著者
望月 由美子
出版者
札幌市立大学
雑誌
札幌市立大学研究論文集 = SCU journal of Design & Nursing (ISSN:18819427)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.3-18, 2016-06-30

本研究は15,16 世紀のイタリア・ルネサンス絵画におけるユダヤ表象について分析を行うものである.イタリアの宮廷都市を代表するマントヴァのゴンザーガ家では代々,ユダヤ人の経済・思想文化に対する寛容策がとられており,その政治経済運営の一側面を特徴づけていた.とりわけ,マントヴァ侯爵フランチェスコ二世と夫人イザベッラ・デステの治世下では異教文化に肯定的な精神思潮が開花し,著名な人文主義者ピーコ・デッラ・ミランドラ,エジディオ・ダ・ヴィテルボ,マントヴァ貴族のパリーデ・チェレザーラ等が再評価したユダヤ神秘主義思想(カバラ)もひとつの流行的な関心を集め,さらにヘブライ語もまたラテン語やギリシア語に並ぶ第三の聖なる言語として崇敬された.その文化的潮流のなかで,ゴンザーガ家の宮廷画家アンドレア・マンテーニャはヘブライ語をモティーフとする絵画制作を行っており,本論ではそれが看取できる四作品《エッケ・ホモ》,《シビュラと預言者》,《ミネルヴァ》,《聖家族と洗礼者ヨハネの家族》の図像分析を行う.分析に当たっては,マントヴァで共有されていたユダヤ文化に対する関心と,従来のユダヤ人に対するキリスト教社会の態度,すなわちユダヤ人をキリストの敵とみなす伝統的な差別の文化形式の双方を鑑みつつ行い,マンテーニャの作品に見るこの時代独特のユダヤ宗教思想に対する知的・精神的態度なるものを明らかにする.
著者
森 陽子 望月 清 樋口 輝久 馬場 俊介
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.45-57, 2004

<I>Fuji-bashi</I>, completed in 1915 over the Fuji River in Sizuoka Prefecture, is probably the longest span suspension bridge as well as only one railway suspension bridge in Japan before the World War II. However it's existence has been forgotten for a long time. The reason of oblivion will be as follows; that is, it was constructed by a private paper-manufacturing company, and it was used only four years until it was destructed in the stormy night with intent to save disaster. The purpose of this paper is to regain its reputation, and try to emphasize that <I>Fuji-bashi</I> is one of the important structures in the history of civil engineering of the modernized era in Japan. The paper contains lots of original data concerning its construction.
著者
田村 俊明 鈴木 史朗 大和 明子 須藤 一郎 原田 容治 望月 衛
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.8, pp.1043-1047, 2000-08-05
被引用文献数
2

症例は39歳女性,皮膚黄染を主訴に入院となり肝機能障害とIgMHA抗体陽性を認め,急性A型肝炎と診断された.40日で軽快退院したが,退院後17日目に再度肝機能が増悪し再入院となった.抗核抗体陽性,高ガンマグロブリン血症を認め,肝生検では慢性活動性肝炎像を呈し自己免疫性肝炎と考えた.プレドニゾロン投与が著効し経過良好で現在も外来通院中である.急性A型肝炎を契機に診断した自己免疫性肝炎の報告例は少なく,我々は国際診断基準を含め自己免疫性肝炎の診断について若干の文献的考察を加え報告した.
著者
望月 善次 MOCHIZUKI Yoshitsugu
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-66, 1989-03-01

野口芳宏氏(木更津市立波岡小学校教頭)は、授業の名手として名高い。野口氏の(「国語」)授業力の考察は、生成途上にある国語科授業研究の上に示唆するところ大きいのではないかと考えられる。氏の授業力の「構造」を明らかにし、それに基づいた「国語科教師教育教程」を作成しようとするのが、野口氏の授業を考察しようとする筆者の全体構想である。今回は、それに至る一つの道程として、氏の授業の中でも著名なものの一つである「うとてとこ」(谷川俊太郎」についての第1回の考察を行う。許された誌面の関係から、「授業記録」の提出がその中心的作業となる。
著者
望月 高明
出版者
都城工業高等専門学校
雑誌
都城工業高等専門学校研究報告 (ISSN:0286116X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.42-31, 2008-01

本稿では前号に引き続いて、楠本碩水の生、わけても退隠後の梅林山荘時代について述べる。読書と講学の両者は、碩水の後半生におけるアルファであり、オメガァであった。そして、本稿では主として「講学」という私塾における講義を中心とする碩水と塾生たちとの共同という象面に焦点を当てて、その後半生を追跡しようとした。棄禄とともに始まった碩水の後半生は、始めから終わりまで貧窮とともにあった。その日常は、名利の生というものとはおよそ縁遠いものであった。そして、そのような清貧の生か、明治という時代に対するアンチテーゼとしての象徴的意味を担っていることを論じた。碩水はまた、私塾における教育の苦心を語っている。その主旨は、今日の学人は「古人の意思気象」を合点していないために、その弊害が少なくないというものである。このことが、碩水の講学において重要な地位を占めていることを指摘して、それが宋学の学問の本質に根差したものであること、更にはその意義について論じた。また、碩水は「塾規」を制定しているが、その中で伝統思想が筋道立った秩序性を失っていよいよ断片的性格を強めていった明治以後においても、依然として孔子・朱子の精神を標榜している。このことは突き詰めていけば、明治時代において朱子学者であることとは、畢竟どういうことかという問いへとわれわれを導く。そして、この問いを解くキー・ワードとして「例外者」という概念に着目した。
著者
望月 本多 高 新居 康彦 蓑輪 利光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
信学総合大会, 1995-03
巻号頁・発行日
1995
被引用文献数
2

列車や航空機の発着案内を行う自動案内放送システムでは、単語音声を接続する編集合成方式が採用されている。このシステムにおいて、もし既存のDB(データベース)から新しい単語音声を生成することができれば、新たな単語音声が必要になった際に、音声DBを再構築することなくシステムの継続運用が可能となる。本報告では、収録済みの単語音声を用いて新しい単語音声を生成するシステムについて検討した結果を報告する。
著者
大木 典雄 望月 茂喜 伊藤 昭浩 阿部 文昭 小川 修 保坂 陽之助 秋山 稔 持田 泰秀
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.19-22, 1998
被引用文献数
2 2

The seismic isolation retrofit of the main building of the National Museum of Western Art required excavating the foundation ground under the existent building and installing isolation devices beneath the existing footings. Before the installation of isolation devices, it was necessary to construct piles beneath the existing footings in order to support the weight of the building temporarily during excavation process. The piles were made of steel pipe segments, and were driven by oil jacks utilizing the weight of the building for reaction force. During the retrofitting process, the subsidence of the building supported by the piles were monitored and controlled to avoid causing damage to the superstructure.