著者
中村 康雄 齊藤 稔 林 豊彦 江原 義弘
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.53-64, 2010 (Released:2017-02-15)
参考文献数
12

サッカーは, キック動作を基本とした主に足でボールをコントロールするスポーツである. ボールを自在に操る蹴り脚は, 熟練者であるほど巧みな動きをする. そのため, 多くの先行研究では, 足のみを対象としてキック動作の定量的な測定・解析が行われてきた. しかし, キック動作は全身運動である. キック動作をさらに理解するためには, 足だけでなく, 蹴り脚の動作の要となる腰部の運動についても同時に測定し, 定量的に評価する必要がある. 本研究は, インステップキック動作を対象とし運動学・動力学解析することと, 熟練者と未熟練者の腰部の運動の違いを定量的に評価することを目的とした. キック動作はモーションキャプチャ・システムを用いて測定した. 熟練者と未熟練者の運動を評価した結果から, 腰部は, 上体の急激な屈曲運動の補助, 下肢へのエネルギー伝達, 姿勢の安定の3つの役割があると考えられた.
著者
小林 豊 高村 巧 下野 功 浦 和寛 都木 靖彰
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.271-278, 2009-06-20 (Released:2012-09-26)
参考文献数
55

岩手県大槌産,岩手県山田産,北海道鹿部産,北海道知内産の2年貝養殖ホタテガイの貝殻中のLi,Mn,SrおよびBa濃度を誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて測定したところ,産地により微量元素組成に有意な差が認められた。MANOVAの判別分析を用いて産地識別を試みたところ,48個体中9個体で誤判別が発生し,判別的中率は81.3%であった。大槌産と他の産地との間で誤判別される例が多かったが,そのほかの産地間の誤判別は少なかった。同様の方法を用いて岩手県八幡平産および北海道七飯産の養殖ニジマスの耳石中の微量元素濃度を定量した結果,その組成にも産地により有意な差があった。判別的中率は95.5%であった。生産年による微量元素組成の変動が小さければ,貝殻および耳石微量元素組成による産地識別が可能であると考えられる。
著者
平松 祐太 遠藤 雅也 林 豊彦 織田 孝 乾 浩明
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.195-204, 2016 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17

筋委縮性側索硬化症や脳性まひをはじめとする重度肢体不自由者は, 個人に合った支援機器を利用すれば, 生活の質を著しく改善できる. その利用には操作スイッチが用いられているが, 現在の技術レベルでは, 身体の痙攣や振戦などの不随意運動がスイッチを入れてしまうと, 機器への誤入力が起こってしまう. そこでわれわれは, 不随意運動がある重度肢体不自者でも使用できるように, 3軸地磁気センサを用いた操作スイッチGSN/1を開発した. 不随意運動による誤入力を最小にするために, 統計的パターン認識法のひとつであるフィッシャーの線形判別法を応用した. さらに, 健常者を用いた2種類の不随意運動 (痙攣, 振戦) のモデルを開発し, 不随意運動も起きる条件下におけるGSN/1の操作性能の定量評価に用いた. 実験結果より, 正しい入力を許容レベルに維持するために必要とされる 「痙攣および振戦の条件」 について明らにした.
著者
小林 豊 喜多 敏明 柴原 直利 後藤 博三 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.73-78, 1999-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

再発性口内炎に清熱補血湯が奏効した四症例を報告した。清熱補血湯の使用目標は「血虚と血中燥熱があり, そのために口舌に瘡を生じ, びらんし, 痛み甚だしく, 長く癒えないもの」といわれている。症例は全てが女性であったが, 妊娠や分娩を契機に, あるいは月経のたびに再発性口内炎が増悪する傾向がみられた。また, 一例はベーチェット病の急性増悪による発熱や炎症など全身症状が治まった後に発症した再発性口内炎症例であった。これら血虚が悪化しやすい状態に伴った再発性口内炎に清熱補血湯が有用である可能性が示唆された。
著者
瀧澤 哲也 中村 康雄 林 豊彦 駒井 正彦 信原 克哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.592, pp.1-4, 2007-03-09
参考文献数
6
被引用文献数
3

子供,大人を問わず野球投手は,肩・肘に障害を起こしやすい.一般的に,子供の投球障害は,身体が未発達である成長期におけるオーバーユースが主な原因と考えられている.これまでに臨床報告は数多くされてきたが,子供の投球動作を定量的に評価した報告は少ない.そのため,子供への指導や障害の予防は,経験や感覚に基づくものだった.したがって,子供の投球動作の定量的な評価が求められている.そこで本研究は,子供と大人の投球動作を定量評価して,比較・検討することを目的とする.子供45名,大人22名の投球動作を測定し,動力学的・運動学的に解析した.その結果,子供は上半身が前方へ先行する.規格化したモーメントの値は子供と大人でほぼ同等であることが示された.結果から,子供の投球障害を軽減するには,1)体幹・下半身を鍛える,2)球種や投球数を制限する,の2点が重要であると考えられる.
著者
瀬戸 佑香里 林 豊洋 榎田 修一 江島 俊朗
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成21年度電気関係学会九州支部連合大会(第62回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.416, 2009 (Released:2011-01-20)

近年,交通事故の記録装置としてドライブレコーダが注目されている.記録動画像における走行可能領域認識は,収集される膨大な事故動画像の効率的な解析を実現する上で重要な技術である.一般的な車線検出にはHough 変換が用いられるが路面標示や破線の影響を受けるため,ノイズを十分に除去し直線の情報量を増やす必要がある.本研究では動画像でのHough 変換線抽出の前処理として,Harrisオペレータによるエッジ抽出法と時系列情報により作成した時間平均画像を用いて路面標示の影響を除去し破線を補うことで,車線境界線を検出し自車両の走行道路領域を推定する手法を提案する.
著者
松坂 昌宏 小林 豊 萩原 紫織 望月 真太郎 高田 正弘 井出 和希 川崎 洋平 山田 浩 諏訪 紀衛 鈴木 高弘 横山 美智江 伊藤 譲 北村 修 小野 孝彦 米村 克彦
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-27, 2017 (Released:2018-04-19)
参考文献数
10

静岡腎と薬剤研究会は腎臓病薬物療法について学習する機会が限られていた静岡県の病院・薬局薬剤師の取り組みの現状を把握し、課題を見出すためにアンケート調査を行った。対象は第1回静岡腎と薬剤研究会に参加した病院・薬局薬剤師とした。アンケートは多肢選択式20問とし、腎機能評価や疑義照会の他、処方箋やお薬手帳への検査値の記載に関する質問を作成した。回答者は病院薬剤師42名、薬局薬剤師20名の合計62名であった。調剤時の処方鑑査の際に腎機能を表す検査値を確認する薬剤師は53名(85%)であり、薬物投与量を確認する際の腎機能評価にeGFRを使用する薬剤師は40名(65%)であった。体表面積未補正eGFRを使用するのは40名中17名(43%)と半数以下であった。腎機能を評価した上で疑義照会をしている薬剤師は48名(77%)であり、病院薬剤師42名中37名(88%)に対して薬局薬剤師20名中11名(55%)と異なっていた。その理由に検査値の入手方法と確認頻度に違いがみられ、病院薬剤師38名(90%)が検査値をカルテから入手するのに対し、薬局薬剤師18名(90%)は患者から入手していた。確認頻度では薬局薬剤師15名(75%)が検査値を入手できた時に確認しており、腎機能評価が不定期に実施されていた。疑義照会内容は過量投与が48名中45名(94%)と最も多く、薬物相互作用は7名(15%)と少なかった。処方箋に腎機能を表す検査値の記載を希望する薬局薬剤師は20名中17名(85%)であり、検査値を記載している施設の病院薬剤師は42名中7名(17%)であった。お薬手帳に検査値の記載を希望する薬局薬剤師は13名(65%)であったが、検査値を記載している施設の病院薬剤師は3名(7%)と少なく、病院薬剤師の取り組みが進んでいないことが明らかとなった。以上の結果から、地域の腎臓病薬物療法の質的向上には、腎機能評価に関する研修会の実施や薬局薬剤師が検査値を入手しやすいように薬薬連携の推進を図ることが重要である。
著者
林 豊 小柳 貴俊 泉 愛 吉松 直美 井ノ上 俊哉 堀 優子 斎藤 未夏
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
no.2018, pp.21-27, 2019-07

九州大学附属図書館では,2018年10月より,インターネットで公開している所蔵貴重資料等のデジタル化画像の二次利用を大幅に自由化(オープン化)した.同時に,デジタル化されていない貴重資料等の二次利用手続きについても簡素化を果たした.本稿では,この取組みの概要,検討の過程,利用者からの反響,今後の展望について紹介する.
著者
斎藤 未夏 林 豊 上土井 宏太 岩﨑 崇宏 斎藤 友利子
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
no.2018, pp.8-13, 2019-07

九州大学附属図書館では,広報物の見直しに端を発して,九州大学附属図書館の広報戦略について検討・策定することを目的に,広報戦略検討チームを時限付きで設置した.広報戦略の検討にあたっては,まず,広報活動の現状を把握して課題を明確化した.次に,それらの課題を踏まえ,目指すべき図書館像を確認するとともに,その実現に向けた広報戦略の核となるものとして「九州大学附属図書館のブランドアイデンティティプリズム(案)」を策定した.最後に,ブランドアイデンティティプリズムを実践する方策と体制について提案した.
著者
林 豊 大村 武史 堀 優子
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
no.2018, pp.14-20, 2019-07

九州大学附属図書館では,図書館業務の改善を目的として,2019年3月よりヌーラボ社の販売するプロジェクト管理ツール「Backlog」(バックログ)の有料プランを導入し,正式運用を開始した.本稿では,導入の背景,試行運用の様子,運用方針の概要,今後の課題等についてまとめる.
著者
蘇日塔拉図 外山 寛 小杉 剛 木竜 徹 林 豊彦 飯島 淳彦 前田 義信 山崎 健
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.98-105, 2010-02-10 (Released:2010-11-17)
参考文献数
17

Visually induced motion sickness is one of the detrimental effects of video images on human psychosomatic state. Several studies for alleviating this effect have been cumulated in recent years. One of the studies reported that people with high heart rate tended to be immune to the motion sickness. This fact motivated us to assume that the increase of subjects' heart rate through physical exercise before video watching could prevent them from the motion sickness. Then we investigated the effects of video exposure with such pre-exercise on the motion sickness. First we recorded psychosomatic state of 23 volunteers using the simulator sickness questionnaire (SSQ) before and after watching extremely unpleasant video images of a mountain-bike ride capable of visually inducing motion sickness. Then we classified them into nausea and non-nausea groups, based on SSQ evaluation. Subjects' heart rate in nausea group increased gradually during video exposure, while that in non-nausea group was nearly constant. By imposing a 5-minute pre-exercise on 12 subjects in nausea group before video exposure, 10 subjects became immune to the motion sickness, demonstrating that the pre-exercise would be efficient for alleviating the motion sickness. In addition subjects' heart rate in nausea group remained at a higher level during video exposure than at rest, whereas it returned to the rest level immediately after the pre-excise without video exposure.
著者
大堀 洋平 小林 豊和 黒田 良
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.89, 2011

【はじめに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折は,スポーツ選手によく起こる疾患である.理学療法評価において,疲労性骨膜炎・疲労骨折の病態を示唆する評価法は散見するばかりである.今回、骨に直接的にストレスを加える評価法を考案した.その評価法を用い,アプローチの結果,良好な結果が得られたので,ここに報告する.<BR>【症例紹介】<BR> 小学生(高学年),男性,野球選手(軟式・センター/ショート・右投げ左打ち).診断名は,右脛骨疲労性骨膜炎.レントゲンは,異常所見なし.現病歴は,当院受診約3週間前,走行時に右下腿内側に疼痛出現.疼痛軽減しないため,当院受診した.受診時の主訴は,歩行時痛であった.<BR>【理学療法評価】<BR> 圧痛は右脛骨近位内側にあり,歩行時に疼痛出現.立位アライメントは,右足位やや外転位,両膝顆間距離2横指,右骨盤やや前方回旋位,体幹やや右側屈位.脛骨ストレステスト(徒手で脛骨に外反・内反,前弯・後弯,外旋・内旋ストレスを加える)実施(以下,疼痛出現時,+と表記する).外反ストレス(++),前弯ストレス(+),外旋(遠位)ストレス(+).スクワッティングテストは,knee in時疼痛出現.歩行において,initial contactからmid stanceにかけて遅延し、骨盤・下腿外方移動不十分であった.<BR>【アプローチ】<BR> 当院初診時;右足部に内側縦アーチサポーター(ソルボ素材)装着.<BR> 約1週間後;サポーターに,後足部横アーチパッド1mm追加.<BR>【経過】<BR> 理学療法開始(当院初診)時,右足部への内側縦アーチサポーター装着にて,歩行時痛消失.練習は,走行・ノック禁止.約1週間後,走行時痛は10点法にて2点と軽減し,後足部横アーチパッド1mmを追加にて走行時痛消失.翌日には,制限なく練習参加.約3週間後来院し,圧痛・動作時痛消失を確認し,終了.<BR>【考察】<BR> 本症例は,動作時,脛骨近位内側に疼痛が出現していた.疲労性骨膜炎・疲労骨折は,疼痛部位にどのようなストレスが加わり生じたのかを把握することが重要と考える.どのようなストレス(方向・種類)かを示唆する評価として,脛骨へ直接的にストレスを加えた.その結果,脛骨外反・前弯・外旋(遠位部)ストレスにて,疼痛出現した.荷重位にて,スクワッティングテストを行い,knee inにて疼痛出現し,歩行時立脚期において,骨盤・下腿外方移動不十分であった.以上を解釈すると,本症例の疲労性骨膜炎は,立脚期における下腿の前内方への動きが脛骨近位内側への離開ストレスとなり,疼痛を発生させていたのではないかと考える.よって,右足内側縦アーチサポーターを装着することで,立脚期に下腿を後外方へ誘導し,離開ストレスを軽減させ,疼痛軽減に至ったと考える.<BR>【おわりに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折の理学療法において,骨への直接的ストレステストは病態を示唆する有効な評価法であり,サポーターの適切な選択,運動療法の一助となると考える.今後,ストレステストと動作の関係を検討していきたいと考える.
著者
笠原 裕司 小林 豊 地野 充時 関矢 信康 並木 隆雄 大野 賢二 来村 昌紀 橋本 すみれ 小川 恵子 奥見 裕邦 木俣 有美子 平崎 能郎 喜多 敏明 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.519-525, 2009 (Released:2010-02-23)
参考文献数
16
被引用文献数
4

奔豚と思われた諸症状に呉茱萸湯エキスと苓桂朮甘湯エキスの併用が奏効した症例を6例経験した。5例はパニック障害,1例は全般性不安障害と推定され,6例いずれも,動悸,吐き気,めまい,頭痛やそれらに随伴する不安感などを訴えて,肘後方奔豚湯証と考えられた。呉茱萸湯エキスと苓桂朮甘湯エキスの併用投与で症状軽快し,あるいは肘後方奔豚湯からの変更で症状は再発しなかった。呉茱萸湯エキスと苓桂朮甘湯エキス併用は肘後方奔豚湯の代用処方として奔豚の治療に有効である可能性が示された。