著者
井上 雅彦 中谷 啓太 東野 正幸
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.78-86, 2019-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
11

自閉症や知的障害のある人々の問題行動に関する機能分析的アプローチは多くの研究でそのエビデンスが示されている。近年これらの治療研究は、家庭、学校、施設などコミュニティで実施されるものが増加しており、非専門家による行動記録の収集と評価が課題となっている。本研究の目的は、日常場面において非専門家が行う行動記録を援助するアプリケーションを開発することであった。本アプリケーションは、Android(アンドロイド機器用)とiOS(iPhone, iPad用)の2つのOS版を各OSの配布サイトからダウンロードし、スマートフォンやタブレットなどのデバイスで利用可能である。記録者は観察時間や標的行動などを設定し、行動の出現に合わせてカテゴリーをタップすることで記録される。入力された行動観察データは即時にグラフ化して表示させることが可能である。データは各デバイス内に格納蓄積され、必要に応じてcsv形式でメール送信可能なため、パソコンなどでのデータの編集加工が可能となっている。家庭と事業所での試用から、本アプリケーションの有効性と課題について考察した。
著者
佐々木 彰紀 神人 彪 東野 正明 寺田 哲也 河田 了
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.126, no.5, pp.698-703, 2023-05-20 (Released:2023-05-31)
参考文献数
17

唾液腺癌は頻度が低く, その中でも顎下腺癌の占める割合は低く希少癌である. 大阪医科薬科大学病院で加療を行った顎下腺癌31例の検討を行った. 男性23名, 女性8名であり, 年齢の中央値は65歳であった. 最も多い組織型は腺様嚢胞癌および唾液腺導管癌であり, 次いで粘表皮癌と多形腺腫由来癌であった. 病理組織学的悪性度は低/中悪性が12例, 高悪性が19例であった. 術前の穿刺吸引細胞診によって, 悪性と診断できた症例は21例, 悪性度が診断できた症例が11例であった. 5年疾患特異的生存率は59.2%であり, ステージ別では, ⅠからⅣでそれぞれ, 100%, 100%, 71.1%, 25.0%であった. 再発例と非再発例を比較したところ, 再発が有意に多い要因として, ステージⅣ, リンパ節転移陽性, 高齢が挙げられた. 顎下腺癌は耳下腺癌と比較して高悪性が多かった. 耳下腺癌の低/中悪性において頻度の高い基底細胞腺癌, 分泌癌, 上皮筋上皮癌が顎下腺癌では1例も認められなかったことが予後不良の要因であると考えられた.
著者
東野 正明 林 伊吹 高橋 俊樹 須原 均 二村 吉継 櫟原 新平 青野 幸余 松尾 彩 川上 理郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S181-S188, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
8

心臓血管外科手術患者において、術後の嚥下障害を術前や術直後に予測できるかどうかを検討した。症例は、心臓血管手術後経口摂取に問題があり、本院栄養サポートチーム (NST) に栄養管理の依頼があった 20 例 (男性 14 例、女性 6 例) で、手術から最終食事内容に至るまでの期間が 1 カ月未満であった 8 例 (A 群) と、1 カ月以上かかり術後の嚥下障害が大きな問題となった 12 例 (B 群) に分けて、両群間で比較検討した。その結果、心臓血管手術後嚥下障害を起こす要因として、年齢 (70 歳以上)、Body mass index (BMI)≧25 の肥満もしくは BMI < 18.5 の低体重、高度心機能低下 (EF ≦ 40%) の有無、脳梗塞の既往の有無、呼吸器疾患の既往の有無、緊急手術か否か、大動脈手術か否か、長時間手術 (10時間以上) か否か、の 8 項目のうち 4 項目以上に該当すると嚥下障害を引き起こす可能性が高いと考えられた。その中でも緊急手術、肥満、大動脈手術が影響していると考えられた。この 8 項目をスコア化したものと手術から最終食事形態に至るまでの日数との間に相関が認められた。また、心臓血管外科手術後患者の嚥下障害に対する NST 介入の効果も示された。術前スコアから術後の嚥下障害のリスクがあると予測される患者家族に対しては、十分な術前説明をするとともに、適切かつ迅速な対策を講じる必要があると考えられた。
著者
木村 善行 久保 道徳 草加 君代 谿 忠人 東野 正行 有地 滋 奥田 拓道
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.219-222, 1982-01-25

The effects of oral administration of flavonoid components of Scutellariae Radix on serum and liver lipid levels of rats treated with ethanol were investigated. It was found that wogonin reduced serum triglyceride level, and that baicalein and baicalin, the major components of the drug, decreased total cholesterol, free cholesterol and triglyceride contents in the liver. Baicalein increased high density lipoprotein-cholesterol (HDL-ch) in the serum of the ethanol-treated rats. In addition to these in vivo experiments, the actions of wogonin, baicalein and baicalin on catecholamine-induced lipolysis in isolated fat cells were investigated. It was found that the three flavones inhibited noradrenaline-induced lipolysis in isolated fat cells. The relationship between these in vivo and in vitro experiments is discussed.
著者
井上 仁 東野 正幸
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1.教育用SNSの機能強化昨年度より開発を進めている教育支援用SNSについて、ウェブアプリケーション開発フレームワークであるRuby on Railsを採用して再構築し、以下のような機能強化を図った。1)WebSocket 機能を用いることでユーザ間のメッセージ送受信のリアルタイムレスポンス性能を向上させた。2)ラップトップパソコン、タブレット端末、スマートフォンなど、画面の大きさや縦横比といったレイアウトが異なる色々な端末に対して適した画面表示ができるように対応した。また、昨年度のシステムではMacBookAirの無線ルータ機能を用いてイントラネットを構成していたが、処理できる端末数が10台程度と限界があった。本年度は業務用無線ルータを用いることで30台程度の端末まで処理が可能となり、対応授業の幅を広げることができた。2.インターネットを用いたクラウドシステムの試作イントラネットのシステムでは遠隔地からの利用が難しい。そこでインターネットを利用したクラウドシステムを試作し、東京と北海道の学校から遠隔利用の試験を行った。3.授業実践によるシステムの評価と教育効果の検証本システムを用いたSNSの適正利用に関する授業実践を行った。授業では、教師が匿名で「名前を教えて」「どこに住んでいるの」などのメッセージをシステムに書き込んだ。これに対し、名前や居住地などを書き込む生徒が見られた。一旦操作を止め、「個人情報とは何か」「知らない人に教えても良いのか」などを生徒と話し合った。その発言をもとにスライドに表示し、投稿された内容を振り返り、個人情報の扱い、不適切な発言について話合った。生徒は興味、関心を持って、SNS コミュニケーションツールの適切な利用について考えることができた。また授業1か月後の追跡調査で、体験授業の内容についてよく覚えていることが確認された。
著者
高岸 秀次郎 東野 正三 飯塚 隆治
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.135-143, 1973-04-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
18

兵庫県下の蛇紋岩質土壌地域における桑の生育異常を栽培桑に関してはじめてニッケル過剰症と判定し, さらに現地桑園土壌および桑の化学組成の特徴を論じた。1. 桑のニッケル過剰症は通常夏切り後伸長した枝条の葉に発現しやすく, 特に7月中~下旬頃最も著しく, その後発育した桑葉は次第に健全な様相を呈する。7月中旬の症状は上位1/3葉位の葉が黄化, 中位1/3の葉の葉脈間に褐色ないし黒褐色のネクローシスを生ずる。下位1/3葉位は淡緑から緑色に漸移する。2. 同一桑園で亜鉛欠乏症, 鉄欠乏症および両者の複合症状を呈する桑株が見出された。3. 本桑園の表層土は強酸性で塩基飽和度も低いが, 下層土ほど酸性が弱くなる。塩基組成は下層土ほどマグネシウムの占める割合が高くなる。置換態ニッケル含量は3.0~34.2ppmで概して第2層で最も高含量を示した。4. 桑の葉身, 葉柄, 枝条について, カルシウム, マグネシウム含量は異常株の方がやや高い傾向を示したが明瞭でない。ニッケル含量は概して葉身で最も高く, 葉位, 障害程度によって異なるがおおよそ20~50ppmの範囲にあった。なお葉身中ニッケル含量は障害の激しい株ほど高く, これに対し亜鉛含量は逆に低かった。
著者
東野 正幸
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は分散環境におけるモバイルエージェントの動的なデバッグ手法を開発することであるが、本年度の研究過程において、分散環境のパラダイムにおいては、高い独立性を持つ低粒度のサービスを組み合わせて情報システムを実現する、マイクロサービスアーキテクチャと呼ばれる構築方法が急速に普及しつつあり、マイクロサービスは、モバイルエージェントに類似した性質をいくつか持っており、分散環境におけるモバイルエージェントの動的なデバッグ手法を開発・適用する上で、重要な意味を持つ応用対象の1つになると考えられることが新たに判明した。本年度では、研究課題全体の最終的な目標として分散環境におけるモバイルエージェントの動的デバッグ手法を実アプリケーションに適用することを見据え、モバイルエージェント技術をマイクロサービスアーキテクチャへ導入するための課題の整理及び解決するためのアプローチの提案を行った。マイクロサービスを分割・統合する処理は、モバイルエージェントにおけるエージェントの分割・統合と共通点がある。しかし、モバイルエージェントは自律的にホスト間を移動することやホストも自律的に生成・消滅する可能性も考慮する必要があり、マイクロサービスにおけるサービスメッシュなどのインフラ及びデプロイ環境は、モバイルエージェント環境が持つ副作用を強く抑制し選択的に緩和した環境として扱うことが可能であると考えられる。これはマイクロサービスなどの普及が進みつつあるアーキテクチャが次世代のアーキテクチャへ発展する際において、モバイルエージェント技術が寄与する知見として重要な意義を持つと考えられる。
著者
高台 真太郎 上西 崇弘 市川 剛 山崎 修 松山 光春 堀井 勝彦 清水 貞利 玉森 豊 東野 正幸 久保 正二
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.50-55, 2007-01-01
被引用文献数
6

肝癌切除後の孤立性リンパ節転移を摘除することで,術後2年6か月の現在,無再発生存中の症例を経験したので報告する.症例は58歳の男性で,C型慢性肝炎に伴う肝癌に対して肝切除術を2回施行されていた.経過観察中のCT像上,肝尾状葉に約4cm大の腫瘤性病変を認め,AFP, PIVKA-II値の著明な上昇がみられた.腹部血管造影像では腫瘤は中肝動脈および左胃動脈より栄養される腫瘍濃染像として描出され,肝癌の尾状葉再発と診断し開腹した.腫瘍は肝尾状葉に接するように総肝動脈の腹側に存在していたが,肝臓からは独立しており肝癌の総肝動脈幹リンパ節転移と考え摘除した.病理組織学的検査では中分化型肝癌のリンパ節転移と診断された.AFP, PIVKA-IIは術後2か月日に標準値範囲内へ低下し,以来,再発徴侯を認めていない.原発巣がコントロールされた肝癌の孤立性リンパ節転移は摘除により良好な予後が得られる可能性が示唆された.
著者
東野 正幸
出版者
鳥取大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

本研究はモバイルエージェントのデバッグの困難性を軽減するシステムの構築を目的としている。モバイルエージェントとはネットワークに接続された計算機間を移動できる自律的なソフトウェア部品である。モバイルエージェントは、自律的に計算機間を移動可能であることから、自律性に基づいた柔軟なシステム構築が可能となる反面、ネットワークやソフトウェアの規模が大きくなるにつれて、どの計算機でどのような処理を行っているのかを把握すること難しくなり、バグの原因特定が困難となる課題がある。当該年度では、モバイルエージェントのバグ原因の特定を支援することを目的として、モバイルエージェントの軽量化と、モバイルエージェントに関連する様々なパラメータを組み合わせてシステム内からバグの疑いのあるモバイルエージェントを検索を行うシステムの構築を検討した。モバイルエージェントの軽量化に関して、モバイルエージェントは移動時にプログラムコードを持ち運ぶことから通信量や移動時間が増加し、そのオーバーヘッドが大きくなる場合がある。デバッグが困難となる環境、すなわちソフトウェアとネットワークの規模が大きい環境においては、モバイルエージェントのデバッグ時に必要な情報を収集する際にも、このオーバーヘッドがデバッグの効率上の問題となる。そこで、モバイルエージェントの移動時の通信量の削減手法を提案し、その効果を確かめた。また、モバイルエージェントが持つ特有の性質である移動性に着目して、モバイルエージェントの検索に必要となるパラメータを検討し、そのパラメータを用いて大規模なネットワーク内から効果的かつロバストに当該モバイルエージェントを見つけ出すための通信プロトコルの課題を分析した。また、提案デバッガのテストベッドとして、モバイルエージェントを用いた分散型e-Learningシステムなどの具体的なアプリケーションの試作を進めた。
著者
谷田沢 道彦 東野 正三
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.193-196, 1953-12-20
被引用文献数
1

In the preceeding paper, the authors have found the rapid incorporation of inorganic phosphate absorbed through lear epidermis into some organic combinations including acid soluble-barium soluble phosphorus compounds primarily. In the present paper, resting on the basis of fine separation of phosphorus compounds in the use of paper-chromatography, the discussion on the forms of transferring phosphate after the foliar absorption are made. Thus one of the leaves of shakshina (Brassica chinensis L.) grow in field, about 30cm high, was applied with ca 1.5ml. of 1/75 M potassium dihydrogen phosphate containing P-32 in the strengh of 5 micro curie/ml. on a fine day. After 4 hours of this application, the poetiole was cut, and the exudation from this cut end was used for paper-chromatography as it was recommended by R. S. BANDURSKI and B. AXELROD. The developed paper strip was examined for its phosphorus spots by spraying HANES-ISHERWOOD reagent and its radio-activity by means of Geiger-Muller counter as it was reported by R. M. TOMARELI and K. FLOREY. Obtained paper-chramatograms and radiograms are shown in Fig. 1 and 2. Compared with Rf value of each particular known phosphorus compounds that had been determined in the same condition as that employed in the experimental procedure, transferring chief phosphorus compounds which have been newly synthesized in leaves are estimated to be confined to a few other compounds than any of ortho-phosphoric acid, glucose-1-phosphate, and fructose-6-phosphate. Under the condition which have been made, the sum of radio ortho-phosphoric acid, glucose-1-phosphate, and fructose-6-phosphate in the exudate is concieved less than 10% of total radio phosphorus in the exudate. S.ARONOFF has shown that the primary products of phosphate assimilation by soybean roots is fructose-1,6-diphosphate together with some phosphorylated organic acids, and also in our experiment, inorganic phosphate absorbed through leaf-surface is illustrated to be easily assimilated in leaf tissue and converted to such products.
著者
東野 正行 熊野 雅仁 木村 昌弘 斉藤 和巳
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.51, pp.1-8, 2009-12-10

文書ストリームからホットトピック文書群を抽出する手法として,ネットワークコア抽出法である SR 法を拡張した手法を提案する.新聞記事ストリームデータ及び人工文書ストリームデータを用いた実験により,提案法は従来法よりも高精度であることを示す.We propose a method for extracting hot-topic documents in a document stream. The proposed method extends the SR-method for network-core extraction. Using real and synthetic document stream data, we experimentally demonstrate that the proposed method outperforms convetional methods.
著者
東野 正行 熊野 雅仁 木村 昌弘 斉藤 和巳
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.51, pp.1-8, 2009-12-10

文書ストリームからホットトピック文書群を抽出する手法として,ネットワークコア抽出法である SR 法を拡張した手法を提案する.新聞記事ストリームデータ及び人工文書ストリームデータを用いた実験により,提案法は従来法よりも高精度であることを示す.We propose a method for extracting hot-topic documents in a document stream. The proposed method extends the SR-method for network-core extraction. Using real and synthetic document stream data, we experimentally demonstrate that the proposed method outperforms convetional methods.