著者
澤田 枝里香 淡路 達人 森下 圭介 古川 正紘 有賀 友恒 木村 秀俊 藤井 智子 武市 隆太 清水 紀芳 井田 信也 常磐 拓司 杉本 麻樹 稲見 昌彦
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.375-383, 2008-09-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

This system is an interface realized with the symbiosis of the input/output of wind and graphics. This system brings the new communication medium of "wind" into the bidirectional interaction between the virtual environment and the real environment by integrating the graphic presentation with the input and output of wind on a special screen. The user can interact with the virtual environment in the screen through his/her breath and wind emission. Conversely, actions from the virtual environment to the user are performed by wind changing dynamically. As a result, the user can share not only sights and sounds but also the cutaneous sensation by wind with the system, and interact with the virtual environment feeling a non-conventional deep relationship.
著者
木村 秀雄
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究 (ISSN:21896933)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.78-96, 2018 (Released:2019-04-05)
参考文献数
24

自由学園における「親友を作ってはいけない」という指導はなぜ存在したのか、青年海外協力隊員の「派遣先の国が好きになれなかったらどうしよう」という不安にはどう答えるべきか、人類学の「仕事を始める前にまず調査地の人と仲良くなるべきだ」という調査論は正しいのか、この3 つの疑問を出発点に、他者に共感することの功罪について論ずる。「速い思考(システム1)」と「遅い思考(システム2)」、「手続的行為」と「宣言的行為」、「価値観に彩られた感情的行為」と「価値自由な慣習的行為」という人間の行為を2つに類型化する理論的枠組みをさまざまな観点から論じ、この枠組みを基礎にして「共感」について広い観点から論ずる。その結果、3つの疑問に対して、共感が人間の生活において大きな力を持っていることを認めつつも、それを強調しすぎることは視野をせばめ、教育・国際協力・人類学調査の目的に合致しないことがあると回答する。さらに最終的に、共感を利用しながらも、社会に対する広い視野を保ち、社会の公共性に対する考慮を失ってはならないと結論づける。
著者
中山 英俊 中村 佐和子 島雄 周平 石原 政彦 木村 秀一郎
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.542-544, 1993-06-01 (Released:2011-07-21)
参考文献数
5

帯状疱疹患者27名(外来11名, 入院16名)に対しアシクロビルを投与し, 帯状疱疹後神経痛に対する治療効果について検討した。外来患者にはアシクロビル500mgの1日1回点滴静注を, 入院患者には250mg/回, 1日3回の点滴静注を行った。発症後6ヵ月後に疼痛が残存している症例は外来18.2%(2/11名), 入院31.3%(5/16名)であり, 総合すると25.9%(7/27名)であり, すべて60歳以上の症例であった。疼痛の程度としては弱い痛みが続くもの1名, 弱い痛みが時々あるもの6名と軽度であった。今回の結果からはアシクロビルは帯状疱疹後神経痛の発症率を下げることは困難であるが, 疼痛の軽症化という点からは有効な薬剤であると考えられた。
著者
堤 聡 木村 秀 松本 大資 古川 尊子 松岡 裕 木原 歩美 浜田 陽子 湯浅 康弘 石倉 久嗣 沖津 宏 阪田 章聖 山下 理子 藤井 義幸
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.124-127, 2011-03-25

リポイド肺炎は脂肪を貪食したマクロファージが出現する肺炎であるが,一般に無症状であり胸部異常陰影にて偶然見つかることが多い.今回診断に苦慮し胸腔鏡下肺生検にて診断しえたリポイド肺炎を経験したので報告する.症例は79歳,女性.僧房弁狭窄症に対する弁置換術後のフォローアップ中に,胸部X 線像で右中肺野にすりガラス陰影の出現を認めたため当科へ紹介された.明らかな自覚症状や各種検査での異常所見を認めなかったため経過観察としていたが,初診から8カ月後に肺野陰影の増強と拡大を認めたため胸腔鏡下肺生検を施行した.病理組織像では肺胞内に浸出物と泡沫状マクロファージを多数認め,最終的にリポイド肺炎の診断を得た.症状に乏しい胸部異常陰影の鑑別疾患のひとつとしてリポイド肺炎は考慮する必要がある.
著者
内田 立身 田中 鉄五郎 海野 政治 七島 勉 国分 令子 油井 徳雄 木村 秀夫 室井 秀一 松田 信 刈米 重夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.1401-1407, 1981-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

日本人女性の鉄欠乏の頻度と成因を明らかにするため,次のごとき調査を行なつた.福島市およびその近郊,避地農村,化学工場,女子高校生999名を対象に,ヘモグロビン値,トランスフェリン飽和率,血清フェリチン値を測定した.その結果,鉄欠乏の頻度は,鉄欠乏性貧血8.4%,潜在性鉄欠乏4.2%,前潜在性鉄欠乏37.4%,正常38.0%,その他12.0%となり,日本人女性の50.0%に何らかの鉄欠乏があることが判明した.この鉄欠乏の成因として,人口構成年令が進むにつれて,血清フェリチン値が上昇することから,月経,分娩などによる鉄の喪失によることが考えられた.また女子高校生の食事鉄量の調査から,摂取鉄量1日あたり10.8~13.4mg,吸収鉄量1.5~1.6mgとなり, iron balanceは負に陥る傾向のあることも明らかとなつた.このように,広範にみられる鉄欠乏の対策として,欧米で実施されている鉄添加食品(iron fortification)の利用が考慮されるべき時期にあることを指摘した.
著者
浦山 文隆 古川 睦久 小澤 清 土佐 正弘 木村 秀夫
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.81-86, 2007 (Released:2007-11-16)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

宇宙環境下において宇宙機用材料等から放出される分子状汚染物質は宇宙機表面へ付着し,熱制御材の太陽光吸収率の増加や光学系の反射率・透過率の低下を引き起こすことで,ミッションへ悪影響を及ぼすことが知られている.宇宙機表面に対する分子状コンタミネーション付着防止に関する基礎的な知見を得るため,真空中・紫外線照射環境下での光触媒による付着防止実験を行った.コンタミネーションモデル物質として,スクアレン,テトラメチル・テトラフェニル・トリシロキサン,オレアミド,フタル酸ジエチルヘキシルを実験に用いた.また,光触媒には二酸化チタン粒子,二酸化チタンをコーティングした基板を用いた.二酸化チタンには,真空中においてもすべてのモデル物質に対する重量減少効果が観察された.また,二酸化チタンをコーティングした基板については,紫外線照射時間の経過とともに透過率が増加する現象が観察された.
著者
木村 秀雄
出版者
アンデス・アマゾン学会
雑誌
アンデス・アマゾン研究 (ISSN:24340634)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-54, 2018-03-30 (Released:2022-04-06)
参考文献数
158
被引用文献数
1

中央アンデス南高地の社会は、多様な自然環境、複雑な民族構成、外部世界からの経済的圧力によって多様化されてきたが、同時に封建的大土地所有地や先住民共同体といった歴史的に構築された諸制度によって、構造化されていた。この多様性と制度の規定性を理解するために、地域の古い農業構造を劇的に作り変えた農地改革時における、ペルー・クスコ県・カルカ郡のアシエンダと先住民共同体に研究の焦点を合わせる。 本稿は、「すべての個人の心理的性向や行為は、予測不能で多様なものである」という理論的・仮説的立場をとるが、予測不能な個人の行為が社会的に無秩序に陥ることを防いでいるのが「制度」「ルール」である。一方、個人の行為はハーバート・サイモンのいう「限定合理性」を持つ可能性があり、この「制度」の中で、人類学の視点に呼応する「個人の行為は合理的である」という仮説から本稿は出発する。 研究対象地域においては、「先住民共同体」「アシエンダ」それぞれの内部に歴史的背景や経営体の運営方法の大きな多様性を見出すことができる。ほとんどすべての先住民共同体が彼らの生存食料であるジャガイモなどを栽培する非市場志向圏に位置し、アシエンダは穀物栽培・家畜飼育などの商品生産に適した区域を占有していたといっても、先住民共同体やアシエンダの成立過程や商品生産への適応の度合いの差は多様である。また同時に、個々の先住民共同体メンバーや個々のアシエンダ領主の意識や行動にも大きな違いがある。 「先住民共同体」「アシエンダ」といった公式制度の政治的地位および運営方法の多様性が、個々のメンバーの農地改革に対する態度の違いをもたらし、アシエンダの農業協同組合への転換、隣接する先住民共同体への編入、またはアシエンダ旧領主に対する部分的所有権の承認といった、改革の多様な過程と結末につながったのである。この変化は、古いアシエンダ・システムから、より平等新たな体制への制度的転換をとおして行われたのであるから、アシエンダ領主、先住民共同体メンバー、農村労働者たちの意識や行動の限定合理性は、農地改革後の変化にともなって変化を余儀なくされ、その変化が新たな体制につながったのである。
著者
新庄 貞昭 高橋 誠史 木村 秀敬 白井 暁彦 宮田 一乗
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.167-178, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
42

本解説では,グラフィックプロセッサ(GPU)を取り巻く環境やその利用法,開発環境の現状,およびGPUのコンピュータビジョンへの適用事例を紹介し,GPUコンピューティングの可能性を探る.GPUはプログラマブルシェーダの導入後,シェーダのバージョンアップにあわせてスペックの向上が行われてきた.またCPUと比較して制約は多いが,プログラミングを工夫することにより速度向上が可能である.GPUは幅広く利用されているが,特筆すべき適用事例としてコンピュータビジョン,物理シミュレーションがあり,汎用計算においては分散コンピューティングによるナノテクへの応用も報告されている.本解説では,GPUに加えて最近のCPUアーキテクチャの革新であるマルチコアプロセッサCPUについても触れるとともに,最新OSのひとつであるWindows Vistaでのグラフィックユーザインタフェースへの利用にも触れ,今後の応用の可能性を探る.
著者
木村秀雄 著訳
出版者
百華苑
巻号頁・発行日
vol.第1 (抒情詩), 1965
著者
木村 秀 広瀬 敏幸 中野 基一郎 阪田 章聖
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.134-137, 2001-03-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
8

症例は21歳の男性, 交通事故にて胸部を打撲し近医を救急受診, 胸部X-P上両側緊張性気胸を認め, 気管内挿管と両側胸腔ドレナージを行ったが呼吸不全・全身状態が改善せず当院に転送された。胸部CTにて縦隔気腫, 皮下気腫, 外傷性血気胸を認め, 気管支鏡にて気管右側壁から右主気管支に及ぶ広範な気管断裂を認めた。右後側方切開にて開胸, 胸腔内には多量の血腫を認め, 肺尖部索状癒着が原因であった。この部位の止血は容易であった。術中所見は気管右側壁の断裂を伴う右主気管支完全断裂を確認し気管・気管支形成術を行った。術中縫合部からair leakを多く認めたがフィブリン糊と縦隔胸膜の縫合で対処した。術後4日間は分離換気用チューブにて人工呼吸を行った。術後経過は良好で, 左膝蓋骨骨折の治療を行い, 現在元気に社会復帰している。稀な気管・気管支の広範囲断裂で全身状態不良にもかかわらず適切な術中術後管理にて, 縫合部狭窄もなく完治した症例を経験した。
著者
片田 敏孝 木村 秀治 児玉 真
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.498-508, 2007 (Released:2007-12-20)
参考文献数
31
被引用文献数
2 1

近年,ハード対策のみによる防災施策の限界が認識されるようになり,住民の自発的な対応行動による被害軽減のあり方が重要視されるなか,住民の意識啓発の重要なツールとしてハザードマップが位置づけられるようになった.しかし現状は,公表されたハザードマップが住民に認知され,かつそこに表示される災害リスク情報が適切に理解されているとはいえない状況にある.本稿では,洪水ハザードマップを事例に,現状における洪水ハザードマップの運用に係る課題を,住民,行政それぞれの観点から整理した.また,地域防災力の向上には行政と住民とのリスク · コミュニケーションが必要不可欠との認識から,洪水ハザードマップをそのコミュニケーションのためのツールとして活用することの重要性と効果的な運用のあり方について提示した.