著者
山田 隆行 合志 清一 越前 功
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.531-541, 2014-01-15

盗撮やカメラの写りこみによるプライバシー侵害を,被撮影者側から防止する手法を提案する.カメラ付き携帯端末の普及や,SNSや画像検索技術の進展により,無断で撮影・開示された写真を通じて,被撮影者がいつ・どこにいたかという情報が暴露されることになり,被撮影者のプライバシー保護が求められている.従来手法は被撮影者の顔面の隠ぺいや着色により顔面を変える必要があるため,物理空間における人対人のコミュニケーションに支障をきたすという問題があった.本論文では,被撮影者のプライバシーを保護するために,人間の視覚とデジタルカメラの撮像デバイスの感度特性の違いを利用したウェアラブルデバイスを被撮影者が着用することで,人の視覚に違和感を与えずに,撮影された画像からの人物の同定を不能にする手法を提案する.提案手法を実装したウェアラブルデバイス(プライバシーバイザー)を用いて10名の被験者による顔検出の評価実験を行った結果,プライバシーバイザーが被験者の顔を効果的に未検出にできることを確認した.
著者
保母 敏行 山田 正昭
出版者
東京都立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

フェニルアセトアルデヒド(PAA)とアミノ酸とを反応させてシッフ塩基を得、これとフェントン試薬とを反応させる際に発生する光を測定するアミノ酸の化学発光定量系を開発した。又、反応場としての逆ミセル溶液の有効性を2つの化学発光系で確認した。まず、シッフ塩基生成において、均一溶液系および不均一溶液系で行わせ、種々の酸化剤を添加し、観察される化学発光について検討した。その結果、シッフ塩基生成はAOT逆ミセル溶液中で著しく加速されることがわかった。又、酸化剤にはフェントン試薬を用いた場合、最も強い化学発光応答を得た。AOT逆ミセルでのシッフ塩基生成速度はミセルサイズが小さくなるに従い大きくなる事が分った。アミノ酸のフローインジェクション化学発光定量法を確立した。定量下限1pmol〜100pmolという結果を得た。又、HPLC用検出系とする試みも行った。すなわち、ODSマイクロカラムを使い、アミノ酸を分離したのち、逆ミセル溶液を混合し、テフロン製反応管中でシッフ塩基を形成させる。続いてメタノールとフェントン試薬を混合、発光検出する系を開発した。チロシン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびヒスチジンの定量下限それぞれ14、1、34および62pmolという結果を得た。さらに、化学発光反応系における逆ミセルの有効性を示す例としてシュウ酸ジエステル化学発光系を見出した。2,4,6-(トリクロロフェニル)オキザレートは過酸化水素との反応でジオキセタンを生成し、ケイ光物質の存在で強く化学発光する。逆ミセル利用により、シュウ酸ジエステルが水に難溶で、しかも加水分解されるという問題点を解決できた。また、アセトニトリル溶媒中で発光させる場合と比較し、10倍以上の感度向上を見た。提案した手法で過酸化水素定量が行える事を確認するとともに反応機構に関する理論的考察も行った。
著者
岩田 具治 渡部 晋治 山田 武士 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.978-987, 2010-06-01
被引用文献数
4

購買ログデータを用いて,時間変化するユーザの興味及び商品の流行を追跡するためのトピックモデルを提案する.提案モデルは,興味や流行の変わりやすさをデータから逐次推定するため,変化に柔軟に対応可能である.また,新たなデータが得られた際,過去のデータで既に推定された興味・流行に基づいて,現在の興味・流行を推定するため,過去のデータを保持する必要がなく記憶容量を削減でき,かつ計算効率も高い.実購買ログデータを用いた実験により,購買行動の予測精度及び推定の計算効率の観点で提案モデルの有効性を示す.
著者
上原 景子 金澤 貴之 フーゲンブーム レイモンド 中野 聡子 山田 敏幸
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の主な目的は、聴覚障害児の英語学習促進を支援する手立てとして、英語字幕の呈示方法と授業で使われる英語の視覚化の方法を開発することである。障害者差別解消法の施行を背景とした聴覚障害児支援のあり方と英語教育改革実施を目指す英語教育の変化を視野に、英文を読む際の眼球運動測定の実験や聴覚障害児に聞き取りやすい口頭英語のあり方の実験、小中高の英語の授業の実態把握、聴覚障害をもつ大学生や英語上級者への英語学習経験についての調査を行った。それらの結果に基づいて、「コミュニケーション能力の育成」を目指す新しい英語の授業における聴覚障害児の支援についての提案を行う。
著者
橋本高志良 井出源基 山田遼平 堀場匠一朗 津邑公暁
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2014-ARC-208, no.22, pp.1-8, 2014-01-16

マルチコア環境では,一般的にロックを用いて共有変数へのアクセスを調停する.しかし,ロックには並列性の低下やデッドロックの発生などの問題があるため,これに代わる並行性制御機構としてトランザクショナルメモリが提案されている.この機構のハードウェア実装であるハードウェアトランザクショナルメモリ (HTM) では,アクセス競合が発生しない限りトランザクションが投機的に実行される.しかし,共有変数に対する複合操作が行われるようなトランザクションが並行実行された場合,その際に発生するストールが完全に無駄となる場合がある.本稿では,このような同一の共有変数に対する Read→Write の順序でのアクセスを検出し,それに関与するトランザクションを排他実行することで,HTM の全体性能を向上させる手法を提案する.シミュレーションによる評価の結果,提案手法により 16 スレッド実行時において最大 72.2%,平均 17.5%の性能向上を達成した.
著者
山田遼平 堀場匠一朗 井出源基 橋本高志良 津邑公暁
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2014-ARC-208, no.23, pp.1-9, 2014-01-16

マルチコア環境における並列プログラミングでは,一般的にロックを用いて共有リソースへのアクセスを調停する.しかし,ロックには並列性の低下やデッドロックの発生などの問題があるため,これに代わる並行性制御機構としてトランザクショナルメモリ (TM) が提案されている.これをハードウェアで実現する HTM では,一般的にアクセス競合が発生した場合にトランザクションの実行を停止する必要があるため,一時的に並列度が低下してしまう.そこで本稿では,競合が発生したとしてもトランザクションの実行を停止させず,競合相手がコミットまで到達すると仮定して投機的に実行を継続することで並列度を増大させる手法を提案する.評価の結果,既存手法に比べて,最大 9.63%,16 スレッドで平均 1.74% の実行サイクル数の削減を確認した.
著者
松永 健太 山田 健太 高安 秀樹 高安 美佐子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.365-375, 2012 (Released:2012-09-27)
参考文献数
27
被引用文献数
2

The dealer model is an agent based model that simulates the simplified dealer's behavior and satisfies various empirical laws of the foreign exchange markets by tuning major three parameters. In this study,we improve the dealer model to satisfy a newly established empirical law about widening of spread as a response to big market price changes. As a result when a big news occurs and the market becomes turbulent, this new model can reproduce broadening of distribution of price change.In a peculiar price change of official intervention in the foreign exchange market by Bank of Japan, this model can be used for estimation of strategies of intervention and responses of the market.
著者
細沼 賢一 湯浅 圭一朗 山田 昇司 高木 均 森 昌朋
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.32-36, 2003-01-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
10
被引用文献数
2

症例は42歳, 女性. 3種類の異なる漢方薬, 柴胡桂枝乾姜湯, 喜谷実母散, 女神散をそれぞれ異なる時期に内服し, その都度肝障害がみられた. これら3剤の構成成分は類似しており, 3剤共通は3種類であったが, 特に喜谷実母散と女神散では9種類が合致していた. この3剤の内服によりその都度肝障害を起こしたことは, チャレンジテストによる肝障害発現に相当すると考えられ, これらの漢方薬による薬物性肝障害が強く疑われた. 漢方薬の投与時にも肝障害の発現には充分注意し, 肝障害出現時には, 合剤としてだけでなくその構成成分も考慮して対処する必要があると思われた.

1 0 0 0 OA 禅宗曹洞聖典

著者
山田孝道 校
出版者
光融館
巻号頁・発行日
1911
著者
田中 仁 許 衛東 宮原 曉 山田 康博 堤 一昭 秋田 茂 青野 繁治 片山 剛 三好 恵真子 今泉 秀人 大谷 順子 竹内 俊隆 高橋 慶吉 木村 自 思 沁夫 西村 成雄 丸田 孝志 江 沛 許 育銘 周 太平 李 朝津
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

(1)統合後の大阪大学における現代中国研究の部局横断的プラットフォームとして、中国文化フォーラムを改組した。(2)中国南開大学・台湾東華大学との研究セミナーの共同開催をふまえて、東アジア学校間交流の定例化をめざした。(3)『大阪大学中国文化フォーラム・ディスカッションペーパー』を刊行した。(4) 本研究の成果を、時間軸・社会空間軸・日中関係軸の三部構成とし、各部で歴史学と諸ディシプリンとの対話を提示する『共進化する現代中国研究』としてとりまとめた。