著者
櫻井 玲奈 金野 好伸 小沼 政弘 内田 直宏 井口 愛子 小林 沙織 山﨑 真大 佐藤 れえ子
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.157-162, 2019-01-15 (Released:2020-01-15)
参考文献数
16

人の慢性腎臓病(CKD)では生体内での活性酸素種(ROS)の産生増加と,抗酸化能の低下が知られており,猫のCKDでも腎組織内のROSによる酸化障害が尿細管と間質の線維化につながることが報告されている。本研究では,初期のCKD猫に電子水を給与し,血中酸化度マーカーと抗酸化能マーカーの変化を観察して,その効果について検討した。1カ月の電子水給与により,対照群にて有意に抗酸化能マーカーが増加し,またCKD群でも有意差はないものの増加傾向を示した。また,血中酸化度マーカーは両群に有意差はないものの低下傾向が認められた。電子水の給与は猫でも人と同様に生体内における酸化ストレスの緩和と抗酸化能の活性化に寄与する可能性があると示唆された。
著者
西原 貞光 林 裕晃
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.912-915, 2011-08-22 (Released:2011-08-24)
参考文献数
6
被引用文献数
5 1 5

Several hospitals have been observing black spots in medical images, and the radioisotopes (RIs) that cause the spots needs to be removed from the X-ray receptors. Our purpose is to show a flowchart for finding out under which conditions an imaging plate (IP) and other parts (for example, the cassette) are contaminated by RIs and to propose an effective method to remove them. The procedure follows. (1) Is RI activity low? (2) Are the surfaces of other parts contaminated? (3) Is the surface of the IP contaminated? (4) Are the insides of the other parts contaminated? To remove the adhered RIs, we applied a wipe test method using a wet type of chemical wiper. A certain hospital that observed black spots experimented with this method. As a result, the contaminated condition of the X-ray receptor was identified. In addition, we were able to remove the RIs from the IP. Therefore, our procedure is very effective for decontaminating adhered RIs from receptors.
著者
林 拓也
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.359-375, 2012-12-31 (Released:2014-02-10)
参考文献数
26
被引用文献数
1

職業アスピレーションは, 職業達成のプロセスに関わる社会心理的な媒介要因として位置づけられる志向である. 近年の日本の状況を扱った実証研究によると, それが達成プロセスと遊離しつつあるということが示唆されているが, こうした結果については慎重な検討を要する. アスピレーションの測定に際して, 「地位」の優位性と一次元性が前提とされているためである. そこで本稿では, 職業の一次元的な「地位」に限定されない, 職業間の「類似性」に着目するアプローチから職業志向を導出し, それに基づいてアスピレーションについての再検討を加えていく. 分析に用いたデータは, 2008年に東京23区在住の25~39歳男性雇用者を対象とした調査により得られたものである. このデータに対し, 職業間類似度に基づく認知構造の析出, その構造における職業選好の方向, そして志向と達成プロセスとの連動について段階的な分析を展開した. 認知特性の次元としては, 「安定的地位」「組織/技能」「裁量」が析出され, 個々人の選好データに基づいてそれらに対する志向が計測された. また, 各志向が回答者自身の職業など客観的属性と関連していることから, 達成プロセスとの連動も確認された. そのうえで, これまでのアスピレーション研究との接合や今後の課題について議論を展開した.
著者
久保 明美 垣田 時雄 高木 敦司 松永 隆 外林 秀紀 岡村 康彦
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.506-509, 1988

気温20~22°C,湿度55~62%,風力1.5m,天候晴というさほど高温多湿ではない条件下に,体熱の放散が妨げられて発症した熱中症3例につき報告した.症例は24~26才の男性,警察学校生で,警備装備品を着装して3~4km駆け足を行ない,意識消失,転倒した. 1例は当日入院,急性胃粘膜病変を呈し,翌日以降に高度の肝機能障害を認めた. 2例は翌日入院でともに高度の肝機能障害を呈し,うち1例は腎不全,播種性血管内凝固症候群をきたして血液透析,血漿交換にて救命しえた.熱中症を発症した場合は,たとえ発症時の症状が軽度であっても適切な加療と経時的な肝機能,腎機能の検索を行なうことが必要と考える.
著者
三沢 章吾 林田 良子
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.177-186, 1970 (Released:2008-02-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

北海道新冠地方のアイヌ108名(純血に近いアイヌ40名,1/2,1/4程度の混血アイヌ68名,日本人との平均混血度1/2)について,ABO式, MNSs式, Rh式, Q式, Lewis (Lea)式, Kell式, Duffy(Fya)式, Kidd (Jka)式の8種類の血液型を検査し,次のような遺伝子あるいは染色体頻度を得た.1) ABO式血液型純血アイヌ:p=0.1963±0.0470, q=0.0929±0.0333, r=0.7107±0.0481,混血アイヌ:p=0.2514±0.0401,q=0.1768±0.0344,r=0.5718±0.0463.2) MNSs式血液型,純血アイヌ:m=0.4500,n=0.5500,混血アイヌ:m=0.4780,n=0.5220,比較的純血に近いアイヌ50名について, M, N, S, s抗原を調べると, MSMs 2名, MsMs 9名, MNSs 5名, MsNs 19名, NSNS 1名, NSNs 5名, NsNs 9名であった.3) Rh式血液型アイヌ全体として頻度を計算すると, R1(CDe)=0.5479, R2(cDE)=0.2291, Rz(CDE)=0, R0(cDe)=0, r(cde)=0.0458, r'(Cde)=0.0482, r"(cdE)=0.1282であった.4) Q式, Lewis 式血液型,純血アイヌ:Q=0.0382±0.0214, Lea=0.5244±0.0499,混血アイヌ:Q=0.1340±0.0292, Lea=0.6184±0.0416.5) Kell式, Dully 式, Kidd 式血液型.純血アイヌ:K=0.0000, Fya=1.0000,混血アイヌ:K=0.0000,Fya=0.8788.純血アイヌ28名について Kidd 式血液型を調べると Jk(a+)型22名,Jk (a-)型6名であった.
著者
西浦 庸介 太田 圭祐 小林 利江 倉知 あかね 村瀬 景子 石黒 正崇 平野 ツヤ子 伊藤 友一 井手 敦基 濱野 髙行
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.215-220, 2022 (Released:2022-03-28)
参考文献数
18

われわれはシャント音を人工知能で音質を数値化し評価できることを報告した.しかし,聴診部位の情報が欠損しており閉塞の予測因子としては不足があった.また,分枝の多いシャントは血流量が低下しにくいため,ドップラー超音波による上腕動脈平均血流量(mFV)や血管抵抗指数(RI)では閉塞を予見しにくいと言われている.しかし,聴診部位が記録しやすい吻合部のみでのシャント音であれば,前述超音波所見との関連を認めるのではないかと考えた.評価項目として,シャント吻合部での音質と超音波によるmFV,RIを用いて比較を行った.その結果,シャント血流量を示すmFVはシャント聴診音の強度と相関した.超音波によるRIは人工知能で判断される断続音と弱い相関を認めた.日々の聴診によりシャント血流量を間接的に評価することが可能であると考えられた.しかし,吻合部のみでなくシャント全長にわたる聴診が狭窄音の評価に重要である.
著者
小林 英男
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.27, no.297, pp.495-505, 1978-06-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
20
被引用文献数
1
著者
松本 智美 照井 文 旗持 芙美 野崎 浩二 林 建男
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.66-73, 2020 (Released:2020-10-07)
参考文献数
6

目的:当施設では要精密検査や要治療判定者に対し,勧奨案内(以下勧奨)を2回送付している.さらなる勧奨返信率を期待すべく,今回未受診者・勧奨未返信者から得られたアンケート結果より今後の課題を明らかにした.方法:2019年1月の人間ドック利用者で前年度勧奨未返信者288名に,検査開始前に問診,検査終了後に未受診理由と未返信理由について質問紙法によるアンケート(複数回答可)を実施した.回答をもとに,行動変容ステージモデルに合わせて分析を行った.結果:勧奨未返信者のうち,105名は実際受診していた.未受診理由は「忘れていた・時間がない・毎年言われる・受診先に何を説明すればよいか分からない」などの回答があった.受診したが勧奨未返信の理由は「返信することに気が付かなかった・面倒さを感じた・忘れていた・次回健診時に伝えればよい」などの回答があった.結論:行動変容ステージモデルをもとに,各段階における未受診・勧奨未返信理由を分析し,アンケートの回答を無関心期・関心期・意図(準備)期に分けた.未受診者には,各段階に合わせた内容で受診につなぐための後押し(ナッジ)を行うことが大切であることが分かった.また勧奨未返信者は無関心期が多かったことから,勧奨することの意義を理解してもらい,広く伝えることで実施把握率の向上につながると考える.今後ITなどを取り入れ,より簡単に返信できる工夫を行い,実施把握率向上に努めたい.
著者
古川 亮 増西 桂 古賀 章浩 川島 浩幸 小林 亮夫 籾内 正幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.317-318, 2007

For high-resolution retinal camera, we have developed an adaptive optics system using a membrane deformable mirror (DM) with electrostatic actuators. An aberration compensation algorithm is adopted in the system, which can generate appropriate control input by a linear combination of voltage templates prepared in advance, each of that forms a specific Zernike shape approximately. The nonlinear effect and strong coupling of control channels in continuous-surface DM make it difficult to form the desired mirror surface shapes. In this paper, we propose a computational method to obtain the voltage templates using genetic algorithm and grouping electrodes for reducing the number of independent voltage sources. The results show that the method can be used to obtain appropriate applied voltages for high-order Zernike shapes.
著者
田原 総一朗 小林 収
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1069, pp.172-176, 2000-12-04

問 森喜朗内閣不信任決議案を巡る加藤紘一氏らの造反劇は、結局、「未遂」に終わってしまいました。それもあって、不信任案の採決直前の日曜日(11月19日)に生放送されたテレビ朝日系の番組、「サンデープロジェクト」は話題を呼びましたね。
著者
堀内 将人 小林 剛志 近藤 利洋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.III_175-III_183, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
17

名古屋市の平和公園射撃場跡地の中で,高濃度の鉛汚染が明らかとなっている地点において,10 m×10 mの区域を25メッシュに分割し,各メッシュの中心で深さ0~5 cmと5~10 cm,区域の中心で深さ90 cmまでを10層に分けて土壌を採取した.土壌中鉛濃度の平面・鉛直分布を得ることで平面的な濃度のばらつきや深さ方向への鉛の動態を評価した.平面分布については,5地点混合法が射撃場のような鉛弾を原因とする汚染土壌で地点代表値を得るための方法として妥当かどうかを評価した.鉛直分布では,全量鉛濃度,溶出量,含有量の分布について比較考察するとともに,土壌への保持形態別鉛濃度比の深さ方向変化から,鉛弾を起源とする鉛の下方移動の動態について考察した.さらには,平和公園散策道利用者の健康リスクについても言及した.