著者
林 罠生 伊藤 嘉彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.12, pp.1965-1971, 1989-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
25
被引用文献数
2

光学活牲ホスフィン配位子を含む遷移金属錯体を触媒とする不斉合成の研究を行った。光学活性フェロセニルポスフィンは,その側鎖上に各種の官能藩が導入できる独特の構造をしており,以下に示す触媒的不斉合成で,それぞれの触媒反応,反応基質に適合した官能基を有するフェ群セニルホスフィンを用いることにより,高い立体選択性を示した。1)金触媒不斉アルドール反応-β-ヒドロキシ-α-アミノ酸の不斉合成。2)ロジウム触媒による三置換アクリル酸の不斉水素化。3)パラジウム触媒アリル位不斉アミノ化およびアルキル化。4)パラジウム触媒不斉ヒドロシリル化一アリルシランの不斉合成。5)ニッケル触媒クロスヵヅプリングによる軸不斉ビナフチルの不斉合成。また,パラジウム触媒を用いたα,β一不飽和ケトンの不斉ジシリル化によるβ一ヒドロキシケトンの不斉合成やロジウム触媒によるスチレン誘導体の不斉ヒドロホウ素化など薪しいタイプの触媒的不斉合成を開発した。
著者
林 幸 渡邊 玄 永田 和宏 島田 幸一
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
まてりあ (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.364-367, 2008-07-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1
著者
稲又 泰代 宮林 郁子 古家 伊津香 大関 春美 池田 よし江
出版者
清泉女学院大学
雑誌
清泉女学院大学看護学研究紀要 = Seisen Jogakuin College Journal of Nursing (ISSN:24362379)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.39-51, 2021-03-31

高齢者の透析医療における意思決定支援に関する看護師の役割と課題を検討するために文献検討を行った.その結果,意思決定支援に関する看護師の役割では,透析療法適応と宣告された患者は,衝撃と不安から悲観的感情や絶望感をもち,意思決定までに時間を要する.看護師は,患者が腎代替療法を受けるか否か,患者や家族の思いや考えを十分に聞き,患者がどのようにしたいのか,家族が患者を支えるにはどのような支援が必要になるのかを十分に話し合うことが重要である.チーム医療のキーパーソンである看護師は,医師や訪問看護師と連携しながら,患者が療養生活を送れるようにコーディネートの役割やリーダーシップなどが求められていることが示唆された.また今後,高齢化社会に伴い,認知症などで患者自身が意思決定することが困難になることが予測され,高齢者の透析導入・非導入,透析を中断するか否か,緩和医療による看取りという方針が妥当か否か,早い時期からアドバンス・ケア・プランニング (以下ACP)が重要であると考える.
著者
韓 雲哲 真谷 歩 ンキヤ エリーネ 林 信行 藤田 修二
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.275-281, 2006-11-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1 6

ゴボウの抽出液の褐変反応中のスペクトルの特徴からクロロゲン酸或いはその同族体の酸化反応が酵素的褐変の主原因であることが示唆された。クロロゲン酸を基質としてゴボウのポリフェノール酸化酵素 (PPO) は16.6倍に精製され, その回収率は約21%であった。精製酵素のPAGEおよびSDS-PAGEにおいて, 1本のバンドを示した。精製酵素の分子量はゲル濾過法とSDS-PAGEによりそれぞれ41,000と40,000と算出された。精製酵素はクロロゲン酸およびエピカテキンを速やかに酸化した。酵素のクロロゲン酸 (pH5.0, 20℃) とエピカテキン (pH 8.0, 20℃) に対するKm値は0.4と2.7mMと算出された。クロロゲン酸酸化酵素 (ChO) 活性の最適pHは5.0, エピカテキン酸化酵素 (EpO) 活性の最適pHは8.0に認められた。本酵素を4℃で22時間処理した結果, pHs5.0-8.0範囲で安定であった。両活性の最適温度は20℃に認められた。45℃, 30分加熱を行った結果, 両活性の約50%が失活した。両活性は, 5 mMのL-アスコルビン酸, L-システインによって強く抑制された。
著者
石山 志央子 小林 央美 新谷 ますみ
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.31-36, 2016-10-14

学校において学級担任をはじめとする教職員により行われる健康観察は,日常的に子どもの健康状態を観察し,心身の健康問題を早期に発見して適切な対応を図り,学校における教育活動を円滑に進めるための重要な活動である。そこで,特に児童生徒と日常的に関わり教育活動を進める学級担任の行う健康観察に着目しその実態について質問紙調査を行った。結果,朝の健康観察は,小学校では98.8%,中学校では100.0%,高校では73.5% の割合で実施していた。校種別にみた朝の健康観察の主要な方法は,小学校では「健康状態申告方式」,中学校では「自己申告方式」,高校では「観察方式」であった。朝の健康観察は「体調不良を訴えた児童生徒の経過観察」に最も活かされていた。健康観察の機会の内,「朝の会」を小学校では特に大切にしていた。高校では,「清掃時」や「放課後」等も大切にしていた。朝の健康観察の方法は発達段階に応じて選択されており,その日一日の教育活動で行う健康観察に連動されるように活かされており,特に重点的に行う必要があることが示唆された。
著者
谷口 泰富 中丸 茂 東海林 義信 迎 隆
出版者
駒澤大学文学部社会学科研究室
雑誌
駒澤社会学研究 = Komazawa journal of sociology (ISSN:03899918)
巻号頁・発行日
no.21, pp.p23-34, 1989-03
被引用文献数
1

本研究は,視覚Vigilance課題におけるPerformanceの変動と生理学的指標との関係について検討した。被験者は,本学心理学専攻の学部生14名であった。結果,正反応数とSPLの間に負の相関が認められ,時間経過に伴いα波の増加が観察された。一方,心拍数,呼吸数の減少傾向が認められた。全体的には,Performanceの低下が覚醒水準の低下と平行関係にあると思われる資料が提供されたものの,詳細に検討するとPerformanceの変動様式と各指標の変動様式は必ずしも一義的に対応しているとはいいきれない側面がある。したがって,指標によって反映される要因が異なっているのではないかと思われる。さらに,個人差,生体リズムおよび指標の感受性の問題も指摘された。
著者
井上 拓也 伊藤 浩充 池添 冬芽 小林 紗織 傍島 崇史 市橋 則明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.617-622, 2010-07-15

要旨:本研究の目的は,ブリッジ運動における足部の高さと頭部の位置が体幹・股関節伸展筋の筋活動に及ぼす影響について検討することである.対象は健常成人30名とした.脊柱起立筋胸椎部,脊柱起立筋腰椎部,大殿筋,大腿二頭筋の筋活動量,ならびにこれら主動筋間の筋活動比を算出した.ブリッジ運動は,頭部を挙上させない通常の場合と,頭部を挙上させて行う場合の2つの条件下で,足部の高さを床面から-20cm,0cm,20cmと変化させた.その結果,足部を高くすることで脊柱起立筋胸椎部・腰椎部の筋活動量は増加した.一方,足部を低くすることで大殿筋の筋活動量は増加し,脊柱起立筋腰椎部と大腿二頭筋に対する大殿筋の筋活動比はともに高まった.また,頭部を挙上させることで大殿筋の筋活動量は増加し,脊柱起立筋に対する大殿筋の筋活動比および脊柱起立筋胸椎部に対する腰椎部の筋活動比も高まった.本研究の結果から,ブリッジ運動において足部高を変化させ,あるいは頭部を挙上させることで,主動筋群内のより選択的なトレーニングが可能であることが示唆された.
著者
楠本 泰士 松尾 篤 高木 健志 西野 展正 松尾 沙弥香 若林 千聖 津久井 洋平 干野 遥
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】日本では脳性麻痺に対する痙性の治療として,筋解離術や関節整復術などが行われてきた。現在では選択的痙性コントロール術として,脳卒中後後遺症患者や痙性麻痺を呈する様々な疾患の方々に応用されている。当院は痙性麻痺に対する整形外科的手術を行う数少ない専門病院であり,手術件数は年間250件以上と日本最多である。しかし,痙性麻痺に対する整形外科的手術の認知度は,発達障害領域では比較的高いが,その他神経系の領域では低い。また,発達障害領域であっても手術部位によって,手術の効果に関する認識に大きな差がある。これら認識の差は,術後理学療法を受ける患者や手術適応の患者にとって不利益となる。そこで本研究も目的は,当院における手術部位と対象者を調査し,痙性麻痺に対する整形外科的手術の変遷と新たな取り組みについて検討することとした。【方法】平成16年から平成25年までの10年間の手術件数と手術内容を調査し,対象疾患ごとに手術の傾向を調査,分析した。【結果と考察】過去10年間の総手術件数は2301件で,平成18年以降は年間200件以上の手術件数を維持していた。平成16年の手術対象者の内訳は脳性麻痺患者が89件,脳卒中後後遺症患者が14件,その他が7件,平成25年の手術対象者の内訳は脳性麻痺患者が210件,脳卒中後後遺症患者が40件,その他が14件と脳卒中後後遺症患者の手術件数が徐々に増えていた。また,脳性麻痺患者の手術部位では,上肢や頚部,体幹の手術件数が年度ごとに増加していた。手術部位が疾患によって異なっていたことより,障害別の運動麻痺の程度や二次障害による問題に違いがあると考えられる。上肢と体幹の手術件数が増えていたことから,手術技術の向上や患者の機能改善への期待が関与していると思われる。理学療法士として,痙性麻痺に対する整形外科的手術の効果と限界を把握し,日々の臨床に努める必要がある。
著者
三上 泰正 高舘 正男 横山 裕正 川村 陽一 小林 渡 舘山 元春 前田 一春 工藤 龍一 中堀 登示光 小山田 善三 工藤 哲夫
出版者
青森県農林総合研究センター
雑誌
青森県農林総合研究センター研究報告 (ISSN:03887650)
巻号頁・発行日
no.41, pp.45-62, 2007-03

水稲新品種'恋ほのか'は、青森県農業試験場(現青森県農林総合研究センター)において、全量炊飯型香り米の育成を目標に、'関東154号'(後の'サリークイーン')と'ハツコガネ'のF3個体を母とし、'ふ系143号'(後の'ヤマウタ')を父として人工交配を行い、その後代から育成された香り米の粳種である。2000年から'青系香144号'の系統名で「あおもり米優良品種の選定試験(水稲奨励品種決定、基本調査)」に供試され、栽培特性と利用方法の両面から検討を行った結果、従来の米と異なる新たな需要が期待されることから、2004年2月に青森県の第1種認定品種に指定された。'恋ほのか'の出穂期及び成熟期は'むつほまれ'より遅く、熟期は'つがるロマン'並の「中生の中」に属する。草型は「偏穂数型」で、稈長は「短稈」であるが、倒伏抵抗性は「中」である。障害型耐冷性及びいもち病抵抗性は「強」である。玄米の形はやや細長く、'むつほまれ'より玄米品質はまさり、玄米千粒重は軽く、収量性は低い。炊飯米はポップコーンのような香りがあり、白飯のほかに、ピラフ、パエリア、リゾット等の各種調理飯に利用できる。
著者
秋吉 澄子 原田 香 小林 康子 柴田 文 川上 育代 中嶋 名菜 北野 直子 戸次 元子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」において、地域に残されている特徴ある家庭料理を、地域の暮らしの背景とともに記録し、各地域の家庭料理研究の基礎資料、家庭・教育現場での資料、次世代へ伝え継ぐ資料などとして活用することを目的に、聞き書き調査を行った。【方法】熊本県内を6地区(阿蘇、県北、熊本近郊、県南、天草、球磨)に分類し、昭和35〜45年頃に各地域に定着していた家庭料理について、11名の協力者を対象に聞き書き調査を行った。その調査結果や参考文献を基に、熊本県の行事食の特徴を検討した。【結果】正月には「雑煮」、「辛子蓮根」、「のっぺ」の他、「吉野ずし」、「このしろの姿ずし」、「ねまりずし」などが各地域で作られていた。御正忌にはお寺で「こしょう大根」が作られ、参拝者に振る舞われた。ひな祭りには「ひともじのぐるぐる」や「みなみそ」が、6月中旬の田植えを終えた頃には「さなぼりまんじゅう」が食べられた。7月や8月の盆には「あんこかし」、「棒だら」が作られ、それ以外にも人が集まる際には地元で採れる山菜を使ったおこわや煮しめが作られた。地域の行事では、2月初午に天草地区で「がね揚げ」、3月上旬益城町木山地区の初市で「市だご」、3/16人吉・球磨地区の猫寺さんの祭りで「お嶽だんご」、5/31〜6/1八代地区の氷室祭で「雪もち」、10/25多良木地区の天神さんの祭りで「つぼん汁」、11/15和水地区の山太郎祭で「がね飯」、その他の祭りや結婚式などで天草地区では「ぶえんずし」が作られた。行事食は地元で採れる四季折々の旬の食材を活用し、地域の人々の楽しみとして暮らしに根付いていることが分かった。</p>