著者
冨永 隆生 小川 暁郎 清水 厚志 渡邉 和孝 渡邉 和晃
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.15-20, 2021

<p><b>背景・目的</b> 高血圧症は脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を引き起こすケースが多く日常より予防的に摂取可能な機能性食品などの開発が推奨されている。高血圧症にはアンジオテンシンⅡの合成酵素であるアンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)を抑制する治療が行われている。本研究では降圧作用を示す大豆、及び米ぬか発酵物(OE-1)よりACE阻害活性を有するペプチド含有画分を分離、精製し、さらにペプチド配列の解析を行った。</p><p><b>方法</b> OE-1より疎水性クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーを用いACE阻害活性を有するペプチドの分離を行った。単離した各ペプチドからペプチドシークエンサーによりアミノ酸配列を解析した。</p><p><b>結果</b> ACE阻害活性を示す5種類のジペプチド、並びに5種類のトリペプチドが得られた。各ペプチドのアミノ酸配列は、ジペプチドがAY(Ala-Tyr)、GY(Gly-Tyr)、SY(Ser-Tyr)、NY(Asn-Tyr)、及びDY(Asp-Tyr)、一方、トリペプチドがYGS(Tyr-Gly-Ser)、YQG(Tyr-Gln-Gly)、SYN(Ser-Tyr-Asn)、YDQ(Tyr-Asp-Gln)及びYNP(Tyr-Asn-Pro)であった。ジペプチド類のAY、GY、SY、NY、およびDYのACE阻害活性(IC50値)はそれぞれ、30.5mM、184mM、96.7mM、32.6mM、及び18.3mMであり、トリペプチド類のYGS、YQG、SYN、YDQ、及びYNPはそれぞれ1070.1mM、746.7mM、1778mM、1736.2mM、及び484mMであった。</p><p><b>考察</b> OE-1の降圧作用には数種類のACE阻害ペプチドが関与していることが推測された。これらのペプチドは総合的にはたらいて降圧作用を発現していると考えられた。</p>
著者
俞 世洋 張 慶遠 栄 益 張 暁飛 張 旭 岡野 浩[編] 金 大一[編] 邬 素雅[編]
出版者
大阪市立大学都市研究プラザ
雑誌
都市と社会 (ISSN:24327239)
巻号頁・発行日
no.5, pp.42-51, 2021-03

2020年の新型コロナ・パンデミックは、世界的な経済発展の一時停止ボタンを押し、国内外産業の事業運営にも大きな影響を及ぼしている。本稿では、正常軌道に戻したかに見える中国における化粧品および自動車製造企業、中小の部品サプライヤーにとって突如としてコロナに見舞われた際に、オンラインのライブ配信をはじめデジタル・トランスフォーメーションなどを駆使するなどして、いかにして対応したか、また、アフターコロナ時代における姿勢や方向性について編者の求めに応じて示していただいた。本稿において共有されるコンテンツは、世界の人が様々な経験から学び、将来の不確実なリスクに対する抵抗力を高めることを目的としている。なかでも、サプライチェーンの再構築は、常にユーザーのニーズを一義的に捉えながら、革新的な研究開発の活力を維持し、優れた品質の製品が常に業界の発展の力の源であることが保証されるべきという点は重要であろう。
著者
楊 暁捷
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.13-30, 2012-09

詞書と絵によって構成される中世の絵巻は、独自の表現の規則を持つ。その規則を析出することは、絵巻読解の上で大事な課題である。この論考は、言語における文法の言説を応用して、「絵巻の文法」を構築しようとする。規則の細目を説明するために、中世絵巻の基準作である『後三年合戦絵詞』三巻十五段を用いる。「絵巻の文法」の枠組みを描き出すために、絵巻の表現方法をめぐる在来の研究成果を受け継ぎ、それを整理し、具体的な位置づけを与える一方、新たな表現の原則を見出すことを試みる。とりわけ時間と空間の表現に関連して、これまでの研究で繰り返し取り扱われた「瞬間表現」、「異時同図」、「単一固定視点の排除」に加えて、「同図多義」、「異次元の時空」などの概念を提出する。さらに構図にみる語彙と文型について、代表的な事例を詳しく分析し、絵巻における規則への反動、詞書にみる文字と音声という異なるメディアの特牲などを指摘する。
著者
富山 一 菅田 誠治 森野 悠 早崎 将光 小熊 宏之 井手 玲子 日下 博幸 高見 昭憲 田邊 潔 茶谷 聡 小林 伸治 藤谷 雄二 古山 昭子 佐藤 圭 伏見 暁洋 近藤 美則
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.105-117, 2017

<p>詳細な野焼き頻度分布についての知見を得るために、つくば市において巡回と定点カメラによる観測によって野焼き件数の分布を調査した。2015年秋季 (9~10月) に毎日巡回して燃焼物別の日別野焼き件数を調査し、降雨前に野焼き件数が多くなることが確認されたほか、野焼き件数の57%を占めた稲作残渣は稲の収穫時期から一定期間後に籾殻、稲わらの順で焼却されることが確認された。秋季の巡回調査に続き2016年8月まで4日に1度ほどの頻度で巡回し、月別野焼き件数を比較すると9~11月に多く、1~8月に少ないことが確認された。2016年1~12月にかけて行った筑波山山頂に設置した定点カメラからの観測では、1月、10月~12月に野焼き件数が多く、2~9月に少ないことが確認され、1日の中では午前10~11時および午後2~3時に野焼きが行われやすいことが確認された。2015年秋季の調査結果にもとづいて稲の収穫時期と気象条件から稲作残渣の年間野焼き発生量に対する日別野焼き発生量比を推計する回帰モデルを構築した。回帰係数から、降雨前に野焼き件数が増えること、強風により野焼き件数が減ることが定量的に確認された。構築されたモデルに都道府県別の稲収穫時期と気象データを適用して、従前研究では推計できなかった都道府県別の大気汚染物質排出量の日変動を、2013、2014年の稲収穫時期と気象データを適用して各年の野焼き発生量比の日変動をそれぞれ推計した。</p>
著者
谷川 亘 村山 雅史 井尻 暁 廣瀬 丈洋 浦本 豪一郎 星野 辰彦 田中 幸記 山本 裕二 濱田 洋平 岡﨑 啓史 徳山 英一
出版者
日本海洋学会 沿岸海洋研究会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.21-31, 2021 (Released:2021-09-07)
参考文献数
34

高知県須崎市野見湾では,白鳳地震によって水没した村『黒田郡』の伝承が語り継がれているが,その証拠は見つかっ ていない.そこで本研究では,野見湾内で海底調査を行い『黒田郡』の痕跡を探索した.その結果,海底遺構の目撃情報 がある戸島北東部の海底浅部(水深6m~7m)に,面積約0.09km2の沖側に緩やかに傾斜する平坦な台地を確認した. 台地表層は主に薄い砂で覆われており,沿岸に近づくにつれて円礫が多くなった.また,砂層の下位は硬い基盤岩と考え られ,海底台地は旧海食台(波食棚)と推定される.海水準変動と地震性地殻変動を踏まえると南海地震により海食台は 約7m 沈降したと推定できる.本調査では黒田郡の痕跡は発見できなかったが,水中遺跡研究に対する多角的な調査手 法を検討することができた.特に,インターフェロメトリソナーの後方散乱強度分布による底質観察とStructure from Motion(SfM)技術を用いた海底微地形の構築は,今後浅海における水中遺跡調査に活用できる.
著者
長井 美暁
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.889, pp.72-76, 2008-12-08

4面がガラス張りの箱の中に、曲面の壁で囲んだ部屋を外に向かって配置したプラン。住宅とは思えないほど開けっぴろげだ。前面道路は人通りが多くはなく、窓辺には薄手のカーテンが掛かっているとはいえ、塀はない。 家の中に入ると、ラウンジと呼ぶ中央のスペースが曲面の壁の合間を縫って外とつながる。
著者
王 暁峰
出版者
関西学院大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2007

太陽光発電の普及を実現するため、色素増感太陽電池(DSSC)が低コスト、高効率の太陽電池として期待されている。かかるDSSCにおける究極の低コスト化のための増感色素として、天然のワカメの中にたくさん存在するクロロフィルcの応用を目指す。クロロフィルcを用いたDSSCの効率は、世界で一番高い効率ルテニウム色素N719系の効率11%の約5分の2であるが、そのコストは約10分の1となる。本試験では、クロロフィルcの効率向上を中心に、安定性の改良、太陽電池としての最適化を行う。
著者
木村 俊之 高 建 坂下 幸司 黎 暁紅 浅岡 佐知夫
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.40-50, 2012-01-01
参考文献数
27
被引用文献数
8

ノルマルヘプタンを原料としてヘビーナフサ異性化触媒の開発を行った。ライトナフサ異性化触媒として開発されたPd/ナノサイズAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>/H-BEAゼオライト複合触媒はノルマルへプタンにおいてもナノアルミナ複合効果を発揮したが,高転化率では分解反応が進行した。そこで触媒の残留塩素除去処理を行ったところ,高転化率,高選択性を発揮したことから,残留塩素が塩化アルミニウムのような強い酸点となり,分解活性点として働くと考えられた。また,複合化したナノアルミナは,ゼオライトの強酸点をマイルド化し分解反応を抑制する効果があることが明らかとなった。ナノシリカとの複合化ではその効果が現れなかったことから,ナノアルミナの塩基性によって,ゼオライト表面の強酸点が中和されたと推測された。アルミナ複合触媒は,塩素除去処理を行うことで分散性が約2倍になったことから,ナノアルミナが有する塩素吸着能がパラジウムの分散性に効果的に働いたと推測された。
著者
岸田 直樹 坂本 結香 西部 有香 新田 真美 広池 暁子 村上 哲男 山口 友香 若林 友輝
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションプレミアム版
巻号頁・発行日
no.251, pp.PE13-18, 2018-09

平日の昼間に男性が「頭が痛いのでロキソニンを買いたい」と来局。頭痛持ちとのことで、以前にも当薬局にOTC薬の鎮痛薬を買いに来たことがある。
著者
加藤 暁子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
no.49, pp.149-161, 2019-02-28

昨今のグローバル社会の中で、日本のエンターテイメント業界も世界に通用する質が求められてきている。その中で世界的にも類を見ない女性だけの劇団として広く知られる宝塚歌劇団は2019年で創設105周年を迎える。異彩を放つその劇団の歴史などが記された書物は多く存在するものの、特色ある歌劇団についてこれまで公演提供者側からの視点で特長を記している論文記述は多くない。そこで本稿では公演提供者側の角度から歌劇団の特長を整理・探求してみることとした。具体的にはほぼ毎回のように鑑賞券を完売させる公演を創り出すマネジメントに注目した。そのマネジメント要素を掘り下げるにあたっては、公演もひとつのプロジェクトとして捉えることが可能と考え、近年注目が集まるプロジェクトマネジメントの視点で探求した。個別マネジメント群については国際規格策定機関である国際標準化機構(ISO)が2012年に発行したプロジェクトマネジメントに関する国際規格ISO21500の"10の知識エリア"のうち8つの知識エリアを利用した。その結果、ステークホルダーとしての「コアファン」やスコープとしての「全て歌劇団専属」など、本稿の目的であるプロジェクトマネジメントで押えるべき重要なポイントかつ歌劇団ユニークで特長的な要素を8項目ほど表出化することが出来たものと考える。
著者
大野 勝久 大竹 裕一 趙 暁波 木瀬 洋
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.187-193, 1995-08-15 (Released:2018-12-17)
参考文献数
11
被引用文献数
4

本論文は, ジャストインタイム生産システムにおけるライン停止のある混合品種組立ラインを考え, アイドル時間とライン停止時間を考慮した総費用を最小化する投入順序を決定する問題を論ずる.この問題にたいする分枝限定法によるアルゴリズムを開発し, 実用的なアルゴリズムとしてSimulated Annealingによるアルゴリズムを提案する.この近似アルゴリズムの種々のパラメータ値が分校限定法の厳密解を用いて効率的に設定される.そして, この近似アルゴリズムを実際の混合品種組立ラインへ適用し, その有効性を示している.
著者
彭 解人 程 雷 黄 暁明 三好 彰 陳 潔珠
出版者
JIBI TO RINSHO KAI
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.609-623, 1998

上咽頭癌 (nasopharyngeal carcinoma: NPC) は中国では最も多い悪性腫瘍の一つである。疫学的には広東省を中心とする中国南部の住民に多発する傾向がある。疫学的特徴としては、著しい地域集中性、群体易感性と家族集中現象および発癌率の一定性がみられる。病因学研究では、発癌の要因にEBウィルスの関与をはじめとする生活環境因子の影響が強い。中国におけるNPCと遺伝子との関連性について、癌遺伝子ras、c-myc、c-erB-2と癌抑制遺伝子RB、p53、p16などが注目されている。なお、遺伝子TX の発現に関して検討した。早期診断について、1986-1995年、中山医科大学癌センターは広東省のNPC高発生地域で10万人の住民を対象として集団健診を行った。健診の結果に基づき、NPC高発生地域での癌健診方式を提案し、NPCの前癌状態、前癌病変の判断基準を定めてきた。臨床分類に関しては、1992年に中国は新たなNPC臨床分類法を出した。この分類法はUICC分類法 (1996、改訂案) と比較して、両分類法とも大体一致しているが、NPC臨床分類法のほうが癌の進展と浸潤程度をより重視し、TN 分類についても合理性が高い。治療の面では、NPCは放射線感受性の高いものが多いので放射線治療が主体となる。多分割照射法・加速多分割照射法および個体化治療方案も重視されている。三次元照射治療はNPC放射線治療の技術で最も技術的に進歩をとげたものである。放射線療法に化学療法、外科治療を併用することで、生存率とQOLの改善はより効果的になる。前癌病変阻害剤と遺伝子治療に関する研究は重要な課題であり、新たな治療法として期待が持たれている。
著者
川又 英紀 長井 美暁
出版者
日経BP
雑誌
日経アーキテクチュア = Nikkei architecture (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1164, pp.32-53, 2020-03-26

2020年7月の東京五輪・パラリンピック大会の開幕が4カ月後に迫った。新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれてはいるものの、東京・晴海では「五輪選手村」の整備が最終段階を迎えている。そしてこの場所は、23年に「HARUMIFLAG(ハルミフラッグ)」という新しい…