著者
望月 史郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.69-78, 1995
参考文献数
9

本稿は,1953年から1990年までの新聞広告を主たる資料として,戦後日本における電気掃除機変遷の大要を解析したものである。広告量,吸塵性能,価格,ネーミング,ヘッドラインなどの項目ごとに変遷過程をたどり,普及率,保有数量,国内出荷台数などの統計資料と関連づけて考察を加えた結果,電気掃除機の変遷過程の4区分と,変遷解析の視座を下記の通りに明らかにした。(1)第1期はホウキから電気掃除機への転換を呼びかけつつ製品の改良を試みる,市場開拓期と位置づけられる。(2)第2期は,多様な改良を重ねて,企業間の競争を本格化させながら,普及を急速に進める普及・急成長期である。(3)第3期は,成長過程の軌道を修正しつつ,生活提案型計画を模索する安定成長期と見なせる。(4)第4期は,生活提案型計画を充実させ,脱成熟化を図る付加価値期である。(5)変遷解析の視座は,基本機能,操作性,付加機能,影響削減,造形の5側面に分類できる。
著者
望月 史郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.23-32, 1999
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿は, 新聞広告を主たる資料として, 電気掃除機の基本機能である吸塵性能の, 変遷過程および開発・改善の方法について解析したものである。その結果明らかになったことは, 下記の通りである。1)1950年代の市場開拓前半期を経て, 60年代初頭から吸塵性能について種々の改善が試行され始めた。それが本格的に実施されたのは, 60年代半ば以降の普及・急成長期である。石油危機を契機に効率重視へと方向転換した後, 吸引力増強競争が再び始まる。その変遷は, 第1報で述べた時期区分に, ほほ対応している。2)吸塵性能は単に吸引力の増強に基づくだけでなく, 機能低下防止策によっても, もたらされている。そのように, 基本機能の改善方法に限定しても, 多種多様な手段がある。それはすべて特定部位改善の着眼点となる。さらにそれを異なる角度から抽象化し, (1)〈絶対値向上型〉〈相対値向上型〉(2)〈一石二鳥型〉〈連動型〉〈矛盾解消型〉(3)〈原因療法型〉〈対症療法型〉(4)〈付加型〉〈組み合わせ型〉(5)〈再生型〉という, 5類型の概念に整理した。
著者
石永 正隆 望月 てる代 上田 愛子 市 育代 七枝 美香 小田 光子 岸田 典子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.291-296, 2001-10-10
被引用文献数
2 3

小学生100人の1日の飲食物から脂質摂取量を陰膳方式で実測した。その結果, 平均39.7g/dayの脂肪酸を摂取していたが, 男女とも肥満児と非肥満児間で有意差はみられなかった。成人の場合に比べて, 飽和脂肪酸が4-6%多く, 多価不飽和脂肪酸特にn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量や割合がともに成人の半分ほどで3.3%であった。魚介類由来の脂肪酸の平均摂取量は297mg/dayで, 100mg/day以下の児童が50%を占めていた。コレステロールおよび植物ステロールの摂取量は, それぞれ平均255mg/dayおよび137mg/dayで, 肥満群と非肥満群間で, 男女ともに有意差はみられなかった。以上の結果から, 小学生の肥満群と非肥満群で脂質成分の1日摂取量に差はみられなかったが, 子どもたち全体としては, 魚介類や野菜類の摂取量を増大させることが重要であることがわかった。
著者
瀬戸 真由美 正原 和幸 鈴木 亮典 渕上 和幸 望月 聖子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.7-12, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
7

企業の企画担当者が、経営層に対して新規事業を提案するにあたり、他社の新規事業参入事例をベンチマーク分析することを想定した。「他社の新規事業参入」として、N社の核酸医薬事業への参入を取り上げ、該事例の自社分析(N社分析)、環境分析および技術分析から、新規事業提案のための分析手法の一形態について提案する。
著者
伊東 和廣 望月 要 大西 仁 中村 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.191, pp.49-52, 2009-09-03
参考文献数
5
被引用文献数
6

人間は音声言語を使ってコミュニケーションする場合でも,相手の表情から様々な情報を読み取り,それによって音声情報を補うことでコミュニケーションを円滑にしている.特に音声の補完を行う場合には,話者の口唇の動きから聴覚だけで聞き取れなかった情報を補っていると考えられる.本稿は,発話内容の聞き取りにおける,発話者の顔面の視覚情報の役割を実験的に検証したものである.実験では,短文を発話する映像を用いて,「音声のみ」を聞いた場合と「音声+顔映像」を提示した場合とで音声聞き取りの正確さの比較を行った.この時,音量の異なるノイズを音声に重ね合わせることで,聞き取りの難易度と,顔映像の聞き取り貢献の関係を探った.同時に,被験者の視線の動きをアイマークレコーダで計測し,視線の動きと音声補完との関係を調べた.その結果,ノイズを付加しない場合には,顔映像を提示しても音声の聞き取り率は向上せず,被験者は発話者の目元を注視する傾向が認められたのに対し,ノイズがある場合には,顔映像を提示することで音声の聞き取り率が向上し,被験者は発話者の口元を注視することが多いことが明らかになった.このことは,音声言語を主体とするコミュニケーションにおいても,音声情報が劣化した場合には,視覚情報を利用して音声を補完していることを示している.
著者
平本 匡寛 望月 寛 高橋 聖 中村 英夫
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.29-32, 2005-11-18

ATS地上子のQ値管理は、安全性確保のためには必須の要件である。現在、Q値管理は沿線に配置されたATS地上子を定期保全によりQ値測定装置で計測している。また、省力化を目的として車上からATS地上子のQ値を検測することもおこなわれているが、レベル管理が主体であり正確なQ値計測と対応性の点で問題がある。提案する手法は、車上側のアンテナ(車上子)の電流値検測によりQ値を算出するもので、地上子対アンテナ間の距離や相互誘導係数値によらない安定した計測ができる。
著者
望月 友美子
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.665-669, 2015-10
著者
望月 理生
出版者
漁業経済学会
雑誌
漁業経済研究 (ISSN:04330323)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.87-103, 2016-01
著者
望月 典樹 中村 壮亮 橋本 秀紀
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.17-00022-17-00022, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1

Immersive virtual reality system has a problem that the operability deteriorates if the shape of the virtual body is parted from the real body. The authors are assuming that this is caused by misfit of the body scheme, an internal model in the brain used to recall the body position, because it is initially tuned up to the real body instead of virtual body. Thus, the authors have proposed a method using VR technology called“ Body Scheme Calibration ”to change the body scheme adapting to the real body so as to fit the virtual body. However, in the previous approach, presented VR information was limited to visual information, and haptic information normally occurring from interaction with surrounding object was neglected. Therefore, this paper investigated the effect of haptic information on Body Scheme Calibration. As an experimental result, it was verified that the effect of additional haptic information is trivial, and the complex haptic interface for this calibration might be omissible.
著者
齋藤 浩 望月 太
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.89-99, 2014-02

「ボルド」や「ラインガウ」のようなワインの地理的表示は,伝統的なワイン生産国では当然のルールとして定着している。わが国では,これまで単式蒸留焼酎や清酒の一部に地理的表示が指定されていたが,平成25年7月に初めてのワインの地理的表示として国税庁長官から「山梨」が指定された。地理的表示は知的所有権として保護されるほか,EUでは「樽発酵」などの表示をするには地理的表示が必要とされている。海外で日本の地理的表示が認められるには今後の交渉が必要となるが,今回の指定は大きな前進と言える。
著者
石川 尚人 東野 伸一郎 吉村 令慧 望月 伸竜 加々島 慎一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、大陸リフトから海洋底拡大へと現在進行しているエチオピア・アファール凹地において、近年拡大現象が起こったDabbahu Riftとその周辺域を対象に、陸上での電磁気探査、地表溶岩流の岩石学的・古地磁気学的解析、無人小型飛行機による航空磁気探査を行い、プレート拡大軸域の磁気異常の分布と構造、その形成過程を明らかにすることを目的としている。今年度は10月22日~11月5日にエチオピアに渡航し、Dabbahu Riftの南方約40kmの地点にリフトの延長方向に直交する測線(約60km)をとり、MT探査(14地点、約6時間観測)と溶岩流からの試料採取(古地磁気解析用18地点53個、岩石学的解析用10地点22個)を行った(現地調査6日間)。MT探査から、測線中央部の地下約4km以深に熱源の存在を示唆する低比抵抗域、その両側には高比抵抗域があることがわかった。同測線で2016年に行った磁場探査のデータ解析から、測線中央部に負、その両側に正の異常がある長周期の磁気異常が確認された。以上から、測線中央部を軸とする拡大現象による上記の磁気異常の形成が示唆された。溶岩流の古地磁気学的解析から、測線東端は逆帯磁、他は正帯磁の残留磁化もち、測線中央部ほど磁化強度が強いこと、上記の磁気異常に重なる短周期の磁気異常の変動が溶岩流の磁化強度の強弱を反映していることがわかった。岩石学的解析から、溶岩流が中央海嶺玄武岩であり、測線中央部からの距離に応じ化学組成が系統的に変化することがわかった。航空磁気探査のため、無人飛行機と磁気センサシステムの製作・調整を行った。また無人飛行機の持込・使用の許可を得るために、エチオピアの関係機関と同国の研究協力者を通じて渡航時を含め折衝し、2018年夏頃に許可が得られる見通しとなった。以上から次年度からの航空磁気探査の実施の目処がたった。
著者
荏本 孝久 望月 利男 神奈川大学工学部 東京都立大学都市研究所
雑誌
地域安全学会論文報告集 = Papers of the annual conference of the Institute of Social Safety Science
巻号頁・発行日
vol.6, pp.293-298, 1996-11

阪神・淡路大震災から約1年8ケ月が経過し、都市再生・生活再建へ向けて各方面で復旧・復興に掛わる活動が行われている。戦後最大の震災は、地震災害に関するそれまでの常識を根底から覆えした。地震の被害による犠牲者は6千人を超え、全・半壊した家屋も約20万棟にのぼった。建築・土木構造物の膨大な被害は、社会的に大きなインパクトを与えた。震災直後から約1年間程度に亘っては、人的・物的被害,震災対策,防災対策,経済・社会的影響,復旧・復興,市民生活等々、震災に関わるあらゆる側面の情報が新聞・テレピ・ラジオ等を通じて報道された。約2年を経過しようとする現在、これらの情報は極めて限られたものとなり、震災の教訓から取り上げられた多くの課題は、解決に向けてどのように展開しているのかも知ることが困難になりつつある。この震災を記憶に刻み、同じ様な災害を再び繰り返さないために、今回の大震災に関する全容と時間的経過を記録整理し、分析を行うことは大変重要なことであると思われる。本研究では、阪神大震災発生直後からあらゆる分野の被害状況および対応を記録に残すために新聞記事によるデータベースを作り、震災の課題の整理と問題解決の糸口を検討するために、震災の時系列分析を行うことを目的としている。本報告は、震災後1年間の新聞記事のデータ整理と若干の分析について報告する。