著者
秋葉 哲生 荒木 康雄 中島 章 古川 和美 河田 博文 鈴木 重紀
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.149-155, 1991-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

年間に6同以上感冒症状を呈する小児を易感冒児と定義した。これら易感冒児18例に, 治療目的で, 医療用柴胡桂枝湯製剤0.1から0.259/kg/日を投与した。4ヵ月から30ヵ月にわたる服用の結果, 著効4例22%, 有効12例67%, 不変2例11%, 悪化なしという成績であった。服用後に保護者に対し書面にて回答を求めた結果では, 発熱の改善を挙げたものが最も多く, 14例78%に達した。次いで食思の改善が7例39%であった。投与中および投与後にもみとめるべき副作用はなかった。感冒に罹患しやすい状態の改善を目的とする現代医薬品を見い出し難い現状において, 柴胡桂枝湯はその高い安全性からも, 小児の易感冒状態改善にひろく用いられ得る薬剤と考えられる。
著者
荻野 雅敏 瀧 剛志 北島 章雄 尾倉 芳昌 宮崎 慎也 長谷川 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.390, pp.31-35, 2004-10-21
被引用文献数
1

ボブスレーは滑走コースを利用できる期間が冬季に限定されるため、シミュレーターを利用したトレーニングの実現に大きな期待が寄せられている。そこで、本研究では6軸電動アクチュエータ式の動揺装置(モーションベース)と4面構成の大型スクリーンを併用したVR装置を用いて、長野市にある実在のコースを模擬して作成したコースデータ上において、ボブスレーの滑走シミュレーションを実現した。動的物理シミュレーションと空間制約条件を併用することにより円筒状の氷上コースでの高速滑走の運動を生成する。動揺装置の運動制御は、ボブスレーの運動生成結果に基づいて決定される。
著者
大垣 哲朗 小室 史恵 宅島 章 吉水 浩 満園 良一
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.99-106, 1990-03-28
被引用文献数
3

中高年婦人を対象とした健康づくり運動教室に, 4年間継続して参加してきた主婦8名(継続群 : 49±6歳)と1年間参加しその後中断した主婦9名(中断群 : 48±8歳)について, この4年間の血清脂質の動態を検討した。健康づくり運動教室は, エアロビック・ダンスを主体とし, 一回あたり90分(主運動は35〜45分間)の割合で週2回実施してきた。その結果担, 以下のとおりである。1.総コレステロールは, 運動継続群・中断群ともに年月の経過とともに上昇傾向を示し, 運動教室巨開始から2年経過した時点以降は両群ともに有意な上昇であった(p<0.05〜P<0.01)。2.HDLコレステロールは, 運動継続群・中断群ともに年月の経過とともに減少傾向を示し, 運動開始から3年後以降に有意な低下であった(p<0・.05)。また, HDLと総コレステロールの比(HDL/T-ch)も, 両群ともに年月の経過とともに減少傾向を示し運動開始から2年後以降は有意な低下であった(p<0.05〜P<0.01)。3.トリグリセリドは, 両群とも大きな変動が認められなかった。総脂質は, 運動開始から4年後に有意な増加であった(p<0.05)。4.総コレステロール, HDLコレステロール, HDL/総コレステロール, トリグリセリドおよび総脂質のどの項目においても, またどの測定時点においても, 運動継続群と中断群で有意な差異は認められなかった。5.これらの結果は, 運動が血清脂質にマイナスの効果をもたらした, ということを示したものではないくそれは, 本健康づくり運動教室の血清脂質に及ぼす影響が顕著なものではなかったこと, 閉経期前後の中高年婦人の場合, 加齢あるいは閉経にともなうホルモンバランスなどの影響が大きいこと, を示すものであると考えられた。6.したがって, 若い被験者や短期間のトレーニング実験の結果を, そのまま中高年婦人や長期間の健康づくり運動教室の効果まで拡大解釈すると, 過大評価する可能性があり, 慎重な対応が必要であると言える。
著者
中島 章光
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

太陽活動の影響によって磁気嵐やサブストームなどの擾乱現象が発生すると、太陽風エネルギーが磁気圏を介し電離圏に流入する。このエネルギー流入過程を解明するためには、地磁気擾乱時のオーロラ粒子の加速・加熱過程について調べることが重要である。昨年度は、磁気嵐中のサブストーム発生時に、広いエネルギー範囲(50eV-30keV)にわたって降り込み電子が増大する現象"broadband electrons(BBEs)"について調査を行った。本研究によって、BBEsは磁気赤道面で加熱された高エネルギー電子と、より地球近傍で加速された低エネルギー成分により構成されていることが示唆された。磁気嵐中のサブストーム発生時に観測されるBBEsの研究に加え、本年度は、サブストーム回復相において数秒から数十秒の周期で点滅するオーロラ現象である、パルセイティングオーロラについて、その原因となるオーロラ粒子降り込みについての調査を行った。パルセイティングオーロラの生成については、磁気赤道面で粒子が散乱され、数keV~100keVの高エネルギー電子が電離圏へ降り込むというモデルが提案されてきた。しかし、近年では磁気赤道面より地球に近い領域からの粒子降り込みであることが示唆されている。先行研究のほとんどが低高度衛星のデータを用いていたのに対し、本研究ではTHEMIS衛星のデータを用いて、パルセイティングオーロラ発生時の磁気赤道面付近における電子のピッチ角分布の特徴を初めて明らかにした。パルセイティングオーロラ発生時に磁気赤道面付近で1-10keVの電子フラックスが沿磁力線方向に大きく変動し、特に1-5keVの電子のフラックスは、地上から観測したオーロラの点滅とほぼ同じ周期で振動していることを示した。本研究の結果から、パルセイティングオーロラに寄与するオーロラ電子の一部が磁気赤道面付近から電離圏へ降り込んでいる可能性が示唆された。
著者
西島 章次
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

平成12年度は、研究計画に従い、平成11年度の基礎的・理論的研究成果を踏まえ、政府と制度の市場補完的役割について、とくにラテンアメリカ諸国におけるネオリベラリズム(新経済自由主義)の進展のコンテキストのなかで、いくつかの問題を研究課題とした。まず、市場自由化の過程で生じた通貨危機の問題に対し、銀行システムへのプルーデンス規制などの政府の役割が重要であるとことを、「通貨危機と銀行システムの健全性」においてラテンアメリカとアジア諸国の通貨危機を比較しながら検討した。また、ブラジルでは通貨危機の後、変動相場制へと転換し、変動相場制下でのインフレ政策としてインフレーション・ターゲッティング政策が実施されたが、「ブラジルのインフレーション・ターゲッティング政策」において、中央銀行の政策能力とそれを強化する制度的枠組み、政府の財政政策に関する規律を高める制度の重要性を理論的に明らかとした。さらに、本プロジェクトの総括的研究として、ラテンアメリカにおける経済自由化の成果と問題点、また、経済自由化を一層成功裏に進めるための課題としての政府と制度の役割の重要性、さらには政府と制度能力の改善のための課題などを、「ラテンアメリカ経済-新経済自由主義の帰結と課題」「ラテンアメリカ-ネオリベラリズムの成果と課題」で公表している。いずれにおいても、市場を補完する政府と制度能力の改善のためには、政治的プロセスと経済民主化のプロセスが不可欠であり、また、ネオリベラリズムに基づく経済自由化自体がそのだめのインセンティブを作り出しつつあることを、ラテンアメリカ諸国の事例を用いて検証している。今後の課題として、政府能力と制度構築のための第二世代の政策改革へのインセンティブについて、より厳密な検証を、政治経済学的アプローチを用いて実施することが必要である。この問題は引き続き科学研究費を申請して研究を継続する予定である。
著者
山本 裕二 工藤 和俊 山田 憲政 北原 俊一 平田 智秋 宮崎 真 平川 武仁 木島 章文 奥村 基生 郷原 一寿 門田 浩二 山際 伸一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,様々なスポーツ技能の生成機序を力学系の観点から統合的に理解することを目的とした.その結果,ブランコ漕ぎの協応パタンは振り子の等時性にほぼかなっていること,音に合わせたダンスでは,運動周波数が高い場合でも熟練者は逆相同期を維持できること,卓球では技能水準を切替ダイナミクスのフラクタル次元で評価できること,剣道では二者間距離によって詰め引き速度の相対位相が切り替わること,タグ鬼ごっこでは,学習に伴い両者の詰め引き速度の相対位相が逆相同期になること,サッカーの3対1ボール保持課題における三者の連携パタンは,技能レベルによって環状連結振動子における対称性のホップ分岐理論で予測されるパタンを示すこと,サッカーゲームのパス行動にはベキ則が見られることなどを明らかにした.
著者
宅島 章 浜田 臣二 増田 卓二 洪 進勺 山坂 匡弘 草野 憲子 羽多野 慶美 山下 雄三
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学健康・スポーツ科学センター研究紀要 (ISSN:13463055)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.17-24, 2001-12

韓国の都市部と農村部に居住する男子中学生40名を対象に, 日常生活における身体活動水準が体組成や最大酸素摂取量に及ぼす影響について調査検討を行った。その結果は, 次のとおりである。1.身体組成と最大酸素摂取量の平均値を都市部と農村部で比較してみると, 体重と除脂肪体重において都市部が有意に(p<0.05)高かった。しかし, 体脂肪率と最大酸素摂取量には有意な差は認められなかった。2.起床から就寝までの各時間帯における平均心拍数を比較してみると, 都市部は9 : 00から11 : 59までの時間帯のみに高い値(p<0.001)を示したが, 他の時間帯はいずれも農村部が高い値を示し, 昼休みの時間帯以外には有意な差(p<0.001)がみられた。3.日常生活における身体活動時の運動強度の分布をみると, 最も軽いLLRに都市部は73.6%, 農村部は88.4%, 健康づくりに適したFLRには都市部が23.2%, 農村部は11.2%で, 強い運動強度であるHLRは都市部3.2%, 農村部0.4%という分布状況であった。以上のことから, 身体組成や最大酸素摂取量においては, 都市部と農村部との間には有意な差は認められなかった。また, 日常生活における身体活動水準を時間帯で比較してみると, 農村部が都市部に比べやや高かったが, 起床から就寝までの全体を比較してみると現段階では明らかな差はみられず, 両群とも適正な運動水準の域には達していない, 低いレベルにあることが分かった。さらに, 都市部においては痩せと肥満の二極分布がみられ, 食生活と身体活動のアンバランスな生活者が農村部より多いことが分かった。日常生活の利便さは, 今後益々各家庭に浸透していくことが予想される。したがって, 身体活動水準の低下に伴う低体力者は中学生にも増加する事が当然考えられる。今後も本研究を継続し, 運動不足による生活習慣病を未然に防ぐために, 青少年に適正な日常の身体活動水準を維持するよう警鐘を促したい。なお, 本論文は第6回東アジア運動・スポーツ科学研究会にて, 口頭発表したものを論文としてまとめたものである。
著者
大島 章嘉 宮下 市蔵 加本 実
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.50-59, 1998-03-01

中国元極学の張志祥会長や東海大学の佐々木茂美教授が長野県長谷村には「気場」があると言っている。長谷村に東京近郊に住むアトピー性皮膚炎の患者11人を7日間滞在させ、アトピー性皮膚炎の症状の変化状況の把握、AMIによるAP値等の測定、アンケートによる不安化傾向調査を行った。結果は次の通りである。・被験者11人中9人の痒みが減少している。・AMIのAP値は、事前測定値より長谷村滞在最終日の方が減少し、副交感神経優位を示した。・不安化傾向も減少し、精神安定の方向を示した。・アトピー性皮膚炎の判定基準に照らしてみると、11人中9人が長谷村滞在は「有効」、また1人は「やや有効」と判定された。残る1人はもともと軽症であったため「変化は認められない」との結果となった。
著者
樋口 幸男 北島 章好 荻原 勲 箱田 直紀 志村 勲
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.744-748, 2000-11-15
被引用文献数
2 1

異なる温度条件下におけるプリムラ・オブコニカのプリミン分泌状況を調査し, 幼苗期におけるプリミン検定の可能性について検討した.1. 'Crystal Apricot'では子葉展開期からプリミンの分泌が認められたが, フリー品種の'Libre Light Salmon'では認められなかった.2. 'Crystal Apricot'を低温(昼温20℃, 夜温13℃)および高温(昼温30℃, 夜温23℃)下で育苗し, 個体別および葉位別にプリミン分泌率を調査した.低温下で育苗した場合は, 第1葉展開期にはすべての個体がプリミンを分泌していた.さらに, 低温下では下位葉のプリミン分泌率も高く維持された.一方, 高温下で育苗したところ, プリミン分泌の開始が遅れ, 一度分泌したプリミンの消失も早かった.また, 育苗温度に関わらず最上位葉の一つ下位の葉においてプリミン分泌率が高かった.3. プリミンを保有している'Crystal'シリーズ4品種について葉位別のプリミン分泌率を調査した.プリミン分泌の早晩には, 品種間差異が認められたが, 各品種とも低温下では第1葉展開期の子葉において, また, 高温下では第5葉展開期の第4葉においてプリミン分泌率が100%であった.4. 幼苗期に毛じの形態からプリミン分泌の有無を判定するには, 低温下では第1葉展開期の子葉を, 高温下では第5葉展開期の第4葉を調査すればよいことが明らかとなった.