- 著者
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長尾 慶子
松本 幸雄
- 出版者
- 社団法人日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.8, pp.623-631, 2003-08-15
- 被引用文献数
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12
食材モデル系,穀物粉ドウおよび高水分量食材(豆腐,こんにゃく)を試料に,揚げ(180℃),茹で(100℃),蒸し(100℃)および天火(170℃)各加熱を行った際,試料の加熱面近傍で誘起される熱伝導性の検出を試みた.試料の温度変化を測定する位置は,試料が熱媒体と接する加熱面から試料内部のx軸方向へ5mm以内の範囲にある.得られた結果は,以下のように要約される:試料内部温度の上昇速度は,加熱温度に無関係に揚げ加熱,茹で加熱,蒸し加熱,天火加熱の順に低下する状況が見られた.試科内部3mm,および5mmにおける温度上昇曲線は,熱移動に遅延現象がともなうとして導出された指数式に適合した.各試料について,上記指数式に現われる時間定数の逆数と熱拡散率とを両対数座標上にプロットすることにより,両者の間にベキ乗式の関係が存在することが見いだされた.この式の熱拡散率のベキ指数値は,試料の種類を問わず,揚げ加熱,茹で加熱,蒸し加熱,天火加熱の順に低下する.天火加熱においては,加熱面での吸熱をともなう水分の気化潜熱が,各試料内部の熱伝導を抑制するようである.