著者
望月 博昭 小牧 博文 森田 誠 草道 いずみ
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.115-121, 2003 (Released:2003-12-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

これまでの研究において明らかにされていない,トンボが実際に野外を自由に飛行する場合の羽ばたきと,風胴中で羽ばたく二つの場合の羽ばたきをハイスピ-ド・ビデオカメラで観察した.その結果,上下に大きく羽ばたきながら自由飛行する場合と,風胴内の羽ばたきの周波数はほぼ同じ値になることを確認した.またスモ-クワイヤ法を用いて風胴中で羽ばたくことによって生じる流れを観察した結果,羽の打ち上げや打ち下しに伴って複数の渦が現れ,そのサイズが大きくなりながら互いに合体して流れていく様子を明らかにした.またトンボが水平飛行,上昇飛行及び下降飛行する場合に生じると思われる流れ,すなわち風胴中の羽ばたきにおいて後流が水平方向,下方及び上方に流れる三つの場合の後流の状態を35mmカメラで観察した.その結果,三つのそれぞれの場合に応じて上流からトンボに向って流入する流れの流線は異なる曲率を描くことを明らかにした.
著者
望月 智之 関矢 一郎 二村 昭元 宗田 大
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

肩腱板断裂の修復部に関節のふくろを裏打ちする組織から採取した細胞を投与することにより、治癒を早めることができるかの研究を行った。ラットを使用し、まず膝と肩のどちらから採取した細胞を比較し、膝からの細胞のほうがすぐれていることを証明した。ラットの両肩に腱板断裂を作成し、片側には膝からの細胞を投与した後に修復を行い、反対側の肩関節は何も投与せず修復のみを行った。修復後2週、4週、8週の時点で修復部位の評価を行うと、細胞を移植したほうがしっかりとした構造をつくっていた。また修復した部位を引っ張ってみると、修復後2週の時点では細胞を移植した方が強く固着されていた。
著者
西森 年寿 望月 俊男 椿本 弥生 山内 祐平 久松 慎一 中原 淳 大浦 弘樹
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.309-316, 2014-12-25 (Released:2016-08-11)

筆者らは,大学教育での学生によるレポート課題などにおける問題設定の支援を目的として,映像資料閲覧を支援するための視聴プレイヤーMEET Video Explorerを開発した.教育現場での映像アーカイブ利用が普及し,一人一台環境が実現されるなかで,こうしたツールの利用可能性が高まっている.本研究では実験授業においてこのツールを用い,問題設定に対して映像アーカイブの個別視聴が与える効果と,ナレッジマップ機能の持つ効果について検討を行った.個別視聴活動と講師が説明を行う一斉視聴活動を行った群の比較から,個別視聴群では一部の問題に凝集しない問題設定が行えていることが分かった.また,ナレッジマップの作成により,複数の情報を統合しようとする独創性の高い問題設定が支援できる可能性が示唆された.
著者
望月 仁志 中里 雅光 塩見 一剛 十枝内 厚次 石井 信之
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

慢性砒素中毒は多臓器にまたがる障害を生じ、近年多くの国において健康被害の脅威となっている。宮崎県土呂久地区では、1920年から1962年に高濃度慢性砒素中毒患者が生じた 。住民検診において、多くは温痛覚性末梢神経障害を呈し、重症例では深部感覚障害を併発した。体性感覚誘発電位では重症例において中枢伝導時間の遅延が認められた。低濃度の飲料水砒素汚染が広がっているミャンマー国における住民検診にて、神経学的評価を実施した。50ug/Lを越えた飲料水摂取群では振動覚性末梢神経障害と中枢神経障害を呈した。これらの結果は、初めての知見であり、世界に数千万人と言われる砒素中毒患者の診療に重要な情報となる。
著者
天国 邦博 呂 恒倹 望月 利男
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.57, pp.87-103, 1995

人口密集地域の直下で発生したM7.2の1995年兵庫県南部地震(1月17日午前5時46分)は、神戸市を中心として、阪神・淡路地域において極めて大規模な人的、物的被害を与えた。災害に備え、同じ被害を二度と発生させないために、多くの研究者は、今回の地震災害、震災対応などに対して、様々な角度から調査、研究を行っており、震災に関する情報が多く報告されている。しかし一方では、今までの震災や、調査報告は、その内容がほとんど被害の大きい地域に関するものであり、被害規模が相対的に小さい地域に関する報告が比較的少ない。例えば大阪府のような被災周辺地域の被害については、せいぜいトータル的な人的被害と物的被害の集計値を報じ、被害内訳に関する比較的詳細な報告が少ないと思われる。このことは、大阪府などのような被災周辺地域における被害の数告は、神戸市、西宮市、芦屋市などの大規模被災に比べて、その規模が小さいために生じた調査、報告の偏りであると考えられる。しかしながら、災害の全体像を把握するためには、被害の波及範囲の究明が重要であり、震災周辺地域における被災様態に対する調査は不可欠と考える。また、被害規模が比較的小さい地域に対する調査、分析は、重大な被害を受けた地域に対する相対的・副次的現象、また、見落としやすい現象や、被災者及び避難者の実状などの掌握の補充に寄与するものと考えられる。本論文は、大阪府内の主な被災地である豊中市において発生した家屋被害、ライフライン・道路の被害、また人的被害及び避難者の実態などにつてまとめたものである。
著者
佐藤 真 山高 博 古明地 勇人 望月 祐志 中野 達也
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.2P10-2P10, 2011

水性溶媒中での<I>t</I>-BuClの加水分解反応は、求核的溶媒関与(NSA)と求電子的溶媒関与(ESA)の反応に与える影響が長年の間議論の対象となっている。本研究ではフラグメント分子軌道法と分子動力学法を組み合わせたFMO-MDを利用して、溶媒分子をあらわに含んだ液滴モデルにおける、<I>t</I>-BuClの加水分解シミュレーションを行い、反応プロファイルの作成およびNSAとESAの定量的な評価を行った。
著者
望月 大輔 大谷 誠 渡辺 健次
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.167-168, 2010

近年、パスワードを要求するウェブサイトの増加により、一度の認証処理によって複数のサーバ上のアプリケーションが利用可能になるシングルサインオンの需要が増えつつある。その中でもShibboleth認証によるシングルサインオンが増えてきている。しかし、既存のウェブメールシステムではShibboleth認証に対応できなかった。本システムは、Shibboleth認証により、シングルサインオンに対応するウェブメールシステムを開発した。
著者
福島 杏子 高野 誠 望月 麻友美
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.366-368, 2017-10-28

一般講演要旨
著者
町田 樹 望月 大輔 安孫子 悠 大岸 智彦 峰野 博史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.168-178, 2018-01-15

今日のモバイルデータ通信は時間帯や地域によって通信インフラの負荷が偏り,モバイルデータトラフィックの収容効率が低下するという課題がある.そこで遅延耐性のあるモバイルデータトラフィックを適切に遅延させ,通信インフラの負荷を分散してモバイルデータ通信の空間利用効率を高めるモバイルデータオフローディングプロトコル(MDOP)を提案してきた.このMDOPは,eNBの負荷状態,モバイル端末の移動,データの遅延耐性を考慮し,トラフィックの送信レートを制御することで,時間的,空間的,通信路的の3つの次元でモバイルデータ通信の負荷を分散させる通信プロトコルである.本稿では特に,MDOPの空間的オフローディングを実現する具体的な処理を検討し,ネットワークシミュレーションによって評価した.実際の人の移動を再現したシナリオで詳細評価した結果,高負荷な基地局では滞在中のユーザが多くのデータを送信できること,移動ユーザは低負荷なeNBで多くのデータを送信できることで,遅延耐性のあるモバイルデータトラフィックのピークシフト可能なことを確認した.The demand for mobile data communication is increasing rapidly. Furthermore, as a feature of the traffic, there are two localities "temporal locality" and "regional locality". In order to solve these localities of the traffic, we have proposed Mobile Data Offloading Protocol (MDOP). MDOP controls the delay tolerant data such as the data of cloud sync storage and uploading the data of drive recorder and so on. Furthermore, MDOP balances the load of eNBs using three offloading methods of time-wise offloading, place-wise offloading and link-wise offloading. MDOP has not yet solved regional locality problems; hence we propose the place-wise offloading in MDOP. We evaluated the performance through network simulation with mobility scenario based on real world user's mobility. From these results, it was confirmed that the place-wise offloading was able to send more data by staying user in high load eNBs, send more data at low load eNBs and peak shift of mobile traffic localities by using delay tolerant data.
著者
中井 泉 山崎 一雄 望月 明彦 飯田 厚夫 河嶌 拓治
出版者
筑波大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1988

最終年度はこれまで不十分であった状態分析に重点を置いて研究を進め、以下の成果が得られ美術考古学試料の新しい分析法として確立できた。a)古代鉄器の腐食相の状態分析弥生時代のものと推定される腐食した鉄刀について、鉄の2次元状態分析を行った。試料は中心部に反射率の高い金属鉄の地相があり、周辺部は赤褐色のさび相が発達している。またその外縁部には黒色のやや反射率の高い相が帯状に広がっている。それぞれの部分について、鉄の吸収端スペクトルを測定した結果、黒色の酸化相は四三酸化鉄(磁鉄鉱Fe_3O_4)の様な2価と3価の鉄を含むもの、赤褐色の酸化相の部分は酸化第二鉄または針鉄鉱(FeOOH)であることがわかった。さらに選択励起蛍光X線分析により、状態別の2次元イメ-ジを得、鉄器の鉄地相とさび相の分布状態をイメ-ジとしてとらえることができた。このような分析は放射光蛍光X線分析で始めて可能になったものである。b)天目茶碗の油滴の状態分析中国福建省建窯の窯跡からプラマ-教授が1935年に採集した油滴文様のある天目茶碗の破片について研究を行った。本研究は建窯で焼造された曜変天目茶碗の研究の一貫として行ったもので、油滴の実体と成因を明らかにすることを目的とした。油滴の部分は周囲の地の部分に比べて鉄が濃縮しており、鉄のK吸収端スペクトルにより両者の状態を比較した。標準試料との比較により、油滴の部分のスペクトルの吸収端エネルギ-はFe_2O_3に類似し、また地の部分のスペクトルのエネルギ-はFe_3O_4に近く、前者の方が含まれる鉄はより高い酸化的状態にあることがわかった。油滴の成因として焼成時に於ける内部からの気泡の発泡によるという説が有力であるが、今回の結果は内部から酸素などの酸化性のガスが発生し、周囲に比べて鉄が酸化されたと考えると妥当である。
著者
下垣 保恵 郡山 健治 田中 雅博 望月 裕司 豊田 嘉清 中井 直治 河野 厚
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.329-334, 2010 (Released:2010-12-31)
参考文献数
30
被引用文献数
1

50歳,女性.2003年9月に全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus ; SLE)を発症.抗Sm抗体陽性.右水腎症.プレドニゾロン(prednisolone ; PSL)40 mg/日で治療開始.大腿骨頭壊死(2B),ステロイド精神病合併.2005年5月PSL15 mg/日まで漸減中に尿蛋白再出現でシクロスポリン(CyA)併用開始.1年後,嘔吐を伴う激しい頭痛を繰り返したが画像診断上は異常を認めなかった.2007年2月タクロリムス(TAC)に変更,頭痛は消失したが,同年9月頃より左優位の巧緻性運動障害,振戦,小刻み歩行等を認めた.2009年6月ドーパミントランスポーターのイメージング(DAT)検査にてパーキンソン病(Parkinson's disease ; PD)確定診断.遺伝子解析で孤発性PDと判明.TAC中止によりParkinsonismは一部改善し,薬剤性が示唆された.TAC投与中のSLE患者に振戦を認めた場合,Parkinsonism誘発の可能性があるため減量や中止を考慮すべきである.