著者
中川 種昭 島田 篤 宮下 博行 坂下 顕照 北村 秀和 大島 みどり 島 信博 角田 正健 山田 了
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.907-915, 1992-12-28
被引用文献数
22 1

本研究は,各種電動歯ブラシを用い,ヘッド部の動きの違いによるプラーク除去効果および手用歯ブラシとの比較検討を行った。被験者は東京歯科大学学生(平均23.6歳)10名とし,刷掃時間は3分とした。プラークの付着状態を各条件のブラッシング前後で比較した結果,毛束反復回転式の電動歯ブラシが最も高いプラーク除去効果を示し,特に隣接面部,舌面部において高い刷掃効果を示した。円形植毛部反復回転式も手用歯ブラシと比較して統計学的に有意に高い除去効果を示し,隣接面における刷掃効果も比較的高かった。他の電動歯ブラシも手用歯ブラシと同程度以上のプラークの除去効果を示した。本研究の結果,各種電動歯ブラシは手用歯ブラシと同程度かそれ以上のプラーク除去率を示し,プラークコントロールの一手段として有効であることが示唆された。
著者
山田 剛史
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.64-76, 2013-03-30 (Released:2013-10-30)
参考文献数
100
被引用文献数
1 1

本稿では,2012年度の測定・評価領域の研究の動向を概観する。対象となる研究は,『教育心理学研究』に掲載された論文,日本教育心理学会第54回総会で発表された論文,さらに,国内外の関連する学会等で報告された論文や文献である。本年度に発表された研究を概観するにあたり,(1) 効果量(および, 検定力分析, メタ分析),(2) 項目反応理論,(3) MCMC法に注目した。 2012年度は,これまでその重要性を指摘されながらも十分に実践されているとは言えなかった,効果量やメタ分析に焦点が当たり,普及への一歩を踏み出した年と言えるかもしれない。また,項目反応理論に関する研究が多数報告されたことも本年度の特徴と言えるだろう。 本稿のもう1つの目的は,オープンソースの統計ソフトウェアであるRについて,教育心理学研究における利用の現状と展望について述べることである。Rが心理学研究でどのように利用されてきたか,Rの利用におけるメリットとデメリット,Rと他のソフトウェアの整合性,そしてRを用いた心理統計教育について述べる。
著者
廣藤 卓雄 米田 雅裕 内藤 徹 武内 哲二 山田 和彦 鈴木 奈央 松葉 健一 吉兼 透
出版者
福岡歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

高齢者肺炎の多くは誤嚥性と言われ、予防には口腔ケアが効果的とされている。施設における誤嚥性肺炎の発症につき、その頻度、介護度との関係、発症の時期を検討し、口腔ケアとの関係や、口腔内細菌の誤嚥性肺炎への関与の一部を明らかにした。また、同様の方法を用いて、高齢者・障害者の方に多く認められる口臭との関連性についても心理的、生活習慣的側面を踏まえて細菌学的に解析した。
著者
山田 峰彦 柿崎 藤泰 渋谷 まさと 中山 秀章 廿楽 裕 田中 一正 鈴木 一 本間 生夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 = The Japanese journal of thoracic diseases (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.646-652, 1996-06-25
被引用文献数
12

呼吸筋ストレッチ体操 (RMSG) プログラムを作成し, 肺機能, 運動能力, 呼吸困難感, 生活の質 (QOL) に与える効果について4週間のトレーニングの前後で検討した. 13名の慢性閉塞性肺疾患患者 (平均FEV<sub>1</sub>: 1.24L) を対象とし, 4週間にわたりRMSGを1日3回実施した. 12名が検討終了した. FRC (前4.19±1.27, 後3.88±1.03L), TLC (前5.98±1.35, 後5.66±1.20L), RV (前3.29±1.16, 後2.89±0.89L), 残気率 (前53.9±11.2, 後50.6±9.74%) はそれぞれ有意 (p<0.01) に低下した. 6分間歩行距離 (6MD) は平均43±30m (+15%, p<0.01) 延長した. 6MD終了時の呼吸困難感 (150mm VAS) は (前65.1±40.8, 後36.1±36.8mm) と有意 (p<0.05) に低下した. QOLは Guyatt らの The Chronic Respiratory Disease Questionnaire により評価し, 有意な改善が認められた. RMSGは呼吸リハビリテーションとして有用性があると考えられた.
著者
梅原 頼子 福永 峰子 山田 芳子 田中 治夫
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-43, 1994-02

女子短大生の昼食弁当について調査を行った,結果は次のごとくであった。1)お弁当作りの意識について,「色どりを考える」85.7%,「味付けを考える」,「分量を考える」39.3%,「主食・主菜・副菜の組合せを考える」25.0%であった。2)お弁当の食物総重量は,平均283.1±71.8gであり,重量比では主食55.9%,主菜・副菜40.3%,デザート3.8%であった。3)出現した料理数は,平均6種類。食品数は,7〜10種類の使用が多かった。4)食事形態別にみると主食・主菜・副菜・デザートの組合せが31.0%,主食・主菜・副菜の組合せが61.9%であった。5)料理を主材料別に分類し,料理名をそれぞれ5位まであげると,白飯,卵焼きは6割以上を占め1位であった。ついでウインナーソテー,レタス,ほうれん草のお浸しであった。6)出現した料理名について学生の好みと使用頻度をみると,主食にはおにぎり,主菜にはハンバーグ,鶏唐揚げ,卵焼き,副菜にはプチトマト,デザートにはみかん,いちごが好まれ,よく使われていた。7)栄養素等摂取量は,所要量と比較するとエネルギー(78.5%),カルシウム(24.9%),鉄(47.5%)が不足傾向であった。栄養比率をみると脂肪エネルギー比がやや高値であった。8)学生によってお弁当の評価を行った結果,改良を必要とするのは全体の71.4%であった。改良の内容には,食品数が少なく料理を1〜2品増やす必要があり,なかでも乳製品,果物,野菜が不足していることを指摘した。本研究の要旨は,第40回日本栄養改善学会で発表した。
著者
濱中 瑠利香 村上 修司 横瀬 智之 中山 治彦 山田 耕三 岩崎 正之
出版者
The Japan Lung Cancer Society
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.253-258, 2011
被引用文献数
4

<b>背景</b>.Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)症候群は腫瘍随伴症候群の一つとして知られているが,肺癌に合併した報告は稀である.RS3PE症候群様症状で発症し,外科的切除を施行することで症状軽快を認めた肺癌の1例につき報告する.<b>症例</b>.79歳,男性.2009年12月頃から両下肢と足背の浮腫を認め,次第に手指と両手関節の腫脹,手関節と足関節の熱感,疼痛を自覚した.2010年4月に検診の胸部X線写真で左中肺野に腫瘤影を指摘され当院紹介となった.胸部CT画像では左S<sup>4</sup>に40×37 mmの腫瘤を認め,気管支鏡検査にて肺癌と診断された.原発性肺癌に伴うRS3PE症候群の圧痕浮腫を伴った関節炎と診断し,左上葉切除を施行した.術直後より関節症状の速やかな改善を認め,術後8か月経過し無再発生存中である.<b>結論</b>.高齢者に急速に進行する浮腫を伴った関節炎では悪性腫瘍の合併も念頭におき,全身精査を行う必要があると考えられた.<br>
著者
山田 健人 林 睦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

CD26は広汎なヒトがんに発現している。ヒト化抗CD26抗体(Ab)でがん細胞を処理するとがん細胞の増殖抑制と共にCD26とAbは細胞質内から核内に移行した。クロマチン免疫沈降法にてCD26とPOLR2Aの転写調節領域が特異的に会合することを同定した。Abに抗がん分子Xを結合させたところ、X結合Abが、Abのみよりも極めて高効率にCD26依存性にがん細胞の増殖能の極度の低下を誘導した。一方、CD26を発現する正常ヒト内皮細胞やTリンパ球では、Ab核内移行はなく増殖抑制は認められなかった。X結合Ab-Xをマウスへ投与したところ、異種移植したヒトがんの増殖抑制能は、Abよりも強い効果が得られた。
著者
矢上 一夫 村上 薫 正泉寺 秀人 山田 仁穂
出版者
繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.487-491, 1991-09-10 (Released:2008-11-28)
参考文献数
9

Acid dyes of anthraquinone type, C. I. Acid Green 25, Acid Green 27 and Acid Blue 40, on wool and silk were irradiated to investigate the interaction with a fluorescent agent of pyrazoline type, C. I. FBA 54 (FWG), using a low pressure mercury lamp, a high pressure mercury lamp and a xenon lamp equipped with a Pyrex filter. The dyed fabrics showed a decrease and then an increase in reflectances at the initial stage of the reaction followed by a monotonous decay in color. The fading of the dyes were depressed by FWG. The fluorescence of FWG increased at the initial stage of the reaction and then decreased. The degradation of FWG was depressed in the presence of dyes.
著者
山田 芳郎 和気 一博 田崎 三郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.14, no.55, pp.33-38, 1990-10-24

Capability of the progressive reproduction is a factor desirable for embedded data compression scheme in image database systems. This paper presents an image data compression scheme based on a hierarchical bicubic spline interpolation and vector quantization. In our method, input images are decomposed hierarchically into a decimated image and some decimated residual images with various decimation ratios, e.g. 8 : 1,4 : 1 and 2 : 1. In order to remove redundancy among samples, an adaptive decimation method is introduced. And then the decimated samples are quantised by the tree search vector quantizers. Simulation experiments are done for the three-stage hierarchical decimation/interpolation and the four-dimensional eight-bit tree search vector quantization.
著者
山田 努
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究計画の最終年度に当たる平成16年度には,石垣島およびニューカレドニアで行っていたシャコガイ飼育実験を終え,水槽内のシャコガイを採取した.石垣島での飼育実験は,平成14年夏から平成16年夏までの約2年間,ニューカレドニアでは,平成15年春から平成16年冬までの約1年半行った.ニューカレドニアのシャコガイ(シャゴウ2個体,シラナミ3個体,ヒレジャコ2個体)は,CITESに従がって日本に輸入し(CITES PERMIT No.:2004-NC-7329および7330),これらのシャコガイ殻について,成長線解析や同位体比分析を行った.パラオでの飼育実験は,パラオがCITESに加盟しておらず,シャコガイ殻の輸入ができないため断念した.代わりに,マレーシアで飼育実験を行う計画を立てたが,相手機関の協力が得られず実施できなかった.また,平成16年夏には,沖縄県与那国島で化石シャコガイ殻を採取した.石垣島吉原で飼育・採取した2個体のシャゴウの成長線解析・同位体比分析を行った.まず,全体の傾向をみるために,サンプル約10個毎に同位体比分析を行った.その結果,(1)日輪幅の変化の主な規制要因が日射量変化であること,(2)日輪幅変化に見られる負のスパイクが大雨や台風に襲来を反映している可能性が高いこと,(3)殻の炭素同位体比の変化は,水温・日射量・日輪幅と負の相関を示すが,共生藻の光合成活動やシャコガイ類の代謝活動などの生理学的過程が複雑に関与していること,(4)殻の酸素同位体比の変化は,水温変化と極めて強い負の相関を持ち,また,殻はほぼ酸素同位体平衡下で形成されること,が明らかになった.残りの同位体比分析を進めたところ,上記の成果をさらに支持する結果を得た.
著者
山田 奨治
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.19, pp.15-34, 1999-06

オイゲン・ヘリゲル著『弓と禅』は、日本文化論として広く読まれている。この論文では、ヘリゲルのテクストやその周辺資料を読み直し、再構成することによって、『弓と禅』の神話が創出されていった過程を整理した。はじめに弓術略史を示し、ヘリゲルが弓術を習った時点の弓術史上の位置づけを行った。ついでヘリゲルの師であった阿波研造の生涯を要約した。ヘリゲルが入門したのは、阿波が自身の神秘体験をもとに特異な思想を形成し始めた時期であった。阿波自身は禅の経験がなく、無条件に禅を肯定していたわけでもなかった。一方ヘリゲルは禅的なものを求めて来日し、禅の予備門として弓術を選んだ。続いて『弓と禅』の中で中心的かつ神秘的な二つのエピソードを選んで批判的検討を加えた。そこで明らかになったことは、阿波―ヘリゲル間の言語障壁の問題であった。『弓と禅』で語られている神秘的で難解なエピソードは、通訳が不在の時に起きているか、通訳の意図的な意訳を通してヘリゲルに理解されたものであったことが、通訳の証言などから裏付けられた。単なる偶然によって生じた事象や、通訳の過程で生じた意味のずれに、禅的なものを求めたいというヘリゲル個人の意志が働いたことにより、『弓と禅』の神話が生まれた。ヘリゲルとナチズムの関係、阿波―ヘリゲルの弓術思想が伝統的なものと錯覚されて、日本に逆輸入、伝播されていった過程を明らかにすることが今後の研究課題である。
著者
山田 昌義
巻号頁・発行日
2011-03-25 (Released:2011-05-23)

名古屋大学博士学位論文 学位の種類 : 博士(工学)(課程) 学位授与年月日:平成23年3月25日
著者
山田 実
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

複数課題下で障害物に注意を向けるという能力を強化することで、転倒予防に有用となるのかを検証した。対象は高齢者157名(84±6歳)であり、無作為に2群に割り付けた。各群でそれぞれ、複数課題条件下(MT群)と単一課題条件下(ST群)で24週間の障害物回避トレーニングを行った。複数課題下障害物接触回数では、有意な交互作用を認め、MT群でのみ接触回数の減少を認めた。さらに、MT群では有意に転倒発生が有意に少なかった。複数課題下での障害物回避トレーニングは転倒予防に有用である。