著者
松本 拓巳
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

細胞は、細胞内外の分子の少数性、環境の不均一性などに起因する激しくゆらいだ環境の中で、外部環境の変化や他の細胞からのシグナルを観測し、細胞内にその情報を伝達することによって生命活動に重要な分子などの個数を正確に制御している。そのような化学反応のリレーを行うには、熱的な散逸が伴うはずであるが、生物は非常に限られたエネルギー(資源)でそれを実行しており、そのエネルギー論、つまり熱力学的な理解は不十分なままである。本研究ではこの問題に取り組み、(フィードバックを理論体系に取り入れた熱力学である)情報熱力学を用いることによって、「情報」と「制御」の間の一般的な関係を明確にすることに成功し、さらには「最適制御」や「十分統計量」といった制御理論における概念が非平衡統計力学の枠組みでどのように理解されるのかを明らかにした。より具体的には、情報量にある種の方向性をもたせた各種情報流がどのような場合に最適化されるかを調べ、同時に発生する熱的散逸の間のトレードオフを導いた。この結果を大腸菌の走化性シグナル伝達に応用し、その情報論的効率と熱力学的効率を定量的に調べ、生物学における本研究の有用性を示すことに成功した。また、従来の研究では定量的にシグナル伝達を解析する際に定常系を考えていたが、本研究では情報流を用いることによって、非定常系における結果も与えることができた。このことは、本質的に非定常で駆動している生物システムを理解する上で重要な結果であると考えられる。
著者
谷山 茂人 諫見 悠太 松本 拓也 長島 裕二 高谷 智裕 荒川 修
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.22-28, 2009-02-25 (Released:2009-03-26)
参考文献数
30
被引用文献数
12 23

2007年9月~2008年1月に長崎県橘湾で採集した小型巻貝7種計66個体につき,マウス試験で毒性を調べたところ,キンシバイは供試した22個体すべてが有毒であった.毒力は極めて強く,特に2007年9月に採集したものでは,10個体中8個体の筋肉または内臓が1,000 MU/gを上回った.興味深いことに,22個体中13個体で筋肉の総毒力(725~9,860 MU/個体)が内臓よりも5.9~110倍高い値を示した.LC/MS分析により,毒の主成分は tetrodotoxin (TTX) であることが明らかとなり,加えて11-oxoTTXを含むことが示唆された.一方,同時期同海域で採取したその他の巻貝については,毒性は全く認められなかった(5 MU/g未満).
著者
吉尾 雅春 西村 由香 松本 拓士 野々川 文子 宇田津 利恵 石橋 晃仁
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0725, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】第39回学術大会において、股関節関節包以外の軟部組織を除去した新鮮遺体骨格標本による股関節屈曲角度が約93度であることを報告した。しかし、生体では股関節周囲の軟部組織の圧迫や筋緊張による抵抗などのために、屈曲角度が減少することが考えられる。そこで、健常成人を対象に、骨盤を徒手的に固定したときと自由にしたときとの他動的股関節屈曲角度を求め、股関節屈曲運動について検討を加えたので報告する。【方法】対象は同意を得た健常成人20名で、平均25.9±3.9歳、男10名、女10名であった。検者Aは対象側股関節内旋外旋・内転外転中間位を保ちながら股関節を他動的に屈曲させた。検者Bは日本リハビリテーション医学会の測定方法に準じて股関節屈曲角度を測定した。測定は背臥位で両側に対して、Smith & Nephew Rolyan社製ゴニオメーターを用いて1度単位で3回行った。測定1:検者Aが反対側の大腿を固定し、対象側股関節を最大屈曲させ、角度を測定した。測定2:両側股関節を同時に最大屈曲したときの角度を求めた。測定3:まず、股関節屈曲運動に伴って骨盤が後傾しないように、閉眼した検者Cが上前腸骨棘から腸骨稜にかけて徒手的に把持して固定した。検者Aが対象側の股関節をゆっくり屈曲させ、検者Cによる骨盤固定の限界点で屈曲角度を測定した。測定3の値は骨盤の動きの制動に影響される可能性が大きいため、3回測定のICCを求めて再現性の検証を行った。統計学的有意水準は0.05とした。【結果】全員を対象とした測定3の3回のICCは、右0.909、左0.830で再現性は高かった。各測定において有意な左右差がなかったので右について提示する。他動的股関節屈曲3回の平均は測定1が133.1±9.1度、測定2が138.3±7.2度、測定3が70.4±9.0度であった。各測定間で相関はみられなかった。腰椎の動きや骨盤後傾角度などを主に表すと考えられる測定1から測定3を引いた角度Fは62.8±10.6度、測定2から測定3を引いた角度Gは68.0±11.6度であった。角度F、角度Gは測定3の角度との間にそれぞれ負の相関(r=-0.58、-0.78)を認めた。また、角度Fは測定1の角度と正の相関(r=0.59)を、角度Fと角度Gは測定2の角度と正の相関(r=0.50、0.63)を示した。【考察】骨盤をしっかり固定したときの他動的股関節屈曲を示す測定3の角度は、言うなれば「寛骨大腿関節」の最大屈曲角度である。右では股関節屈曲角度133度のうち、寛骨大腿関節は平均70度、腰椎の動きや骨盤後傾を含むその他の角度は平均63度であった。軟部組織を除去した新鮮遺体の寛骨大腿関節が93度であったことから、20度余が軟部組織のための角度と考えられる。これらの特徴を考慮しながらROMテストや運動療法を行う必要がある。
著者
松本 拓己 伊藤 喜宏 松林 弘智
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.427-443, 2006-03-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

The 2004 Mid Niigata Prefecture earthquake (MJ6.8) that occurred on October 23, 2004 is the 2nd largest intra-plate earthquake after F-net, the broadband seismograph network of the National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention (NIED) was established with a dense and homogeneous distribution all over Japan. We determined moment tensor solutions of the main shock, aftershocks, and earthquakes occurred around mid Niigata prefecture from January 1997 to October 22, 2004, using a surface wave with an extended method of the NIED F-net routine processing. The horizontal distance to the station is rounded to the nearest interval of 1km, and the variance reduction approach is applied to a focal depth from 2km with an interval of 1km. We obtain the moment tensors of 117 events with MJ exceeding 2.8 and spatial distribution of these moment tensors. The focal mechanism of main shock, aftershocks, earthquakes before main shock, is mainly of the reverse fault type with P axes trending WNW-ESE. But the focal mechanism of 15 percent aftershocks is the strike-slip type. There are high dip angle reverse faults, in deep part, and low dip angle reverse faults in shallow part.
著者
松本 拓巳 沙川 貴大
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.2919, 2017 (Released:2018-04-19)

大腸菌は周りの化学物質の濃度勾配を読み取り、それに応じて方向性を持った運動を行う「化学走性」と呼ばれる能力をもつ。その機構は二変数の線形ランジュバン系で有効に記述されることが明らかになっている。我々はまず、情報熱力学の観点からメモリーに対して定義されるセンサー容量(sensory capacity)と情報熱力学効率の間に存在するトレードオフを導出した。そして実際の大腸菌においては情報熱力学効率は低い一方で、センサー容量は高いことを明らかにした。
著者
高橋 純平 松本 拓也 伊藤 孝紀
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.112-112, 2011

名古屋駅周辺地区を対象地区とし、来街者や宿泊客にアンケート調査を行うことにより、「プレイス ブランディング(Place Branding)」における名駅地区の固有な空間資源を明らかにすることを目的とする。得られた回答から、名駅地区においてハード面の「A.基盤装置」として、高層ビル等の施設や交通機関等のインフラ、ソフト面の「C.コミュニケーション装置」として、飲食店の多さや各施設のサービスが固有な空間資源といえ、また双方をつなぐ「B.演出装置」としてナナちゃん人形があげられる。しかし、「B.演出装置」に対する来街者や宿泊客の評価は低く、今後は「B.演出装置」を中心とした取組みを行うことが必要といえる。
著者
古橋 健斗 松本 拓也 福田 浩章
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2017-OS-140, no.1, pp.1-6, 2017-05-09

クラウドサービスでは,アプリケーションを提供するサービス提供者が物理マシンやネットワークを保有するインフラ提供者から必要に応じてリソース (e.g., 仮想マシン) を確保し,サービスを提供している.サービス提供者は,最大負荷 (必要になる仮想マシンの最大数) を見積もることでサービスの円滑な運用を目指しているが,予め見積もることは難しい.一方,インフラ提供者は,物理マシン,仮想マシンの負荷状況 (e.g, CPU やメモリ使用量) をもとに仮想マシンを再配置し,データセンタ全体の運用効率向上を目指している [1] [2].この検証には実運用に適用することが望ましいが,サービス提供者の SLA を保証する必要があり,実現は難しい.また,大規模なデータセンタを準備することも難しいため,シミュレーションでの検証を行わざるをえない [3].そこで本研究では,RaspberryPI を利用し,サービス提供者,インフラ提供者それぞれの要求を容易にテストできる環境を提供する.具体的には,複数の RaspberryPI を使用した仮想データセンタの構築と負荷状況の監視,仮想マシンの操作を実現する.また,必要に応じて仮想マシンを増減し,スケールアウトする機能を実現する.そして,仮想マシンの移動,スケールアウトを本環境で実行し,その機能性能を示す.
著者
松本 拓哉 金澤 浩 大津 知昌 成尾 政一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0642, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】ストレッチングには,スタティックストレッチング(SS)やダイナミックストレッチング,バリスティックストレッチングなど,多様な方法がある。中でもSSは,伸張反射が起こりにくく,筋腱の損傷が少ない安全な方法であるとされている。筋の伸張性が筋力に及ぼす影響を調査した研究は多数行われているが,筋のストレッチングが拮抗筋へ与える影響を調査した報告は少ない。中島ら(2012)は,ハムストリングのSSを1週間継続した結果,膝関節伸展トルクの有意な増加が認められたと報告している。我々は,SS直後に拮抗筋の筋力が向上すれば,運動療法をより効果的に実施することが出来るのではないかと考えた。本研究の目的は,股関節内転筋群(AD)にSSを加え,拮抗筋である股関節外転筋群(AB)の筋出力が向上するかを確認することである。【方法】対象は,整形外科的疾患や神経学的疾患がない健康な成人男性50名(平均年齢25.1±2.5歳,身長171.1±4.5cm,体重65.5±9.1kg)とした。はじめに,右股関節外転角度を,角度計で他動的に計測し,疼痛の出現する直前の角度を記録した。続いて,右ABの最大随意等尺性収縮(MVC)を,サイベックスノルムCN77(CSMI社)を用い,肢位は「筋力測定装置CYBEX NORM User's Manual」に準じて側臥位とし,股関節外転のMVCを3回行った。その後,背臥位で,右ADに対するSSを,30秒間保持の4セット,疼痛の出現する直前の強度で実施した。SS後,股関節外転角度,及びMVCの測定を再度行い,ABのピークトルク,体重比(%BC)を算出し,SSの前後で比較した。股関節外転角度とABのピークトルク,%BCの差の比較には,Wilcoxonの符号付き順位和検定を用い,有意水準は5%とした。【結果】SS前後の股関節外転角度の平均は,SS前42.6°±4.4°,SS後47.2°±4.1°で,SS後の股関節外転角度の有意な増大を示した。ABのピークトルクの平均も,SS前87.5±26.8Nm,SS後は94.3±29.5Nmとなり,SS後が有意に増大した。ABの%BCの平均についても,SS前135.1±42.5,SS後145.8±46.6で,SS後は有意な増大が得られた。【考察】股関節外転角度はSSにより11%の有意な増大を示したことから,ADの伸張性は改善し,SSの効果は得られていたと考えられる。Siatrasら(2008)は,30秒以上のSSで関節可動性が有意に増大したと報告していることから,本研究のSSの実施時間は,ADの伸張性を改善させるには,十分であったといえる。対象筋に対するSSの効果を調査した報告は多く,濱田ら(2008)は筋パワーの低下をもたらすとし,Rubiniら(2007)は最大筋発揮やパフォーマンスを低下させると報告している。本研究ではADのSS後に,拮抗筋のABのピークトルクが7.7%,%BCは7.9%向上したことが確認され,SSは拮抗筋の筋出力の向上に即時的な効果があることが示された。筋力発揮に関わる因子は多く挙げられるが,その中でも効果的な筋力発揮を得るための相反神経支配の関与が重要視されている。通常,関節運動時には拮抗筋の活動は完全には抑制されず共収縮が生じており,本研究ではSSによってADの伸張性が増大した結果,ADの共収縮が低下し,拮抗筋であるABの筋出力が改善したことが一つの要因ではないかと考える。本研究の結果,筋力強化の対象筋が明確な場合,SSは拮抗筋の筋出力を即時的に改善させることから,SSを行うことで拮抗筋の筋力を効率よく発揮出来ることがわかった。【理学療法学研究としての意義】主動作筋の筋力増強運動を行う直前に拮抗筋のSSを行うことで,より効果の高い運動療法が実施出来ると考える。
著者
松本 拓真
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.186-196, 2015 (Released:2017-09-20)
参考文献数
27
被引用文献数
2

自閉症スペクトラム障害を持つ子どもの受身性は,Wing & Gould(1979)から指摘され,思春期以降のうつやカタトニアの要因として注目され始めているが,それ以前の時期では適応の良さとして軽視されがちだった。本研究では思春期以前に受身性が固定化する要因を明確にすることを目的に,自閉症スペクトラム障害の子どもを持ち,受身性を意識している親11名に半構造化面接を行った。データを修正版グラウンデッドセオリーアプローチにより分析したところ,15概念が生成され,6カテゴリーが抽出された。【支援への受身的な状態】から「意志表出主体として認められる」ようになる間に【意志か社会性かの揺れ動き】という独特の状態が介在し,受身性の固定化への影響が示唆された。このカテゴリー内には,【やるけどやらされてる感】という特殊な状態があり,親の求めに応じられるがゆえに受身的になる特徴が見られ,自己感の問題が推測された。その状態は親に強要か適切な指導かという葛藤や子どもの人生全てを背負うかのような責任感という苦悩をもたらしていた。また,受身性から脱却する変化の前に親が深刻な悲嘆や強い後悔を体験することも見い出され,子どもの受身性により生じた親の苦悩が受身性の固定化の一因となる相互作用が示唆された。本研究で得られたモデルはサンプルの偏りなどの点で限定されたものではあるが,更なる検討により精緻化が可能だと考えられる。
著者
樫山 武士 大堀 敏郎 塩原 学 村野 義行 松本 拓哉
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.821-826, 2022 (Released:2022-07-25)
参考文献数
8

塗装中の水圧や熱による車体の変形に対しCAEによる予測や対策が進められているが、予測精度の検証には工程中での変形測定が必要である。そこで、耐水・耐熱の変位測定装置を製作し、槽内や電着乾燥炉内での車体外板の変位を測定した。また、乾燥炉内での熱変形について実測とCAEの結果を比較しその妥当性を検証した。
著者
松本 拓朗 飯田 和正 下関 正義
出版者
日本ばね学会
雑誌
ばね論文集 (ISSN:03856917)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.61, pp.19-24, 2016-05-31 (Released:2016-12-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1 2

For the purpose of analyzing the characteristic of spiral spring, knowing the free shape of spring is indispensable. And to get the free shape of spring needs to analyze on elasticplastic method with geometric non-linearity. But the practical importance for the spring characteristic is the liner zone without both side-ends. If extrapolating liner field to both non-linear zones asuming affine linearity,we are able to analize the spring charactristic only by elasticplastic analysis at both-ends without the necessity of considering geometric nonlinerlity . So we can analyze by easy procedure as compared with traditional integral formulation. This calculation results agree with experimental one in two kind sample springs.
著者
久野 文菜 近藤 拓弥 松本 拓磨 山本 玲 畑中 衛 濱川 礼
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.737-745, 2020-03-15

本論文では任意の画像から,画像内に存在する物体の図形の構造を考慮した絵描き歌を自動生成するシステムについて述べる.相手に物事を説明するシーンにおいて,口頭のみでの説明と比べ,それに絵を加えた説明のほうが聞き手に強い印象を与えることができる.しかし絵を描くことに対して苦手意識を持つ人は,絵を描いて説明するということに対し羞恥心を感じ,口頭のみでの説明を行わざるを得なくなる.そこで我々は絵を描くことに対して苦手意識を持つ人が気軽に絵を練習できる方法として絵描き歌を提案する.任意の絵に対して,いちいち絵描き歌を人が作成するのは非常に手間がかかるため,我々は任意の画像から自動で絵描き歌を生成するシステムを開発した.さらに物体の構造に着目することでより人間に理解しやすい絵描き歌手法を提案する.従来の絵描き歌の歌詞は物体を構成するパーツの形状をとらえて作成されており形状に対するユーザの理解を促進するが,絵を描くのに必要な『位置関係』については触れられていないため,本手法では従来の歌詞に加えてパーツの位置関係も明示することにより,さらに詳しく物体の特徴をとらえることを可能にした.ユーザは絵描き歌にしたい対象を撮影し,システムに入力する.システムはユーザが撮影した画像を受け取り,パーツ分けをする.その後パーツごとの構造(形状・位置関係)を取得し,それに合わせた歌詞を自動生成する.本システムについて評価を行った結果,本システムを利用することにより絵を描くことに対する苦手意識の低減につながることが確認できた.
著者
本谷 匠 月僧 秀弥 西行 大志 松本 拓也 三好 雅也
出版者
福井大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.25-33, 2019-02-28

中学校理科気象分野の「気圧と風」に関して,生徒たちが実感を伴った理解をするための教材「3D天気図教材」を開発し,授業実践によってその教育効果を検証した.授業の中で,予め等圧線が書かれている透明パックを組み立てる活動を導入し,授業中の生徒の様子やアンケートから,本教材を導入した授業の教育効果を調べた.その結果,本教材を導入した授業は動機付けと内容理解に対して効果を有することが分かった.
著者
東谷 福太郎 川口 修 御堂岡 あにせ 岩本 有司 松本 拓也 長尾 則男 馬渕 良太 谷本 昌太
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.506-508, 2019-09-15 (Released:2019-09-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

飼育水の塩分が死後硬直へ及ぼす影響を明らかにするため,致死直後から完全硬直に至るまで硬直指数および尾部の垂下角度を算出し,これらの経時変化をモデル化し,海水即殺区,希釈海水即殺区,海水苦悶区で比較した。希釈海水即殺区は海水即殺区と比較して,完全硬直に至るまでの時間に差はなく,海水苦悶区のみ有意に短かった。また希釈海水即殺区は海水即殺区と比較して致死直後の垂下角度が有意に小さかった。飼育水の塩分は死後硬直の進行速度に影響を及ぼさないが,致死直後の垂下角度を有意に低下させることが明らかとなった。
著者
井原 熙隆 石田 修平 松本 拓也 江草 典政 馬庭 壯吉 平川 正人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.1162-1171, 2016-04-15

高齢化あるいは疾患のために自らの足での歩行に不安がある場合,杖などの歩行補助具に頼ることになる.歩行動作を正確に獲得することは診療ならびにリハビリテーションプログラムの策定にあたり不可欠であるが,これまでは目視で行われることが多かった.身体あるいは歩行補助具にセンサを取り付けたり3次元運動解析システムを用いる方法もあるが,できるだけふだんどおりの状態の下で計測できることが望ましい.本研究では,フロア設置型圧力センサの上を歩行する患者の足ならびに杖の領域を抽出・追跡し,歩行能力を客観的に把握することを目指したシステムについて述べる.変形性関節症患者の歩行分析への試行を通して,獲得された分析データが臨床的特徴と合致することを確認した.