著者
海老原 章郎 新海 暁男 中川 紀子 増井 良治 三木 邦夫 横山 茂之 倉光 成紀
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.403-410, 2006-12-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
29

The final goal of this research project is the understanding of all fundamental biological phenomena in terms of physical chemistry. As a model organism for the structural and functional studies, an extremely thermophilic bacterium, Thermus thermophilus HB8, is very promising because of the small genome size, the availability of genetic tools for functional analysis, and the thermostability of its proteins (http: //www.thermus.org/) . In this report, we summarize the recent progress of this research project toward the systems biology.
著者
澤田 暁彦 三橋 渉
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.31-36, 1999
参考文献数
9

顔や表情の認識、顔画像の合成などを行うには、顔の特徴点の位置の正確な抽出が必要である。本研究では顔を含む自然画像から顔の特徴点検出を行う。注目画素から同方向、等距離離れた画素2点のそれぞれの勾配の向きが反対方向に向いている場合に大きな応答を返す変換として対称変換が知られている。この変換の応答の和が大きい画素を選択し、目のような対称的な構造を持つ特徴の候補点を絞り込む。その候補点を特徴点探索に用いれば計算量を軽減することができる。しかしこの結果だけではどの特徴(口、目など)点なのか、誤識別結果なのか判断が困難である。そこで主成分分析(PCA)を用いる。PCAを用いて特徴の学習パターンをクラスタリングし、特徴を表わすクラスの中心と特徴候補画像との距離が小さいものが目的の特徴点であると判別する。PCAにおいては対数極座標変換した画像から得られる自己相関画像を用い、顔の回転とスケールの変化にも対応できることを目的とした。
著者
池田 暁彦 水山 高久 原口 勝則
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.26-31, 2007-09-15 (Released:2010-04-30)
参考文献数
23
被引用文献数
1

Debris flows occur when enough water supplied into materials on torrential streams. The occurrence criteria of debris flow has been evaluated with rainfall. However, the critical rainfalls triggering off debris flow may be differ by the supply process of water into materials. Material has been as riverbed deposit before the rainfall, or is supplied by slope failures and landslides during the rainfall. The authors selected Nishinogaito torrent for the test field, where debris flows has occurred frequently in these several years. The authors analyze the critical rainfalls based on the supply process of materials. In the Nishinogaito torrent, the material has been supplied before rainfall. Analyzing the accumulated rainfall within the time of concentration, it was estimated to be ten minutes and the critical rainfalls triggering debris flow in the Nishinogaito torrent was found to be 17 mm per ten minutes. From the result, we described a possibility to estimate the supply process of materials and or its occurrence process of debris flow from analyzing the critical rainfalls.
著者
小泉 智恵 菅原 ますみ 前川 暁子 北村 俊則
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.272-283, 2003-12-05 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
5

働く母親における仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが母親自身の抑うつ傾向にどのような過程を経て影響を及ぼすのか,そのメカニズムを検討することを目的とした。仮説として仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーの抑うつ傾向に対する直接的影響と,仕事ストレツサー,労働時間,子どもの教育・育児役割負担によって生起した仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが子育てストレス,夫婦関係を介して抑うつ傾向に及ぼすという間接的影響が提出された。方法は,小学校高学年の子どもをもつ有職の母親で配偶者のある者(246名)と同学年の子どもをもつ無職の母親で配偶者のある者(131名)を対象として質問紙調査をおこなった。有職母親群の分析結果で,分散分析により仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが多くなると抑うつ傾向が高くなるという直接的影響がみとめられた。パス解析により仕事ストレツサー,労働時間の増加によって生起した仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが多くなると,夫婦間の意見の一致を減少させ,子育てストレスを高めることを介して抑うつ傾向を上昇させるという間接的影響がみとめられた。考察では仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが抑うつ傾向に影響しないようにするには,夫婦関係と子育てに関して介入,支援をおこなうこと,仕事ストレツサーの低減と労働時間の短縮が有効である可能性が論じられた。
著者
松阪 綾子 伊藤 暁生 粟野 由梨佳 殿原 真生子 横溝 香
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.105-111, 2021-06-25 (Released:2021-07-02)
参考文献数
23

食肉製品中の亜硝酸根含量は,ジアゾ化法による定量法が用いられる.この測定法は,試料中にアスコルビン酸,システインなどの還元物質が存在すると,それらが定量妨害となり亜硝酸根の測定値が低くなることが知られている.一方,食肉製品に原材料として使用される,醤油,魚醤やみりんが有している抗酸化作用が,この還元物質に該当するのではないかと推測し,これらを使用している食肉製品について検討を実施した.検討の結果,原材料として醤油や魚醤が使用されている食肉製品中における亜硝酸根分析において,定量妨害が認められる場合があった.ただし,醤油や魚醤はその製法により抗酸化力に差があることから,これらを含んだ食肉製品において,亜硝酸根の定量妨害が一律に生じるとは言及できない.しかしながら,醤油や魚醤を含んだ食肉製品中の亜硝酸根含量を測定する場合は,亜硝酸根の定量妨害が生じることを考慮し,異なる試料量を用いて同時に定量を実施し,定量値に差が生じていないかを確認する必要があると考えられる.
著者
高野 恵 佐藤 啓造 藤城 雅也 新免 奈津子 梅澤 宏亘 李 暁鵬 加藤 芳樹 堤 肇 伊澤 光 小室 歳信 勝又 義直
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.387-394, 2009-10-28 (Released:2011-05-20)
参考文献数
24

死後変化が進んだ死体において時に歯が長期にわたりピンク色に着染する現象が知られており,ピンク歯と呼ばれ,溺死や絞死でよく見られる.ピンク歯発現の成因として歯髄腔内での溶血により,ヘモグロビン(Hb)が象牙細管内に浸潤していくことが推測されているが,生成機序も退色機序も十分明らかになっていない.先行研究において実験的に作製したピンク歯では一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)や還元ヘモグロビン(HHb)によるピンク歯は6か月以上,色調が安定であったのに対し,酸素ヘモグロビン(O2Hb)によるピンク歯は2週間で褐色調を呈し,3週間で退色することを既に報告している.ピンク歯の生成・退色機序を解明するうえで,O2Hbによるピンク歯が早期に退色する現象を詳細に検討することは意義のあることと考えられる.う歯がなく,象牙細管がよく保たれた歯の多数入手が不可能であるため,本研究では象牙細管のモデルとして内径1mmのキャピラリーを用い,O2Hbによるピンク歯の退色について詳細に検討した.実際の歯とキャピラリーを用いてO2HbとCOHbの退色を比較したところ,キャピラリーはピンク歯のよいモデルとなることが分かった.キャピラリーを用いた詳細な実験で,O2Hbは酸素が十分存在し,赤血球膜も十分存在するという限られた条件において早期に退色することが明らかになった.このことはO2Hbに含まれる酸素が赤血球膜脂質と反応してHbの変性を来し,Hbの退色をもたらすことを示唆している.この退色は温度の影響をほとんど受けず,防腐剤の有無にも影響を受けなかった.死体では死後に組織で酸素が消費され,新たに供給されないので,極めて嫌気的な環境にあり,死後産生されたCOHbを少量含む主としてHHbによる長期的なピンク歯を生じやすいといえる.溺死体のような湿潤な環境で象牙細管へのHHbやCOHbの侵入と滞留があれば,ピンク歯はむしろ生じやすい現象といえるであろう.
著者
井手上 慶 里見 優樹 津邑 公暁 松尾 啓志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.169, pp.19-24, 2013-08-01

スマートフォンなどの普及に伴い,ガベージコレクション(GC)の性能が与える影響範囲が拡大している.一方, GCは主にアルゴリズム面で改良がなされてきたが, GC実行時のレスポンス低下など,重要な問題の根本的解決には未だ至っていない.そこで本稿では,多くのGCアルゴリズムがコールスタックを起点としてオブジェクトを探索する点に着目し,これを高速化するハードウェア支援手法を提案する.オブジェクトを探索する際には,コールスタック上の値からポインタを判別する必要がある.そこで,コールスタック上の全てのポインタを管理する専用の表を用いることで,従来のポインタ判別コストを削減しGCの高速化を実現する.シミュレーションによる評価の結果,提案手法がGCの高速化につながることを確認した.
著者
Pontell Henry N. Geis Gilbert 小西 暁和
出版者
埼玉大学経済学会
雑誌
社会科学論集 (ISSN:05597056)
巻号頁・発行日
no.123, pp.49-63, 2008-01

日本では, 強盗・脅迫・不法侵入のような街頭犯罪は賞賛すべき低い率にあるが, ホワイト・カラー犯罪は高い率にある。日本文化の諸特徴が日本社会に見られる違法行為の水準を説明してくれると期待している者達は, 二つの犯罪率の食い違いによって試されている。本稿は, 日本社会の上層にいる者達の犯罪に関するエピソードを概観し, 街頭犯罪を抑制している共同体主義のエートスがこの国の商業や政治の領域にまでは及んでいないことを示す。The discrepancy in Japan between the admirably low rate of street crimes, such as robbery, assault, and burglary, and the elevated rate of white-collar offenses challenges those who look to the characteristics of Japanese culture to explain the levels of law-breaking in the society. The article reviews episodes of upperworld crime in Japan and suggests that the communitarian ethos that inhibits street offenses does not carry over into the country's commercial and political realms.
著者
川田 暁
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.1875-1880, 2004-11-20 (Released:2014-12-13)
被引用文献数
1

Photoaging, which is different from intrinsic or chronological aging, is a skin change induced by chronic and repeated exposure to ultraviolet light (UV). Photoaging skin is characterized by sallowness, mottled pigmentation, solar lentigines, dry and rough skin, telangiectasia, loss of skin tone, leathery texture, laxity, coarse and fine wrinkles, and benign and malignant skin tumors. The dermis of photoaging skin displays solar elastosis and prominent alterations in the collagenous extracellular matrix of the connective tissue. Solar elastosis is the accumulation of massive amounts of abnormal elastic material in the dermis. Some studies using a novel transgenic mouse model expressing a human elastin promoter-reporter gene construct have revealed that an increase in human elastin promoter activity is involved in accelated synthesis of elastin-related proteins. UV irradiation induces an increase in the activity, mRNA, and protein of matrix metalloproteinases via downstream signal transduction through activation of MAP kinase pathways and may contribute to photoaging. Sunscreens are known to be capable of preventing photoaging.