著者
榎本 惠一 堀澤 栄 有賀 修 松元 信也 大濱 武 角 克宏 両角 仁夫 井上 喜雄 冨澤 治 那須 清吾 平野 真 草柳 俊二 馬渕 泰
出版者
高知工科大学
雑誌
高知工科大学紀要 (ISSN:13484842)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.125-131, 2010-07

森林や海洋の自然環境の保全には、その資源の適切な利用と管理が欠かせない。森林資源である木質バイオマスを利用するために、木材腐朽菌が生産するセルロース分解酵素の遺伝子配列の決定を試みた。他生物で明らかにされているアミノ酸配列などの生物情報を参照し、遺伝子増幅に必要なCODEHOPプログラムを用いて、迅速簡便に標的遺伝子配列を得ることができた。また、殺藻作用をもつ赤色色素であるプロディジオシン類を生産する細菌を用いて赤潮制御技術の研究を行った。この細菌の赤色色素は、赤潮プランクトンを迅速に溶菌させる作用を示した。この細菌を固定化したアルギン酸ゲルビーズは、赤潮プランクトンの増殖を抑制し、プランクトン数を減少させることができた。For the conservation of forests and marine natural environment, the proper use and management of their resources are essential. In order to use woody biomass of forests, genetic sequences of cellulases produced by woodrotting fungi were determined. Based on the biological information, including amino acid sequences, revealed in other organisms, target gene sequences could be easily and quickly obtained by the CODEHOP program for gene amplification.Technologies to control red tide were also studied, employing bacteria that produce algicidal red pigments, a family of prodigiosin. The red pigments from the bacteria showed quick lytic action to red tide plankton. Alginate gel beads containing immobilized bacteria inhibited the growth of red tide plankton and could reduce the number of plankton.
著者
平野 眞一 田島 伸
出版者
Japan Society of Powder and Powder Metallurgy
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.421-425, 1990-04-25 (Released:2009-05-22)
参考文献数
12
被引用文献数
3 2

The formation process and magnetic properties of Fe3C particles were investigated. Various iron oxides as a starting material were carbureted with CO gas in a furnace. Fe3C was formed at the reaction temperatures from 450 to 600°C. The partial pressure of CO gas was controlled by mixing with N2 gas to prevent the free carbon deposition due to the disproportionation of CO gas. Synthesized Fe3C particles were identified as a single phase by XRD and the weight change measurement. The saturation magnetization of Fe3C increased from 80 to 117 emu/g with the increase of the reaction temperature, while the coercive force decreased from 170 to 80 Oe with the increase of the reaction temperature.
著者
中村 英記 山本 ゆかり 竹口 諒 堀井 百祐 真鍋 博美 平野 至規 北村 晋逸 室野 晃一
出版者
名寄市立総合病院
雑誌
名寄市立病院医誌 = The Jounal of Nayoro City Hospital (ISSN:13402749)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-4, 2015-07-01

名寄市立総合病院の位置する北海道上川北部地区は, 福井県とほぼ同規模の広大な面積に人口約7 万人が居住する2次医療圏であり, 全国有数の過疎地域である. 当地区では近年, 周産期医療の集約化が進められ, 平成16年以降, 分娩可能施設は当院のみとなっている。過疎地域における周産期医療の集約化は, 限られた医療資源を有効利用する上で必要な方策であるが, 遠距離分娩の 加など新たな問題も生じている。また, 当院にはこれまで新生児集中治療室(NICU) がなく, 早産児や重症児は, 2次医療圏こえて旭川市の周産期センター病院に母体・新生児搬送するケースが多かった。 しかし, 急性期の長距離搬送にはリスクを伴う。 また, 搬送先の周産期センタ病院で超低出生体重児が出生したような場合, 急性期を過ぎてもback-transfer(逆搬送) による転院受け入れが当院では困難であったため, 場合によっては数か月にわたり長期間の家族との分離を余儀なくされ, その後の良好な母子関係の確立が阻害されることもあった。 平成24年7月, 地域の周産期医療の充実を図るため, 当院では3床のNICU(加算2) を開設し,人工呼吸管理が常時施行できる体制とした。 具体的には,切迫早産時の母体搬送基準を緩和し, 加えて慢性期の新生児逆搬送を積極的に受け入れるようにした(表1)。現行の基準としてから2年が経過したが, 実際に母体搬送数や新生児搬送数は減少しているのか, また早産児・重症児の入院を受け入れるようになったことで予後が悪化しているところである。今回われわれは、NICU開設後、当院における周産期医療がどのように変化したか、検討したので報告する。
著者
平野 謙一
出版者
金沢美術工芸大学
雑誌
学報 (ISSN:04513215)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.56-83, 1957-12-25
著者
村上 佳菜子 橋本 典明 木戸 尚治 平野 靖 間普 真吾 近藤 堅司 小澤 順
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,Deep Learningを用いた医用画像の解析の手法が多く提案されており,その中でも画像認識に優れているCNNが用いられることが多い.CNNを用いてびまん性肺疾患を識別する際,陰影ごとに関心領域を切り出す必要がある.しかし,びまん性肺疾患の診断においては識別とともに検出が重要である.そこで本研究では,関心領域を設定せず,CT画像からびまん性肺疾患の領域を検出・抽出する方法を提案する.本研究では,U-NetとFCNを用いて6つの陰影パターンの領域抽出を試み,CNNと比較した.
著者
平野 久仁子
出版者
日本南アジア学会
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21, pp.87-111, 2009

1893年9月、スワーミー・ヴィヴェーカーナンダ(1863-1902)はアメリカ・シカゴで開催された万国宗教会議において、インドのヒンドゥー教の代表として演説した。ヒンドゥー教を「受容と寛容の宗教であり、人間の内なる神性を認め、それを悟ることを助ける普遍宗教」として唱えるとともに、インドの民衆の困窮を訴えた。そこには、個人的な魂の救済のみを求める従来のサンニャーシン(出家遊行者)だけではなく、社会的、物質的な救済にも目を向けた新たなサンニャーシンのあり方も示唆される。こうした主張が注目された背景には、ユニテリアンなどの存在に見られるキリスト教の多様性も感じられる。この万国宗教会議での演説は、ヴィヴェーカーナンダ自身にとっても、その後の伝道活動や、インド・カルカッタ(現コルカタ)での布教・教育・奉仕・医療活動を担うラーマクリシュナ・ミッション設立(1897年)へと向かう大きな転換点になったように考える。
著者
矢箆原 隆造 伊藤 慎英 平野 哲 才藤 栄一 田辺 茂雄 林 美帆 加藤 翼 海藤 大将 石川 裕果 澤田 雄矢 宮田 恵里 山田 唯 藤範 洋一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】我々は,立ち乗り型パーソナル移動支援ロボットとテレビゲームを組み合わせたバランス練習アシストロボット(Balance Exercise Assistant robot:以下,BEAR)を考案した。BEARで使用しているロボットは,搭乗者が前後に重心を移動するとその移動に合わせてロボットが前後移動し,左右に重心を移動するとロボットが旋回する装置である。従来のバランス練習には,適切な難易度が存在しない,動きが少ないためフィードバックが得にくい,退屈な練習内容,またバランス戦略への転移性が乏しいという問題点があった。一方でBEARを用いたバランス練習では,ロボット制御による練習者に適した難易度設定,実際の移動という形での重心移動のフィードバック,ゲーム感覚で飽きずに楽しく継続できる練習内容,ankle/hip strategyのバランス戦略に対して高い転移性を持つ類似課題,と改善が図られている。本研究では,中枢神経疾患患者に対しBEARを用いたバランス練習を行い,そのバランス能力の改善効果について検討を行った。【方法】対象は,当大学病院リハビリテーション科の通院歴があり,屋内歩行が監視以上の中枢神経疾患患者9名(脳出血3名,脳梗塞2名,脳腫瘍1名,頭部外傷1名,脊髄損傷2名)とした。対象の詳細は,年齢60±18歳,男性7名,女性2名,発症後35±27ヶ月,Berg Balance Scaleは47±8点であった。BEARのゲーム内容は,ターゲットに合わせて前後方向に能動的な重心移動を行う「テニスゲーム」,ターゲットに合わせて左右方向に能動的な重心移動を行う「スキーゲーム」,組み込まれた多様な外乱に抗してゲーム開始位置を保つ「ロデオゲーム」の3種類を実施した。1回の練習は各ゲームを4施行ずつ,予備練習を含めた合計20分間で構成されており,週2回の頻度で6週間あるいは8週間実施した。練習期間の前後には,バランス能力の改善指標としてTimed Up and Go Test(以下,TUG)および安静立位時の重心動揺を計測した。重心動揺計測はアニマ社製のツイングラビコーダ(G-6100)を用い,30秒間の安静立位から矩形面積を算出した。加えて,下肢の筋力も併せて計測を行った。測定筋は腸腰筋,中殿筋,大腿四頭筋,ハムストリングス,前脛骨筋,下腿三頭筋の6筋とし,アニマ社製ハンドヘルドダイナモメータを用いて等尺性で計測を行い,その最大値を採用した。統計解析にはWilcoxonの符号付順位検定を用い,各評価について練習期間前後の比較を行った。【結果】TUGは,練習期間前後の平均値が21.5秒から17.4秒と有意な改善を認めた(p<.05)。安静立位時の重心動揺は,練習期間前後の矩形面積の平均値が3.3cm<sup>2</sup>から2.7cm<sup>2</sup>と有意な改善を認めた(p<.05)。下肢の筋力においては,練習期間前後の中殿筋の平均値が20.8kgから24.2kgと有意な改善を認め(p<.01),下腿三頭筋の平均値が44.0kgから47.7kgと有意な改善を認めた(p<.05)。一方で,その他の4筋については変化量が小さく有意差は認められなかった。【考察】本研究ではBEARを用いたバランス練習の効果を検討した。BEARの練習において前後方向の重心移動を行うテニス・ロデオゲームでは下腿三頭筋が,左右方向の重心移動を行うスキー・ロデオゲームでは中殿筋がそれぞれ求心性・遠心性収縮を繰り返し行う必要がある。このことが筋力増強に必要な条件を満たし,効果を発揮したと考えられた。このようにBEARの練習が3つのゲームにより構成されていることが,前後・左右方向どちらの制御の改善にも効果を示すため,安静立位時の重心動揺の改善にも効果的であったと考えられた。またTUGは総合的なバランス能力を表す指標であるため,この改善には筋力や姿勢制御の改善が反映されていると考えられた。TUGは転倒リスクに関連するとされていることから,BEARの練習には転倒予防の効果もあるのではないかと期待される。今後は,中枢神経疾患のうち特に効果を認めやすい対象を明確にしていくとともに,従来バランス練習群との比較を行う必要があると考えられる。【理学療法学研究としての意義】バランス能力低下を認め,日常生活活動能力が低下している中枢神経疾患患者は非常に多い。したがって,効果の高いバランス練習を考案し,転倒による二次的な障害を予防していくことは理学療法研究として大変意義のあるものである。
著者
平野 直人
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.126, no.2, pp.195-206, 2017-04-25 (Released:2017-06-12)
参考文献数
55
被引用文献数
2 5

Geoscientists, who previously had limited direct knowledge of the petrological/geochemical mantle below oceanic regions, were largely restricted to areas near mid-ocean ridges, back-arc spreading centers, and hotspots. Petit-spot lavas and xenoliths provide direct information on the asthenosphere and the lithosphere of subducting plates because the magma that erupts from petit-spot volcanoes originates from the asthenosphere and ascends along the concavely flexed zone prior to the outer-rise along the trench. Such volcanoes have been reported at subduction zones worldwide (e.g., the Japan, Chile, Java, and Tonga trenches). The isotopic composition of petit-spot lavas indicates a heterogeneous asthenosphere, and geobarometric analyses of xenoliths show a higher geothermal gradient in the lithosphere than that predicted previously by the GDH1 model, meaning that conventional theory about the subducting lithosphere needs to be revised in the light of recently obtained petit-spot data. Melt fractionation is thought to occur in the middle lithosphere, given that bulk compositions show fractionation trends in the absence of phenocrysts, in spite of raising lherzolitic xenoliths from ∼45 km depth. The most important indicators of petit-spot input to the lithosphere are high levels of carbon dioxide (CO2) in petit-spot magma, which might explain the low seismic velocity and high electrical conductivity of the oceanic asthenosphere just below the subducting oceanic plate. Because carbon-rich melt ascends through the lithosphere to the seafloor as a petit-spot, it is likely to metasomatize the lithosphere just prior to its subduction.
著者
奥薗 基 牟田 将史 平野 廣美 益子 宗 星野 准一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-162, no.19, pp.1-8, 2015-03-06

旅行計画時に Web 上で提供されている多くの観光に関する情報を活用して計画を立てることが多くなっている.しかし,膨大な情報から旅行計画に有益となる情報を得ることは容易ではない.さらに,旅行の 84%を占める複数人における旅行の計画は,参加者それぞれの好みといった検討事項が増えより困難となる.そこで本研究では,検索作業を伴わずに,複数人の嗜好を反映させた観光地を推薦するシステムを提案する.各参加者の嗜好を抽出し,その結果を集団意思決定手法を用いて統合し,嗜好に適した観光地を推薦する.各ユーザの嗜好の抽出は,画面に表示された観光イメージ画像群から好みのイメージ画像を選択するという簡単な作業のみで行う.また,システムの推薦性能と簡易性の評価実験を行い,5 人まで個人と同程度の推薦性能を持つこと,システムの利用により旅行計画の負担が軽減されることを確認した.
著者
古渡 礼恵 柿沼 志津子 甘崎 佳子 平野 しのぶ 山内 一己 西村 まゆみ 今岡 達彦 島田 義也
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.186, 2008

【目的】放射線と化学発がん物質が複合曝露された時に発生するがんにおいて、がん関連遺伝子の変異の蓄積がどのように変化するかについての情報は未だ少ない。そこで、放射線とエチルニトロソウレア(ENU)の複合曝露により胸腺リンパ腫(TL)を誘発し、その<i>Kras</i>の点突然変異の頻度とスペクトラムが単独曝露とどのように異なるか、また、その変化が<i>Ikaros</i>の点突然変異とどのように異なるか比較した。<br>【材料と方法】B6C3F1マウスにX線0.8~1.0Gyを1週間間隔で4週間全身照射、もしくは、ENUを飲料水として100~200ppmを4週間投与した。処理は1)4週齢または8週齢からX線照射、2)4週齢または8週齢からENU投与、3)4週齢からX線照射した後8週齢からENU投与(X to ENU)、4)4週齢からENU投与した後8週齢からX線照射(ENU to X)、5)4週齢からX線照射とENU投与を同時曝露(X+ENU)の条件で行った。<i>Kras</i>ならびに<i>Ikaros</i>の変異は、cDNAのダイレクトシークエンスにより調べた。<br>【結果】TLの発生頻度はX線単独またはENU単独での発生頻度と比較して、(X to ENU)群でも(X+ENU)群でも相乗的に、(ENU to X)群では亜相加的に増加した。<i>Kras</i>の点突然変異はX線単独でもENU単独でも、4週齢から処理したものに比べ、8週齢から処理したもので減少していた。<i>Ikaros</i>では週齢による点突然変異の現れる割合に変化はほとんどなかった。次に(X to ENU)群では、<i>Kras</i>と<i>Ikaros</i>のそれぞれで、点突然変異が(超)相加的に増加した。しかし、(ENU to X)群では、<i>Kras</i>の点突然変異は相加的な増加が見られたが、<i>Ikaros</i>では見られなかった。また、(X+ENU)群では、(X to ENU)群と比較して、<i>Kras</i>の点突然変異は著しく減少したのに対し、<i>Ikaros</i>は増加することがわかった。<br>これらの結果から、発がんの複合曝露効果は、曝露の順番などの曝露様式に依存し、それは、がん関連遺伝子の点突然変異の誘発頻度によって一部説明できると考えられた。
著者
豊住 頼一 平野 実
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.24-46, 1998-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
16

両生類, 爬虫類, 鳥類の頭頸部が一括して生体から摘出された後, 口腔底が直ぐ双眼顕微鏡下に比較観察された, 結果は次ぎのように3部に要約された.1. 研究動物の口腔底での舌骨と喉頭軟骨の位置私達は研究動物の鰓弓軟骨が口腔底をどのように形成するか観察した, 結果は次ぎのように要約された.1) 研究動物のすべてにおいて口腔底は舌骨と喉頭軟骨および鰓弓軟骨が水平に結合した状態で構築されていた.2) したがつて, すべての観察動物では, 咽頭腔と咽頭筋は哺乳動物の咽喉頭部との比較上から存在しないと推測された.また, 哺乳動物では口腔底の鰓弓軟骨は退化し, 舌骨と喉頭軟骨は頸部へ下降することが推測された.3) 当然, 哺乳類の咽頭腔と咽頭筋は喉頭下降に伴つて進化したことが推測された.4) 以上の観察所見から, 両生類, 爬虫類, 鳥類の嚥下機能は哺乳類と異なる方法で行われることが推測された.2. 両生類, 爬虫類, 鳥類における咽頭筋の存否と嚥下機能1) 観察動物の口腔底は鰓弓軟骨と舌骨および喉頭軟骨より構築され, 哺乳類で観察されるような口腔部と食道部との間に存在する咽頭腔と咽頭筋は存在しなかつた.2) 観察動物では哺乳類に見られるような咽頭腔は存在せず, 喉頭-食道腔のみである. その理由は口腔に喉頭が未だ存在するからである. 喉頭の輪状軟骨後面には哺乳類と同じように食道起始筋が観察されるが, 喉頭-食道領域の腔背側には哺乳類の咽頭筋に相当する筋組織は認めなかつた.3) 観察動物の嚥下機能はそれぞれの動物で特徴的であることが推測された.3. 哺乳類における喉頭下降1) 喉頭下降は直立歩行への進化の過程の付随現象である.2) 喉頭下降は舌筋の発達を促進し, 喉頭腔と咽頭筋を進化させる.3) 喉頭下降は鳥類の喉頭軟骨 (鰓弓軟骨) の集合型から哺乳類の喉頭軟骨 (鯉弓軟骨) の分離型への進化によつて促進される.4) 上記, 分離進.