著者
丸谷 宣子 白杉(片岡) 直子 岡本 裕子 谷口 智子 服部 美穂 中尾 百合子 津久田 貴子 早崎 華
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.323-332, 1998-12-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
32
被引用文献数
2 3

抗酸化剤無添加の精製エゴマ油を180℃で10時間加熱し, 経時的に油のAV, POV, CV, p-An. V, Toc量と脂肪酸量の変化を調べた。対照試験としてダイズ油についても同様に測定し, 両者の熱安定性を比較した。また, コットンボールを用いて加熱時のモデル食品成分添加の影響を調べた。1) 180℃, 70分までの短時間加熱では, ダイズ油に比べてエゴマ油の劣化は若干進んでいたが, α-リノレン酸の残存率も90%以上であり, 栄養的にも食品衛生上も支障があるほどではなかった。2) 180℃, 10時間加熱においては, 加熱時間が長くなるにつれ, ダイズ油に比べてエゴマ油の劣化が著しく, CVが50を越えるのがダイズ油が10時間後であるのに対し, エゴマ油は約5時間後であった。エゴマ油は着色も著しく, 10時間後にはAVは0.20と低かったが, CVは131.0, p-An. Vは242.4に達した。3) コットンボールを用いて, エゴマ油とダイズ油の水添加加熱時の熱安定性を比較した結果, 1時間以内では, エゴマ油はダイズ油に比べAV, CV, p-An. V, POVともやや上昇したものの, 食品衛生上問題になるほど酸化は進まなかった。4) エゴマ油の熱酸化は第二塩化鉄により促進された。グルコースや水の添加によっては若干酸化が進んだ。逆に, グリシン添加時はPOV, CV, p-An. Vの値が減少した。これは, アミノ酸自身の抗酸化性と, アミノカルボニル反応によって, 油中に生成されたカルボニル化合物が消費されたこと, さらに生成されたメラノイジンが抗酸化性を示したことなどが考えられた。
著者
岡本 裕子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.439-446, 2021-01-09 (Released:2021-02-12)
参考文献数
6

本発表では、2020 年10 月に開催した大学共同利用機関シンポジウムを事例としてオンラインイベントのあり方について考察する。本シンポジウムは、大学等の共同研究・共同利用を支える全国の大学共同利用機関が一堂に会し、例年、アキバ・スクエア、科学未来館等のリアル会場で行われてきた。一般市民に向けて研究成果や共同利用事業の展示並びに研究トークを主なプログラムとして開催してきたが、本年2020 年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、オンライン開催とすることが決定された。約2カ月の期間でオンラインイベントを設計するためのポイントを振り返り、今後のハイブリット型イベントを検討する一助にしたい。
著者
遠山 尚紀 岡本 裕之 黒岡 将彦 木藤 哲史 株木 重人 古徳 純一 福士 政広 大野 達也 唐澤 久美子
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.123-142, 2022-09-30 (Released:2022-09-30)
参考文献数
2

The questionnaire survey was conducted in 2020 to investigate the working conditions of qualified medical physicists in Japan. We developed a web-based system for administering the questionnaire and surveyed 1,228 qualified medical physicists. The number of received responses was 405. We summarized the results of the survey by job category. The obtained results showed that most of the people working as certified medical physicists met the following conditions: (1) position of healthcare occupation, (2) direct supervisor is a medical doctor or a medical physicist, (3) licensed or passed an examination for a Class I Radiation Protection Supervisor, (4) without the license of professional radiotherapy technologist, (5) master’s or doctor’s degree, (6) being assigned to the section that is different from the radiological technologist section. The average annual salary was approximately 600,000 yen higher for those employed as medical physicists than for those employed as radiotherapy technologists. The percentage of work performed by a certified medical physicist in radiation therapy greatly varies depending on whether the physicist is dedicated to treatment planning and equipment quality control. Alternatively, the proportion of the true duties of medical physicists in charge of radiation therapy, as considered by qualified medical physicists in radiation therapy, was the same regardless of whether they were working full-time or not. The results of this survey updated the working status of certified medical physicists in Japan. We will continue to conduct the survey periodically and update the information to contribute to the improvement of the working conditions of medical physicists and policy recommendations.
著者
岡田 昌史 岡本 裕 舛屋 賢
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.86, no.884, pp.19-00320, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2

For robotic teleoperation, semi-autonomous control, i.e. autonomous control allowing human interposition will be an effective way overcoming delay of electrical communication and emergency operation. We have proposed semi-autonomous control method focusing on excavation in teleoperation environments. In the method, a model of human operation is designed and human internal state is estimated by Extended Kalman Filter. In this paper, experimental evaluations are conducted and reported about ”Digging” process. A human skill of excavation is modeled by an attractor-based dynamics embedding shallow and deep digging trajectories for soft and hard soil, respectively. An index parameter is changed based on the load of the bucket, and a seamless motion transition is realized satisfying the restriction by setting a threshold. Moreover, by adding a human operation to the autonomy, the proposed method will cope with the emergency, which is experimentally evaluated.
著者
岡田 昌史 岡本 裕
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.19-00167, (Released:2020-03-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

In general, mechanical systems are stabilized on their equilibrium point. Equilibrium point is often not unique and they are continuously connected, which is an equilibrium manifold. To stabilize the mechanical system on an equilibrium manifold will enable optimal control including the selection of the stabilizing position. In this paper, we propose a controller design method that stabilizes a mechanical system on an equilibrium manifold based on vector field. The equilibrium manifold is derived from dynamic equations, and by setting an appropriate evaluation function, (1) an optimal equilibrium point from arbitrary initial value is calculated, (2) a trajectory, input and vector field are derived based on linear control theory, (3) a controller is designed using functional approximation. Simulations show that different initial values are stabilized to different equilibrium points, and experimental results show the effectiveness of the proposed method.
著者
清水 郷美 望月 雅裕 梅下 和彦 岡本 裕智 北澤 隆宏 後藤 玄 枝元 洋 鎌田 貴志 西原 義人 畠山 和久
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第34回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.5102, 2007 (Released:2007-06-23)

【目的】SD系〔Crl:CD (SD)〕SPFラットにフェノバルビタール(PB)を2週間反復経口投与することにより、血液凝固時間が延長した。そこで我々は、PB投与による血液凝固時間への経時的変化について検討するとともに、ビタミンK2を併用投与する群を設け、PB投与による血液凝固時間の延長に対するビタミンK2(Vt.K2)の影響について検討した。 【方法】PBの投与量は2週間反復投与により肝逸脱酵素の上昇が認められなかった100 mg/kg/日とし、投与1、2、3及び7日の翌日にPT、APTT、血漿中フィブリノーゲン、トロンボテスト(TT)及びAntithrombin III(AT-III)濃度を測定した。同時に肝臓について総Cytochrome P450(P450)含量の測定とウエスタンブロット法でCYP2Bの発現を確認した。更に、VtK2(30 mg/kg)を7日間併用投与する群とPB投与7日目に単回併用投与する群を設け、上記項目について測定した。なお、投与14日目の成績はPBの2週間反復投与による結果を使用した。 【結果及び考察】PB投与により、P450含量は投与回数に伴って増加傾向を示した。凝固系パラメータでは投与1日よりAPTTの延長、投与2日よりAT-III濃度の増加、投与7日よりTTの延長がみられた。Vt.K2の単回及び反復併用投与群では凝固時間の延長は認められなかった。したがって、PB投与によるAPTTの延長はVtKの付加により改善された。なお、PB投与初期にはTTの延長は認められず、PB投与によるAPTTの延長はVt.Kの関与する凝固因子の減少に加えてAT-III濃度の増加が関与している可能性が示唆された。
著者
秋山 礼子 岡本 裕樹 鳥 祐陛 新井 恒行 石井 雄大 安江 忠晃
出版者
法政大学懸賞論文審査委員会
雑誌
法政大学懸賞論文優秀論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-18, 2015-05-29

2011 年の世界の喫煙者数はおよそ 14 億人に達し、世界の人口全体の 22.5%が喫煙をしている(WHO2011)。ベトナムにおける喫煙率は 23.8% と世界水準と同等であるが、男性の喫煙率は 47.4% であり、世界水準と 10% 以上の大きな差がある。一方で女性は、世界水準を大きく下回る 1.4% の喫煙率である。Ministry of Health はタバコ税を 2015 年に現在の 65% から 105% までに増税する提案をした。また、2018 年までに 145% から 155% に増税することも計画されている。増税によって喫煙率の減少は予測されるが、タバコには中毒性があり、喫煙者にとって禁煙はたやすいことではないのも事実である。ベトナム政府は増税の提案をしている一方で、年々上昇しているタバコの密輸への有効な政策を見出せていないことが大きな課題となっている。また、タバコ消費量の減少により、タバコ市場は縮小し、タバコ産業に従事している者は、雇用機会を失うことになるだろう。このような不利益がある中で、最も好ましい価格はいくらなのか。タバコの適正価格についての研究は未だ少ないが、後藤(1998)は、「社会コストを負担した均衡価格」の一般理論を展開していて、タバコの適正価格を算出している。これに対して河野(2008)は、後藤の算出方法、社会コストの定義に関して、経済学の視点からみると疑問が感じられると述べている。そこで本稿では、経済メリットと社会コストを用いて、最適なタバコ価格は 2.2 倍であると結論付けた。また、ベトナムの大きな課題となっている密輸は増税する際に考慮すべき問題ではないことを明らかにする。
著者
岡本 裕行 内橋 康充 ルォン ゴォク カーン 宮原 照夫 川面 克行 西山 孝 藤井 隆夫 古川 憲治
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.318-327, 2009-07-20
参考文献数
21
被引用文献数
1 5

anammox処理を応用してビール工場排水の窒素量を効率良く削減することを目指し,アサヒビールの工場において実際の排水を用いて,anammox処理に適用させるための前処理実験を実施した.供試排水のTOC値の18.5%は酢酸とプロピオン酸から成り曝気処理で容易に分解した.有機物分解後にアンモニア態窒素酸化が起こる事象が確認され,前処理工程としてはアクリル繊維担体で微生物を固定化した曝気槽(有効容積360 L)で有機物の除去(活性汚泥処理)を行った後,同型の曝気槽にて部分亜硝酸化処理を行うプロセスが構築できた.<br>半年間の連続実証運転において,有機物除去能力1.5–2.4[kg-TOC/m<sup>3</sup>/d]程度,部分亜硝酸化処理能力は1.5–2.5[kg-NH<sub>4</sub>/m<sup>3</sup>/d]程度であった.供試排水への急激な高濃度排水あるいは浮遊性懸濁物質(Suspended Solid : SS)の流入や運転ミスがない限りは,有機物を80%除去した上,亜硝酸化率が50%付近で維持できる前処理が可能であることを連続1ヶ月間確認することができた.
著者
岡本 裕一朗
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.47, pp.237-246, 1996-05-01 (Released:2010-01-20)

「理性は、すべての実在 (Realität) である、という意識の確信である。」ヘーゲルは『精神の現象学』において、「理性」をこう定義する。この定義はきわめて有名であり、一般によく知られている。しかし、「よく知られていることは、だからといってよく認識されているわけではない。」一体ヘーゲルはこの命題によって、何を表現しようとしたのだろうか。この場合、「理性」とは何を意味しているのか。どうして、「理性」は、「すべての実在である」と言われるのだろうか。「理性」のこの奇妙な定義は、明らかにアリストテレスの所謂「受動理性」の定義、つまり「魂はある仕方ではすべての存在するものである」に由来する。言い換えると、「あらゆる実在である」という「理性」の定義は、『デ・アニマ』の「受動理性」から捉え直されたものなのである。しかし、アリストテレスの「受動理性」がどうしてここで言及されるのだろうか。そもそも、『現象学』と『デ・アニマ』とはいかなる関係にあるのだろうか。ヘーゲルがアリストテレスをきわめて高く評価し、その哲学から強い影響を受けていることは疑えない。このことは、『エンチクロペディー』の最後がアリストテレスの『形而上学』の引用 (ギリシア語原文) で終わっていることだけでも分かる。ヘーゲルはアリストテレスのうちに、自分の哲学の原理を重ね合わせているのである。この点については、従来からたびたび指摘されているが、しかし一歩踏み込んで、その影響関係の内実を具体的に理解することはほとんどなされていない。とりわけ、『精神の現象学』に関しては皆無と言ってよいだろう。しかし、「理性」という『現象学』の決定的に重要な箇所で、『デ・アニマ』の「受動理性」が想定されているとすれば、アリストテレスとの影響関係を無視することは不可能だろう。もっと刺激的な言い方をすれば、ヘーゲルの『現象学』の体系構想は、アリストテレスの理性論 (「受動理性-能動理性」の二重性) から根本的に規定されているのではないか。本稿は、『精神の現象学』の体系構想を『デ・アニマ』から解明することを課題としている。ヘーゲルが『精神の現象学』を「学の体系第一部」に据えたとき、そこには『デ・アニマ』からの決定的な作用を読み取ることができるだろう。『現象学』の「理性」の定義が、『デ・アニマ』の「受動理性」の据え直しであることは、その端的なあらわれである。しかし、そもそもヘーゲルの「学の体系」を、どうしてアリストテレスの「理性」論から理解する必要があるのだろうか。ヘーゲルは、アリストテレスをどう解釈していたのであろうか。アリストテレス解釈はヘーゲルの「学の体系」にいかなる影響を与えたのだろうか。これを具体的に明らかにすることが、ここで遂行される。
著者
岡田 昌史 岡本 裕
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.86, no.884, pp.19-00167, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

In general, mechanical systems are stabilized on their equilibrium point. Equilibrium point is often not unique and they are continuously connected, which is an equilibrium manifold. To stabilize the mechanical system on an equilibrium manifold will enable optimal control including the selection of the stabilizing position. In this paper, we propose a controller design method that stabilizes a mechanical system on an equilibrium manifold based on vector field. The equilibrium manifold is derived from dynamic equations, and by setting an appropriate evaluation function, (1) an optimal equilibrium point from arbitrary initial value is calculated, (2) a trajectory, input and vector field are derived based on linear control theory, (3) a controller is designed using functional approximation. Simulations show that different initial values are stabilized to different equilibrium points, and experimental results show the effectiveness of the proposed method.
著者
松岡 友実 五十嵐 公嘉 齋藤 智之 高田 希望 橋本 玲奈 一條 聖美 小林 悠 田中 裕也 川本 俊輔 宮里 紘太 秋谷 友里恵 小林 洋輝 堀越 周 馬場 晴志郎 高島 弘至 逸見 聖一朗 功力 未夢 岡本 裕美 阿部 雅紀
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-6, 2023 (Released:2023-01-28)
参考文献数
8

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において透析患者は重症化リスクが高く,COVID-19流行初期は,原則として全例入院加療で対応していた.しかし,東京都においては受け入れ可能な入院施設は限定され,新規陽性患者数の急増により,入院調整が困難な状況に陥っていた.そのため,東京都は2021年12月中旬に透析患者の受け入れが可能なCOVID-19透析患者の収容施設として,旧赤羽中央総合病院跡地を活用した酸素・医療提供ステーション(東京都酸素ステーション)を開設した.2022年1月1日~8月31日まで,酸素ステーションで受け入れたCOVID-19透析患者の現況を報告する.入所患者は211人,平均年齢は65歳,転帰は,自宅退院194例(92%),転院16例(7.5%)(そのうち肺炎の疑い13例(6.1%)),死亡1例(0.5%)であった.当施設は東京都のCOVID-19透析患者の入院待機者数の減少および病床ひっ迫の緩和の機能を果たし,また,治療の介入により重症化や入院を予防しており,施設の運用は有効であった.
著者
岡本 裕司 中野 公彦 大堀 真敬 多加谷 敦 須田 義大 堀 重之
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.267-270, 2010-05-01 (Released:2010-09-22)
参考文献数
5
被引用文献数
3

本研究では,自動車運転時の乗員の筋電位を自動車の運動性能の評価指標として用いる可能性を調べるために,乗員の筋電位と車両の横加速度との相関を調べている.筋電位は,頭部を支える役割を持つ頚部左右の胸鎖乳突筋に対して計測を行った.実験では,被験者を後部座席に乗車させ,市販車とその剛性を改良した改造車でスラロームコースの走行を行った.結果は,加速度が生じる方向とは逆側の筋肉の筋電位が大きくなることが分かった.加えて,車両内部に生じる横加速度の小さい改造車に乗車した時の方が,筋電位のRMS値が小さくなる傾向がみられた.