著者
山田 英貴 金井 道夫 中村 從之 大場 泰洋 濱口 桂 小松 俊一郎 鷲津 潤爾 桐山 真典 矢野 孝 杉浦 浩
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.51-56, 2004-01-01
参考文献数
14
被引用文献数
7

症例は80歳の男性.2001年10月24日から食欲不振と尿濃染を自覚し,近医を受診.CTで肝内胆管の拡張と総胆管内の腫瘤像を認め,当院へ紹介.ERCP,MRCP,PTBDチューブからの胆管造影で中部胆管に境界明瞭な乳頭状の腫瘍を認め,PTCS直視下生検で低分化腺癌と診断.以上より中部胆管の乳頭型胆管癌と診断し胆管切除術・リンパ節郭清を行った.病理組織学的には核/細胞比が高い小型の細胞がシート状,充実性に増殖する腫瘍であり,chromogranin A染色陽性で,small cell carcinoma (pure type)と診断した.術後合併症なく,第19病日に退院したが,術後9か月目の2002年9月,肝転移のため再発死亡した.胆管小細胞癌の報告例は欧米などの報告を含め11例と極めてまれである.しかし,術前の画像診断で乳頭型の胆管癌を認め,生検で低分化腺癌を認めた場合には本症を考慮する必要があると思われた.
著者
山田 進 町田 昌彦 大橋 洋士 松本 秀樹 今村 俊幸
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではメニーコア計算機用を対象に、量子多体モデルのシミュレーション手法である密度行列繰り込み群法と厳密対角化法の並列化・高速化を実施した。特に、モデルの物理的性質と計算機のネットワークアーキテクチャを考慮して、高速な通信手法を提案しその有効性を確認した。また、開発したコードを実際の物理問題に適用し、それらの物理的性質についての議論を行った。
著者
眞田 康治 田村 健一 山田 敏彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.80-85, 2011-07-15

秋季生長に優れる寒地向きオーチャードグラス品種を育成するために,越冬性の異なる4品種を用いて,秋季の休眠性と耐凍性の変化に及ぼす日長の影響を明らかにした。秋季の生長量は,「アキミドリ」が多く「北海28号」が少なかった。低温・24時日長条件下における耐凍性の増大と休眠の深まりは,「北海28号」は低温・自然短日々長下より約2週遅れたが,「アキミドリ」は11月17日までは日長間の差異が小さかった。「北海28号」の秋季休眠と低温馴化は短日に反応して促進されるが,「アキミドリ」は11月上旬までは日長感応性が低いことが明らかとなった。寒地向き品種の秋季生長改良のためには,生育停止までの生長を増やし,11月上旬までの日長感応性を低めて,それ以降速やかに耐凍性を高めるように育種する必要があることが示された。
著者
中正 恵二 大山 秀樹 寺田 信行 山田 直子 山根木 康嗣 中村 秀次 浦出 雅裕
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

非アルコール性脂肪性肝炎発症(NASH)患者および脂肪肝(FLD)患者のそれぞれの歯周病に関わる臨床パラメーターを比較した結果,FLD患者に比べてNASH患者において,歯周病の病状の悪化が見られた。また,歯周病細菌に対する血清抗体価においてもFLD患者に比べNASH患者の方が高い傾向を示した。以上の結果から,歯周病が脂肪性肝炎の病態に関与することの可能性が示された。
著者
山田 浩
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

緑茶成分は基礎研究により、インフルエンザウイルスの宿主への感染を抑制することが報告されている。本研究では緑茶うがいのインフルエンザ予防効果を、高校生を対象としたランダム化比較試験により検証した。予め文書同意が得られた高校生757名を対象に、緑茶うがい群又は水うがい群にランダムに割り付け、1日3回、90日間、うがいを行った。インフルエンザ発症者は緑茶うがい群19名(4.9%)、水うがい群25名(6,9%)であり、緑茶うがい群で発症者が減少する傾向を示したものの統計学的に有意ではなかった。予想されたうがいの効果量が少なかった理由として、うがい実施の不徹底等、今後の大規模臨床試験への課題が残された。
著者
山田 誠二 山口 智浩
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.289-297, 2005
参考文献数
16
被引用文献数
4 1

擬人化エージェントと人間との間に効果的なコミュニケーションを実現するためには, 双方が相手の表情から相手の感情, 負荷状態などの内部状態(マインド)を同定し, 相手のマインドに沿った行動をとることが重要である.しかし, 人間と擬人化エージェントが互いに相手の表情からマインドを同定することは, 一般に困難である.なぜならユーザはエージェントの表情の解釈において, 個人差, 文化的差異などをもつため, すべてのユーザにとってマインドを容易に推定できる表情をもったエージェントを設計することは難しいからである.本論文では, 人間と擬人化エージェントがマインドマッピングをお互いに学習して相互適応を実現する枠組みを提案する.マインドマッピングとは, 人間や擬人化エージェントの表情からマインドへの写像である.人間とエージェントは, 相互読心ゲームと呼ばれるゲームを行うことにより, 相手のマインドマッピングを学習していき, 相互適応が実現される.この相互適応において, エージェントは, 観測された人間の顔画像を事例とした事例に基づく学習により, マインドマッピングを学習し人間に適応する.一方, 人間側は自由に学習をしてエージェントに適応する.PCとCCDカメラを用いてこの枠組みを実装し, 我々の枠組みで実際にマインドマッピングの相互適応が実現されることを実験的に示す.また, マインドマッピングの相互適応を高速化するヒューリスティックスを提案する.
著者
山田 千夏 朱宮 哲明 山口 剛 山田 慎吾 白石 真弓 柳田 勝康 中村 崇仁 梅田 巧 伊藤 美香利 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.106-111, 2013 (Released:2013-10-09)
参考文献数
6

当院では2010年に,がん化学療法中の入院患者の給食として8日間サイクルの化学療法食を導入し,現在までに258名に提供した。今回,2011年10月~2012年3月の6か月間に化学療法食を提供した23名 (肺癌8名,急性骨髄性白血病5名,悪性リンパ腫3名等) に食事のアンケート調査を行ない,その結果を基に幾つかの改善を行なった。 食べ易さに対する回答では,96%の患者が食べ易いと評価した。食事量については,朝食について29%の患者が少ないと回答し,昼食と夕食については83%の患者がちょうどいいと回答した。食べ難かった料理では,「冷たい茶碗蒸し」と回答した患者が7名と最も多く,その他の料理では魚料理が食べ難い傾向がみられた。 アンケート結果を基に,朝食量を増量すると共に,「冷たい茶碗蒸し」の献立を「温かい茶碗蒸し」に変更した。また,魚の臭いを抑えるために「煮付け」と「蒸魚」の献立を「蒲焼き」と「あんかけ」に変更した。今後も調査を継続し,より多くの患者に対応できる化学療法食を目指したい。
著者
山田 明日香 谷川 孝弘 巣山 拓郎 松野 孝敏 國武 利浩
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.407-412, 2008-07-15
参考文献数
15

トルコギキョウの冬春出し栽培における白熱灯を用いた効果的な長日処理方法について検討した.10品種を供試し2004年10月8日にガラス温室に定植し定植から開花まで4時間の暗期中断を行い,対照として無処理区(自然日長10-12時間)を設けた.10品種の暗期中断区における第1花の平均開花日は無処理と比較して22日から49日,平均で35日早くなった.'ネイルピーチネオ'を供試し5時間の暗期中断を定植から雌蕊形成期まで,雌蕊形成期から開花まで,発蕾から開花まで,花芽分化開始期から開花まで,定植から開花までの5つの発育ステージで行った.定植から発蕾までの期間は,無処理の66日に対し暗期中断を定植から開花まで行った区では50日,定植から雌蕊形成期まで行った区では53日と大幅に短くなった.雌蕊形成期以降に暗期中断を開始した区では無処理との差が認められなかった.発蕾から開花までの期間は,暗期中断を定植から雌蕊形成期まで行った区で47日と短くなったが,そのほかの区では無処理の54日と有意な差が認められなかった.暗期中断による開花促進により,第1花までの主茎の節数が減少した.5時間の長日処理を暗期中断,日の出前電照,日没後電照の3つの時間帯で行った結果,定植から発蕾までの期間は,無処理の65日と比較して,暗期中断と日の出前定照でいずれも52日と最も短くなったが,日没後電照では58日と開花促進効果が劣った.以上の結果から,トルコギキョウの冬春出し栽培における開花促進には,白熱灯を用いた暗期中断または日の出前電照を定植直後から雌蕊形成期まで行うと効果が高いことが明らかになった.
著者
山田 祐樹
出版者
全国数学教育学会
雑誌
数学教育学研究 : 全国数学教育学会誌 (ISSN:13412620)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.69-75, 1999

It is regarded as being problem that students are unable to use mathematical knowledge to the real world. My approach to this problem focuses on students' attitude toward using mathematical knowledge to the real world. Students tend to see the activity of word problem solving as a game that have nothing to do with the real world. It is necessary to bring the activities in the mathematics classroom close to the problem solving activities in the real world. One of the points that most of the problem solving activities in the mathematics classroom are different from the problem solving activity in the real world is the fact that a decision making isn't contained there. I believe that students will notice that the learning activities in the mathematics classroom closely parallel the problem solving activities in the real world, when a decision making is part of the activities in the mathematics classroom.
著者
長谷川 亮 森谷 健二 喜多 幸次 柳谷 俊一 山田 一雅 小川 陸郎
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.19-24, 2003

Since 2000, we have attempted to improve a method of leading and experimental theme in the fundamentals of electrical and electronic engineering laboratory I accompanying with a reorganization from dept. of electrical eng. to dept. of electrical and electronic Eng.. In the second-year class, instructions of how to write a technical report were also included into contents of the electrical and electronic experiment. In the present report, we investigated such a method of leading, the experimental system and other problems based on previous enquetes. As a result, it was judging that current experimental system: members of groups, volume of contents, were adequate for students. Additionally, the instruction of technical report was meaningful for the students and we could confirm the necessity of continuing the efforts. On the other hand, some problems: 1) student's preparations to experiments are not sufficient 2) students frequently depend on teacher's advices 3) teachers are not enough to explain evaluation system to students 4) whether experimental themes are really proper or not, were revealed. These examinations and improvements should be needed continuously in the future.
著者
山田 美穂 岩佐 要 Kugler Mauricio 黒柳 奨 岩田 彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.372, pp.37-42, 2008-12-13
参考文献数
4
被引用文献数
1

我々は人間の聴覚機構を模倣したパルスニューラルネットワークによる聴覚情報処理システムを提案している.このシステムを用いることで,周波数的特徴によって音源種類の識別が可能である.しかし,識別に競合学習である自己組織化マップを用いているため,入力に最も周波数的特徴の近い一つの音しか識別されず,複数の音が同時に入力される場合においても,それぞれの音源の識別は困難であった.そこで本研究では複数音からの目的音抽出方法を提案する.また,一般的に複数の音が存在する屋外環境の音に対して提案手法を適用し,従来手法との比較実験を計算機上で行い,提案手法の有効性について確認した.
著者
山田 豊一 川口 俊春
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.8-15, 1972-04-25
被引用文献数
5

1.1966年10月3日,ホルスタイン種未経産牛にラジノクローバ,サブクローバ,イタリアンライグラス,オーチャードグラス,バヒアグラスの種子を給与し,約4日間パドック内で放牧し,経時的に排糞中の種子量(回収量),回収種子の活力,糞面からの出芽数などを調べた。またパドック内の排糞の一部をシバ草地に散置し,これからの出芽を長期にわたり調査した。2.種子の糞中回収は給与後12時間の時点ですでにみられ,36〜60時間で最高に達し,その後減少するものの84〜93時間においてもなお僅かながら続いた。3.種子の回収率を草種についてみると,バヒアグラスが最高で,イタリアンライグラスとサブクローバがこれに次ぎ,オーチャードグラスとラジノクローバが最も低かった。4.回収種子について発芽試験を行なった結果,発芽率そのものではイタリアンライグラスとラジノクローバが高く,以下バヒアグラス,オーチャードグラス,サブクローバの順となった。また発芽率と静止種子率の合計ではバヒアグラスとラジノクローバが高く,イタリアンライグラスが中聞で,オーチードグラスとサブクローバが低かった。5.シバ草地での糞面出芽調査成績から,各草種とも1頭あたり10,000粒が採食されたとして,1kg糞よりの出芽数を求めたが,給与後約1ヵ月においてイタリアンライグラス9.6,ラジノクローバ1.7,サブクローバ,オーチャードグラスとも0.4,バヒアグラス0.2となり,さらに越冬後の1967年5月にはそれぞれ,3.5,3.4,0.3,0.2,0となった。発芽適温を失したバヒアグラスを別として,排糞播種効果の高いのはイタリアンライグラスとラジノクローバであった。
著者
田崎 三郎 高島 隆雄 山田 芳郎 都築 伸二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.16, no.72, pp.7-12, 1992-11-12
被引用文献数
4

本稿においては,従来形3値記録符号の一形式に属する3B-2T符号及び4B-3T符号に対して各種PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式を適用し,状態推移行列とシンボル推移行列を考慮して,ビット誤り率特性を計算機シミュレーションによって求めている.その結果,検討したPRMLとの組合せの内で,PR(1,0,-1)MLとの組合せにおいて両符号とも,最も良い性能が得られ,ビットバイビット検出に比べて誤り率が10^<14>を達成するのに必要な読みだし点でのSNRは,3B-2T符号で約2.3dB,4B-3T符号で約2.2dB改善された.また,PR(1,0,-1)方式の際にk_1制約を考慮することにより,両符号ともさらに0.4dBの改善があった.
著者
山田 雅子 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.233-244, 2004-12-01
参考文献数
20
被引用文献数
3

ジエンダーステレオタイプとして、「女性は色白」「男性は色黒」という意識が依然根付いている。本研究では形態情報と色彩情報に着目し、各情報と性別判断との関係性、性別判断方略の発達的な変化を検討した。顔パタン2種(男性平均顔/男女平均顔)、肌色2種(色白肌/色黒肌)、唇色2種(唇色なし/薄紅)によって構成された計8刺激を設け、それぞれに対し男女の判断を行なわせた。対象者は、幼児、小学生及び大学生の男女とした。一般的に結び付けられるように、色白肌は女性、色黒肌は男性としての判断を促進する傾向が見られた。しかし、形態情報と色彩情報とは互いに作用の前提条件として影響していることが窺われ、例えぼ形態が男性的で唇に色みがない場合には前述の肌色の作用が見られないなど、条件毎の傾向も捉えられた。また、発達的には就学前後より色彩情報の参照が先んじてみられ、形態による性別判断の変化は8歳以降の段階でより安定する傾向が見られた。更に判断傾向の発達的変化は女性の方がより明確であり、発達と共に色白の肌、女性的な形態と女性判断との繋がりが強まることが示唆された。これらの傾向より、顔に対する視覚経験の質が男女で不均等であることが推測される。