, 2012-03

ヴェトナム国内最大級の熱帯雨林を保有するカッティエン国立公園において,2011年3月8日から16日の間,国立公園内の17箇所でネズミ科の生息及び餌資源について予備調査を行った.ネズミ科2属3種(4個体)(シナシロハラネズミNiviventer confucianus,ヒマラヤクリゲネズミN.fulvescens,クマネズミ属Rattus sp.)を捕獲することができた.特に,種同定のためにミトコンドリアDNA のD-loop 及びCOI を利用したDNA バーコーディング法は,従来の外部形態及び頭骨形態による種同定に比べ,熟練した鑑定技術を必要としない技術であることが確認できた.このことから,種特異的な形態的特徴の判定が困難なネズミ科の種同定のためのツールとしてDNA バーコーディング法は有効であると考えられた.また,餌資源推定についても胃腸内容物より全DNA を抽出し,DNA バーコーディング法を用いて植物性(rbcL)及び動物性(COI)被食物共にBLSAT 検索を行い,植物由来被食物ではツルアカメガシワ(Mallotus repandus)(Euphorbiaceae トウダイグサ科),キデナンツス属一種(Chydenanthus excelsus)(Lecythidaceae サガリバナ科),ハマビワ属一種(Litsea timoriana)(Lauraceae クスノキ科),アメリカハマグルマ(Sphagneticola trilobata)(Compositae キク科)の4 種が,動物由来被食物としてシロアリ科 (Termitidae シロアリ科),ミドリゼミ属(Dundubia nagarasingna)(Cicadidae セミ科),ウデムシ目(Amblypygida)の3 種が推定され,今後餌資源推定のためには有益なツールであることが確認できた.また,罠捕獲地点の植生データと照合することによって,餌資源となる植物や動物性餌資源に寄与する植生などの推定が可能となるので,今後の哺乳類相保全のための熱帯林保全指針として活用できると期待された.A preliminary field survey of Muridae species and their food resources in Cat Tien National Park, Vietnam was conducted between March 8 and 16, 2011, during which three species of mice were collected and identified. Species were identified through both DNA barcoding using polymorphic DNA within the mitochondrial D-loop and COI sequences as well as examination of external morphological features such as body and skull shape. Three species of mice, Niviventer confucianus, N.fulvescens and Rattus sp., were identified using the methods outlined above. In order to estimate plant and animal food resources available to Muridae species within the study area, total DNA was extracted from the gastric contents of each mouse specimen collected. Chloroplastic rbcL and mitochondrial COI within extracted gastric contents were amplified by PCR and used to identify plant and animal food resources, respectively. Homology search using BLAST was also conducted in order to identify food resources within extracted gastric contents. Results indicated that genetic material from four plant species, Mallotus repandus (Euphorbiaceae), Chydenanthus excelsus (Lecythidaceae), Litsea timoriana (Lauraceae), and Sphagneticola trilobata (Compositae), as well as genetic material from three animal species, an unidentified species from the Termitidae family, Dundubia nagarasingna (Cicadidae), and Amblypygida sp., were present. DNA barcoding methods were able to provide valuable information that assisted in the identification of Muridae specimens as well as their food resources, both plant and animal. The methodology used in the present study could be applied to the management of sustainable use of mammalian food resources within tropical forest environments.