著者
三村 雄一 柴田 誠司 久田 茂 児玉 晃孝 吉田 正尚 増山 剛 成田 隆博 立花 滋博 古谷 真美 桑形 麻樹子 早川 和宏 青木 豊彦 細川 暁 牧 栄二
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.39, pp.P-44, 2012

Wistar HannoverラットはSDラットに比して小型であり、生存率が高く、自然発生腫瘍が比較的少ないことから、安全性試験への利用が注目されている。今回、IGSラット研究会の活動として、4施設参画によるCrl:WI(Han)ラットの一般毒性試験に関する背景データの収集を実施した。下記の共通プロトコールを基に、各施設で試験条件を設定し、Crl:CD(SD)ラットの背景データとの比較を行った。共通プロトコール: • 観察・投与期間 : 4週、13週または26週 • 動物数 : 雌雄 n=10/ 性 (無処置または溶媒投与) • 飼育条件 : 任意 (実施施設で決定,飼料等の条件設定はしない) • 検査項目 : GLP 適用試験で実施する検査項目結果及びまとめ:Crl:WI(Han)ラットは、Crl:CD(SD)ラットと比較して、以下の特徴が認められた。なお、主要な所見について、施設間に相違は認められなかった。 • 体重及び摂餌量:低値 • 眼科学的検査:角膜混濁 頻度増加 • 血液学的検査:WBC、Platelet低値 • 血液生化学的検査:脂質系、AST及びALT低値 • 器官重量(相対):胸腺高値 • 眼の病理組織学的検査:角膜鉱質沈着 増加
著者
家田 暁 琴 智秀 萩原 将文
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.163-172, 2010
被引用文献数
1 2

本論文では感性を反映した構図修正による,デジタル写真の品質向上システムを提案する.提案システムでは入力画像に適した構図を自動選択し,画像の構図を原画像の印象を保ちながら修正することで,画像の品質向上を行うことができる.修正は4 段階の処理によって行われる.まず,入力された画像から主となる顔,際立つ領域,三角部分,水平線,対角線,遠近法消失点の6 種類の構成要素が検出される.検出された各構成要素の位置や他構成要素との関係から,それぞれの構成要素に適すると考えられる出力構図案が計算される.次にそれらの構図案から,原画像の印象から大きく変わってしまう案が削除される.すなわち,画像に対する構成要素の位置が大きく移動する案が削除される.最後に,残った出力構図案の中から原画像の印象を最も保つことが可能な構図案,すなわち切り出す面積が最も小さい構図案が選択され,その構図案に従い画像の構図修正が行なわれる.ユーザアンケートによる2 種類の評価実験を行った.その結果,提案システムによってユーザにとって好ましい修正が行われること,また既存手法と比較しても好ましい修正が行われることが確認された.
著者
佐藤 暁子
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.36, no.143, pp.25-29, 2016 (Released:2017-10-01)

現在,様々な科学分野で研究がなされているが,どのような科学研究もさらなる発展を図るためには,多くの人に周知してもらい,理解を得ることが重要である.しかし,一般の人にとって,科学研究は難しく,内容を理解することが困難なことが多い.そこで科学研究の結果を,可視化した画像で伝えることは,分かり易く有用であると考える.現に私は,科学研究室の一員となって,科学を可視化する仕事に携わり,科学分野の可視化の重要性を実証しようとしている.ただ,学問として科学を学んできたわけではなく,芸術を学び,デザイナーとして培ってきた経験をベースに物事を可視化している.本稿では,元々科学の知識を持っていない科学の素人が,科学研究者とどのようなコミュニケーションを取って科学を可視化しているか,その過程と事例を具体的に示す.また,芸術の立場から考察した科学分野での芸術の役割やその可能性についても述べる.
著者
王 暁雨
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.771-782, 2017-03-31

While revising the process of making the modern Japan, it's hard to not noticing the important role of translation works in this era. As one of the most important translators in Bakumatsu-Meiji period, Fukuzawa Yukichi's translation greatly helped the understanding of Japanese toward the Western world. Especially the easy-reading feature helped to make his works famous and influential at the time. In this article, we will discuss why, what and how Fukuzawa derived his idea and translating style through historical analyzation, which could also help revealing his inner understandings of Western culture and vision of modern Japan.
著者
海老原 暁子
出版者
JAPAN SOCIETY FOR GENDER STUDIES
雑誌
日本ジェンダー研究 (ISSN:18841619)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.4, pp.3-16, 2001

Looking at feminist fictional writings since the time of Charlotte Gilman's Herland from the perspective of how they dealt with the issue of reproduction, one can find a group of works using unisexual reproduction as the central theme or as an important motif. This paper examines one of them, <I>Marginal</I> (1985), a girls'manga (comic) by Moto Hagio. Girls' manga are an important source of insight into Japanese women's views on their gender, and this paper outlines the history of girls' manga in comparison with the boys' counterpart, which provides a clue as to what made Hagio use the theme of unisexual reproduction in<I>Marginal</I>, in which she attempted to examine the concept of maternity.<BR>In the first phase of manga's development from the late 1960's up to the 1980's, both girls' and boy's manga were based on illusions about the opposite sex. Boys in girls' comics were either dashing gentlemen or handsome rebels aching for maternal love, whereas boys' comics were interested in girls only as the object of the macho hero's desire. However, from the late 1980's, while Boys' manga stayed with its fantasies of women as mere recipients of the male sex drive, girls' manga started to see men in a more sober light. The gap between the ideal of equal partnership and reality began to feature strongly, and themes such as homosexuality, transsexualism and transvestism have been given a serious examination.<BR>This shift was a result of a significant change in Japanese women's view on reproduction. As women acquired education and financial independence, they rejected the notion that a woman's happiness lies in love, marriage and childbearing ; the link between marriage and motherhood was broken. Stories centring on the theme on unisexual reproduction appeared in girls' manga amidst this tidal change.<BR><I>Marginal</I> is a sci-fi manga set in 2999A.D., when Earth is a polluted and diseased planet long deserted by most humans after a pandemic viral infection 700 hundred years earlier made all women infertile. A company that runs an economic empire across the solar system maintains experimental colonies on Earth where no babies can be born and all inhabitants are men. The company supplies the colonies with test-tube children through a pseudo-religious system, but inhabitants live under a dark shadow of apocalyptic pessimism. Hagio examines maternity in an imaginary world where, in the absence of women, motherhood is artificial and there are no heterosexual relationships.<BR>A scientist who has been running illegal reproductive experiments in a hideout on Earth is killed by the company, and a product of his experiments, a telepathic hermaphrodite with the ability to tune into other people's dreams and wishes, survives the attack and encounters colony men. The psychic child causes a catastrophic flood when he responds to the wishes of colony dwellers who dream their doomed world to end, but in a dramatic climax, he empathizes with the Earth's dream of ancient blue seas that nurtured life, a dream of life.<BR>The ambiguous ending of<I>Marginal</I> seems to support conventional praise of maternity, but here the hope of regeneration comes not from the child's ability to conceive but through restoration of the Earth's productive potential. Hagio sees maternity as something more fundamental than the materialistic notion of baby-making; to her, restoration of the fertility of the Earth, the source of life itself, is the paramount concern.
著者
白井 暁彦 佐藤 勝 草原 真知子 久米 祐一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.691-697, 1999-12-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2

A mixed reality amusement system employing foot interface, "Fantastic Phantom Slipper", has been developed. The system includes slipper-like wearable devices, optical motion capture and a hemispherical floor screen with a video projector. Phantom sensation is elicited by vibrators in the soles of the slippers to transmit information from floor. Most important concept of this work is to experience cyber worlds through human actions and sensations intuitively. With this system, players can enjoy walking into, and feel cyber worlds with their own feel as they do in real worlds. In this paper, the concept of this work, system configuration, amusement content and players' reactions are described.
著者
三宅 雅子 志賀 久里子 柳原 茂人 遠藤 英樹 大磯 直毅 川田 暁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.105-109, 2018 (Released:2018-12-14)
参考文献数
13

80歳代,男性。以前より糖尿病があり,インスリン治療を行っていた。初診の2ヶ月前から左下腹部に皮下硬結が出現したため近医皮膚科を受診し,精査目的で当科に紹介された。当科初診時,左下腹部に 4~5cm 大の自覚症状のない皮下硬結を認めた。臨床経過,臨床所見,病理組織所見からインスリンボールであると診断した。インスリンボールはインスリン由来のアミロイドがインスリン注射部位に沈着することにより生じる皮下腫瘤である。インスリンボールは他部位と比べつまみやすく,注射時の痛みを感じにくいためインスリン使用患者は腫瘤部を好んでインスリン注射部位に選ぶ傾向にある。しかしながらインスリンボールは他部位と比べインスリンの吸収が阻害されるため,患者の血糖コントロールの悪化につながる。糖尿病患者を診察する際はインスリン注射部位を観察し,インスリンの注射手技を定期的に確認・指導することが望ましいと考える。(皮膚の科学,17: 105-109, 2018)
著者
下畑 享良 木村 暁夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001673, (Released:2021-11-18)
参考文献数
33

抗IgLON5抗体関連疾患は,2014年に睡眠時随伴症,閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害と,タウオパチーを示唆する病理所見を呈する疾患として報告された.これまで八つの臨床病型が報告されている.睡眠時随伴症と閉塞性睡眠時無呼吸症候群を合併する患者,また運動異常症,運動ニューロン病,認知症患者において特徴的な睡眠時随伴症を合併する場合は,血清ないし脳脊髄液の抗IgLON5抗体を測定することが望ましい.一般に予後は不良であるが,免疫療法により改善する症例も報告されており,早期診断による病初期からの免疫療法が,予後を改善する可能性がある.
著者
加藤 純 伊藤 辰美 工藤 昌子 杉田 暁大 佐藤 義昭 朝倉 健一
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.78, 2005

【はじめに】インフルエンザは冬季感染症のひとつとしてよく知られている。近年、新聞、ニュース、インターネット等で多く報道されており一般市民の関心も高い。当院でもインフルエンザ集計データをホームページで情報公開している。<BR>今回我々は、04/05シーズンに当院で実施したインフルエンザ迅速検査からみた流行状況の報告を行なう。<BR>【対 象】期間:2004年11月1日(45週)から2005年4月3日(14週)、依頼件数:3071件、迅速検査キット:エスプラインインフルエンザA・B-N<BR>【結 果】'05-14週までの集計でインフルエンザ迅速検査結果は、A型(+)281件、B型(+)780件、A+B(+)2件であった。今シーズン最初に検出されたのはA型(53週目)であったが、その後B型の流行が6週目から見られ11週目にピークを迎えた。以後、減少傾向であった。A型の流行はB型流行時の10週目から見られ13週目にピークを迎えた。年齢別は、1-5歳児の陽性率が最も高く(A型:24.4%、B型:26.3%)、また15歳以下の陽性率が全体の過半数を占めた。受診者ワクチン接種率は60歳以上高齢者で54.7%、1-5歳児42.1%であったが、10歳から30歳代は20%以下の低接種率であった。ワクチン接種済みインフルエンザ(+)判定が見られた(A型: 27.8%、B型: 25.4%)が、インフルエンザ(+)のほとんどがワクチン未接種(A型:70.5%、B型:72.3%)であったことからインフルエンザ予防にワクチン接種は有効であると思われた。また、検査時の受診者体温測定結果集計もおこなった。<BR>現在、当地域ではインフルエンザがまだ終息しておらず全て集計できていないためこの詳細は学会当日に発表させていただきます。
著者
坂田 昇 渡邉 賢三 細田 暁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.999-1006, 2014
被引用文献数
2

コンクリート構造物の表層部分は,構造物の耐久性に大きな影響を及ぼす重要な部位であり,かつ,表層部自身の品質は施工要因の影響を大きく受ける。そこで,コンクリート構造物の表層部の品質を目視調査に基づいて合理的に評価する方法を用いることによって表層品質に与える要因を分析し,品質向上につなげた事例について紹介する。さらに,分析の結果から,表層品質向上に対して合理的な手法の一つとしてブリーディング抑制型AE 減水剤に着目し,その特徴,適用事例および表層品質の向上効果について紹介する。
著者
松井 克憲 鹿野 共暁 長橋 ことみ 大川 直子 有澤 奈良 成瀬 香織 鈴木 留美 稲本 裕
出版者
静岡産科婦人科学会
雑誌
静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.126-130, 2019-09

ペグフィルグラスチムは持続性のG-CSF刺激作用を保持し、末梢血中の白血数を増加させる働きをもつ。症例は55歳。再発卵巣癌に対して、DC療法 (ドセタキセル70 mg/m2+カルボプラチン AUC≓ 5) とペグフィルグラスチムを投与中であった。DC療法4コース投与後に発熱と全身倦怠感を主訴に来院した。抗菌薬投与を行ったが、解熱を認めなかった。精査目的に撮影した造影CTで胸部大動脈の壁肥厚と左側優位の両側胸水貯留を認めたため、大動脈炎と診断し、プレドニゾロンの投与を開始した。症状はただちに軽快し、大動脈の壁肥厚も改善した。がん化学療法時に発熱とCRPの上昇を認めた症例は、細菌感染症以外にも血管炎を考慮する必要がある。
著者
小松 啓 窪田 暁子
出版者
東洋大学
雑誌
東洋大学児童相談研究 (ISSN:02885247)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.17-30, 1998-03

今日わが国の社会福祉援助技術の領域で心理・社会的アプローチと呼ばれているモデルは,フロイトによる精神分析理論(力動精神医学)に基づく診断主義的ケースワークとしてアメリカで1920年代から発達し,アメリカのケースワークの主流となり,その後わが国でも取り入れられた援助方法である。わが国では主に児童相談所や精神医学ソーシャルワークの分野で用いられ,利用者や利用者の家族に対する治療的処遇及びその理論に基づくスーパービジョンの方法などにより,特に児童相談所を児童の臨床機関として機能させることに貢献した。その後児童相談所の行政色の強まりと共に,児童相談所の臨床機関としての機能は低減したが,児童及びその家族を行政機関において深く治療的に処遇することができた功績と,診断主義的アプローチの人間理解の深さの意義は,今日の社会福祉実践の領域において再検討されるべきであると考える。
著者
本村 暁
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.68-77, 2021 (Released:2021-04-13)
参考文献数
36

【要旨】 失語症の定義、失語症候群の意味、失語症分類について臨床医の観点から論じた。失語症分類:症状を整理し、症例をグループ分けする方法であり、病変部位や閉塞血管との一定の対応関係がある。原発性進行性失語の分類は、病変の分布や分子病理との対応関係が明らかにされつつある。失語症候群:4つの言語様式全般にわたる言語症候の組み合わせからなる症候群である。左大脳半球の病巣を示す。血管性失語と変性性失語の相違、言語野の回路網の最近の考え方について述べた。失語症の定義:難問であり、万人が納得できるよう定義することは困難であるともいわれている。脳の個体差、病前の言語能力という多様性と、症候群(症候の組み合わせ)の定義であることに起因していると考えられる。
著者
李 暁博 Xiaobo LI
出版者
創価大学日本語日本文学会
雑誌
日本語日本文学 (ISSN:09171762)
巻号頁・発行日
no.26, pp.55-72, 2016-03-20

本稿は、「自己」を、他人との対話の中で構築され、可変し、交渉されるものだと捉える上で、筆者が中国で行った構成主義的日本語の授業を履修した一人の大学生の自己変容のストーリーを叙述し、バフチンの「対話」という視点から分析を試みた。本研究の意味は、人間の自己変容のプロセスを「対話」の視点から解釈する可能性を提示したのみならず、教師は本当の意味の「学びの共同体」に学生たちを参加させれば、学生たちの変容が驚くほどに起きるという可能性を見せてくれたところにもあろう。対話