著者
新田 敏勝 川崎 浩資 芥川 寛 江頭 由太郎 石橋 孝嗣
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.3034-3039, 2011 (Released:2011-11-07)
参考文献数
14

症例は76歳,女性.突然の心窩部痛,嘔吐を主訴に当院救急外来を受診された.上部消化管内視鏡検査所見では,胃穹窿部から索状物が認められ,幽門洞へ引き込まれていた.また腹部造影CT検査では,十二指腸球部に占有する5cm大の腫瘤陰影を認めた.まず,術前に用手圧迫を併用し内視鏡下に整復を行い,胃穹窿部から発生したGISTと診断し,小切開による胃部分切除術を施行した.病理組織学的にもKIT(+)CD34(+)でGISTであった.ball valve syndromeをきたした症例に対し,内視鏡下に嵌頓を解除し,適切な加療を行えた1例を経験したので報告する.
著者
川崎 浩司
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-18, 2012-03-15 (Released:2012-06-20)
被引用文献数
4 7

A undersea earthquake with a magnitude of 9.0 "The 2011 off the Pacific Coast of Tohoku earthquake" took place off the Pacific coast of Japan at 14:46 JST (5:46 UTC) on March 11, 2011. A massive tsunami caused by the earthquake struck the Pacific side of Japan, especially the coasts of Aomori, Iwate and Miyagi prefectures, resulting in a cataclysmic disaster "East Japan Great Earthquake Disaster (Higashi Nihon Daishinsai in Japanese)". This paper describes the fundamental characteristics of Tsunami and the brief overview of the past huge tsunami disasters in Sanriku area. The tsunami damages of the East Japan Great Earthquake Disaster are, furthermore, reported on the base of the field survey, which was conducted from April 4 to 9, 2011 as a group of the 2011 Tohoku Earthquake Tsunami Joint Survey Group of Japan.
著者
田島 芳満 川崎 浩司 浅野 雄司 Noel M. ORTIGAS
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_1431-I_1435, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1

This paper aims to overview the hydrodynamic characteristics of storm surges and waves induced by Typhoon Haiyan around Leyte and Samar, Philippines, especially based on the results of the post disaster joint survey of PICE and JSCE. A number of local residents remained along the coast when inundation started and, based on intensive interviews of those local residents, the survey team obtained information of not only the heights of inundation and run-up, but also other hydrodynamic features such as timings and durations of inundations, flow directions and the level of surface water fluctuations. Comparisons of these findings of the disaster survey and numerical analysis clearly indicated that the wind-induced stormy waves had significant impact on inundations especially along the east coast of Leyte and Eastern Samar.
著者
福本 恵美子 川崎 浩二 林田 秀明 古堅 麗子 北村 雅保 福田 英輝 川下 由美子 飯島 洋一 齋藤 俊行
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.176-183, 2007-07-30

指しゃぶりは約半数の乳幼児が経験していると報告されており,その習慣化は歯列に大きく影響を与える.本研究の目的は,指しゃぶりの誘発とその習慣化の要因を明らかにすることである.3歳児健康診査を受診した3歳児(36〜47か月)512名を対象とした横断調査をもとに,指しゃぶりの開始と習慣化に関連する要因について分析した.対象者の36.3%が指しゃぶりを経験していた.3歳児健康診査時において指しゃぶりが習慣化している児の割合は,全対象者の15.8%,指しゃぶり経験者の43.5%であった.指しゃぶり開始の要因解析結果から,有意であったものは「郡部」と「兄弟姉妹の指しゃぶり有」であり,オッズ比はそれぞれ1.67(p<0.05),3.05(p<0.001)であった.指しゃぶり経験者における,その習慣化にかかわる要因解析では,「郡部」「弟妹の妊娠無」「母乳終了月齢12か月未満」で有意な関連が認められ,オッズ比はそれぞれ2.56(p<0.05),5.00(p<0.05),6.14(p<0.001)であった.以上の結果から,指しゃぶりの開始には「郡部」「兄弟姉妹の指しゃぶり有」が誘発要因として挙げられ,指しゃぶりの習慣化を防ぐためには母乳栄養を少なくとも生後12か月までは継続することが重要であることがわかった.
著者
板宮 朋基 村上 智一 小笠原 敏記 川崎 浩司 下川 信也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_773-I_778, 2018 (Released:2018-09-12)
参考文献数
19

最大級台風の最悪コースによる三大湾への襲来に対する高潮浸水予測の数値計算は,これまで数多く行われている.その結果は自治体などにおいてハザードマップなどの防災情報として活用されている.しかし,地域の住民や子供たちに有益な防災情報として提供していると思われがちであるが,実際には災害をリアルに捉えることが難しく,発災時に取るべき行動を,感覚的・知覚的に学ぶことができない.そこで本研究では,数値計算で得られる高潮浸水の結果を基に,専門知識がない人でも直感的に浸水状況を理解してもらうため,VR(人工現実感)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた高潮想定没入体験システムの開発と有用性の評価を行う.HMDはスマートフォンに装着して用いるため,1セット当たり約9万円と低価格で構築でき,運用が容易である.
著者
新美 達也 川崎 浩司 馬渕 幸雄 長山 恒紀 辻 貴仁 大家 隆行 松田 和人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_211-I_215, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
3
被引用文献数
8

Video images taken in the 2011 Tohoku Earthquake qualitatively showed that the Teizan canal has a potential for the reduction effect of tsunami disaster. The main purpose of this study is to examine the tsunami mitigation effect of the Teizan canal numerically with the numerical wave flume “CADMAS-SURF”. The numerical results revealed that the present Teizan canal has some effects on tsunami disaster reduction, such the time delay of tsunami run-up and the decrease of inundation depth. The prevention and mitigation functions of the canal for tsunami disaster were confirmed to go up by increasing the height of the dike and the width of the canal. Furthermore, the tsunami mitigation effect of the canal was found to be more efficient for small-scale tsunami than large-scale tsunami.
著者
川崎 浩二 飯島 洋一 高木 興氏 小林 清吾
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.676-683, 1991-10-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
15

The progression rate of newly occurred pit and fissure incipient caries of first molars was investigated every 6 months for 24 months. The subjects were 93 1st and 2nd grade elementary school children who did not perform school-based fluoride mouthrinsing. The progression rate after 12 months was approximately 60%, and the non-progression rate was approximately 40%. Cumulative progression rates after 12 months were approximately 60% for the 1st grade, and 40% for the 2nd grade, and the same rates after 24 months were 70% for the 1st grade, and 60% for the 2nd grade. These data were compared with our previous data derived from the same grade of elementary school children who performed school-based fluoride mouthrinsing. There was no statistical difference in the progression of incipient caries between these two schools. This lack of difference may be explained in terms of the complicated form of pits and fissures, or it may be that the fluoride mouthrinsing period was too short to be effective against caries progression.
著者
川崎 浩二 高木 興氏 飯島 洋一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

目的:1)小・中・高校生における顎関節症状の実態を明らかにする。2)生活習慣・習癖などの諸要因と顎関節症症状との関連性を明らかにする。3)定期的な習慣習癖の改善を目的としたカウンセリング等の指導によって,顎関節症状がどのように改善するかを把握する。調査対象と方法:1)長崎市内の小・中・高校生4502名を対象に,Helkimoの顎関節問診をベースにして習癖の実態も含めたアンケートを実施した。2)中・高校生を対象に実施した顎関節症の7自覚症状ならびに習癖等に関するアンケートから,各自覚症状の有無を目的変数に習癖等の18項目を説明変数として多重ロジスティック分析を用いて自覚症状に関わる要因分析をおこなった。3)某女子中学校生徒全員291名を対象に,4月に顎関節に関するアンケートを実施し,自覚症状を有する合計53名に対して7月,10月,2月の年3回,顎関節に関する保健指導を実施しながら,症状の経過を経時的に評価した。結果:1)顎関節に自覚症状を有している者の割合は,小学校低学年で3.5%,小学校高学年で7.7%,中学生で19.8%,高校生で22.8%であった。2)顎関節症の7自覚症状のうち6つが「顎を動かして遊ぶ」という習癖と有意な関連が認められた。中学生においては4自覚症状が「くいしばり」と有意な関連が認められた。3)調査開始の4月における顎関節自覚症状を有する者の割合は中学1年生:13.1%,2年生:16.1%,3年生:29.3%であった。1年間の指導後の予後は治癒,改善,不変,進行の順で1年生:54.5%,27.3%,9.1%,9.1%,2年生:18.8%,62.5%,18.8%,0.0%,3年生:61.5%,15.4%,15.4%,7.7%であった。指導による治癒・改善率は約75%〜80%であった。
著者
佐藤 兼太 川崎 浩司 越村 俊一
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.316-323, 2023-09-15 (Released:2023-10-08)
参考文献数
18

Characteristics of tsunami flow in cities are three-dimensional, highly non-linear and non-hydrostatic. A fully three-dimensional free-surface fluid model is required to simulate such a flow field. Fluid simulations in the field of coastal engineering are often large-scale since large areas are the subject of the simulations. The numerical model must be not only accurate but also efficient. In recent years, the lattice Boltzmann method (LBM) has attracted much attention as a novel simulation method and has been successfully applied to various engineering fields. Moreover, the cumulant LBM has attracted attention because it has excellent numerical stability even for high Reynolds number flows. The single-phase free-surface flow model using the cumulant LBM is a suitable approach for simulating violent flow fields in coastal engineering. In this study, we propose a single-phase free-surface flow model based on the cumulant LBM using the volume-of-fluid (VOF) model. We demonstrate that the cumulant LBM is stable under violent flows and reproduces the pressure field well compared with the traditional single relaxation time model. We find that a larger bulk viscosity can reduce the numerical oscillation of the impact pressure acting on a structure, although a bulk viscosity that is too large reduces the accuracy and stability. The results of the proposed model are in good agreement with previous experimental results.
著者
Tracey H. A. TOM 金 洙列 武田 将英 倉原 義之介 原 知聡 西山 大和 川崎 浩司 間瀬 肇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_133-I_138, 2019
被引用文献数
2

<p> 海洋工事は気象や海象の影響を受けやすく,作業船の運航ルートの設定や荒天時の作業可否の判断,避難港の利用にあたり,できるだけリードタイムの長い海象情報は重要である.本研究では,全球波浪予報値とニューラルネットワーク(NN)を利用した1週間波浪予測法を提案し,その基礎となる精度検証を行った.日本気象庁波浪モデルやアメリカ海洋大気庁波浪モデル,ヨーロッパ中期予報センター波浪モデルによる1週間先以上の全球波浪予報値が提供されているが,それらの日本沿岸における波浪予報値としての精度は良くない.そこで,NNを利用した非線形変換による精度の良い波浪予測法を目指し,その第一歩として,全球波浪解析値および予報初期値を用いてその可能性を調べたものである.</p>
著者
金 洙列 武田 将英 間瀬 肇 倉原 義之介 原 知聡 西山 大和 川崎 浩司 水谷 英朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.18-26, 2019
被引用文献数
2

<p> 本研究は,作業船の準備や港湾・海洋工事の施工計画に役に立つ波浪予測法を確立することを目的として,全球波浪予報値と機械学習の一つであるGroup Method of Data Handling (GMDH)における部分表現式を用いた日本沿岸の1週間先までの波浪予測法を提案する.具体的には,常陸那珂港を対象として,3種類の全球波浪予報値とGMDHの部分表現式を利用した1週間先までの波浪予測が可能なモデルを構築し,予報初期値と解析値を用いて精度検証を行った.その結果,有義波高に対しては,アメリカ海洋大気庁波浪モデルとヨーロッパ中期予報センター海洋波浪モデルの2種類の全球波浪データを用いる部分表現式,周期に対しては,日本気象庁波浪モデルとヨーロッパ中期予報センター海洋波浪モデルの2種類を用いる部分表現式が予測精度が良いことがわかった.</p>
著者
水草 貴久 細川 嘉彦 中川 宗大 大野 泰良 川崎 浩伸 高橋 日出美 右納 隆 塚本 達夫 日江井 邦彦
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.621-624, 2001

中国人労働者によるオオシロカラカサタケの集団毒キノコ中毒の症例をもとに, 猛毒といわれるアマニタトキシン群の毒キノコとの相違や, 今後いかにして毒キノコ中毒の発生を減少させるかなどについて検討した。本症例のオオシロカラカサタケは急性胃腸炎様の消化器症状を呈するのみで致死例は報告されていないが, 摂食したキノコを直ちに特定することは一般的に非常に困難である。従って致死率の高い, いわゆる猛毒キノコを摂取した可能性を考慮し, 医療機関は対応に難渋させられることが多い。オオシロカラカサタケは外見上, 最も毒性が高いといわれているアマニタトキシン群のキノコ (シロタマゴテングダケやドクツルタケ) と似ているが, 発症までの潜伏期間が根本的に異なる。また, 毒キノコ中毒による被害者の数が減少しない原因として, 一つには毒キノコの判別法として古くからの「言い伝え」的鑑別方法が未だに存在しており, 明確で判りやすい鑑別方法が社会的に確立されていないことがあげられる。
著者
川崎 浩司 下川 信也 村上 智一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_211-I_216, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

近年,地球温暖化による台風の強大化と海面上昇が危惧されており,過去最大級の伊勢湾台風を上回る巨大台風の襲来が及ぼす影響について検討することは重要である.つまり,襲来する可能性がある台風の規模と台風襲来によって起こりうる高潮災害の規模を予測することが必須となる.そこで,本研究では,伊勢湾湾奥部を対象に,室戸台風級の超巨大台風時,および現在/将来気候から予想される最大高潮条件における高潮浸水計算を行い,超巨大台風による浸水特性について検討した.その結果,海抜ゼロメートル地帯である伊勢湾湾奥部では,一旦,高潮によって溢水すると,人的・物的被害が一気に拡大することがわかり,甚大な高潮災害を軽減させるためには早期避難が重要であるとことがわかった.
著者
川崎 浩司 鈴木 一輝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_144-I_149, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
5

東北地方太平洋沖地震以降,東海・東南海・南海三連動型地震がM9クラスで発生する可能性が指摘されている.そこで,本研究では,M9.0の地震規模を仮定した東海・東南海・南海三連動型巨大地震を対象に津波伝播予測を実施した.従来の想定であるM8.7の三連動型地震津波との比較から,地震規模の違いによる津波高および津波到達時間への影響を検討するとともに,太平洋沿岸および内湾における三連動型巨大地震津波の津波伝播特性について考究した.その結果,M9.0の場合,太平洋沿岸では,その津波高がM8.7と比べ約2倍となること,波源域から離れた沿岸では,津波到達時間が早まることが明らかとなった.さらに,内湾では,津波の高さが太平洋沿岸部に比べ小さいものの,湾口部が狭く外洋に津波が出にくいために,水位の高い状態が長時間続くことが判明した.
著者
松本 武浩 川崎 浩二
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

地域完結型医療の推進に伴い、専門疾患も診療所管理へと変わってきたため、専門診療を支援する仕組みが必要である。がん疾患では、地域連携パスが期待されたが、充分に機能していない。診療所管理の際に専門家が関与できないことが一因と考え、ネットワーク型の地域連携パスを開発した。専門家による診察内容をシステム上に展開し、必要な検査データを自動で格納することで、専門外の医師による専門診療を可能とし、その結果により専門家が異常と判断する条件を組み込み、該当患者を一覧表示することで、診療所管理時でも検査追加の判断や増悪等を早期認識できるシステムを開発した。今後は本システムの評価を行う必要がある。